はじめに
Google Workspaceを導入し、Googleドライブを活用し始めたものの、「ファイルがどこにあるか分からなくなる」「チーム内でファイルを探すのに時間がかかる」「気づいたらフォルダが乱雑になっている」といった課題に直面している企業は少なくありません。特に組織が大きくなるほど、ファイル管理のルールが曖昧だと、情報共有のボトルネックとなり、生産性の低下を招きかねません。
この記事では、Googleドライブを使い始めたばかりの方や、ファイル整理に課題を感じている中堅・大企業の担当者様に向けて、基本的なファイル整理術を解説します。効果的なフォルダ構成の考え方や、誰にでも分かりやすいファイル命名規則の作り方、そして整理された状態を維持するためのポイントをご紹介します。
この記事を読むことで、Googleドライブのファイル検索性を高め、チーム全体の業務効率を向上させるための第一歩を踏み出すことができます。
なぜファイル整理が必要なのか? DX推進における重要性
「たかがファイル整理」と思われるかもしれませんが、デジタル化が進む現代において、ファイル整理は単なる整頓作業以上の意味を持ちます。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で、基盤となる情報資産の適切な管理は不可欠です。
- 業務効率の向上: ファイルを探す時間は、従業員にとって大きな負担です。整理された環境は、必要な情報へのアクセス時間を大幅に短縮し、本来注力すべき業務に集中できる時間を生み出します。
- 情報共有の円滑化: チームや部署間でスムーズに情報を共有するには、共通のルールに基づいたファイル管理が欠かせません。属人化を防ぎ、誰もが必要な情報にアクセスできる環境を構築できます。
- セキュリティとコンプライアンスの強化: どこにどのような情報があるかを把握しやすくすることは、アクセス権限の適切な管理や情報漏洩リスクの低減につながります。企業のコンプライアンス遵守の観点からも重要です。
- ナレッジの蓄積と活用: 整理されたファイルは、企業の貴重なナレッジとなります。過去の資料やノウハウが活用しやすくなり、組織全体の知識レベル向上に貢献します。
このように、ファイル整理は日々の業務効率化はもちろん、組織全体の生産性や競争力にも関わる重要な取り組みなのです。
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Googleドライブにおける整理の基本:マイドライブと共有ドライブ
Googleドライブでファイルを整理する上で、まず理解しておきたいのが「マイドライブ」と「共有ドライブ」の違いです。それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることが整理の第一歩となります。
- マイドライブ:
- 所有者: 基本的にファイルを作成した個人に帰属します。
- 特徴: 個人の作業ファイルや下書き、他のユーザーと共有する前のファイルなどを保存するのに適しています。フォルダやファイルを他のユーザーと共有することも可能ですが、元の所有者が退職するなどした場合、ファイルのアクセス権管理が複雑になる可能性があります。
- 使い分け: 個人で完結するドキュメント、一時的なファイル、正式な共有前の下書きなど。
- 共有ドライブ:
- 所有者: 個人ではなく、チーム(組織)に帰属します。
- 特徴: チームやプロジェクト単位でファイルを管理・共有するのに最適です。メンバーの追加・削除が容易で、メンバーが異動や退職してもファイルはチームに残ります。アクセス権限もフォルダ単位で細かく設定可能です。
- 使い分け: 部門共通の資料、プロジェクト関連ファイル、規程集、テンプレートなど、組織として継続的に管理・利用するファイル。
中堅・大企業においては、組織的な情報共有や管理の観点から、共有ドライブの活用を基本とし、マイドライブは補助的に利用することが推奨されます。
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効果的なフォルダ構成の原則と考え方【入門】
フォルダ構成に唯一の正解はありませんが、誰にとっても分かりやすく、運用しやすいルールを作ることが重要です。ここでは、基本的な考え方と作成のポイントをいくつかご紹介します。
①階層はシンプルに、深くしすぎない
フォルダ階層が深くなりすぎると、目的のファイルにたどり着くまでに何度もクリックが必要になり、かえって非効率です。一般的には3〜4階層程度を目安に、できるだけシンプルな構造を心がけましょう。
②分類基準を明確にする
フォルダをどのような基準で分けるかを事前に定義します。代表的な分類基準には以下のようなものがあります。
- 部署・チーム別: 営業部、開発部、人事部など。共有ドライブの基本的な分け方として有効です。
- プロジェクト別: 「●●システム開発プロジェクト」「新卒採用プロジェクト」など、特定の目的を持つ業務単位。
- 業務プロセス別: 「提案」「契約」「請求」「報告」など、業務の流れに沿った分類。
- ドキュメント種別: 「議事録」「報告書」「マニュアル」「テンプレート」など。
- 取引先別: 「A社」「B社」など。
これらの基準を組み合わせ、自社の業務実態に合った分かりやすい分類ルールを策定しましょう。例えば、「部署」>「プロジェクト」>「ドキュメント種別」といった構造が考えられます。
フォルダ名の付け方ルール
フォルダ名もファイル名と同様に、一貫性のあるルールを設けることが重要です。
- 具体的で分かりやすい名称: 「資料」のような曖昧な名前ではなく、「営業部_定例会議事録」「2025年度_予算関連資料」のように、内容が推測できる名称にします。
- 統一された形式: 例えば、プロジェクトフォルダであれば「[開始年]_[プロジェクト名]」のように形式を統一すると、一覧性が高まります。
- 記号の利用は慎重に: 半角スペースや特定の記号は、環境によって文字化けや検索時の不具合の原因となる可能性があるため、アンダースコア _ やハイフン - を区切り文字として使用するのが一般的です。
「一時保管」「アーカイブ」フォルダの活用
整理しきれないファイルや、頻繁には使わないが削除はできない過去のファイルを保管する場所として、「一時保管」や「アーカイブ」といったフォルダを用意しておくと、メインのフォルダ構造を綺麗に保つのに役立ちます。アーカイブフォルダは、年度別などでさらに整理すると良いでしょう。
分かりやすいファイル命名規則の作り方【入門】
フォルダ構成と並んで重要なのが、ファイル名の付け方ルール(命名規則)です。これにより、ファイルを開かなくても内容がある程度推測でき、検索性も格段に向上します。
含めるべき要素を定義する
どのような情報をファイル名に含めるかを決めます。一般的に推奨される要素は以下の通りです。
- 作成日 or 更新日: YYYYMMDD または YYMMDD の形式で日付を入れると、時系列で並べ替えやすく、最新版の特定にも役立ちます。ファイル名の先頭に付けるのが一般的です。例: 20250430_
- 文書の種類: 「議事録」「報告書」「提案書」「マニュアル」など、ファイルの内容を示すカテゴリ。例: 議事録_
- プロジェクト名 or 案件名: 関連するプロジェクトや案件名を入れます。例: ●●プロジェクト定例会_
- 作成者 or 更新者: 必要に応じて、誰が作成・更新したか分かるようにイニシャルなどを入れます。例: 山田太郎作成_
- バージョン番号: ファイルを改訂していく場合に、v1, v1.1, v2_確定版 のようにバージョン情報を付与します。これにより、最新版や確定版を明確に区別できます。
これらの要素を、自社の運用に合わせて取捨選択し、要素の順番も統一します。
区切り文字を統一する
要素と要素の間を区切る文字を統一します。前述の通り、アンダースコア _ またはハイフン - が推奨されます。スペースは避けた方が無難です。
例: [日付]_[文書の種類]_[案件名/内容]_[バージョン] 20250430_議事録_●●プロジェクト定例会_v1.pdf 20250510_提案書_A社向けサービス紹介_v2_確定版.gdoc
ルールはシンプルに、誰でも守れるように
命名規則は、あまり複雑にしすぎると形骸化してしまいます。必要最低限の要素に絞り込み、誰でも理解しやすく、継続して守れるシンプルなルールを目指しましょう。
整理された状態を維持するためのポイント
ルールを決めて一度整理しても、日々の運用の中で徐々に乱れてしまうことはよくあります。整理された状態を維持するためには、以下の点が重要です。
- ルールの周知徹底: 作成したフォルダ構成や命名規則は、ドキュメント化し、チームメンバー全員に周知します。新人メンバーへの教育にも活用しましょう。
- 定期的な見直しと改善: 運用していく中で、ルールが実態に合わなくなったり、より良い方法が見つかったりすることがあります。定期的に(例: 半年に一度など)ルールを見直し、必要に応じて改善していく柔軟性も大切です。
- 担当者を決める (任意): 可能であれば、フォルダ構成やルールの維持管理を担当するメンバーを決めるのも有効です。
- 不要なファイルの削除・アーカイブ: 定期的に不要になったファイルを削除したり、アーカイブフォルダに移動したりする習慣をつけましょう。
これらの取り組みを通じて、ファイル整理の文化を組織に根付かせることが、長期的な効率化につながります。
更なる活用と課題解決に向けて:XIMIXがお手伝いできること
今回ご紹介した基本的なファイル整理術は、Googleドライブ活用の第一歩です。しかし、中堅・大企業においては、さらに高度なファイル管理や情報共有の課題に直面することがあります。
例えば、
- 「部門横断でのより複雑なアクセス権限管理が必要」
- 「ファイル承認などのワークフローと連携させたい」
- 「全社的な情報ガバナンスを強化したい」
- 「Googleドライブだけでなく、他のGoogle Workspace機能との連携を深めたい」
- 「そもそも自社に最適なルール作りや運用定着をどう進めれば良いか分からない」
といった、より戦略的な課題です。
私たちXIMIX (NI+C) は、Google CloudおよびGoogle Workspaceのプレミアパートナーとして、数多くの中堅・大企業様のDX推進をご支援してきた実績があります。その豊富な経験と専門知識に基づき、Googleドライブの基本的な使い方から、お客様の組織規模や業務内容に合わせた最適なファイル管理ルールの策定、共有ドライブの設計、アクセス権限ポリシーの最適化、運用定着化のご支援まで、トータルでサポートいたします。
単なる機能導入に留まらず、お客様のビジネス課題解決に貢献するGoogle Workspaceの活用戦略を共に描き、その実現を伴走支援することが私たちの強みです。
基本的なファイル整理はできたけれど、次のステップに進みたい、あるいは自社だけではルール作りや定着が難しいと感じている企業様は、ぜひ一度XIMIXにご相談ください。
XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
まとめ
今回は、Googleドライブの基本的なファイル整理術として、フォルダ構成と考え方、ファイル命名規則の作り方、そして整理を維持するポイントについて解説しました。
- ファイル整理はDXの土台: 業務効率化、情報共有円滑化、セキュリティ強化に不可欠。
- マイドライブと共有ドライブの使い分け: 組織利用は共有ドライブが基本。
- フォルダ構成: 階層は浅く、分類基準を明確に、フォルダ名もルール化。
- ファイル命名規則: 含める要素(日付、種類、内容、Ver等)と順番、区切り文字を統一。
- 維持が重要: ルールの周知、定期的な見直し、不要ファイルの整理。
まずは、今回ご紹介した基本的なルールを参考に、自社(チーム)で運用できるシンプルなルール作りから始めてみてください。ファイルを探すストレスから解放され、より生産的な働き方を実現するための一歩となるはずです。
そして、より高度な活用や組織全体のガバナンス強化といった次のステップをお考えの際は、ぜひXIMIXにご相談ください。
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