[Flows100本ノック] カレンダーイベントのToDo取りこぼし解消フロー

 2025.12.04 XIMIX 江口

 

はじめに

本記事は、Google Workspace Flowsの実践ノウハウを100本紹介する連載「Google Workspace Flows活用方法100本ノック」の一つとなります。  

今回は、日々カレンダーに登録される予定の中から、参加にあたって事前に準備すべきことが何かを明確にすることが目的です。予定の少し前に、「この予定に参加するなら、これを忘れずに実施しておきましょう」と教えてくれれば、準備不足で予定に臨むことは減らせるでしょう。

難易度 初心者向け
実現すること 直近のカレンダー予定で「参加者がやるべきこと」をだけを教えてくれる
想定する対象者 カレンダーの予定が多く、内容をチェックしている時間が無い人
利用サービス Gmail, Google Calendar

活用イメージ

今回作成する機能では、Googleカレンダーの「説明」に書かれた内容だけでなく、カレンダーにリンクされたドキュメントの中のToDoも確認するようにしています。この仕組みにすることの大きな効果は2点あると考えます。

(イベント主催者側)イベントについての案内の書き方フォーマットを揃える必要が無い

カレンダーへの情報の掲載方法は、人によって大きく異なるというのが実情です。カレンダーの説明部分に書くケース、「イベントの詳細はこちらです」と別途スライドなどを案内するケース、いずれもあるでしょう。ただしそれゆえに、参加者が事前にやっておかなければならないことを見落とす、ということも起きかねません。

これに対するイベント主催者(招待者)の従来の対策は、ToDoはスライドからカレンダーの説明にも転記するルールにするだとか、「このイベントに参加する方にはToDoがあります」のように別のリマインドを行うようなものだったかもしれません。

ただし、今回の機構でカレンダーからも添付資料からもToDoを勝手に引っ張ってきてお知らせしてくれるのであれば、あえてそのようなことをやる必要がなくなります

(イベント参加者側)最低限やるべきことを必要最小限の労力で知ることができる

上記のように主催者が送るイベント情報の形式が違うことは、イベント参加者(招待受領者)にとっても負担が大きいものです。長い説明や添付資料があっても読むのを後回しにしたり、タイトルだけ見てToDoがあるとも思わず説明に目を通さないケースも少なくないでしょう。

今回の機構があれば、それらの中身を読んでいなかったとしても「イベント参加に必要なToDoだけ」を抽出して知らせてくれます。それだけで、イベント参加の準備もしやすくなるでしょう。

前提条件

今回のフローを作成するための前提条件は以下となります。Google Workspace Flowsは2025年12月時点ではGemini Alphaプログラムのユーザーのみが利用できるサービスかつまだ提供されて間もないため、このブログの内容が最新ではなくなる可能性があることをご了承ください。
  • 利用環境:Google Workspace Flows(Gemini Alphaプログラム対象テナントで提供)にアクセスできるユーザーであること。
  • 利用アプリ:Gmailで対象メールが受信でき、通知先のGoogle Chatスペース(またはDM)が事前に用意されていること。
  • 社内ルール:メール内容をAIに渡す際の社内ポリシーや情報管理ルールを確認済みであること。

フローの全体図

コーディングをする必要もなく、構成としてもかなり単純です。

イベントの内容をサマライズして、ToDoがあればメールを送る。というだけのものです。メールの部分は他のお好みの通知方法に変えるのも良いでしょう

構築手順

各ステップについて詳細を説明します。

  1. Googleカレンダー
    カレンダーのイベントに基づいて動作させます。すべてのイベントについて、開始時刻が3日後のイベントを対象としました。
  2. ToDoサマライズ
    ここがすべてといっても良いかもしれません。「Content from previous steps」つまりカレンダーイベントの情報からのサマライズを行います。

    Meeting descriptionを対象として、プロンプトの中で「Todoだけ要約して」としました。
    また、要約元のソースを予定の「説明」欄の記載 +  予定の添付物にすることで、今回の目的を実現させています。

    出力の方法をプロンプトで工夫しています
    ① ToDoが無い場合には通知をしたくありません。その仕組みにするための下準備としてToDoが無い場合にはなにも出力しないように指示しました
    ②ToDoをリスト形式で出すうえで、予定の添付ドキュメントにToDo記載がある場合には、そのドキュメント名を出力させます。後で結局「どこにそのToDo書いてあったの?」と迷ってしまうのを避けるためです


  3. メール配信チェック
    直前のサマライズのプロンプトのおかげでシンプルです。サマリーが空でなかったら処理をする分岐です。


  4. メール配信
    ToDoが空でなければ実施します。

    ・宛先は予定への参加者にしました。不参加者含め全員に送ることも出来ます。
    ・タイトル等は任意のもので良いですが、通知であることや、どのイベントに関するものかが分かるのが良いでしょう。ここでもイベントタイトルを入れています。
    ・メール本文の内容も読みやすいようにしてあげればいいと思いますが、ここに多くの情報を載せると、結局元の予定を読むのと労力が変わらなくなるので、出来るだけ少なくしたほうが良いですね。


実行テスト

上記のフローを実際に回してみました。

パターン1. 長い説明の中にToDoが書かれている予定

このような予定です。親切に書いてくれているのですが、量が多いので全員が全て目を通してくれないこともありそうですね。

こちらに対して、Flowsで通知してもらったToDoメールが以下です。

「持ち物」もToDoとして入れてくれました。イベント主催者の書き方に引っ張られずお知らせできるのは助かりますね。

パターン2. 説明と添付ファイルの中にToDoが書かれている

まず、説明の中に「あらかじめやっておいていただきたいこと」があります。

さらに、添付されている前の打合せ「内部Mtg」のメモにもアクションアイテムが書かれています。

このようにToDoが散らばっていることもありそうですね。

こちらに対して、Flowsで通知してもらったToDoメールが以下です。

散らばっていたToDoも1つのメールにまとまりました。あれこれ見に行く手間がなくなりますね。

まとめ

Google Workspace Flowsでもサンプルとして「カレンダーの予定の要約」や「打合せの後で出てきたタスクをメールで送る」のようなものがありました。内容としては類似したものではありますが、説明・添付資料両方から読み込むというアプローチにしたり最小限ToDoだけを送るという形にすることで「取りこぼし解消」という今回の目的に特化させています。

この使い方が有効だと感じた方は、是非利用してみてください。

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