Google Cloud Next '25 Las Vegasとは
Google Cloud Next '25は、2025年4月9日から4月11日の3日間、アメリカ・ラスベガスのMandalay Bayにおいて開催されるGoogleのクラウドサービスに関する世界最大級のイベントです。「今回は、これまでで一番多彩なデベロッパー コンテンツを用意します。デベロッパー専用のエクスペリエンスやコンテンツを充実させ、アプリ開発や AI のほか、スケーラブルで安全なデータ駆動型アプリケーションの学習や開発に役立つ重要なトピックを網羅します。」と銘打っており、AIコンテンツで大いに盛り上がった昨年や一昨年にも勝るとも劣らないイベントとなることが期待されます。
私たち日本情報通信株式会社も、Google Cloudに精通した専門家として、技術イノベーションの最新動向を取り入れ、顧客に対するソリューション提供に活かしていくことを目指して参加しています。
このような貴重な機会ですので、現地からいち早くブログで最新情報や熱量を発信してまいります。
本記事で紹介するセッション概要
- 講演日時:2025年4月9日 16:00 - 16:45 GMT-7
- セッションタイトル:What’s new in data and AI governance
- 登壇者
- Chai Pydimukkala
- グーグルクラウドのBigQuery データ ガバナンス、セキュリティ、データ共有担当プロダクトリード
- Vinay Narayana
- リーバイス社のデータ&MLエンジニアリング担当シニアディレクター
- Arvind Rajagopalan
- ベライゾン社のAVP
- Chai Pydimukkala
- セッション内容のサマリ
- BigQuery に直接組み込まれた最新のガバナンスとカタログのイノベーションにより、Google Cloud がデータと AI のガバナンスをどのように変革しているかをご覧ください。堅牢なガバナンスとセキュリティ機能により、プラットフォーム間でメタデータを統合し、検出可能性を高め、分析情報を迅速に取得できます。AI を活用した分析情報、一元化されたガバナンス、統合されたポリシー管理によって、データ品質の向上、リネージの追跡、アクセス制御の管理が可能になり、データと AI の取り組みにおける信頼性と透明性が高まります。
このセッションで期待できること
本セッションでは、Google Cloudが取り組む「データとAIにおける新たなガバナンスのあり方」や、ガバナンス機能の革新についての最新情報が紹介されました。実際にデータガバナンスを推進しているリーバイス社、ベライゾン社の具体的な活用事例や課題に対する克服方法についても学ぶことができます。
- データガバナンスの重要性と課題理解
- 新技術やAIテクノロジーを活用したガバナンスの自動化・効率化
- リーバイス社・ベライゾン社が行ったガバナンス施策・事例紹介
セッション内容
本ブログでは、実際にセッションを聞いて特に興味深く感じたポイントを抜粋します。
データガバナンスはなぜ重要なのか?
はじめにGoogle Cloudの登壇者から、データガバナンスがなぜ重要なのか説明がありました。AIや生成AIがますます企業に浸透している一方で、『AIプロジェクトの約60%が失敗している』といったデータ(Gartnerの調査)があり、その原因の一つがガバナンス不足にあります。
企業内ではデータが多種多様なシステムに散在し、データカタログや品質管理が適切に行われていないケースが多く、これがAI活用の妨げになっているとのことです。
Google Cloudでは『Knowledge Engine』を活用し、データガバナンスを自動で支援することができることが強調されて紹介されていました。
リーバイス社のデータプラットフォーム推進事例
次にリーバイス社から、自社のデータプラットフォームの取り組みについて発表がありました。
リーバイス社が抱えていた課題は以下の通りでした。
- データがどこにあるか分からない、文書もない
- Excelなどの個別管理が多くデータ品質問題が発生
リーバイス社では、この課題をData Mesh型アプローチを用いて解決することができたそうです。データドメインを明確に分け、それぞれの領域のデータを明確に管理することで、容易に発見・理解可能な環境を実現したそうです。また、Dataplexを活用してData Mart, Data Productという抽象化レイヤーを作成し、アナリストが直感的にデータを利用できる環境を整備しているとのことでした。
具体的な成果としては以下が挙げられていました。
- データプラットフォーム移行後、約50〜100倍の高速化を達成
- 約700人が毎日プラットフォームを利用
- データプロダクトの提供数が月に7つのペースで増加
特に、Data Productごとにデータ品質(データ鮮度・正確性・可用性)指標(SLO)を明確に設定しているため、データの信頼性が大幅に向上したとのことです。この仕組みによって、誰でも容易に必要なデータにアクセスでき、かつ信頼できる環境が構築されましたことが強調されていました。
ベライゾン社のデータガバナンス戦略
ベライゾン社は巨大で複雑なデータセットをGoogle Cloudに移行し、現在「One Verizon Data」というデータガバナンスの変革を実践しています。
ベライゾン社の取り組みで特に注目したのは以下のポイントです。
- 各部門別に分散したデータウェアハウスを統合
- Google CloudのBigQueryを活用し、北米最大級の通信会社向けデータウェアハウスを構築
また、モジュラー型データ設計を採用し、「プロダクションゾーン」「探索ゾーン」「開発ゾーン」を明確に分けることで利用者が安全にデータの検証から開発、本番への反映までを実施できるよう環境を整備しているとのことです。
ベライゾンの今後の目標は、完全なデータレイクハウスアーキテクチャを実現し、社内全体のデータをさらに統合することだと話されていました。
Google Cloudの今後の展望
Google Cloudはこの機会に、新しくBigQuery Universal Catalogを発表しました。これにより、DataplexのもつMeta Data管理機能がBigQueryに統合され、物理的なメタデータ、ビジネスメタデータ、ランタイムメタデータを統合的に管理し、自動化されたインサイト抽出・自然言語でのデータ探索が可能になります。
また、Gemini AIを活用したデータガバナンスも推進するとのことです。例えば、自然言語処理機能を用いて、SQLの記述なく自然言語によるデータ探索・質問を可能にする仕組みが提供されます。
会場の様子
去年参加したGoogle Cloud Nextのセッション参加ブログでも触れたのですが、データガバナンスのセッションには多くの人が参加されておりました。やはりデータガバナンスは注目度が高い分野なのだと感じたセッションでした。データガバナンスが日本でももっと推進されて来れば良いなと感じたセッションでした。
まとめ・感想
このセッションを通じて感じたのは、Google Cloudの提供する新しいデータガバナンスサービスが、企業におけるデータ活用・AI活用の課題解決に非常に重要だということです。特にリーバイス社やベライゾン社といった世界的な企業が、Google Cloudの技術によってデータガバナンスの課題を克服し、膨大なデータを統合して価値を生み出している事例が非常に印象的でした。
私自身は特にリーバイス社の「Data Mesh」の実装方法に興味を持ちました。ドメインごとのデータ管理、Data MartやData Productを整備して、誰でも利用しやすく信頼の出来る環境を提供している事例を参考にしたいと思いました。
さらに個人的に感銘を受けたのが、自動でメタデータを分析してインサイトを得られるGoogle Cloudの「Knowledge Engine」です。生成AIを活用した高度なデータ探索が誰でも手軽にできる環境は、データガバナンスの未来の姿を垣間見せてくれました。
日本企業でも、海外企業同様にデータとAIを活用したガバナンスに積極的に取り組んでいけるような土壌を築いていきたいと強く感じました。
参考
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