クラウド運用負荷を劇的に削減!Google Cloudのマネージドサービスのメリット【入門編】

 Apr 23, 2025 2:18:28 PM 2025.04.23

はじめに

多くの企業でクラウド活用が進む中、「運用管理の負荷が大きい」「インフラの専門知識を持つ人材が不足している」といった課題が聞かれるようになりました。せっかくクラウドを導入しても、その維持・管理に追われてしまい、本来注力すべきコア業務やDX推進がおろそかになっては本末転倒です。

そんな課題を解決する選択肢として注目されているのが「マネージドサービス」です。特に Google Cloud は、豊富なマネージドサービスを提供しており、活用することで運用負荷を大幅に削減できる可能性があります。

しかし、「マネージドサービスが良いとは聞くけれど、具体的に何がメリットなのかよくわからない」「自社にとって本当に有効なのか判断できない」と感じている方も少なくないでしょう。

この記事では、クラウドや Google Cloud の利用を検討している、あるいは運用負荷に課題を感じている企業の担当者様に向けて、以下の点を分かりやすく解説します。

  • そもそもマネージドサービスとは何か?
  • Google Cloud で利用できる代表的なマネージドサービス
  • Google Cloudのマネージドサービスを活用する具体的なメリット(特に運用負荷削減の観点から)
  • 利用する上での注意点

この記事を読むことで、マネージドサービスの基本的な概念とメリットを理解し、自社のクラウド活用戦略やDX推進に役立てるための一歩を踏み出すことができるでしょう。

そもそもマネージドサービスとは?

マネージドサービスを理解するために、まずはクラウドサービスの基本的な提供モデルについて触れておきましょう。クラウドサービスは、提供されるリソースや管理の責任範囲によって、主に「IaaS」「PaaS」「SaaS」の3つに分類されます。

  • IaaS (Infrastructure as a Service):

    • 提供されるもの: サーバー、ストレージ、ネットワークといった仮想化されたITインフラ。
    • ユーザーの責任範囲: OS、ミドルウェア、アプリケーション、データ。
    • 例: Google Compute Engine (仮想マシン部分), Amazon EC2, Microsoft Azure Virtual Machines
    • 特徴: 自由度が高い反面、OS以上のレイヤーはユーザー自身で管理する必要がある。
  • PaaS (Platform as a Service):

    • 提供されるもの: アプリケーションの開発・実行環境(OS、ミドルウェア、データベースなどを含むプラットフォーム)。
    • ユーザーの責任範囲: アプリケーション、データ。
    • 例: Google App Engine, Google Cloud Run, Heroku, AWS Elastic Beanstalk
    • 特徴: インフラやOSの管理はクラウド事業者に任せ、ユーザーはアプリケーション開発に集中できる。
  • SaaS (Software as a Service):

    • 提供されるもの: すぐに利用できるソフトウェア・アプリケーション。
    • ユーザーの責任範囲: 基本的になし(設定やデータ入力程度)。
    • 例: Google Workspace (Gmail, Google Drive 等), Microsoft 365, Salesforce
    • 特徴: インストール不要で、インターネット経由ですぐに利用開始できる。

もっと詳しく知りたい方は:【クラウド導入の基本】いまさら聞けないIaaS・PaaS・SaaSの違い - 特徴から最適な選び方まで

では、「マネージドサービス」はこれらのカテゴライズと関係するのでしょうか?

マネージドサービスとは、特定の機能やサービスについて、その運用管理(Management)の大部分をクラウド事業者が代行してくれるサービス形態を指します。多くの場合、PaaS や特定の機能に特化したサービスがマネージドサービスとして提供されますが、IaaS の一部機能(例:マネージドインスタンスグループ)も含まれることがあります。

簡単に言えば、「面倒な管理はお任せください」というサービスです。例えば、データベースのマネージドサービスなら、サーバーのプロビジョニング、OSやデータベースソフトウェアのアップデート、パッチ適用、バックアップ、監視、スケーリングなどをクラウド事業者が自動または半自動で行ってくれます。ユーザーは、提供された機能を利用することに集中できるのです。

Google Cloud における代表的なマネージドサービス

Google Cloud は、インフラ構築からデータ分析、AI活用まで、幅広い領域で高機能なマネージドサービスを提供しています。ここでは、その代表的な例をいくつかご紹介します。

  • コンピューティング:

    • Google Cloud Run: コンテナ化されたアプリケーションをサーバーレスで実行できるプラットフォーム。インフラ管理不要で、トラフィックに応じて自動でスケールします。
    • Google App Engine: ウェブアプリケーションやモバイルバックエンドを簡単に構築・デプロイ・スケールできるPaaS。インフラ管理は Google にお任せ。
    • Google Kubernetes Engine (GKE) Autopilot モード: コンテナオーケストレーションツール Kubernetes のマネージドサービス。Autopilot モードでは、ノード管理まで Google が行い、運用負荷をさらに軽減。
  • データベース:

    • Cloud SQL: MySQL, PostgreSQL, SQL Server 向けのフルマネージドデータベースサービス。パッチ適用、バックアップ、レプリケーション、フェイルオーバーなどを自動化。
    • Cloud Spanner: 水平スケーラビリティと強整合性を両立した、グローバル分散型のリレーショナルデータベースサービス。
    • Firestore: NoSQL ドキュメントデータベース。サーバーレスでスケーラブル、リアルタイム同期機能も提供。
  • データ分析:

    • BigQuery: ペタバイト級のデータも高速に分析できる、サーバーレスのデータウェアハウス。インフラ管理不要で、分析クエリの実行に集中できる。
    • Dataflow: ストリームデータおよびバッチデータの処理パイプラインを構築・実行するためのフルマネージドサービス。
    • Pub/Sub: リアルタイムのメッセージングサービス。非同期通信やイベント駆動型アーキテクチャの基盤となる。

これらはほんの一例であり、Google Cloud はこの他にもネットワーキング、セキュリティ、AI/機械学習など、多岐にわたる分野でマネージドサービスを提供しています。

Google Cloudのマネージドサービスの具体的なメリット:運用負荷削減を中心に

では、これらのマネージドサービスを活用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。特に「クラウド運用負荷の削減」という観点から詳しく見ていきましょう。

メリット1:インフラ運用管理からの解放

これがマネージドサービスの最大のメリットと言えるでしょう。従来、自社でサーバーを管理する場合(オンプレミス)や、IaaS を利用する場合、以下のような運用管理タスクが発生します。

  • サーバーやネットワーク機器の物理的な管理(オンプレミスの場合)
  • OSやミドルウェアのインストール、設定、アップデート、パッチ適用
  • セキュリティ対策(脆弱性対応、アクセス制御など)
  • パフォーマンス監視、リソースの最適化
  • 定期的なバックアップと、障害発生時のリストア
  • 障害発生時の原因調査と復旧対応

これらのタスクは専門的な知識やスキルを要し、多くの工数がかかります。マネージドサービスを利用すれば、これらの運用管理の大部分を Google Cloud 側に任せることができます。これにより、IT部門の担当者は、煩雑なインフラ管理業務から解放され、より付加価値の高い業務、例えばアプリケーション開発、データ活用、DX戦略の推進といったコア業務に集中できるようになります。

メリット2:高いスケーラビリティと可用性の確保

ビジネスの成長やトラフィックの変動に合わせて、システムのリソースを柔軟に増減させる能力(スケーラビリティ)や、障害発生時にもサービスを継続できる能力(可用性)は非常に重要です。

Google Cloudのマネージドサービスの多くは、自動スケーリング機能を備えています。アクセスが増えれば自動的にリソースを増やし、減ればリソースを減らすことで、常に適切なパフォーマンスを維持しつつ、コストを最適化できます。

また、Google の堅牢なインフラ上で稼働しており、冗長化構成や自動フェイルオーバー機能などが組み込まれているため、高い可用性を実現できます。これを自社で構築・維持するには、高度な設計と多大なコストが必要となりますが、マネージドサービスを利用すれば、その恩恵を手軽に受けることができます。

メリット3:セキュリティ対策の強化

セキュリティ対策は、企業にとって最重要課題の一つです。Google Cloud は、世界最高レベルのセキュリティ専門家チームとインフラを有しており、そのマネージドサービスにもその知見と技術が活かされています。

OSやミドルウェアの脆弱性に対するパッチ適用は、基本的に Google Cloud 側が責任を持って実施します。また、DDoS攻撃対策や不正アクセス検知などのセキュリティ機能も組み込まれているサービスが多くあります。

もちろん、ユーザー側の設定やアプリケーション自体のセキュリティ対策は必要ですが、インフラレイヤーのセキュリティについては Google Cloud に任せられる部分が大きいため、全体的なセキュリティレベルの向上につながります。

メリット4:専門知識・スキルの不足を補完

高度なインフラ技術やデータベース、データ分析基盤などを自社で構築・運用するには、専門的な知識やスキルを持つ人材が不可欠です。しかし、そうした人材の確保や育成は容易ではありません。

Google Cloudのマネージドサービスは、Google Cloud の専門家が構築・運用しているベストプラクティスが組み込まれたサービスです。これを利用することで、自社に専門家がいなくても、高度な技術や機能を手軽に活用することができます。

メリット5:最新技術への迅速な追従

クラウド技術は日々進化しています。新しい機能が追加されたり、パフォーマンスが改善されたりすることが頻繁にあります。マネージドサービスを利用していれば、Google Cloud 側でサービスがアップデートされるため、ユーザーは常に最新の技術や機能の恩恵を受けることができます。自社でシステムを構築・維持する場合と比較して、技術的な陳腐化のリスクを低減できます。

マネージドサービス利用時の注意点

多くのメリットがあるマネージドサービスですが、利用する上でいくつか注意しておきたい点もあります。

  • カスタマイズ性の制約: マネージドサービスは、運用管理を容易にするために、ある程度標準化された構成になっています。そのため、IaaS のように OS レベルから自由にカスタマイズしたい場合には、制約が生じることがあります。要件によっては、IaaS やオンプレミスの方が適している場合もあります。
  • ベンダーロックインの可能性: 特定のクラウド事業者のマネージドサービスに深く依存すると、他のクラウドやオンプレミスへの移行が困難になる「ベンダーロックイン」のリスクがあります。サービス選定時には、将来的な拡張性や移行の可能性も考慮に入れることが重要です。ただし、コンテナ技術(GKEなど)や標準的な技術(SQLなど)を採用することで、このリスクをある程度低減することも可能です。
  • コスト: 一般的に、マネージドサービスは IaaS と比較して、同じリソース量でも単価が高くなる傾向があります。ただし、これは運用管理コスト(人件費、ツール費用など)を含めて考える必要があります。自社で運用する場合の総コスト(TCO: Total Cost of Ownership)と比較して、どちらが有利かを判断することが重要です。多くの場合、運用負荷の削減効果を考慮すると、マネージドサービスの方がトータルコストを抑えられる可能性があります。

XIMIXによるGoogle Cloud活用支援

ここまで、Google Cloudのマネージドサービスの概要とメリットについて解説してきました。「運用負荷を削減できそう」「コア業務に集中できそうだ」と感じていただけたのではないでしょうか。

しかし、実際にどのマネージドサービスをどのように組み合わせ、自社のシステムやビジネスに適用していくかを判断し、導入・移行を進めるには、専門的な知識や経験が必要となる場面も少なくありません。

  • 「自社のどの業務に、どのマネージドサービスが最適なのか判断できない」
  • 「既存システムからマネージドサービスへの移行計画を立てたい」
  • 「マネージドサービスを導入した後の効果的な活用方法を知りたい」
  • 「コスト最適化やセキュリティを考慮した設計・運用を行いたい」

このような課題やお悩みをお持ちでしたら、ぜひ私たち XIMIX  にご相談ください。

XIMIX は、長年にわたり Google Cloud の導入・活用支援を手掛けてきた実績と、豊富な知見を持つ専門家チームを有しています。多くの中堅・大企業様のDX推進をご支援してきた経験に基づき、お客様のビジネス課題やシステム要件を深く理解した上で、最適なマネージドサービスの選定から導入設計、構築、移行、そして導入後の運用最適化や伴走支援まで、一貫してサポートいたします。

私たちは、単に技術を提供するだけでなく、お客様のビジネス成長に貢献することを目指しています。マネージドサービスを活用した運用負荷の削減はもちろん、データ活用基盤の構築、アプリケーション開発のモダナイゼーションなど、お客様のDX推進を加速させるためのご提案が可能です。

XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。

※Google Cloud については、こちらのコラム記事もご参照ください。 
【基本編】Google Cloudとは? DX推進の基盤となる基本をわかりやすく解説
【基本編】Google Cloud導入のメリット・注意点とは? 初心者向けにわかりやすく解説

まとめ

今回は、Google Cloudのマネージドサービスに焦点を当て、その基本的な概念から具体的なメリット、特に運用負荷削減効果について解説しました。

マネージドサービスは、インフラの運用管理を Google Cloud に任せることで、企業が本来注力すべきコア業務やDX推進にリソースを集中させることを可能にする強力な選択肢です。高いスケーラビリティ、可用性、セキュリティを確保しつつ、専門知識の不足を補い、最新技術へ迅速に追従できる点も大きな魅力です。

もちろん、カスタマイズ性の制約やコストに関する考慮点はありますが、運用管理にかかる人件費や工数を含めたトータルコストで考えれば、多くの場合、大きなメリットを享受できる可能性が高いでしょう。

クラウド活用における運用負荷にお悩みの場合、あるいはこれから Google Cloud の導入を検討される場合には、マネージドサービスの活用をぜひ検討してみてください。自社だけで判断が難しい場合は、経験豊富なパートナーに相談することも有効な手段です。

この記事が、貴社のクラウド活用とDX推進の一助となれば幸いです。


クラウド運用負荷を劇的に削減!Google Cloudのマネージドサービスのメリット【入門編】

BACK TO LIST