大事なのはわかっているけど、、セキュリティ予算が確保できない。。→ Google Workspace/Cloudがコスト効率の高い選択肢となる理由

 2025,05,02 2025.05.02

はじめに

「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、競争力を高めたい」「巧妙化するサイバー攻撃に備え、セキュリティを強化しなければならない」――。多くの企業経営者やIT担当者が、これらの重要性を痛感していることでしょう。しかし同時に、「十分な予算を確保できない」という厳しい現実に直面しているケースも少なくありません。特に、セキュリティ対策は「守り」の投資と見なされがちで、直接的な利益に結びつきにくいため、予算配分において後回しにされる傾向があります。

しかし、セキュリティ対策の遅れは、情報漏洩やシステム停止といったインシデントを引き起こし、企業の信用失墜や事業継続の危機に直結しかねません。DX推進とセキュリティ強化は、もはや切り離して考えられるものではないのです。

では、限られた予算の中で、どのようにしてセキュリティレベルを維持・向上させ、DXを推進していけばよいのでしょうか?

本記事では、その有力な解決策として「Google Workspace」および「Google Cloud」の活用に着目します。なぜこれらのクラウドサービスが、セキュリティ予算の制約という課題に対するコスト効率の高い選択肢となり得るのか、その理由と具体的な活用方法を、分かりやすく解説していきます。

この記事を読むことで、予算の壁を乗り越え、セキュアな環境でDXを実現するための第一歩を踏み出すヒントが得られるはずです。

なぜ今、セキュリティ対策が待ったなしなのか?

セキュリティ対策の重要性は、年々高まる一方です。その背景には、以下のような要因が挙げられます。

①高まるサイバー攻撃の脅威

ランサムウェアによる身代金要求、特定の組織を狙う標的型攻撃、サプライチェーンの脆弱性を突いた攻撃など、サイバー攻撃の手法は日々巧妙化・悪質化しています。攻撃者は常にシステムの脆弱性を探し、企業の規模を問わず攻撃を仕掛けてきます。「うちは大丈夫だろう」という油断は禁物です。

②情報漏洩時の甚大なリスク

顧客情報や機密情報が漏洩した場合、金銭的な損害(損害賠償、対策費用など)はもちろんのこと、企業の社会的信用の失墜は計り知れません。一度失った信頼を取り戻すことは容易ではなく、最悪の場合、事業継続そのものが困難になる可能性もあります。

③サプライチェーン攻撃のリスク増大

自社のセキュリティ対策が十分であっても、取引先や関連会社が攻撃を受け、そこを踏み台として自社に被害が及ぶ「サプライチェーン攻撃」のリスクも増大しています。自社だけでなく、ビジネスに関わる全体のセキュリティレベルを意識する必要があります。

④DX推進とセキュリティは表裏一体

クラウドサービスの活用、リモートワークの普及など、DXの進展は働き方の柔軟性を高め、生産性向上に貢献します。しかしその一方で、データの保存場所やアクセス経路が多様化し、新たなセキュリティリスクを生み出す側面もあります。DXを安全に推進するためには、それに見合ったセキュリティ対策が不可欠なのです。

これらの理由から、セキュリティ対策はもはや「余裕があればやる」ものではなく、事業継続のための「必須事項」として捉える必要があります。

予算の壁:セキュリティ投資におけるよくある課題

セキュリティ対策の重要性は理解していても、多くの企業、特に予算に限りがある場合に共通して直面するのが「予算の壁」です。具体的には、以下のような課題が挙げられます。

  • 初期投資の大きさ: ファイアウォール、侵入検知システム(IDS/IPS)といった専用のセキュリティ機器(アプライアンス)や、高機能なセキュリティソフトウェアのライセンス費用は高額になる傾向があります。
  • 運用・保守コストの継続的な発生: 機器やソフトウェアの維持管理、定期的なアップデート、ログ監視、インシデント対応など、導入後も継続的にコストが発生します。これらを担う専門知識を持った人材の確保や育成も課題となります。
  • 費用対効果の見えにくさ: セキュリティ対策は、インシデントが発生しなければその効果を実感しにくい「保険」のような側面があります。そのため、投資対効果(ROI)を具体的に示し、経営層の理解を得て予算を獲得することが難しい場合があります。

こうした課題から、十分なセキュリティ対策を実施したくても、予算的な制約で断念せざるを得ない、あるいは最低限の対策にとどまってしまう、というケースは少なくありません。

Google Workspace/Cloudが予算の制約を超える選択肢となる理由

このような予算の壁に直面する企業にとって、Google WorkspaceとGoogle Cloudは、費用対効果の高いセキュリティ対策を実現するための有力な選択肢となります。その主な理由は以下の3点です。

理由1: クラウドネイティブなセキュリティ機能の標準搭載

Google WorkspaceGoogle Cloudは、サービス基盤そのものがGoogleの堅牢なインフラ上で稼働しており、高度なセキュリティ対策が組み込まれています。

  • Google Workspaceの基本セキュリティ: 最も安価な「Business Starter」プランであっても、迷惑メール・マルウェア・フィッシング対策、2段階認証プロセス、基本的なアクセス管理といった、ビジネスに不可欠なセキュリティ機能が標準で提供されます。これにより、追加のセキュリティ製品を導入することなく、基本的な防御ラインを確保できます。
  • Google Cloudの堅牢なインフラとサービス: Google Cloud は、Google自身のサービス(検索、Gmail、YouTubeなど)を支える、世界最高レベルのセキュリティを備えたインフラ上で提供されます。Identity and Access Management (IAM) による厳格なアクセス制御、Virtual Private Cloud (VPC) によるネットワーク分離、DDoS攻撃対策のCloud Armorなど、多様なセキュリティサービスを利用できます。多くは従量課金制のため、スモールスタートが可能です。
  • 柔軟な拡張性: 基本的なセキュリティ機能に加え、より高度なセキュリティ要件(データ損失防止(DLP)、高度な脅威対策、ゼロトラストセキュリティなど)に対応するための上位プランや追加オプションも用意されており、企業の成長や状況変化に合わせて柔軟にセキュリティレベルを向上させることができます。

関連記事:
Google Workspaceのセキュリティは万全?公式情報から読み解く安全性と対策の要点
なぜGoogle Cloudは安全なのか? 設計思想とゼロトラストで解き明かすセキュリティの優位性【徹底解説】

なぜDXは小さく始めるべきなのか? スモールスタート推奨の理由と成功のポイント、向くケース・向かないケースについて解説
「段階的スモールスタート」でクラウド導入の不安を解消!Google Workspace/Google Cloudで始める実践ガイド

理由2: 運用・管理コストの削減効果

オンプレミス環境でセキュリティシステムを構築・運用する場合と比較して、Google Workspace/Cloudは運用・管理に関わるコストと手間を大幅に削減できます。

  • インフラ管理の負担軽減: サーバーやネットワーク機器の購入、設置、保守、OSやミドルウェアのパッチ適用といったインフラ管理業務は、基本的にGoogleが行います。これにより、IT担当者は本来注力すべき業務に集中できます。
  • 自動アップデート: セキュリティ機能は常に最新の状態に保たれ、新たな脅威に対応するためのアップデートも自動的に適用される場合が多いです。自社でパッチ適用計画を立て、実行する手間が省けます。
  • 専門人材への依存度低減: 高度なセキュリティ専門家でなくても、管理コンソールを通じて比較的容易に設定・管理を行える部分が多くあります(もちろん、適切な知識は必要です)。オンプレミス環境で必要とされるような、幅広い専門知識を持つ人材への依存度を下げることができます。

関連記事:
Google Workspace導入コストを徹底解剖!ライセンスから運用まで費用全体を把握
【基本編】Google Cloudで実現するコスト削減 - 具体的な効果とメリットを分かりやすく解説

理由3: 費用対効果の高さと透明性

Google Workspace/Cloudは、コスト効率と透明性の高い料金体系を提供しています。

  • 予測可能なコスト (Google Workspace): Google Workspaceはユーザー数に応じた月額または年額のサブスクリプションモデルが基本です。必要な機能が含まれたプランを選ぶことで、予算計画が立てやすくなります。
  • 使った分だけ支払う (Google Cloud): Google Cloudの多くのサービスは、実際に利用したリソース(コンピューティング時間、ストレージ容量、データ転送量など)に応じて課金される従量課金制です。無駄な初期投資を抑え、利用状況に合わせてコストを最適化できます。
  • 統合による効率性: Google Workspaceは、メール、カレンダー、オンラインストレージ、ビデオ会議といったグループウェア/コラボレーションツールと、基本的なセキュリティ機能が統合されています。別々にツールを導入・管理するよりも、コストと管理の手間を削減できます。

これらの理由から、Google Workspace/Cloudは、限られた予算内でセキュリティレベルを向上させたい企業にとって、非常に魅力的な選択肢となるのです。

関連記事:
Google Cloudの料金体系をわかりやすく解説!課金の仕組みとコスト管理の基本
初めてのGoogle Cloudコスト管理:料金の仕組みを理解し、予算超過リスクを低減する方法

具体的な活用例:予算を抑えつつセキュリティを強化する

では、具体的にGoogle WorkspaceとGoogle Cloudをどのように活用すれば、予算を抑えながらセキュリティを強化できるのでしょうか。いくつかの例をご紹介します。

Google Workspaceの活用例

  • 基本プランでのセキュリティ設定徹底: Business StarterやBusiness Standardプランでも、2段階認証プロセスの強制、パスワードポリシーの設定、不審なログイン試行の検知アラート設定など、標準機能を最大限に活用するだけでもセキュリティレベルは向上します。まずはこれらの設定を確実に実施することが重要です。
  • アクセス権限の最適化: Google ドライブなどに保存されるファイルやフォルダへのアクセス権限を、必要最小限の原則に基づき適切に管理します。「全員に公開」のような設定を避け、部署やプロジェクト単位で適切な共有設定を行います。
  • セキュリティアラートセンターの活用 : 不審なアクティビティや潜在的なセキュリティリスクを管理者に通知する「セキュリティアラートセンター」を活用し、早期に問題を発見し対処できる体制を整えます。
  • ゼロトラストへの第一歩: より高度なセキュリティを目指す場合、追加オプションである「BeyondCorp Enterprise Essentials」を検討するのも一つの方法です。ユーザーとデバイスの信頼性を検証し、アクセス制御を行うゼロトラストの考え方を、比較的低コストで導入できます。

関連記事:
【基本編】Google Workspace導入時に最低限やるべきセキュリティ設定とは?管理者が押さえるべき基本ポイント

Google Cloudの活用例

  • 低コストなデータバックアップ: 重要なデータのバックアップ先として、低コストで耐久性の高いCloud Storageを活用します。アクセス頻度の低いデータは「Archive Storage」などの低価格なストレージクラスを利用することで、コストをさらに抑えられます。
  • ウェブサイト/API保護: 公開しているウェブサイトやAPIをDDoS攻撃やウェブアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃から保護するために、Google Cloud Armorを検討します。基本的な保護であれば、比較的低コストで導入可能です。
  • セキュリティ状況の可視化: Security Command Centerを活用することで、Google Cloud環境全体のセキュリティリスクや脆弱性を一元的に可視化し、管理することができます。無料ティアも提供されており、まずは試してみる価値があります。

これらはあくまで一例ですが、工夫次第で予算を抑えながらセキュリティレベルを高めることが可能です。

関連記事:
【入門編】Google Cloudセキュリティ対策の基本 - まずやるべき5つのこと

導入検討時の注意点と成功のポイント

Google Workspace/Cloudが費用対効果の高い選択肢であることは確かですが、導入を成功させるためにはいくつかの注意点があります。

  • 自社のセキュリティ要件の明確化: まず、自社が守るべき情報資産は何か、どのような脅威から守る必要があるのか、業界の規制やガイドラインなどを考慮し、必要なセキュリティレベルを明確に定義することが重要です。
  • プラン・サービスの適切な選定: Google Workspaceには複数のプランがあり、Google Cloudには多種多様なサービスがあります。自社の要件や予算に合わせて、過不足のない最適なプランやサービスを選定する必要があります。機能が多ければ良いというものではありません。
  • 初期設定と運用ルールの重要性: クラウドサービスは導入が容易な反面、初期設定を誤るとセキュリティリスクを高める可能性があります。導入時には、セキュリティ設定を適切に行い、利用に関する明確なルールを定めて従業員に周知徹底することが不可欠です。
  • 従業員へのセキュリティ教育の継続: どれだけ優れたシステムを導入しても、利用する従業員のセキュリティ意識が低ければ、ヒューマンエラーによるインシデントは防げません。定期的なセキュリティ教育や注意喚起が重要です。
  • 専門家の支援活用: 自社だけで最適なプラン選定、セキュアな設定、運用体制の構築を行うことが難しい場合もあります。そのような場合は、Google Cloud/Workspaceに精通したパートナー企業の支援を積極的に活用することも有効な手段です。

関連記事:
【入門編】社員に対するGoogle Workspaceのセキュリティ教育対策:意識向上と簡単な教育方法

XIMIXによる支援サービス

これまで見てきたように、Google WorkspaceやGoogle Cloudは、予算の制約がある中でもセキュリティ強化とDX推進を両立させるための強力なツールとなり得ます。しかし、「自社にとって最適なプランやサービスは何か?」「どのように設定すればセキュリティを確保できるのか?」「既存システムからの移行はどうすればいいのか?」「導入後の運用体制をどう構築すればよいか?」といった具体的な課題に直面することも少なくありません。

特に、限られたITリソースの中で、最新のセキュリティ脅威に対応しつつ、クラウド環境を最適に管理・運用していくことは容易ではありません。設定の不備が思わぬセキュリティホールとなったり、コストメリットを十分に享受できなかったりする可能性もあります。

私たち「XIMIX」は多くのお客様をご支援してきた豊富な経験と、Google Cloud認定パートナーとしての高度な専門知識に基づき、お客様それぞれの状況や予算、セキュリティ要件に合わせた最適なソリューションをご提案します。

XIMIXでは、以下のようなご支援を提供しています。

  • 現状分析と最適な導入プランニング: お客様のビジネス課題やセキュリティ要件をヒアリングし、Google Workspace/Cloudのどのプラン・サービスが最適かを選定し、具体的な導入計画を策定します。
  • セキュアな環境構築支援: ベストプラクティスに基づき、セキュリティを考慮した初期設定、アクセス権限管理、ネットワーク構成などを支援します。既存システムとの連携やデータ移行もサポートします。
  • 運用サポートと伴走支援: 導入後の運用監視、トラブルシューティング、設定変更のサポート、セキュリティに関するアドバイスなど、お客様が安心してサービスを利用できるよう伴走支援します。
  • 従業員向けトレーニング: Google Workspaceの効果的な活用方法や、セキュリティ意識向上のためのトレーニングを提供します。

予算の制約の中で最大限のセキュリティ効果とDX推進効果を得るためには、専門家の知見を活用することが近道となる場合が多くあります。

XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。

まとめ

本記事では、セキュリティ対策の重要性が高まる一方で、予算の制約という課題に直面する企業にとって、Google WorkspaceとGoogle Cloudがいかにコスト効率の高い選択肢となり得るかを解説しました。

クラウドネイティブなセキュリティ機能の標準搭載、運用・管理コストの削減効果、そして費用対効果の高さと透明性といったメリットにより、限られた予算内でもセキュリティレベルを維持・向上させ、DXを推進することが可能になります。

もちろん、導入にあたっては自社の要件を明確にし、適切なプランを選定し、セキュアな設定と運用ルールを確立することが重要です。

もし、セキュリティ予算の確保にお悩みであれば、まずはGoogle WorkspaceやGoogle Cloudで何ができるのか、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。そして、自社だけでの対応が難しいと感じた際には、ぜひXIMIXのような専門家の支援を活用することもご検討ください。予算の壁を乗り越え、安全な環境でビジネスを成長させるための一歩を踏み出しましょう。


大事なのはわかっているけど、、セキュリティ予算が確保できない。。→ Google Workspace/Cloudがコスト効率の高い選択肢となる理由

BACK TO LIST