【徹底検証】Googleの画像生成AI「Nano Banana Pro」は実務に耐えうるか??

 2025.12.17 izumi

こんにちは!
D&A事業本部の泉です。
本TechBlogはTeam xG Advent Calendar 2025 17日目の記事になります。

2025年11月、Google社から「Gemini 3 Pro Image」が突如リリースされました。コードネームの「Nano Banana Pro」という呼び名が定着していますが、その実力は決して名前負けしていません。
これまでの画像生成AIは「趣味のツール」としては優秀でしたが、「実務」で使うには多くのハードル(文字化け、指示無視、日本独特の空気感の欠如など)がありました。

そこで本Blogでは、日本語テキストの精度だけでなく、画質、論理的理解力、修正のしやすさなど、多角的な視点で検証を行います。

 

Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)とは

これまでの画像生成AIの弱点を克服し、非常に高性能なモデルになっています。主な特徴は以下の通りです。

1.文字が正確に書ける

これまで画像生成AIは「文字(看板やロゴなど)」を描くのが苦手でしたが、Nano Banana Proは日本語の漢字、ひらがな、カタカナを含め、正確に文字を描画できます。ポスターや図解の作成に非常に強くなりました。

2.「考えてから描く」思考モード

複雑な指示に対して、AIが一度「どう描けばよいか」を推論(思考)してから画像を生成します。これにより、構図、光の当たり方、物体の配置などが、ユーザーの指示通りに忠実に再現されます。

3.Google検索と連携(グラウンディング)

Google検索のリアルタイム情報を取り込めます。例えば「今の東京の天気を反映した画像」や「最新のスポーツ結果を反映したインフォグラフィック」などを作ることが可能です。

4.4K高画質に対応

従来よりも解像度が上がり、最大4Kサイズの美しく詳細な画像を生成できます。

5.一貫性の保持(キャラクター固定)

最大14枚の画像を参考資料として読み込ませることができます。「このキャラクターで別のポーズを描いて」といった指示でも、顔や服装を固定したまま新しい画像を生成できます。

 

実践検証!4つのテストで実力を測る

【検証①】「文字」は本当に崩れないのか? (Typography)

  • 目的:バナーやチラシ作成の工数削減が可能か確認する。

  • テスト:漢字、カタカナ、ひらがなが混ざった複雑な看板。

  • プロンプト

「昭和レトロな活気ある商店街。八百屋の店先に、大根や白菜が山積みされている。その上に、手書きのマジック文字で書かれたダンボールの札が刺さっている。札には大きく「店主、腰痛のため 本日ヤケクソ価格!」と書かれ、その下に小さく「持ってけドロボー!!」と添えられている。」

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  • 結果:複雑な依頼内容が網羅的に反映されており、漢字・カタカナ・ひらがなの表記に崩れがない。

【検証②】「日本的な文脈」を理解できるか? (Context)

  • 目的: 国内向けWebサイトや資料の素材として使えるか(海外製AIだと日本が変になりがち)。

  • テスト: 日本のオフィスや日常風景の違和感チェック。

  • プロンプト

「日本のIT企業のオフィス風景。カジュアルな服装の社員たちがホワイトボードを使って会議をしている。ホワイトボードにはグラフが描かれている。」

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  • 結果:日本の街中にいそうな、自然な髪型、服装になっており、オフィスに関してもよくある日本オフィスのような画像になっている。

【検証③】複雑な指示(推論)への対応力 (Reasoning)

パターンA:順序とロジック(図解・マニュアル)

  • 目的: AIがロジック(理屈)を理解して正しい順序でイラスト化できるかを測る。

  • テスト: 手順が決まっているものを図解させる。

  • プロンプト

「美味しいコーヒーの淹れ方を3コマ漫画で描いて。 1コマ目:豆を挽く 2コマ目:お湯を注ぐ 3コマ目:カップに注いで完成 左から右へ時間が進むように配置して。」

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  • 結果:「AをしてからBをする」といった時間の流れ因果関係を理解して画像を生成できている。

パターンB:位置関係の正確さ(レイアウト)

  • 目的: デザイナーの「指示通り」に素材を作れるかを確認。

  • テスト: 物体の配置を厳密に指定する。

  • プロンプト

白いテーブルの上。中央に赤いリンゴ、その右隣に青いマグカップ、マグカップの後ろに分厚い本を置いて。

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  • 結果:「右」「後ろ」「中央」という相対的な位置関係を正しく処理できている。

パターンC:抽象概念の可視化(概念図)

  • 目的: 「曖昧なアイデア」を形にする「壁打ち相手」になるか。

  • テスト: 目に見えないものを絵にさせる。

  • プロンプト

「『セキュリティの堅牢さ』をイメージしたインフォグラフィックを作成して。 城壁のような盾が、デジタルデータを守っている様子。安心感のある青色を基調に。」

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結果:「堅牢さ」「安心感」という抽象的な言葉を、盾や色使いという具体的なビジュアルに変換できている。

【検証④】修正と微調整のしやすさ (In-painting / Editing)

  • 目的: 一発出しで終わらず、修正業務に耐えられるか。

  • テスト: 生成された画像の一部だけを変更する。

  • プロンプト(Before)

「木製のテーブルの上に置かれた、湯気が立つホットコーヒー。隣には英字新聞と眼鏡が置かれている。窓の外は明るい新緑の並木道。朝の爽やかな光。」

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  • プロンプト(After)

「コーヒーを「赤いハーブティー」に変更。さらに、窓の外の季節を「雪が降る冬の景色」に変えて。」

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  • 結果:会話形式でピンポイントに修正することが可能。

実際に使って感じた「実務上のメリット・デメリット」

メリット

1.圧倒的な時短
これまで記事や資料作成の際、イメージに合うストックフォトを探すのに30分〜1時間かかっていた作業が、プロンプト入力の1分で完了します。

2.デザイン業務の即戦力になる文字描写力
指定したテキストを正確なスペルとデザインで画像内に配置することができます

3.ストレスフリーな部分修正
一部微修正したい際にチャットで指示するだけで、他の部分は固定したまま違和感なく修正してくれます。

デメリット

1.生成時間が若干長い
1枚の生成に数秒〜数十秒かかることがあるので、若干ストレスに感じる人もいるかもしれないです。

まとめ

検証前は「本当に業務に使えるのか?」と半信半疑でしたが、結果は驚くべきものでした。 デザイナーではないメンバーでも高品質なビジュアルを作れるこの技術は、企業のコンテンツ制作スピードを劇的に変えると思います。まずは一度、その実力を体験してみてはいかがでしょうか。

 


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