【完全ガイド】Chromebookの初期化「Power Wash」の手順と注意点|個人用と組織管理下の違いまで徹底解説

 2025.12.11 tatsuhiro uchida

Chromebookを使っていると、「最近なんとなく動作が重い」「エラーが頻発する」といったトラブルに直面したり、機種変更のために「古い端末を誰かに譲りたい・処分したい」と考えたりする場面があるかと思います。

そんな時に役立つのが、Chromebookを初期化する「Power Wash(パワーウォッシュ)」という機能です。

WindowsやMacの再インストールに比べて、Chromebookの初期化は驚くほど簡単で高速です。しかし、実は「ただ初期化すれば良い」というわけではありません。

特に、企業や学校で管理されている(Chrome Enterprise Upgrade等の)端末の場合、正しい手順を踏まないと「次のユーザーがログインできない」「組織の管理下に残ったままになる」といったトラブルに繋がることがあります。

本記事では、ChromebookのPower Washについて、必要なシーン、具体的な手順、そして個人端末と管理端末の決定的な違いについて分かりやすく解説します。

Power Wash(初期化)が必要になるユースケース

Power Washは単なる「データ消去」ではありません。主に以下の4つの場面で、デバイスのライフサイクル管理やトラブルシューティングの切り札として利用されます。

  1. デバイスの譲渡・売却・廃棄時

    アカウント情報、ローカル保存されたファイル、Wi-Fi設定などを完全に消去し、プライバシーを守るために必須です。

  2. システムの不具合解消

    「動作が著しく重い」「拡張機能が原因で挙動がおかしい」といった場合に、システムをクリーンな状態に戻すことで改善が見込めます。

  3. 所有者(オーナー)アカウントの変更

    Chromebookは最初にログインしたアカウントが「所有者」となります。メインのアカウントを変更したい場合は、一度リセットする必要があります。

  4. 組織での再割り当て(リフレッシュ)

    退職者や卒業生が使用していた端末を、新入社員や新入生に渡す前のクリーニングとして実施します。

Power Wash の実施方法:2つのパターン

Power Washを実行するには、状況に応じて2つの方法を使い分けます。

⚠️ 注意:操作が変更になる可能性がありますので、基本的には画面の指示に従って進めてください。

A. 設定メニューから実行する場合(ログイン可能な場合)

日常的なリセットや、所有者が意図的に行う場合の標準的な手順です。

  1. 画面右下の時刻を選択し、「設定(歯車アイコン)」をクリックします。

  2. 左側のメニューで [詳細設定] > [設定のリセット] を選択します。

  3. [Powerwash] の項目の横にある [リセット] をクリックします。

  4. 確認画面が表示されるので [再起動] を選択し、画面の指示に従ってPowerwashを実行します。

B. ショートカットキーを使用する場合(ログインできない場合)

パスワードを忘れた場合や、システムエラーでログイン画面から進めない場合に有効です。

  1. 現在のユーザーからログアウトし、ログイン画面(アカウント選択画面)を表示させます。

  2. キーボードで Ctrl + Alt + Shift + R を同時に押します。

  3. [この Chromebook をリセット] という画面が表示されます。

  4. [Powerwash] > [再起動] をクリックして実行します。

【重要】管理あり(Enterprise)と管理なし(個人)の違い

ここが最も注意が必要なポイントです。

Chrome Enterprise Upgrade (CEU) 等で学校や企業によって管理されている場合、Power Washの挙動や事前の手続きが大きく異なります。

特徴 管理されていない Chromebook (個人用) 管理されている Chromebook (組織用)
Power Wash後の状態 初期化状態。誰でも新規設定可能。 再登録の強制が働く場合がある。
ログイン制限 制限なし。個人のGoogleアカウントで自由に設定可能。 組織ドメインのアカウント以外、ログイン不可になる場合がある。
廃棄・譲渡時の必須作業 Power WashのみでOK。 「プロビジョニングの解除」が必須。

⚠️ 注意:

組織で管理された端末を廃棄・売却する場合、管理コンソールで「プロビジョニングの解除(デプロビジョニング)」を行わずにPower Washだけしても、次に電源を入れた際に「このデバイスは[組織名]によって管理されています」と表示され、再利用できません。

管理者の場合は、必ず管理コンソール側での処理を先に行ってください。

Power Wash する際の注意事項

実行ボタンを押す前に、以下のポイントを確認しましょう。

  • ローカルデータの完全消去

    「ダウンロード」フォルダ内のファイルはすべて消えます。必要な画像やPDFは、事前にGoogleドライブやUSBメモリに退避させてください。

  • Linux開発環境の消失

    Linux開発環境を構築している場合、その内部データもすべて消えます。必要な場合はバックアップを取ってください。

  • Google ドライブの同期確認

    オフラインで作業をしていた場合、Googleドライブへの同期が完了しているか確認してください。


実行前・最終チェックリスト

Power Washを開始する前に、最後の確認です。以下の項目すべてにチェックが入れば準備完了です。

  • [ ] 必要なファイル(特に「ダウンロード」フォルダ)のバックアップは取りましたか?

  • [ ] Google ドライブの同期は完了していますか?

  • [ ] (組織管理の場合)管理コンソールで「プロビジョニング解除」を行いましたか?

  • [ ] ACアダプタ(電源)に接続されていますか?(処理中の電池切れを防ぐため)

  • [ ] Linux環境のデータバックアップは不要ですか?

まとめ

Power Washは、Chromebookを常に快適かつ安全に使い続けるための基本機能です。

個人利用であれば「データのバックアップ」さえ気をつければ手軽に行えますが、組織利用の場合は「管理コンソールでの解除設定」が非常に重要になります。

適切な手順でリセットを行い、Chromebookを安全に活用しましょう。


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