Google Cloud アップデート情報 | AI (2026年10月12日〜2026年10月18日)

 2026.10.29  XIMIX Google Cloud チーム

はじめに

2026年10月12日〜10月18日の Google Cloud AI カテゴリでは、Google のフロンティアモデル Gemini 4 Argon が Gemini Enterprise Agent Platform で正式提供(GA)となり、Gemini Enterprise のアプリや Workflow Builder でも使えるようになりました。Gemini Enterprise アプリでは、管理者の設定により Anthropic の Claude Opus 5.5 と Claude Sonnet 5.5 も選べます。一方で、Cloud Vision API と Video Intelligence API では感情ラベルの応答が非推奨となり、すべて UNKNOWN が返るようになりました。

本記事では、この期間に公式リリースノートで発表された AI カテゴリの12件のアップデートを、リリース日の順に解説します。各トピックには、公式ドキュメントと該当日のリリースノートへのリンク、想定されるユースケース、業務上のメリットを添えました。Gemini 4 Argon、CodeMender の2回の更新、Google Cloud CCaaS 6.22、感情ラベルの非推奨化、Agent Search の回答生成モデルの更新には、自社での対応を判断するための観点も載せています。

経営層の方は「どのモデルを、どの範囲の社員に開放するか」、IT 担当者の方は「既定値の変更と非推奨化が既存のシステムに及ぼす影響」という視点で読み進めると、判断の材料を拾いやすくなります。

対象期間 2026年10月12日〜2026年10月18日
対象製品 Google Cloud
対象カテゴリ AI
アップデート件数 12件(主要トピック)

今回のアップデート一覧

2026年10月12日〜10月18日のGoogle Cloud AIアップデート12件の一覧。Gemini 4 Argon、Claude、CodeMender、Cloud Vision感情ラベルの非推奨化を掲載

アップデート詳細

1. Gemini Enterprise Agent Platform — CodeMender が v0.14.0・v0.15.0 へ更新(2026年10月12日・10月14日)

CodeMender(コードをスキャンして脆弱性が悪用可能かを検証し、テスト済みの修正を生成するコードセキュリティツール)が、10月12日に v0.14.0、10月14日に v0.15.0 へ更新されました。プルリクエストのスキャンの強化と、SARIF 形式のレポートの改善が中心です。CodeMender は限られた顧客向けの Public Preview として提供されており、公式ドキュメントでは商用・本番目的では使用できないと説明されています。

🔍 何が変わったのか

  • プルリクエストのスキャン(v0.14.0): cm find --diff が、削除されたセキュリティ対策のコードも検出するようになりました。大きなファイルには長い処理時間を割り当て、時間は --diff-job-timeout で設定できます
  • セッションの統合(v0.14.0): --deep と --diff のスキャンが、cm session list、cm report、cm stats で1つのセッションとして表示されるようになりました
  • 移動したコードの追跡(v0.14.0): cm verify が、cm find の実行後に移動したコードを見つけ、検出結果の位置を更新します
  • アクティベーションの案内(v0.14.0): cm は終了せずにアクティベーションのページを開き、アクティベーションの完了を待つようになりました
  • 新しいフラグ(v0.14.0): --deep-max-turns で --deep スキャンのファイルごとの探索ステップ数を制限でき、--enable-bash でスキャン中のシェルコマンドの実行を許可できます
  • 検出の改善(v0.14.0): ファイルごとに区別される検出結果が増え、弱いハッシュや乱数に関する CWE(脆弱性の種類の分類)がより正確になりました
  • SARIF レポート(v0.15.0): cm report の SARIF 2.1.0 出力に、標準化されたルール記述子、重大度のプロパティ、リポジトリからの相対パスが加わり、GitHub Code Scanning との互換性が改善されました
  • モデル呼び出しの集計(v0.15.0): cm stats --json に、合計・セッションごと・ターンごとのモデル呼び出し回数が加わりました
  • 不具合修正: ネストしたシンボリックリンク経由のリポジトリのスキャンに関する問題や、検出結果が過剰にまとめられる問題などが修正されました。v0.15.0 では、エラーやキャンセルで終了したとき、完了したターンのトークン使用量がセッションのログから漏れる問題が修正されています

✨ 使えるようになる機能

  • 削除されたセキュリティ対策を含む、プルリクエストの差分のスキャン
  • 探索ステップ数の上限とシェルコマンドの実行許可を指定するフラグ
  • GitHub Code Scanning と互換性を高めた SARIF 2.1.0 のレポート
  • モデル呼び出し回数の集計

⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点

  • --deep と --diff のスキャンは、cm session list・cm report・cm stats で1つのセッションとして表示されます
  • アクティベーションが済んでいない場合、cm は終了せずにアクティベーションの完了を待ちます
  • 検出の改善により、ファイルごとの検出件数と CWE の分類が以前と変わる可能性があります
  • SARIF の出力内容(ルール記述子、重大度、ファイルの位置の表し方)が変わります
  • 公式リリースノートでは、廃止・非推奨化された機能は示されていません

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Public Preview で CodeMender を評価している開発部門とセキュリティ部門が対象です。プルリクエストのレビューで、セキュリティ対策のコードが削除されていないかを確かめたい場合や、検出結果を GitHub Code Scanning に取り込んで管理したい場合に、今回の変更が関係します。

✨ 導入メリット

  • 差分のスキャンで、追加されたコードだけでなく削除されたセキュリティ対策も確認できます
  • SARIF の互換性が上がり、GitHub Code Scanning で検出結果を管理しやすくなります
  • モデル呼び出し回数とトークン使用量の記録が揃い、評価にかかる費用を把握しやすくなります

🤔 判断観点

  • 影響範囲: cm session list・cm report・cm stats や SARIF の出力を他のツールで読み込んでいる場合、その連携が確認対象です
  • 検証推奨事項: アクティベーションの動作が変わったため、CI など人が操作しない環境で cm を実行している場合は、更新前に動作を確かめる進め方が考えられます
  • 集計の連続性: 検出の改善と、検出結果が過剰にまとめられる問題の修正により、検出件数と CWE の分類は更新前後で変わる可能性があるため、評価結果を時系列で比べる場合は版数を併記する観点があります

📚 公式ソース

2. Gemini Enterprise Agent Platform / Gemini Enterprise — Gemini 4 Argon が正式提供(GA・2026年10月13日〜10月14日)

Google のフロンティアモデル Gemini 4 Argon(gemini-4-argon)が、Gemini Enterprise Agent Platform で GA となりました。リリースノートでは、コーディング、金融、法務、サイバーセキュリティ、科学などの分野で、複雑な実務の課題に取り組む用途に優れたモデルと説明されています。Gemini Enterprise のウェブアプリ、モバイルアプリ、AI 開発者ツール、Workflow Builder でも GA となり、AlphaEvolve でも使えるようになりました。CodeMender での利用は Preview です。

🔍 何が変わったのか

  • Agent Platform(10月13日): 入力と出力を合わせて 1,048,576 トークンの上限、思考レベルの設定(LOW、MEDIUM、HIGH)、GenerateContent API の継続トークンを使った最大 1,048,576 トークンの長い出力(long decodes)に対応します。エージェント型の動画理解も GA です
  • Gemini 4 Argon Cyber Permissive: 防御目的のサイバーセキュリティ向けの版(gemini-4-argon-cyber-permissive)も GA ですが、Fairwind Program の許可リストに登録された組織だけが利用できます
  • Gemini Enterprise のアプリ(10月13日): ウェブアプリとモバイルアプリで利用できます。global、us、eu のマルチリージョンに対応し、データの所在地と機械学習処理は us と eu で対応します。アプリでは既定でオフで、2026年10月27日から既定でオンになります
  • AI 開発者ツール(10月13日): Antigravity authorized models が既定の選択のままであれば、ライセンスを持つユーザーに既定で有効です。組織が独自のモデル一覧を指定している場合は、管理者が手動で Gemini 4 Argon を選ぶ必要があります
  • Workflow Builder(10月14日): Workflow Builder と、そのワークフローエージェントで利用できます。ワークフローエージェントへの反映には最大1日かかります。アプリと同じく既定でオフで、2026年10月27日から既定でオンになります
  • AlphaEvolve(10月13日): AlphaEvolve の実験で、Gemini 4 Argon を使って候補のプログラムを生成できます。global、us、eu で利用でき、generationSettings の models に gemini-4-argon を指定します。既定のモデルは Gemini 3.8 Flash のままです
  • CodeMender(10月13日・Preview): cm find、cm verify、cm fix に --model gemini-4-argon を渡すと使えます。既定のモデルは Gemini 3.8 Flash のままです

✨ 使えるようになる機能

  • Agent Platform の API からの Gemini 4 Argon の利用(長い入出力、思考レベルの設定、エージェント型の動画理解)
  • Gemini Enterprise のウェブアプリ・モバイルアプリ・AI 開発者ツール・Workflow Builder での Gemini 4 Argon の選択
  • AlphaEvolve と CodeMender(Preview)でのモデルの切り替え

⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点

  • Gemini Enterprise のアプリと Workflow Builder では、2026年10月27日から Gemini 4 Argon の切り替えが既定でオンになります
  • AI 開発者ツールで独自のモデル一覧を指定している組織では、管理者が選ばない限り Gemini 4 Argon は使えません
  • 既知の問題として、GenerateContent API(generateContent と streamGenerateContent)での長い出力(continuation_token)は v1beta1 の API でのみ使え、v1 では使えません。Google Gen AI SDK は、http_options で api_version='v1' を指定しない限り v1beta1 を使います
  • 公式リリースノートでは、廃止・非推奨化された機能は示されていません

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Gemini Enterprise を全社に展開している情報システム部門と、Agent Platform で AI アプリケーションを開発しているチームが対象です。契約書の確認や財務資料の分析のように、長い資料を読み込んで判断を伴う業務に、新しいモデルを試す場面で使えます。開発チームは、長い出力が必要な処理を API で組む場合に、API のバージョンの制約を前提に設計できます。

✨ 導入メリット

  • Gemini Enterprise のアプリ、ワークフロー、開発ツールで同じモデルを選べるため、検証の結果を他の用途に展開しやすくなります
  • データの所在地と機械学習処理を us または eu に置いて利用できます
  • 既定でオンになる日付が示されているため、それまでに利用範囲と社内ルールを決めておけます

🤔 判断観点

  • 既定値の変更: 10月27日以降にアプリと Workflow Builder で既定でオンになるため、それより前に開放するか、オフのまま評価を続けるかを決める観点があります
  • 影響範囲: アプリの利用者全員、Workflow Builder でワークフローを作成している部門、Antigravity で独自のモデル一覧を指定している開発部門が確認対象です
  • 検証推奨事項: API で長い出力を使う場合は、SDK や REST の呼び出しが v1beta1 を使っているかを確認する進め方が考えられます

📚 公式ソース

3. Google Cloud CCaaS — 6.22 のプレリリースノートを公開(2026年10月13日)

コンタクトセンター基盤の Google Cloud Contact Center as a Service(CCaaS)で、次のバージョンになる見込みの 6.22 のプレリリースノートが公開されました。リリースノートでは、このバージョンをリリースする際、新機能はここに示した内容になる見込みと説明されています。チャットのトランスクリプトを参加者ごとに分ける機能、キャンペーン単位で予約するコールバック、45件の不具合修正が含まれています。

🔍 何が変わったのか

  • チャットのトランスクリプトの分離: Settings > Chat > Chat Transcript の Transcript Separation で Per Segment を選ぶと、チャットに参加したオペレーター、バーチャルエージェント、スーパーバイザーごとに別のトランスクリプトのファイルを出力できます。顧客が受け取るトランスクリプトは、この設定にかかわらずチャット全体の1つです
  • キャンペーン単位のコールバック予約: アウトバウンドのキャンペーンの通話中に、オペレーターがコールバックを予約できます。コールバックは個々のオペレーターではなくキャンペーンに属し、ダイヤラーが顧客の選んだ時間帯に発信します。管理者はキャンペーンごとに時間帯の長さ、受付数、予約できる期間、有効期限を設定し、スーパーバイザーは予定・完了・期限切れのコールバックをキャンペーンの一覧で確認できます
  • 集計・レポートに関わる修正: 外部の電話番号に転送された通話が顧客による放棄として記録される問題、通話と後処理の時間の集計行が重複する問題、スキルベースのキューでリアルタイムのモニタリングに対応可能なオペレーターが0人と表示される問題などが修正されます。修正後は、これらの集計値が以前と変わる可能性があります
  • 権限に関わる修正: いくつかの Kubernetes と Google Cloud のサービスアカウントに過剰な権限が付与されており、不正な権限昇格につながるおそれがあった問題が修正されます
  • その他の修正: 1件の通話が2人のオペレーターに同時に割り当てられる問題など、振り分け・転送、通話の録音、チャットのウィジェットに関する問題が修正されます(集計・権限に関わる修正を含め、合計45件)

✨ 使えるようになる機能

  • 参加者ごとに分かれたチャットのトランスクリプト
  • キャンペーン単位で管理するコールバックの予約

⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点

  • トランスクリプトの分離は既定で無効です。有効にするには Google Cloud サポートへの連絡が必要です
  • 集計・レポートに関わる修正により、放棄呼の件数、待ち時間、対応可能なオペレーター数などの値が変わる可能性があります
  • プレリリースノートであるため、リリース時の内容が変わる可能性があります
  • 公式リリースノートでは、廃止・非推奨化された機能は示されていません

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

CCaaS を運用しているコンタクトセンター全般が対象です。チャットがバーチャルエージェントから有人対応へ、またはオペレーター間で引き継がれる運用では、どの参加者がどの部分を対応したかをトランスクリプトで確認できます。アウトバウンドのキャンペーンでは、担当オペレーターの勤務に左右されずに、顧客が選んだ時間帯にかけ直す運用を組めます。

✨ 導入メリット

  • 引き継ぎのあったチャットで、参加者ごとの対応内容を確認しやすくなります
  • コールバックがキャンペーンに属するため、特定のオペレーターに依存しないかけ直しの運用ができます
  • 放棄呼や待ち時間の記録の誤りが直り、レポートを運営の判断に使いやすくなります

🤔 判断観点

  • 緊急性: サービスアカウントの過剰な権限の修正が含まれます。リリース時期と適用スケジュールを確認する観点があります
  • 集計の連続性: 放棄呼や待ち時間などの値が修正前後で変わる可能性があるため、KPI を時系列で比べている場合は適用日を記録しておく観点があります
  • ロールアウト戦略: トランスクリプトの分離は、サポートに有効化を依頼する前に、トランスクリプトを取り込んでいる社内の仕組みがファイルの分割に対応できるかを確かめる進め方が考えられます

📚 公式ソース

4. Gemini Enterprise — 英国で Gemini 3.8 Flash を提供、アプリで Claude モデルを選択可能に(GA・2026年10月14日・10月15日)

Gemini Enterpriseで、10月14日に Gemini 3.8 Flash が英国で GA となりました。10月15日には、管理者が Anthropic の Claude Opus 5.5 と Claude Sonnet 5.5 を Gemini Enterprise アプリのユーザーに提供できるようになっています。

🔍 何が変わったのか

  • 英国での Gemini 3.8 Flash(10月14日): 英国(europe-west2)の国単位のリージョンで、保存データ(at-rest)のデータ所在地(DRZ)と機械学習処理(MLP)をリージョン内に置いて利用できます。英国リージョンのウェブアプリでは既定でオンで、管理者は Model availability の Gemini 3.8 Flash の切り替えで利用を管理できます
  • アプリでの Claude(10月15日): 管理者が Feature Management タブの Enable third-party models でモデルをオンにすると、ユーザーはモデルの選択画面で選べるようになります。global、us、eu で利用でき、従量課金で請求されます
  • Claude を有効にする条件: 公式ドキュメントでは、Gemini Enterprise 管理者の IAM ロール、サブスクリプションの場合は超過分の従量課金(Pay-as-you-go usage above quota)がオンであること、モデルの選択画面(Enable model selector)がオンであることが前提条件として挙げられています。Claude のモデルは既定でオフで、国単位のリージョンと Starter エディションでは利用できません

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

英国に拠点を持ち、データを国内に保管・処理することが求められる企業の情報システム部門は、Gemini 3.8 Flash を現地の従業員に展開する検討に使えます。Claude のモデルは、業務の内容に応じてモデルを使い分けたい部門に、管理者が対象のモデルだけを開放する運用に使えます。

✨ 導入メリット

  • 英国のリージョン内でデータの所在地と機械学習処理を完結させて、Gemini 3.8 Flash を利用できます
  • Gemini Enterprise アプリの中で Claude のモデルも選べるため、ユーザーが別のサービスを使い分ける必要が減ります
  • Claude のモデルは既定でオフのため、管理者が承認した範囲でのみ利用が始まります

📚 公式ソース

5. Cloud Vision / Video Intelligence API — 感情ラベルの応答が非推奨に(2026年10月15日)

画像認識の Cloud Vision API と動画解析の Video Intelligence API で、感情ラベルの応答が非推奨になりました。今後、Cloud Vision API の顔検出(FACE_DETECTION)と Video Intelligence API は、感情に関するすべてのラベルに UNKNOWN を返します。

🔍 何が変わったのか

  • Cloud Vision API: 顔検出のモデルが更新され、感情に関するラベルはすべて UNKNOWN になります。顔検出のドキュメントでは、喜び・悲しみ・怒り・驚きの感情の可能性が応答の例に含まれています
  • Video Intelligence API: 感情に関するラベルはすべて UNKNOWN になります

✨ 使えるようになる機能

  • 非推奨化の告知であり、新しい機能の追加はありません

⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点

  • 感情ラベルの値(Cloud Vision API の顔検出、Video Intelligence API)は、すべて UNKNOWN が返ります
  • 感情ラベルの値で処理を分けたり集計したりしているアプリケーションは、これまでと同じ結果を得られなくなります

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

画像や動画に写った人物の表情を、感情ラベルで集計・判定している開発チームが確認対象です。顔検出の結果のうち、感情ラベルに依存している処理を洗い出す作業が必要になります。

🤔 判断観点

  • 影響範囲: 感情ラベルの値を条件分岐、スコアリング、レポートに使っている処理が確認対象です
  • 検証推奨事項: 感情ラベルが UNKNOWN の場合にアプリケーションが誤った判定やエラーにならないかを確かめる進め方が考えられます
  • リスクと対応案: 過去のデータと比べている集計では、UNKNOWN に変わった時点を記録し、比較の対象から外すかを決める観点があります

📚 公式ソース

6. Firestore with MongoDB compatibility — QueryData で会話形式のデータエージェントを構築可能に(Preview・2026年10月12日)

Firestore with MongoDB compatibility(MongoDB 互換の API で使える Firestore)が QueryData に対応しました。QueryData を使うと、データベースのデータに日常の言葉で問い合わせるデータエージェントを構築できます。この機能は Preview として提供されています。

🔍 何が変わったのか

  • 自然言語からの問い合わせ: 公式ドキュメントでは、QueryData は自然言語の質問を MongoDB 互換のクエリ言語(MQL)に変換すると説明されています
  • コンテキストセット: 質問とクエリの例、再利用できる絞り込み条件、くだけた言い方を保存されている値に対応づける値の参照をまとめた「コンテキストセット」を使って、問い合わせの精度を補います

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

公式ドキュメントでは、カスタマーサービス、EC サイトの商品検索、現場作業向けのツールが典型的な用途として挙げられています。たとえば、カスタマーサービスの担当者が、クエリを書かずに顧客や注文の情報を言葉で問い合わせる仕組みの検証に使えます。

✨ 導入メリット

  • クエリ言語を知らない担当者でも、データベースの情報を言葉で引き出せるようになります
  • 社内の言い回しと保存されている値の対応をコンテキストセットにまとめることで、担当者ごとの聞き方の違いを吸収しやすくなります

📚 公式ソース

7. Cloud Storage — 画像と PDF に機械学習のメタデータを付ける object enrichments(Preview・2026年10月13日)

Cloud Storage で object enrichments が Preview として提供されました。設定すると、バケット内の対象の画像と PDF に Google の学習済み機械学習モデルを適用し、その結果をメタデータとして object contexts(オブジェクトに付けるキーと値のラベル)の形でオブジェクトに付けます。あわせて、Google のサービスが自動分析の際に付ける extended data 付きの object contexts も Preview となりました。

🔍 何が変わったのか

  • 適用されるモデル: 公式ドキュメントでは、物体検出、画像のラベル付け、顔検出、不適切なコンテンツの検出、PDF の分類の5つが挙げられています
  • 対象のオブジェクト: BMP、GIF、ICO、JPEG、PNG、TIFF、WEBP の画像と PDF で、20 MiB 以下のものが対象です。顧客指定の暗号鍵(CSEK)で暗号化したオブジェクト、Rapid バケット、階層型名前空間を有効にしたバケットは対象外です
  • 結果の確認: 個々のオブジェクトで結果を確認できるほか、Storage Insights のデータセットを使って BigQuery で大量のオブジェクトをまとめて問い合わせできます
  • extended data の取得: 機械学習によるラベル付けなどで付いたコンテキストとその extended data は、JSON API の viewFullContext メソッドで取得します
  • 料金: 公式ドキュメントでは、モデルの推論、メタデータの保存、データアクセスのオペレーション、ネットワークに料金がかかり、Storage Insights と BigQuery での問い合わせにも費用が加わる場合があると説明されています

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

大量の商品画像やスキャンした PDF を Cloud Storage に保管している部門が対象です。画像に写っている物のラベルや PDF の分類を BigQuery で集計し、どのような資料がどれだけ保管されているかを把握する用途に使えます。

✨ 導入メリット

  • 画像や PDF の中身を、人が1件ずつ確認せずにメタデータとして整理できます
  • 結果を BigQuery で問い合わせられるため、保管データの棚卸しや分析に使えます

📚 公式ソース

8. Gemini Enterprise — Workflow Builder を Microsoft Teams・Notion・Salesforce・Confluence / Jira Data Center に接続可能に(2026年10月13日・10月16日)

Gemini Enterprise の Workflow Builder(業務の手順を自動化するワークフローを作成する機能)で、10月13日に Microsoft Teams、Notion、Salesforce への接続が、10月16日に Confluence Data Center と Jira Data Center への接続が加わりました。これらのサードパーティのアプリをまたいで、データの検索と操作の自動化ができます。

🔍 何が変わったのか

  • 10月13日: Microsoft Teams、Notion、Salesforce に接続できるようになりました
  • 10月16日: Confluence Data Center と Jira Data Center に接続できるようになりました
  • できること: 接続したアプリのデータを検索し、そのアプリでの操作を自動化できます

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Salesforce で顧客を管理している営業部門や、Jira Data Center と Confluence Data Center で開発の課題と文書を管理している開発部門が対象です。複数のアプリに分かれた情報を検索し、決まった操作をワークフローで自動化する検討に使えます。

✨ 導入メリット

  • Google 以外のアプリを使っている部門でも、Workflow Builder で業務の自動化を進められます
  • アプリを切り替えて情報を探す手間を減らせます

📚 公式ソース

9. Gemini Enterprise Agent Platform — DeepSeek-V4.1-Flash の追加と Nano Banana 2.1 の Priority PayGo 対応(2026年10月14日)

Gemini Enterprise Agent Platform で、DeepSeek の DeepSeek-V4.1-Flash が Model Garden(Google 製とパートナー各社のモデルを選んで使えるカタログ)のフルマネージドモデルとして Public Preview になりました。あわせて、画像生成・編集モデル Gemini Nano Banana 2.1 で Priority PayGo が GA となっています。

🔍 何が変わったのか

  • DeepSeek-V4.1-Flash: テキストと画像を入力でき、エージェント型の処理とコーディングを想定したモデルです。最大 100 万トークンのコンテキストウィンドウに対応します
  • Nano Banana 2.1 の Priority PayGo: gemini-nano-banana-2.1 の global エンドポイントで GA です。公式ドキュメントでは、Priority PayGo は Provisioned Throughput のような事前の契約なしに、Standard PayGo より安定した性能を得られる従量課金の方式で、トークンあたりの料金は Standard PayGo より高いと説明されています

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Agent Platform で AI アプリケーションを開発しているチームが対象です。DeepSeek-V4.1-Flash は、長い資料を扱うエージェントやコーディング支援で、モデルを比較する候補に加えられます。Nano Banana 2.1 で画像を生成するサービスを運用していて、利用が集中する時間帯も応答を安定させたい場合に、Priority PayGo が選択肢になります。

✨ 導入メリット

  • 同じプラットフォーム上で、用途に合わせて比較できるモデルが増えます
  • 事前の契約なしに、画像生成の性能の安定を優先する課金方式を選べます

📚 公式ソース

10. Dialogflow — gemini-3.5-flash-lite が正式提供(GA・2026年10月16日)

会話 AI の Dialogflow で、gemini-3.5-flash-lite が GA となりました。Gemini 3 以降のモデルのクォータ(利用量の上限)を申請する方法は、Dialogflow の生成 AI のクォータのページで案内されています。

🔍 何が変わったのか

  • 提供段階: gemini-3.5-flash-lite が GA になりました
  • クォータ: 公式ドキュメントでは、Gemini 3 以降のモデルは Gemini 2.5 のモデルとは別のクォータを使うと説明されています。米国のすべてのリージョンは US、欧州のすべてのリージョンは EU の設定のマルチリージョンのクォータを、global を含むその他のリージョンは global のクォータを使います
  • 申請の方法: 対象のクォータが Google Cloud コンソールに表示されない場合は、gcloud コマンドでクォータの引き上げを申請します

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Dialogflow で問い合わせ対応のエージェントを運用しているチームが対象です。生成 AI の機能を使うエージェントで、使用するモデルの候補に GA のモデルを加えて評価できます。

✨ 導入メリット

  • GA のモデルとして提供されるため、本番のエージェントに組み込む判断がしやすくなります
  • クォータの考え方が示されているため、利用量に応じた申請を事前に準備できます

📚 公式ソース

11. Gemini Enterprise — カスタム MCP データストアの回答に出典を表示可能に(GA・2026年10月16日)

Gemini Enterprise で、カスタムの Model Context Protocol(MCP)(AI が外部のツールやデータに接続するための標準的な仕組み)のデータストアに、citation_mappings パラメータを REST API で設定できるようになりました。設定すると、カスタム MCP サーバーのツールを使って回答したときに、出典を示すチップが表示されます。この機能は GA です。

🔍 何が変わったのか

  • 出典の対応づけ: 公式ドキュメントでは、citation_mappings はツールごとに、MCP サーバーの応答のどこにリンク、タイトル、抜粋、ID があるかを Gemini Enterprise に伝えるパラメータと説明されています。リンクの指定は必須です
  • 設定方法: REST API で設定し、Google Cloud コンソールからは設定できません。更新するとマッピング全体が置き換わります

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

社内のシステムをカスタム MCP サーバー経由で Gemini Enterprise に接続している情報システム部門が対象です。社内規程や業務システムのデータをもとにした回答に出典が付くため、利用者が回答の根拠となった元の情報を開いて確かめられます。

✨ 導入メリット

  • 回答の根拠を利用者が自分で確認でき、社内データにもとづく回答を業務で使いやすくなります

📚 公式ソース

12.  Agent Search  — 回答生成の stable モデルが gemini-3.5-flash に更新(2026年10月16日)

Agent Search(企業向けの AI 検索)で、回答生成の stable モデルが gemini-2.5-flash/answer_gen/v1 から gemini-3.5-flash/answer_gen/v1 に更新されました。

🔍 何が変わったのか

  • stable モデルの更新: stable が指すモデルが gemini-3.5-flash/answer_gen/v1 になりました
  • stable の位置づけ: 公式ドキュメントでは、stable はモデルのバージョンを指定しないときの既定値で、新しいモデルやバージョンの提供に合わせて定期的に変わると説明されています
  • 新しいモデル: gemini-3.5-flash/answer_gen/v1 のコンテキストウィンドウは 128K で、提供終了日は示されていません

✨ 使えるようになる機能

  • バージョンを指定していない場合、検索の要約や回答の生成に gemini-3.5-flash/answer_gen/v1 が使われます

⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点

  • モデルのバージョンを指定せずに stable を使っている場合、回答の生成に使われるモデルが変わるため、生成される回答の内容が以前と変わる可能性があります
  • 公式リリースノートでは、廃止・非推奨化された機能は示されていません

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Agent Search で社内文書の検索や回答の生成を提供している情報システム部門が対象です。特定のモデルで回答の品質を確認してから公開する運用をしている場合は、使うモデルのバージョンを指定するかどうかを決める必要があります。

✨ 導入メリット

  • バージョンを指定していない利用者は、設定を変えずに新しいモデルで回答を生成できます

🤔 判断観点

  • 影響範囲: モデルのバージョンを指定せずに検索の要約や回答の生成を使っているアプリケーションが対象です
  • 検証推奨事項: 代表的な質問で、更新前後の回答の内容と形式を比べる進め方が考えられます
  • 運用方針: モデルが変わるたびに回答の品質を確認する運用をとるか、バージョンを指定して更新の時期を自社で決めるかを選ぶ観点があります

📚 公式ソース

まとめ

2026年10月12日〜10月18日の AI カテゴリでは、Gemini 4 Argon が Gemini Enterprise Agent Platform と Gemini Enterprise の各機能で GA となりました。Gemini Enterprise のアプリと Workflow Builder では既定でオフですが、2026年10月27日から既定でオンになります。API で長い出力を使う場合は、v1beta1 でのみ利用できる点に注意が必要です。Gemini Enterprise アプリでは Claude Opus 5.5 と Claude Sonnet 5.5 も選べるようになり、英国では Gemini 3.8 Flash をリージョン内で利用できます。

既存のシステムに影響する変更として、Cloud Vision API と Video Intelligence API の感情ラベルはすべて UNKNOWN を返すようになりました。Agent Search では、バージョンを指定していない場合の回答生成モデルが gemini-3.5-flash/answer_gen/v1 に変わっています。Google Cloud CCaaS 6.22 のプレリリースノートには、集計値が変わりうる修正とサービスアカウントの権限の修正が含まれます。

このほか、Firestore with MongoDB compatibility の QueryData と Cloud Storage の object enrichments(いずれも Preview)で、データベースや保管ファイルを AI で扱う手段が増えました。IT 担当者の方は10月27日の既定値の変更と感情ラベルの非推奨化への対応を、経営層の方はどのモデルを社内のどの範囲に開放するかを、あわせて検討する時期にあたります。

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参考資料

執筆者紹介

XIMIX Google Cloud チーム
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監修:増谷 謙介(クラウドインテグレーション部 テクニカルエキスパート)。2018年よりGoogle Cloudビジネスに携わり、営業からマーケティング、ビジネス立ち上げまで幅広い業務を通じてGoogle Cloudの導入・活用を推進。Google Cloud専業パートナー、コンサル系パートナー企業を経て現職。Google Cloud Partner Tech Influencer Challenge 2025受賞。Google Cloud Next Tokyo 2025に登壇(ITmedia掲載)。保有資格はGoogle Cloud Digital Leader、生成AIパスポート、情報セキュリティマネジメント、GAIQ、Google教育者レベル1など。

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