Google Cloud アップデート情報 | AI (2026年6月15日〜2026年6月21日)

 2026.06.26 XIMIX Google Cloud チーム

はじめに

Google Cloud の AI 関連サービスは、2026年6月中旬も活発に進化を続けています。今回は Gemini Enterprise のデータ連携・エージェント機能の拡充が中心で、ServiceNow や Slack との連携、スキルやワークフローエージェントの提供開始など、業務での AI 活用を一段と進めるアップデートが揃いました。

本記事では、2026年6月15日〜21日に発表された Google Cloud AI カテゴリの主要アップデートを、リリース日順に解説します。AI 基盤(AI Hypercomputer / Cluster Director)の可用性表示、Gemini Enterprise の新コネクタ・エージェント機能、Gemini Enterprise Agent Platform の各種一般提供(GA)、コンタクトセンター(CCaaS)の分析強化まで取り上げています。

経営層の方は「自社の業務システムと AI をどうつなぐか」、IT 担当者の方は「どの機能が GA になり、どの機能が事前申請(allowlist)を要するか」という視点で読み進めると、導入判断に役立つはずです。

対象期間 2026年6月15日〜2026年6月21日
対象製品 Google Cloud
対象カテゴリ AI
アップデート件数 10件(主要トピック)

今回のアップデート一覧


2026年6月15日〜21日 Google Cloud AI カテゴリの主要アップデート一覧インフォグラフィック。Gemini Enterprise の新データストア、ServiceNow・Slack 連携、スキル・ワークフローエージェント、Agent Platform の各種 GA、Cluster Director の東京リージョン対応などを掲載

アップデート詳細

1. AI Hypercomputer / Cluster Director — Spot VM の可用性情報を作成前に確認可能に(Preview)

AI Hypercomputer(AI/ML ワークロード向けの統合インフラ)と Cluster Director(大規模 AI クラスターの管理サービス)で、Spot VM(割安だが中断される可能性のある仮想マシン)を作成する前に、その可用性情報をリアルタイムで確認できるようになりました(2026年6月15日、いずれも Preview)。

🔍 何が変わったのか

  • 特定のマシンタイプ・ロケーションについて、リアルタイムの空き状況、推定稼働時間、過去のプリエンプション(中断)率、料金を作成前に表示
  • Cluster Director ではクラスターパーティション内で Spot VM を作成する際に同様の情報を確認可能

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

機械学習モデルの学習やバッチ処理などで、コストを抑えたい一方で「途中で中断されにくい構成を選びたい」というインフラ担当者・データサイエンティストが対象です。事前に中断率や料金を見比べることで、ワークロードに最適なマシンタイプとロケーションを選べます。

✨ 導入メリット

  • 中断リスクを把握したうえで Spot VM を選択でき、作成成功率を高められます
  • 料金と稼働見込みを比較し、コスト最適化と安定稼働のバランスを取りやすくなります

📚 公式ソース

2. Gemini Enterprise — 新データストアと新アクションのサポート(Public Preview)

Gemini Enterprise(企業向け AI アシスタント・エージェントプラットフォーム)で、外部サービスを検索・連携対象として取り込むデータストアが新たに追加されました(2026年6月15日、Public Preview)。あわせて一部サービスでは AI アシスタントからのアクション(操作実行)にも対応します。

🔍 何が変わったのか

  • 新たにデータストアとして利用可能(Public Preview): AirOps、Airtable、Calendly、Dynamics 365、Freshservice、Google Stitch、Intercom、MailerLite、Zoho CRM
  • 新アクションのサポートが追加: Smartsheet、Wrike、Zoho Projects

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

CRM(顧客管理)やプロジェクト管理、カスタマーサポートなど、社内で使う SaaS が複数に分散している企業が対象です。これらをデータストアとして接続すれば、各サービスを横断して自然言語で検索・参照でき、対応サービスではアシスタントから直接操作も行えます。

✨ 導入メリット

  • 分散した業務データを横断検索でき、情報を探す手間と属人化の解消につながります
  • 連携先が広がり、自社の業務システムに合わせた AI アシスタントを構築しやすくなります

📚 公式ソース

3. Gemini Enterprise — エージェント単位のオブザーバビリティ設定(Preview)

Gemini EnterpriseAgent Designer で作成した従業員作成エージェントについて、エージェント単位でオブザーバビリティ(監視・可観測性)設定を構成できるようになりました(2026年6月15日、Public Preview)。これまではアプリケーション単位でしか設定できませんでした。

🔍 何が変わったのか

  • 個々のエージェントごとに監視設定を構成できる
  • Metrics Explorer で指標を監視し、Trace Explorer で特定エージェントのトレース結果を確認可能
  • 従来はアプリケーション単位(Core Assistant エージェント)の監視のみだった

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

複数の業務エージェントを運用する管理者・開発者が、エージェントごとの利用状況や挙動を個別に把握したい場面で役立ちます。特定エージェントの応答が遅い・想定外の動作をするといった問題の切り分けが容易になります。

✨ 導入メリット

  • エージェント単位で挙動を可視化でき、品質管理・トラブル対応を効率化できます
  • 問題の発生箇所を絞り込みやすくなり、運用負荷を軽減できます

📚 公式ソース

4. Gemini Enterprise — ServiceNow 連携(フェデレーションとアクション)が GA

Gemini Enterprise で、ServiceNow(IT サービス管理などに使われる SaaS)のデータストアがフェデレーション(横断検索)とアシスタントによるアクションに対応し、一般提供(GA)となりました(2026年6月16日)。

✨ 使えるようになる機能

  • ServiceNow サイトを接続し、インシデント・変更要求・タスク・ナレッジベース記事を自然言語で検索・参照
  • Gemini Enterprise アプリから直接、インシデントの作成・更新などのアクションを実行
  • 一般提供(GA)として正式に利用可能

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

社内 IT ヘルプデスクやサービスデスクを ServiceNow で運用している企業が対象です。担当者が Gemini Enterprise から問い合わせ内容を検索し、そのままインシデントを起票・更新できるため、ツールを切り替える手間が減ります。

⚠️ 変更点

  • 本機能は一般提供(GA)です。利用にあたっては ServiceNow サイトとの接続設定が必要です

🤔 判断観点

  • 影響範囲: ServiceNow を利用する IT 部門・サービスデスク・業務担当者
  • 確認推奨事項: アクション実行(起票・更新)の権限範囲と、ServiceNow 側のアクセス制御の整合性を事前に確認
  • ロールアウト戦略: まず検索・参照から始め、書き込みアクションは対象範囲を限定して段階的に展開する方法も検討できます

📚 公式ソース

5. Gemini Enterprise — スキルの作成・管理(GA with allowlist)

Gemini Enterprise の Web アプリで、スキル(アシスタントが特定タスクを実行するための再利用可能なカスタム指示)を作成・インポート・更新・利用できるようになりました(2026年6月17日)。本機能は allowlist 付きの一般提供(GA with allowlist)で、利用には事前申請が必要です。

✨ 使えるようになる機能

  • Web アプリ上でスキルの作成・インポート・更新・利用が可能
  • スキルは再利用可能なカスタム指示として、アシスタントの特定タスク実行を支援

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

「経費精算の手順を案内する」「定型レポートの作成を補助する」など、繰り返し発生する業務手順をスキルとして定義しておきたいチームが対象です。一度作ったスキルを再利用することで、担当者ごとの対応のばらつきを抑えられます。

⚠️ 変更点 / 利用条件

  • allowlist 付き GA のため、利用には Google アカウント担当者への連絡が必要です
  • プロジェクトが allowlist に追加された後、Gemini Enterprise 管理者が Web アプリの機能管理設定で「Enable skills」トグルを有効化する必要があります

🤔 判断観点

  • 緊急性: 即時の対応を要する変更ではありません。利用希望時に申請を進める形になります
  • 影響範囲: Gemini Enterprise を業務利用する部門・管理者
  • 検証推奨事項: allowlist 追加後、小規模なスキルから試作し、想定どおりタスクを補助できるかを検証することが考えられます

📚 公式ソース

6. Gemini Enterprise — Slack 向け Gemini Enterprise アプリ(GA)

Gemini EnterpriseSlack と連携し、AI による回答や検索を Slack ワークスペース内で直接利用できるようになりました(2026年6月17日、一般提供)。Gemini Enterprise 管理者が連携を設定します。

✨ 使えるようになる機能

  • ダイレクトメッセージ、スラッシュコマンド、チャンネルメンションを通じて Gemini Enterprise を利用
  • 接続済みのすべてのデータストアの情報を踏まえた回答を Slack 上で取得
  • 一般提供(GA)として正式に利用可能

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

日常のコミュニケーションを Slack で行っている企業が対象です。社員は普段使っている Slack から離れずに、社内ナレッジや連携データを検索・参照できるため、AI 活用の定着が進みやすくなります。

✨ 導入メリット

  • 普段のチャットツール内で AI を使え、ツール切り替えの手間なく業務効率化が図れます
  • 接続済みデータストアを踏まえた回答により、情報探索のスピードが向上します

📚 公式ソース

7. Gemini Enterprise — ワークフローエージェント(GA with allowlist)

Gemini Enterprise の Web アプリで、ワークフローエージェントを作成・インポート・更新・利用できるようになりました(2026年6月18日)。これは設定したトリガーに基づき、一連のステップや操作を実行するエージェントです。本機能は allowlist 付きの一般提供(GA with allowlist)です。

✨ 使えるようになる機能

  • トリガーに基づき、一連のステップ・アクションを順次実行するワークフローエージェントを構築
  • ステップには AI による自動化と人による介入(human intervention)を組み合わせ可能

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

申請の受付から承認、通知までといった定型的な業務フローを自動化したい部門が対象です。AI による自動処理と、要所での人の確認・判断を組み合わせることで、完全自動化が難しい業務にも段階的に AI を取り入れられます。

⚠️ 変更点 / 利用条件

  • allowlist 付き GA のため、利用には Google アカウント担当者への連絡が必要です
  • プロジェクトが allowlist に追加された後、管理者が Web アプリの機能管理設定で「Enable agent designer」トグルを有効化する必要があります

🤔 判断観点

  • 影響範囲: 定型業務フローを持つ部門・業務設計担当者・管理者
  • 検証推奨事項: 人による介入ステップを含めて、業務要件どおりに処理が流れるかを検証することが考えられます
  • ロールアウト戦略: 影響の小さい業務フローから試行し、効果を確認しながら適用範囲を広げる方法が検討できます

📚 公式ソース

8. Gemini Enterprise Agent Platform — Memory Bank / Sessions のマルチリージョン対応、Agent Observability・Agent Gateway が GA

Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI。ML/生成 AI の統合基盤)で、エージェント運用に関わる複数の機能が一般提供(GA)になりました(2026年6月17日〜18日)。エージェントの記憶領域・監視・通信を担う基盤機能が出揃った形です。

✨ 使えるようになる機能

  • Memory Bank / Sessions のマルチリージョン・グローバルエンドポイント GA(6月17日): エージェントの記憶やセッション情報をマルチリージョン/グローバルエンドポイントで利用可能
  • Agent Observability の GA(6月18日): デプロイ済みエージェントと MCP(Model Context Protocol)サーバーの性能・挙動・健全性を可視化。新規 ADK エージェントではトレースがデフォルト有効、保存先は Cloud Storage(GCS)が既定、トレーススパンの DAG 表示にも対応
  • Agent Gateway の GA(6月18日): ユーザーとエージェント間、エージェントとツール間、エージェント同士の接続を安全に管理・統制するネットワーク基盤

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

本番環境で AI エージェントを運用する開発・運用チームが対象です。Memory Bank によりエージェントが文脈を保持し、Agent Observability で挙動を監視、Agent Gateway で安全な通信を統制できるため、エンタープライズ規模でのエージェント運用基盤を整えやすくなります。

⚠️ 変更点 / 注意点

  • Memory Bank または Sessions をグローバルエンドポイントに設定した場合、顧客管理の暗号鍵(CMEK)は利用できません
  • Agent Observability では、保存先の既定が Cloud Logging から Cloud Storage(GCS)に変わりました。大きなペイロードの保存には GCS バケットの利用が推奨されています

🤔 判断観点

  • 影響範囲: Agent Platform 上でエージェントを開発・運用するチーム
  • 検証推奨事項: CMEK を必須とする要件がある場合、グローバルエンドポイント利用との両立可否を事前に確認
  • 確認推奨事項: トレースのデフォルト有効化と保存先(GCS)変更により、ストレージ利用やライフサイクル管理の設定を見直すことが考えられます

📚 公式ソース

9. Cluster Director — 東京リージョン対応の GA と Cloud Storage バケットマウントの GA

Cluster Director(大規模 AI クラスターの管理サービス)が、対応リージョンを拡大し、Slurm ジョブ向けの Cloud Storage バケットマウントに対応しました(2026年6月18日〜19日、いずれも一般提供)。日本国内のデータ所在に配慮したい企業にとって、東京リージョン対応は重要なポイントです。

✨ 使えるようになる機能

  • 対応リージョンの拡大(6月18日、GA): 東京(asia-northeast1)、デリー(asia-south2)、ロサンゼルス(us-west2)、ソルトレイクシティ(us-west3)に対応
  • Cloud Storage バケットマウント(6月19日、GA): Slurm ジョブの実行期間中だけ Cloud Storage バケットをクラスターノードに一時的にマウントし、ストレージを恒久的に追加せずに Cloud Storage へ直接読み書き可能

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

国内データセンターでの AI/HPC ワークロード実行を検討している企業や、研究機関が対象です。東京リージョンで Cluster Director を利用でき、ジョブ実行時だけ Cloud Storage をマウントすることで、大容量データの入出力を柔軟に扱えます。

✨ 導入メリット

  • 東京リージョン対応により、国内でのデータ所在やレイテンシーを考慮したクラスター運用がしやすくなります
  • ジョブ単位でのバケットマウントにより、ストレージを恒久追加せずコストと運用をシンプルに保てます

📚 公式ソース

10. Google Cloud CCaaS — ダッシュボード強化、HubSpot / チャット API 対応と不具合修正

Google Cloud Contact Center as a Service(CCaaS)では、レポートダッシュボードの強化に加え、HubSpot 連携やチャット API の機能追加、多数の不具合修正が行われました(2026年6月15日・17日)。コンタクトセンターの運用・分析を担うチーム向けのアップデートが中心です。

✨ 使えるようになる機能

  • ダッシュボード強化(6月15日): 高度レポートダッシュボード 4.36 のリリース、キュー実績へのリピートコンタクト集計列の追加、CSAT ダッシュボードから CRM のスコアへの直接リンク、リアルタイムのキュー監視・エージェント/キュー状況指標の追加、子キュー(Child Queues)フィルタの追加
  • HubSpot 連携(6月17日): エージェントアダプターでの CRM アカウント項目・レコード項目(VIP ステータス、担当、チケット優先度など)の表示制御に対応
  • チャット API(6月17日): チャット API で CSAT(顧客満足度)アンケートを実施可能。グローバル単位・キュー単位での設定に対応

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

コンタクトセンターのスーパーバイザーやアナリストが対象です。子キュー単位のリアルタイム監視やリピートコンタクト集計で要員配置を見直したり、HubSpot 連携で対応中に顧客の重要情報を即座に把握したりできます。CSAT から CRM への直接リンクで、低評価対応の振り返りも迅速に行えます。

⚠️ 変更点 / 修正

  • 6月17日のリリースでは、Kustomer・Salesforce・Telnyx・Twilio 連携や録音・転送・キュー設定などに関する多数の不具合が修正されました
  • 6月15日のリリースでは、リピートコンタクト率が100%を超える表示や、ダッシュボードの言語ラベル欠落などの不具合が修正されました

🤔 判断観点

  • 影響範囲: Google Cloud CCaaS を利用するコンタクトセンターの運用・分析チーム
  • 確認推奨事項: 自社で利用している CRM 連携(HubSpot、Salesforce、Kustomer など)に関する修正が含まれるため、リリースノートで該当項目を確認
  • ロールアウト戦略: 更新タイミングはデプロイスケジュールに依存するため、公式リリースノートで適用範囲を確認することが考えられます

📚 公式ソース

まとめ

2026年6月15日〜21日の AI カテゴリは、Gemini Enterprise を中心とした「業務システムとの連携」と「エージェント運用基盤の成熟」が大きなテーマでした。ServiceNow・Slack 連携の GA、新データストアの追加により、社内に分散したデータと AI をつなぐ選択肢が広がっています。

IT 担当者の視点では、スキルやワークフローエージェントが allowlist 付き GA であり利用に事前申請が必要な点、Agent Platform のオブザーバビリティで保存先の既定が Cloud Storage に変わった点、グローバルエンドポイントでは CMEK が使えない点が確認のポイントです。経営の視点では、Cluster Director の東京リージョン対応が、国内でのデータ所在に配慮した AI/HPC 活用の後押しになります。自組織の AI 活用方針に照らし、これらの機能の評価を進めていただくとよいでしょう。

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XIMIX(サイミクス)は NI+C が運営する Google Cloud プレミアパートナーサービスです。Google Cloud / Google Workspace の導入・活用支援、AI 活用、データ活用などをご支援しています。本記事で取り上げた Gemini Enterprise・Agent Platform の活用や、業務システムとの連携にご関心がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

参考資料

執筆者紹介

XIMIX Google Cloud チーム
XIMIX Google Cloud チーム
監修:増谷 謙介(クラウドインテグレーション部 テクニカルエキスパート)。2018年よりGoogle Cloudビジネスに携わり、営業からマーケティング、ビジネス立ち上げまで幅広い業務を通じてGoogle Cloudの導入・活用を推進。Google Cloud専業パートナー、コンサル系パートナー企業を経て現職。Google Cloud Partner Tech Influencer Challenge 2025受賞。Google Cloud Next Tokyo 2025に登壇(ITmedia掲載)。保有資格はGoogle Cloud Digital Leader、生成AIパスポート、情報セキュリティマネジメント、GAIQ、Google教育者レベル1など。

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