Google Cloud アップデート情報 | AI (2026年7月6日〜2026年7月12日)

 2026.07.14 XIMIX Google Cloud チーム

はじめに

Google Cloud の AI 関連サービスは、2026年7月上旬も新機能の追加と整理が続きました。今回は Gemini Enterprise日本(asia-northeast1)・英国リージョン対応や、データコネクタを統制する組織ポリシー制約の一般提供(GA)、コード最適化エージェント AlphaEvolve の GA、そして Gemini Enterprise Agent Platform のモデル廃止・移行案内などが中心となりました。

本記事では、2026年7月6日〜7月12日に発表された Google Cloud AI カテゴリの主要トピックを、リリース日順に解説します。Gemini Enterprise のリージョン拡大・データコネクタ統制・AlphaGenome・AlphaEvolve、Gemini Enterprise Agent Platform の Memory Bank 機能拡張とモデル廃止、コンタクトセンター(CCaaS)の機能追加・不具合修正まで取り上げます。

経営層の方は「国内でのデータレジデンシー対応が進み、安全に AI 活用を広げられる土台が整いつつある」という視点で、IT 担当者の方は「どの機能が GA になり、どのモデルが廃止されて移行が必要か」という視点で読み進めると、導入・運用判断に役立つはずです。

対象期間 2026年7月6日〜2026年7月12日
対象製品 Google Cloud
対象カテゴリ AI
アップデート件数 8件(主要トピック)

今回のアップデート一覧

2026年7月6日〜7月12日 Google Cloud AI カテゴリの主要アップデート一覧インフォグラフィック。Gemini Enterprise の日本・英国リージョン対応、AlphaGenome、データコネクタの組織ポリシー制約 GA、CCaaS の機能追加・修正、Memory Bank の Embedding 2 対応と IngestEvents GA、Agent Platform のモデル廃止、AlphaEvolve GA、skills トグルの訂正を掲載

アップデート詳細

1. Gemini Enterprise — 日本(asia-northeast1)・英国リージョンに対応(GA with allowlist)

Gemini Enterprise(企業向け AI アシスタント・エージェントプラットフォーム)が、日本(asia-northeast1)および 英国(europe-west2)リージョンで利用できるようになりました(2026年7月6日、allowlist 付き GA)。これらのリージョンでは、保存データのデータレジデンシー(DRZ)と機械学習処理(MLP)をリージョン内で完結できます。国内でデータの所在を保ちたい企業にとって、注目度の高いアップデートです。

🔍 何が変わったのか

  • 日本・英国リージョン対応(GA with allowlist): 日本(asia-northeast1)と英国(europe-west2)で、リージョン内での保存データのデータレジデンシー(DRZ)と機械学習処理(MLP)に対応
  • これらのリージョンでは、最新の Gemini 3.5 Flash モデルもリージョン内 DRZ・MLP で利用可能
  • 利用には制限事項があり、Gemini Enterprise または NotebookLM Enterprise でこれらのリージョンを使うには、Google の担当チームへの連絡が必要(allowlist 方式)

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

データの保存場所や処理場所を国内に限定したいというデータレジデンシー要件を持つ日本企業が主な対象です。金融・公共・医療など、規制やコンプライアンス上、データの国外持ち出しに制約がある業種でも、asia-northeast1 リージョン内でデータを保ちながら Gemini Enterprise の AI 活用を進められます。

✨ 導入メリット

  • 保存データと機械学習処理を日本リージョン内に保てるため、国内のデータレジデンシー要件に対応しやすくなります
  • 最新モデルの Gemini 3.5 Flash もリージョン内で利用でき、性能とデータ所在の両立を図れます
  • これまで要件面で導入をためらっていた組織にも、AI 活用の選択肢が広がります

📚 公式ソース

2. Gemini Enterprise Agent Platform — ゲノム基盤モデル AlphaGenome が利用可能に

Gemini Enterprise Agent Platform(ML/生成 AI の統合プラットフォーム)で、Google DeepMind のゲノミクス基盤モデル AlphaGenome が、デプロイして利用できるようになりました(2026年7月6日)。AlphaGenome は、人間ゲノムの機能的な制御コードを解読するために設計されたモデルです。

🔍 何が変わったのか

  • Gemini Enterprise Agent Platform で AlphaGenome のデプロイ・利用が可能に
  • 大規模な DNA 配列を単一塩基(single-base)解像度で解析し、遺伝子変異が遺伝子発現・クロマチンアクセシビリティ・RNA スプライシングといった分子・生物学的メカニズムにどう影響するかを予測

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

ゲノム研究や創薬、ライフサイエンス分野の研究者・データサイエンティストが対象です。DNA 配列を解析し、遺伝的変異が分子レベルの働きに与える影響を予測する研究を、Agent Platform 上で進められます。

✨ 導入メリット

  • 最先端のゲノミクス基盤モデルを、既存の Agent Platform 環境上で利用でき、研究基盤の選択肢が広がります
  • DNA 配列の解析を単一塩基解像度で行え、遺伝的変異の影響予測に活用できます

📚 公式ソース

3. Gemini Enterprise — データコネクタの組織ポリシー制約が GA

Gemini Enterprise で、データコネクタを安全に管理・統制するためのマネージド組織ポリシー制約(managed organization policy constraints)が一般提供(GA)になりました(2026年7月7日)。外部データソースへの接続範囲を、組織のポリシーとして制御できます。

🔍 何が変わったのか

  • 許可するデータソースの制限(Restrict allowed data sources): データストア追加時に許可する外部データソース(Jira・Box・Confluence など)を制御できるポリシー
  • 許可する egress FQDN の制限(Restrict allowed egress FQDNs): データストアが接続できる送信先の完全修飾ドメイン名(FQDN)を制御できるポリシー

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Gemini Enterprise に接続する外部データソースを統制したいセキュリティ担当者・ガバナンス責任者が対象です。「許可する外部ツールを限定する」「接続先ドメインを制限する」といったルールを組織ポリシーとして設定し、データストア作成時に一律で適用できます。

✨ 導入メリット

  • 接続できるデータソースや送信先を組織ポリシーで制御でき、統制されたデータ活用とセキュリティ強化を両立しやすくなります
  • データストア追加時にポリシーが自動適用され、管理者の確認・是正の負荷を抑えられます

📚 公式ソース

4. Google Cloud CCaaS — チャット向け Direct Access Point 追加、プレリリース告知、複数の不具合修正

Google Cloud Contact Center as a Service(CCaaS)で、チャット会話を意図したキューへ直接ルーティングする Direct Access Point(DAP)が追加されたほか、次バージョンのプレリリースノートの告知と、Agent Desktop まわりの複数の不具合修正が行われました(2026年7月7日)。

✨ 使えるようになる機能

  • チャット向け Direct Access Point(DAP): 設定した API のレスポンスに基づき、チャット会話を特定のキューへ直接ルーティングできる。API 起点のチャットが既定のルーティングをバイパスし、意図したキューへ即座に入れる
  • 次バージョンのプレリリースノート告知: 次バージョンで想定される新機能が事前に公開された

⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点

  • 不具合修正: バーチャルエージェントから人間のエージェントへ転送後の非アクティブチャット解除タイマーがリセットされない問題、開封直後にボイスメールがキューから消える問題、コールドトランスファー時のレポートダッシュボードの表示誤り、Salesforce 連携での同時リクエストによる情報欠落、Zendesk への通話録音リンク重複、ACW(通話後処理)時間の集計誤りなど、多数の問題を修正
  • デフォルト動作の破壊的変更や機能廃止は、今回の公開情報には含まれていません

🤔 判断観点

  • 影響範囲: CCaaS でチャットチャネルや Salesforce・Zendesk 連携を利用しているコンタクトセンターが主な確認対象です
  • 検証推奨事項: DAP を導入する場合は、API レスポンスに基づくキュー振り分けが想定どおり動作するか、既存のルーティング設計と整合するかの確認が考えられます
  • ロールアウト戦略: プレリリースノートで告知された機能は将来バージョンの想定内容であり、実際の適用時期・仕様は正式リリース時に確認する運用が考えられます

📚 公式ソース

5. Gemini Enterprise Agent Platform — Memory Bank が Gemini Embedding 2 に対応、IngestEvents API が GA

Gemini Enterprise Agent PlatformMemory Bank(AI エージェントが会話の記憶を保持・生成する仕組み)で、類似検索の設定に gemini-embedding-2 モデルを利用できるようになり、あわせて IngestEvents API が一般提供(GA)になりました(2026年7月8日)。

🔍 何が変わったのか

  • Gemini Embedding 2 対応: 類似検索の設定で gemini-embedding-2 を埋め込みモデルとして利用可能に。利用時は global・us・eu のいずれかのエンドポイントをモデルのリソース名に指定する必要があり、us-central1 のようなリージョン単位のロケーションには対応しない
  • IngestEvents API が GA: イベントの取り込みと記憶生成を分離し、Memory Bank へ継続的にコンテンツをストリーミングしながら、記憶生成のタイミングを設定できる
  • GA で利用可能になった主な機能: 生成ウィンドウ間の文脈引き継ぎ(overlap_event_count)、取り込みイベントの記憶リビジョン設定(revision_labels・revision_ttl・disable_memory_revisions)、記憶へのメタデータ付与(metadata・metadata_merge_strategy)

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

会話の文脈や過去のやり取りを踏まえて応答する AI エージェントを構築・運用する開発者が対象です。継続的に発生するイベントを Memory Bank へストリーミングしつつ、記憶を生成するタイミングを自分で制御することで、一貫性のある応答をエージェントに持たせられます。

✨ 導入メリット

  • イベント取り込みと記憶生成を分離でき、継続的なデータ流入に合わせた柔軟な記憶管理が可能になります
  • 新しい埋め込みモデル(gemini-embedding-2)を選択でき、類似検索の設計の幅が広がります
  • 記憶へのメタデータ付与やリビジョン設定により、エージェントの記憶運用をきめ細かく管理できます

📚 公式ソース

6. Gemini Enterprise Agent Platform — Grok 4.1 の廃止と preview モデルの提供終了(移行が必要)

Gemini Enterprise Agent Platform で、Grok 4.1 モデルファミリーの廃止(deprecation)と、一部の preview モデルの提供終了(retirement)が告知されました(2026年7月8日・7月9日)。該当モデルを利用している場合は、移行対応が必要です。

✨ 使えるようになる機能

  • 本トピックはモデルの廃止・提供終了に関する告知であり、公式にハイライトされた新機能はありません。移行先として、より新しい xAI モデル(Grok 4.2 や Grok 4.3)、または Google Cloud Model Garden の代替モデル・最新の Google モデルが案内されています

⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点

  • Grok 4.1 モデルファミリーの廃止(2026年8月20日に停止): xai/grok-4.1-fast-reasoning と xai/grok-4.1-fast-non-reasoning が対象。停止後は Google Agent Platform Model as a Service(MaaS)でこれらのモデルが提供されなくなり、Grok 4.1 のモデル ID を指定した該当エンドポイントへの API リクエストは失敗し 400 エラーを返します
  • preview モデルの提供終了(アクセス不可): gemini-2.5-flash-lite-preview-09-2025、gemini-2.5-flash-preview-05-2025、gemini-3.1-flash-lite-preview の各 preview エンドポイントは提供終了となり、アクセスできなくなりました

🤔 判断観点

  • 影響範囲: 上記の Grok 4.1 または対象 preview モデルを本番・検証環境で利用しているアプリケーション・エージェントが対象です。利用していない場合、直接の影響はありません
  • 緊急性: Grok 4.1 は 2026年8月20日に停止予定です。停止後は該当エンドポイントへのリクエストが 400 エラーとなるため、期日までの移行可否の確認が検討対象となります。preview モデルはすでに提供終了しており、利用中の場合は速やかな移行先の確認が考えられます
  • 検証推奨事項: 移行先モデル(xAI の新モデルや Model Garden の代替、最新の Google モデル)へ切り替えた際の応答品質・コスト・レイテンシへの影響の検証が考えられます
  • リスクと対応案: 期日までに移行が完了しない場合の 400 エラーによる処理停止を避けるため、移行計画とフォールバック方針をあらかじめ整理しておくことが考えられます

📚 公式ソース

7. Gemini Enterprise — アルゴリズム最適化エージェント AlphaEvolve が GA

Gemini Enterprise で、アルゴリズム最適化・探索エージェント AlphaEvolve の最適化サービスが一般提供(GA)になりました(2026年7月9日)。AlphaEvolve は Gemini を基盤に構築されたコード最適化・発見エージェントで、業務や研究における難度の高いアルゴリズム課題の解決を支援します。

🔍 何が変わったのか

  • Gemini Enterprise エージェント上で AlphaEvolve 最適化サービスが GA
  • サーバーサイドでの創造的な LLM 探索と、セキュアなクライアントサイドでのコード実行を組み合わせ、人手で設計したベースラインを上回る最適化解を自律的に探索
  • AlphaEvolve は FedRAMP・DoD のコンプライアンス要件には対応せず、これらの標準が必要な環境では既定でアクセスが制限される(担当チーム経由でリクエスト可能)

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

難しいアルゴリズム課題の最適化に取り組む研究者・エンジニア・データサイエンティストが対象です。既存の人手設計の解では限界があるような最適化問題に対し、AlphaEvolve が新しい最適化解を自律的に探索することで、課題解決の糸口を得られます。

✨ 導入メリット

  • 難度の高いアルゴリズム課題の最適化を自律的に探索でき、研究・開発のスピードと品質の向上に寄与します
  • Gemini を基盤とする探索とセキュアなコード実行を組み合わせ、実務での最適化課題に活用できます

📚 公式ソース

8. Gemini Enterprise — skills 機能管理トグルに関する訂正告知

Gemini Enterpriseskills 機能について、管理者向けの「Enable skills feature management」トグルが現時点では利用できない旨の訂正が告知されました(2026年7月9日)。これは 2026年6月17日のリリースノートに対する訂正です。

🔍 何が変わったのか

  • 管理者向けの「Enable skills feature management」トグルは、現時点では利用できない(2026年6月17日リリースノートの訂正)
  • skills 機能自体は allowlist 付きで一般提供(GA)されており、組織が allowlist に追加されると、エンドユーザーがアプリ内で直接 skills を作成・利用できる
  • この機能を利用するには Google の担当マネージャーへの連絡が必要。管理者向けの Enable skills トグルが利用可能になった際に、あらためてリリースノートで更新される

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Gemini Enterprise の管理・運用を担う IT 担当者が対象です。skills 機能の有効化方法について、管理トグルではなく allowlist 方式で提供されている現状を正しく把握し、利用希望時は Google の担当窓口へ連絡する、という運用判断ができます。

✨ 導入メリット

  • 機能の提供状況を正確に把握でき、誤った前提での設定作業や問い合わせの手戻りを防げます
  • allowlist 方式での提供状況を踏まえ、skills 活用の進め方を計画的に検討できます

📚 公式ソース

まとめ

2026年7月6日〜7月12日の AI カテゴリでは、Gemini Enterprise の日本(asia-northeast1)リージョン対応が国内企業にとって特に大きなトピックでした。保存データと機械学習処理をリージョン内で完結できるようになり、データレジデンシー要件を持つ組織でも AI 活用を前進させやすくなっています。あわせて、データコネクタの組織ポリシー制約 GA や AlphaEvolve・AlphaGenome など、活用と統制の両面で機能が充実しました。

IT 担当者の視点では、Gemini Enterprise Agent Platform の Grok 4.1 廃止(2026年8月20日停止)と preview モデルの提供終了が、移行対応の要確認ポイントです。経営の視点では、国内リージョン対応と最適化エージェントの GA が、AI 活用の本格化を後押しする材料となります。自組織の AI 活用方針・データガバナンス要件・利用中のモデルに照らし、これらの評価や移行対応の検討を進めていただくとよいでしょう。

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XIMIX(サイミクス)は NI+C が運営する Google Cloud プレミアパートナーサービスです。Google Cloud / Google Workspace の導入・活用支援、AI 活用、データ活用などをご支援しています。本記事で取り上げた Gemini Enterprise・Agent Platform の活用や、データレジデンシー要件に配慮した AI 導入にご関心がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

参考資料

執筆者紹介

XIMIX Google Cloud チーム
XIMIX Google Cloud チーム
監修:増谷 謙介(クラウドインテグレーション部 テクニカルエキスパート)。2018年よりGoogle Cloudビジネスに携わり、営業からマーケティング、ビジネス立ち上げまで幅広い業務を通じてGoogle Cloudの導入・活用を推進。Google Cloud専業パートナー、コンサル系パートナー企業を経て現職。Google Cloud Partner Tech Influencer Challenge 2025受賞。Google Cloud Next Tokyo 2025に登壇(ITmedia掲載)。保有資格はGoogle Cloud Digital Leader、生成AIパスポート、情報セキュリティマネジメント、GAIQ、Google教育者レベル1など。

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