【Google Cloud入門】多様なサービスから自社に最適なものを選ぶには?導入の壁を越える第一歩

 2025,05,07 2025.05.08

はじめに

「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進したいが、どのクラウドサービスを選べば良いのかわからない」「Google Cloudが有力候補だが、サービスが多すぎて自社の課題解決に必要なものがどれなのか判断できない」――。

近年、多くの企業でDX推進の重要性が叫ばれる中、クラウド活用は不可欠な要素となっています。特にGoogle Cloudは、その先進性や柔軟性から注目を集めていますが、一方で提供されるサービスが非常に多岐にわたるため、導入の初期段階で「何から手をつければ良いのか」「自社にとって本当に必要なサービスは何か」といった課題に直面する企業様も少なくありません。

本記事では、これからGoogle Cloudの利用を検討される企業のご担当者様に向けて、サービス選定における基本的な考え方や、自社のニーズに合ったサービスを見つけるためのステップを、分かりやすく解説します。この記事を読むことで、Google Cloudの多様なサービス群に対する漠然とした不安を解消し、自社のDX推進に向けた具体的な第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

なぜGoogle Cloudのサービス選択は難しいと感じるのか?

Google Cloudが提供するサービスは200種類以上とも言われ、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキング、ビッグデータ、機械学習、IoTなど、非常に幅広い領域をカバーしています。この豊富な選択肢は、あらゆるニーズに対応できる柔軟性をもたらす一方で、特にクラウドサービスにこれから取り組む企業にとっては、選択の難しさにもつながっています。

①サービスの多様性と専門性

各サービスは特定の機能や用途に特化しており、それぞれが高度な専門知識を要する場合があります。「自社のこの課題を解決するには、どのサービスを組み合わせるのが最適なのか?」という問いに対して、即座に答えを出すのは容易ではありません。例えば、データ分析基盤を構築したいと考えた場合でも、データの収集、蓄積、加工、可視化といった各フェーズで、それぞれ複数の選択肢が存在します。

②自社の課題とのマッピングの難しさ

もう一つの要因は、抽象的なビジネス課題と具体的なITソリューションであるGoogle Cloudサービスとを、適切に結びつけることの難しさです。例えば、「営業効率を向上させたい」という課題があったとしても、それを実現するために「BigQueryで顧客データを分析し、Vertex AIで予測モデルを構築し、Lookerで結果を可視化する」といった具体的なサービス構成に落とし込むには、両者に対する深い理解が求められます。

このような背景から、多くの企業がGoogle Cloudのポテンシャルを十分に理解しつつも、最初の一歩を躊躇してしまうケースが見受けられます。

【入門編】Google Cloudサービス選定の基本的な考え方

多様なGoogle Cloudサービスを前にして、途方に暮れないためには、まず基本的な選定の考え方を理解することが重要です。

①課題の明確化の重要性:「何を実現したいのか?」を具体的に

最も重要なのは、「Google Cloudを使って何を実現したいのか?」という目的、つまり解決したいビジネス課題や達成したい目標を明確にすることです。

  • 「手作業で行っている定型業務を自動化したい」
  • 「散在しているデータを一元管理し、経営判断に活かせるようにしたい」
  • 「新しい顧客向けサービスを迅速に開発・提供したい」
  • 「システム運用コストを削減し、セキュリティを強化したい」

このように、具体的な課題や目標をリストアップすることで、必要なサービスの方向性が見えてきます。

②主要サービスカテゴリの概要を掴む

次に、Google Cloudが提供する主要なサービスカテゴリと、それぞれの代表的なサービスがどのような役割を担うのか、大まかに把握しましょう。全てを詳細に理解する必要はありません。まずは「こんなことができるのか」というイメージを持つことが大切です。

  • コンピューティング: アプリケーション実行環境(例: Compute Engine, Google Kubernetes Engine, Cloud Functions, App Engine)
  • ストレージ: データ保存(例: Cloud Storage, Persistent Disk)
  • データベース: 構造化・非構造化データの管理(例: Cloud SQL, Cloud Spanner, Firestore, Bigtable)
  • ネットワーキング: 仮想ネットワーク環境の構築・管理(例: Virtual Private Cloud (VPC), Cloud Load Balancing, Cloud CDN)
  • ビッグデータ・アナリティクス: 大量データの処理・分析(例: BigQuery, Dataflow, Dataproc, Looker)
  • AI・機械学習: 機械学習モデルの開発・利用(例: Vertex AI, AutoML, 各種APIサービス)

これらのカテゴリと代表的なサービスを、自社の課題と照らし合わせることで、どの分野のサービスが関連しそうか、当たりをつけることができます。

スモールスタートのすすめ

最初から大規模で複雑なシステム構築を目指す必要はありません。まずは、特定の課題解決に絞って小規模に導入し(スモールスタート)、効果を検証しながら段階的に利用範囲を拡大していくアプローチが現実的です。これにより、リスクを抑えつつ、社内にノウハウを蓄積していくことができます。

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「段階的スモールスタート」でクラウド導入の不安を解消!Google Workspace/Google Cloudで始める実践ガイド

自社のニーズに合わせたサービス選定のステップ

基本的な考え方を踏まえた上で、具体的なサービス選定のステップに進みましょう。

ステップ1: ビジネス課題とITで達成したい目標の明確化

前述の通り、まずは自社が抱えるビジネス上の課題を具体的に洗い出し、それをIT(Google Cloud)でどのように解決・達成したいのかを明確にします。この段階で、経営層や関連部門とのすり合わせを行い、目的意識を共有することが重要です。

ステップ2: 必要な機能要件の洗い出し

次に、明確化した課題や目標を達成するために、どのような機能が必要になるかを具体的にリストアップします。

例えば、「営業部門が保有する顧客データを分析し、優良顧客の傾向を把握したい」という目標であれば、

  • 顧客データを安全に保存できる機能
  • 大量のデータを高速に処理・集計できる機能
  • 分析結果を分かりやすく可視化できる機能
  • 将来的には、AIを活用して解約予測なども行いたい 

といった機能要件が考えられます。

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【入門編】顧客データ分析とは?目的・手法から始め方、注意点まで徹底解説

ステップ3: Google Cloudの主要サービスとのマッピング

洗い出した機能要件をもとに、Google Cloudのどのサービスが対応できるかを検討します。この際、Google Cloudの公式サイトやソリューション紹介ページ、事例などを参考にすると良いでしょう。

先の例で言えば、

  • 顧客データの安全な保存 → Cloud Storage
  • 大量データの高速処理・集計 → BigQuery
  • 分析結果の可視化 → LookerGoogleデータポータル
  • AIによる解約予測 → Vertex AIAutoML Tables
といった形で、候補となるサービスをマッピングしていきます。一つの機能要件に対して、複数のサービスが候補となる場合もあります。

ステップ4: PoC(概念実証)の検討とパートナーへの相談

候補となるサービスがある程度絞り込めたら、小規模な環境でPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施し、技術的な実現可能性や期待される効果を検証することをおすすめします。PoCを通じて、実際の使用感や課題点を把握することができます。

また、この段階で専門家の意見を聞くことも非常に有効です。Google Cloudの導入支援実績が豊富なパートナー企業に相談することで、自社の課題や要件に最適なサービス構成や、導入・運用における注意点など、具体的なアドバイスを得ることができます。

関連記事:
PoCから本格導入へ:Google Cloudを活用した概念実証の進め方と効果測定・評価基準を徹底解説

Google Cloud導入を成功させるために知っておくべきこと

サービス選定後、実際にGoogle Cloudを導入し、活用していくためには、いくつか知っておくべきポイントがあります。

①専門知識の必要性と継続的な学習

Google Cloudは非常に高機能で柔軟性に富んでいますが、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、ある程度の専門知識が求められます。また、クラウド技術は日々進化しているため、継続的な学習と情報収集が不可欠です。社内での人材育成も視野に入れる必要があるでしょう。

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②パートナー企業の活用メリット

自社だけで全ての専門知識をカバーし、最新情報を追い続けるのは容易ではありません。そこで有効なのが、Google Cloudの導入・運用支援を行うパートナー企業の活用です。

経験豊富なパートナーは、

  • 最適なサービス選定とアーキテクチャ設計のアドバイス
  • スムーズな導入支援と環境構築
  • 運用後のサポートやコスト最適化の提案
  • 最新技術動向の共有と活用支援

など、多岐にわたるサポートを提供してくれます。自社のリソースやスキルレベルに合わせて、必要な支援を外部に求めることは、Google Cloud導入を成功させるための賢明な選択と言えるでしょう。

関連記事:
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XIMIXによる支援サービス

ここまで、Google Cloudのサービス選定の難しさから、基本的な考え方、具体的な選定ステップについて解説してきました。しかし、「やはり自社だけで進めるのは不安だ」「もっと具体的なアドバイスが欲しい」と感じられている企業様もいらっしゃるかもしれません。

私たちXIMIXは、Google CloudおよびGoogle Workspaceの導入・活用支援サービスです。多くの中堅・大企業様をご支援してきた豊富な実績と専門知識を活かし、お客様のDX推進を強力にバックアップいたします。

XIMIXでは、お客様のビジネス課題のヒアリングから、最適なGoogle Cloudサービスの選定、システム設計・構築、導入後の運用サポート、さらには内製化支援まで、一貫した伴走支援をご提供しています。 特に、

  • どのGoogle Cloudサービスを選べば良いかわからない
  • 自社の課題に最適な構成が知りたい
  • PoCを実施して効果を検証したい
  • 既存システムからの移行をスムーズに行いたい
  • 導入後のコスト管理やセキュリティ対策に不安がある
といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度XIMIXにご相談ください。

私たちは、単に技術を提供するだけでなく、お客様のビジネス成長に貢献することを使命としています。Google Cloudの導入を検討されている企業様が、その一歩を確かなものにするために、XIMIXが全力でサポートいたします。

XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
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まとめ

本記事では、Google Cloudのサービス選定に悩む企業のご担当者様に向けて、その基本的な考え方とステップを解説しました。

  • Google Cloudのサービスは多岐にわたるが、まずは自社の課題・目的を明確にすることが出発点。
  • 主要なサービスカテゴリの概要を掴み、スモールスタートで効果を検証する。
  • 「課題の明確化 → 機能要件の洗い出し → サービスとのマッピング → PoC・相談」というステップで進める。
  • 専門知識の習得と並行し、信頼できるパートナーの活用が成功の鍵。

Google Cloudは、適切に活用すれば企業のDXを大きく加速させる強力なプラットフォームです。しかし、その多様性ゆえに、最初の選定段階でつまずいてしまうのは非常にもったいないことです。

この記事が、皆様のGoogle Cloud導入検討の一助となり、ビジネス革新への第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。もし、サービス選定や導入プロセスで具体的なお困りごとがございましたら、いつでもXIMIXまでお気軽にご相談ください。


【Google Cloud入門】多様なサービスから自社に最適なものを選ぶには?導入の壁を越える第一歩

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