Google Cloud Next '23 inサンフランシスコ
サンフランシスコにて2023/8/29~2023/8/31(現地時間)で開催されているGoogle Cloud Next'23に、日本情報通信、クラウドインテグレーション部から5人で参加しています。
日本よりも3年ほど先に進んでいると言われている現地にて、最先端のGoogle Cloudではどのようなことが起き、今後どんな方向に進んでいこうとしているのか、そんなことを自身の目で見てくる非常に貴重な機会です。
そんなせっかくの機会ですので、現地からいち早くブログで最先端情報や熱量を発信してまいります。
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本日は1日目に行ってきました。
いくつかのセッションやブースを回ってきた中で、参加したセッション「GreenOps: Drive carbon and cost efficiencies with a new wave of developer tools」についてご紹介していきます。
GreenOps: Drive carbon and cost efficiencies with a new wave of developer tools
はじめに
ここ数年、炭素排出量の削減に向けたGoogle Cloudの取り組みがよく見られます。
同じリソースを使うにしてもよりエコに使えるリージョンがどれであるかを示したり、リソースを利用した際の炭素排出量見込みを表示するなどを、私たち利用者に向けても意識付けを強くしている印象です。
その中で、「GreenOps」という新しいOps系のキーワードが登場したセッションです。
内容・気になったことなど
セッションのサマリーは以下の通りです。
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Applying the principles of circular economy to software development lays foundations for sustainable behavior for product-focused organizations. How can we squeeze the most amount of compute efficiency at the lowest cost and waste? In this session, we’ll guide you through how you can leverage Google Cloud’s rich portfolio of solutions and practices to achieve your sustainability business goals. You’ll learn about the Carbon Sense suite, Carbon Footprint, and GreenOps, and find out how to incorporate these into your business and engineering operations.
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いくつかのキーワードを取り上げておきます。
Carbon Sense suite:
Google Cloud の使用に伴う炭素排出量を正確に把握し、カーボン フットプリントを削減するための行動を支援するツールを指します。Compute Engineなどのコンピュートリソースを選択する際に、リージョンによってのアイコンが付いているのを見たことがある方もいらっしゃるかと思います。
Carbon Footprint: クラウドの二酸化炭素排出量を測定、報告、削減するためのツールです。ダッシュボードを提供したり、分析を可能にする機能を持つものです。
GreenOpsの取り組みを理解したうえで、これらの機能を用い、GreenOpsを実現する方法を紹介するのが今回のセッションでした。
GreenOps
まず前提として、GreenOpsは「Greening of IT」(ITをGreenに実施すること)であり、「Greening by IT」(ITによりGreen化する)ではないとのことです。したがって、より二酸化炭素排出を少なくITソリューションを実現するというのが、GreenOpsの目指すものとなります。
GreenOpsは、以下のサイクルで実現されます。
1. Understand
2. Measure
3. Optimize
それぞれを見ていきましょう。
1. Understand
GreenにITソリューションを提供するとはどういうことか、を理解するステップです。例えば先ほど挙げたようなのアイコンが付いているリソースは二酸化炭素排出量が少ないということであったり、GCPリソースを効率的に使うことで必要以上の電力消費を抑え、それが二酸化炭素排出削減につながる、などのことをまずは理解することが重要です。
2. Measure
実際に二酸化炭素排出をどのくらいしているのか、現状を把握するステップです。Carbon Footprintのサービスにより、日ごと、月ごと、サービスごとなど細かいレベルで実際の二酸化炭素排出量をモニタリングすることができます。各リソースの課金をGoogle Cloudコンソール上で閲覧するのと同じような見え方をイメージしていただくのが良さそうです。
3. Optimize
実際に二酸化炭素排出量を減らすためのアクションを検討、実行するステップです。実際に採択しうるアクションとしては大きく12挙げられていました。
その中には実現がEasyなものもあれば、Blackbelt(専門的なスキルを要する)ものもあります。先ほど挙げたような、よりエコなリージョンのリソースを使うというようなものであれば実施すること自体は簡単です。他方で、アプリケーションの作りを見直してサーバレスのサービスに載せ替えたり、マイクロサービス化、イベント駆動化することにより必要な時間だけリソースを稼働させる、というのはアプリケーションの作りを変更する必要が出てくるため容易ではありません。
アプリケーション側の問題だけではありません。単純にストレージやアプリケーションを実際の用途から遠い場所に配置してしまうと、その分の別コストがかかってきてしまいます。
したがって、コストとの見合いの上で適切なGreening Optimizeが必要となります。その例を示したのが画像の通りで、左に行くとGreening重視の代わりにコスト増を許容することになり、右に行くとGreeningとコストの両得を得るアクションということになります。
今回のセッションでは具体例として、UberのGreenOpsの取り組みの話を聞くことが出来ました。Uberでは、2040年までに二酸化炭素排出量を0にする「zero emission」を掲げているそうです。
その中で、GreenOpsの取り組みとして、ソースコードのリファクタリングを行ったというのが印象的なメッセージでした。曰く、リファクタリングにより「コンピュートリソース利用のコスト削減」「コンピュートリソース削減による二酸化炭素排出量削減」「ソースコードがリファクタされたことによる開発者にとっての生産性向上」という、三方良しが実現したとのことです。GreenOpsにのみ注力してしまうとコストに転嫁される可能性がある一方で、GreenOpsを目指すことが副次的にアプリケーション開発に恩恵をもたらすという、非常に素晴らしいケースでした。
まとめ
環境に配慮することとシステムが進化することは相反するものではない、ということが今回のセッションであらためて示されたと考えています。他のxxxOpsと同様、このOperationの営みは決して紋切り型で決まるものではなく、各企業がそれぞれで検討し、決断して実施することができます。
まずはGreenOpsにおける「Understand」、理解することから是非皆様に取り組んでいただければと思っています。
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