Googleドライブで安全にファイルを共有するには?基本設定と重要ポイントを解説

 Apr 21, 2025 11:00:00 AM 2025.04.21

はじめに

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環として、多くの企業がクラウドストレージの活用を検討しています。中でもGoogle Workspaceに含まれるGoogleドライブは、その利便性と拡張性から有力な選択肢となります。しかし、「誰とでも簡単にファイルを共有できる」というメリットは、裏を返せば情報漏洩のリスクと隣り合わせです。特に機密情報を扱う中堅・大企業においては、ファイル共有の基本的な操作だけでなく、セキュリティを確保するための設定や運用ルールが不可欠となります。

「Google Workspaceを導入したいけれど、Googleドライブでのファイル共有、特にセキュリティ面が心配」「基本的な共有設定の手順と、安全に使うための注意点を知りたい」

このような課題や疑問をお持ちのDX推進担当者様、情報システム部門の担当者様に向けて、本記事ではGoogleドライブにおける基本的なファイル共有の手順と、安全性を高めるための重要なポイントを分かりやすく解説します。この記事を読むことで、Googleドライブの共有機能を正しく理解し、セキュアな情報共有環境を構築するための第一歩を踏み出すことができます。

Googleドライブにおけるファイル共有の基本

Googleドライブは、ビジネスで利用する際はGoogle Workspaceの導入が推奨されます。Google Workspace版Googleドライブでは、管理コンソールを通じた組織的な管理や、より高度なセキュリティ設定が可能となり、企業のガバナンス要件に対応しやすくなります。

ファイル共有は、特定のユーザーやグループを指定して共有する方法と、リンクを知っている全員に共有する方法の大きく2つがあります。それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、共有するファイルの内容や相手に応じて適切に使い分けることが重要です。

基本的なファイル共有の手順 (特定のユーザー・グループとの共有)

最も基本的で安全性の高い共有方法です。

  1. ファイルまたはフォルダの選択: Googleドライブ上で共有したいファイルまたはフォルダを選択します。
  2. 共有設定を開く:
    1. ファイルを選択した状態で右クリックし、「共有」を選択します。
    2. または、ファイルを開いた画面の右上にある「共有」ボタンをクリックします。
  3. 共有相手の追加: 「ユーザーやグループを追加」の欄に、共有したい相手のメールアドレス(Googleアカウント)またはGoogleグループのアドレスを入力します。候補が表示されることもあります。
  4. 権限の設定: 共有相手ごとにアクセス権限を設定します。主な権限は以下の通りです。
    1. 閲覧者: ファイルの閲覧のみ可能です。ダウンロード、印刷、コピーはデフォルトで許可されますが、設定で禁止することもできます。
    2. 閲覧者(コメント可): 閲覧に加え、ファイルにコメントを追加できます。
    3. 編集者: ファイルの編集、コメントの追加、共有設定の変更(他のユーザーの追加・削除)が可能です。最も強い権限です。
  5. 通知設定(任意): 「通知を送信する」にチェックを入れると、共有相手にメールで通知が送られます。メッセージを追加することも可能です。
  6. 共有の実行: 「送信」または「共有」ボタンをクリックして設定を完了します。

アクセス権限の種類と適切な使い分け

前述の通り、Googleドライブの共有権限は主に「閲覧者」「閲覧者(コメント可)」「編集者」の3種類です。これらの権限を適切に使い分けることが、安全なファイル共有の基本となります。

  • 閲覧者: 完成した資料の展開、情報共有など、内容を確認してもらうだけで良い場合に設定します。誤操作によるファイル変更のリスクを防げます。機密性が高い場合は、ダウンロード・印刷・コピーの禁止設定も検討しましょう。(ただし、画面キャプチャなどによる情報持ち出しのリスクは残ります。)
  • 閲覧者(コメント可): 資料に対するフィードバックやレビューを依頼する場合に適しています。ファイル自体は変更されずにコメントを残せるため、共同での推敲作業などに役立ちます。
  • 編集者: 共同で資料を作成・編集する場合に必要な権限です。複数人での同時編集も可能ですが、意図しない変更や削除のリスクも伴います。誰に編集権限を付与するかは慎重に判断する必要があります。また、「編集者」は他のユーザーを追加・削除できるため、共有範囲が意図せず拡大しないよう注意が必要です。

原則として、必要最小限の権限を付与する「最小権限の原則」を意識することが、セキュリティを高める上で重要です。

安全なファイル共有のための重要ポイント(注意点)

利便性の高いGoogleドライブの共有機能ですが、設定を誤ると情報漏洩につながる可能性があります。以下の点に注意し、安全な運用を心がけましょう。

①共有範囲を適切に限定する

「特定のユーザー・グループ」での共有を基本とし、安易に「リンクを知っている全員」に共有しないことが重要です。特に機密情報を含むファイルは、共有相手を限定しましょう。Google Workspaceでは、組織内のユーザーに限定する設定も可能です。

②「リンクを知っている全員」共有のリスクと対策

Webサイトで資料を公開する場合など、「リンクを知っている全員」への共有が必要な場面もあります。この設定は、リンクURLを知っていれば誰でもアクセスできるため、非常に便利ですが、以下のリスクを伴います。

  • 意図しない拡散: リンクがSNSやメールで拡散され、想定外の人物にアクセスされる可能性があります。
  • アクセス制御の困難さ: 誰がアクセスしているかを把握・管理することが難しくなります。

対策:

  • 本当に必要な場合のみ使用する: 限定的な共有で代替できないか検討しましょう。
  • 権限は「閲覧者」に限定する: 不特定多数に編集権限を与えるのは極めて危険です。
  • 有効期限を設定する:期間限定の公開であれば、有効期限を設定することで、期限切れ後に自動的にアクセスできなくなり、リスクを低減できます。
  • Google Workspace管理コンソールでの制御: 管理者は、組織全体でリンク共有を禁止したり、組織内のみに限定したりする設定が可能です。

社外ユーザーとの共有は慎重に

業務上、社外のパートナーや顧客とファイルを共有する場面も多くあります。社外ユーザーとの共有は、社内以上に慎重な判断が必要です。

  • 共有相手の確認: 正しいメールアドレスか、本当に共有が必要な相手かを確認します。
  • 必要最小限の権限: 原則として「閲覧者」または「閲覧者(コメント可)」とし、「編集者」権限の付与は必要性を十分に検討します。
  • 有効期限の設定: 可能であれば有効期限を設定し、プロジェクト終了後などはアクセス権を削除します。
  • 社内ルールの遵守: 企業によっては、社外共有に関する独自のルールや承認プロセスが定められている場合があります。必ず社内ルールを確認・遵守しましょう。

定期的な共有設定の見直し

一度設定した共有設定も、プロジェクトの終了や担当者の変更などにより、見直しが必要になることがあります。

  • 不要になった共有設定の解除: アクセスが不要になったユーザーやリンク共有設定は、速やかに解除します。
  • 定期的な棚卸し: 半年に一度、年に一度など、定期的に自身が共有しているファイルやフォルダのアクセス権限を確認し、整理する習慣をつけましょう。特に「編集者」権限が付与されているファイルは重点的に確認します。
  • 共有ドライブの活用: チームやプロジェクト単位でファイルを管理する場合、「共有ドライブの活用が有効です。共有ドライブ内のファイルはチーム(組織)に所有権があり、メンバーの追加・削除でアクセス権を管理できるため、個人のドライブで共有するよりも管理が容易になり、担当者が異動・退職した際のファイル消失リスクも防げます。

Google Workspace管理者の役割

Google Workspaceの管理者は、管理コンソールを通じて組織全体のファイル共有に関するポリシーを設定・強制することができます。

  • 共有範囲の制限: 組織外への共有禁止、ホワイトリストに登録したドメインへのみ共有許可など。
  • リンク共有の制御: リンク共有のデフォルト設定変更、組織内限定など。
  • 共有ドライブの作成・管理ポリシー: 共有ドライブの作成権限の制限など。
  • 監査ログの確認: ファイルの共有状況やアクセス履歴を監査ログで確認し、不正な共有やアクセスがないかを監視できます。

従業員任せにするだけでなく、組織として適切な共有ポリシーを設定し、統制を効かせることが、中堅・大企業におけるセキュアなファイル共有環境の実現には不可欠です。

XIMIXによるGoogle Workspace導入・活用支援

ここまで、Googleドライブの基本的なファイル共有設定と、安全性を高めるためのポイントについて解説してきました。これらの基本を理解し実践するだけでも、セキュリティリスクを大幅に低減できます。

しかし、中堅・大企業において本格的にGoogle Workspaceを活用し、DXを推進していく上では、以下のような更なる課題やステップに直面することがあります。

  • 全社的なファイル共有ルールの策定と浸透
  • 既存ファイルサーバーからのデータ移行
  • 共有ドライブの効果的な設計と運用
  • より高度なセキュリティ設定(DLP: データ損失防止など)の実装
  • 従業員へのトレーニングと継続的な啓蒙
  • 運用開始後のアクセス権限の棚卸しや監査の効率化

これらの課題に対して、「自社だけで対応するのはリソースが足りない」「専門的な知見に基づいたアドバイスが欲しい」とお考えの場合、ぜひXIMIXにご相談ください。

XIMIXは、NI+C(エヌアイアンドシー)が提供するGoogle CloudおよびGoogle Workspaceの導入・活用支援サービスです。数多くの中堅・大企業様をご支援してきた豊富な実績と、Google Cloud認定資格を持つ専門エンジニアの知見に基づき、お客様の状況に合わせた最適なGoogle Workspaceの導入計画策定、セキュアな環境構築、運用設計、従業員トレーニング、そして継続的な伴走支援まで、トータルでサポートいたします。

基本的なファイル共有設定から、組織全体のガバナンス強化、さらにはGoogle Workspaceを活用した業務効率化やDX推進まで、お客様のあらゆるフェーズにおける課題解決をご支援します。

XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。

※Google Workspace については、こちらのコラム記事もご参照ください。 

まとめ

Googleドライブは、場所を選ばない柔軟なファイルアクセスと効率的な共同作業を実現する強力なツールです。しかし、その利便性を最大限に活かしつつ、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるためには、適切な共有設定と運用が不可欠です。

本記事で解説した以下のポイントを確実に実践することが、安全なファイル共有環境の第一歩となります。

  • 共有相手と権限を明確にする(最小権限の原則)
  • 安易なリンク共有を避ける
  • 社外共有は特に慎重に行う
  • 定期的に共有設定を見直す
  • 組織としてのルールと管理体制を整備する(管理者の役割)

これらの基本を押さえた上で、共有ドライブの活用や、Google Workspaceの高度なセキュリティ機能を検討していくことで、よりセキュアで効率的な情報共有基盤を構築できます。

Google Workspaceの導入や、ファイル共有に関するセキュリティポリシーの策定、運用にお悩みの場合は、専門家のサポートを活用することも有効な手段です。セキュアで快適なファイル共有環境を実現し、企業のDX推進を加速させましょう。


Googleドライブで安全にファイルを共有するには?基本設定と重要ポイントを解説

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