はじめに
データを起点にした意思決定が当たり前になるなか、Google Cloud のデータ分析サービスは「専門家でなくても使える」「安全に運用できる」方向へ進化を続けています。2026年6月29日〜7月5日の期間は、表計算に慣れた担当者が予測分析を行える機能の一般提供(GA)など、実務に直結するアップデートが発表されました。
本記事では、この期間に発表されたデータ分析カテゴリのアップデートから、特に注目したい主要トピック 6 件を抜粋し、業務担当者・IT 部門・経営層の方々にわかりやすく解説します。時系列予測、クエリの割り当て制御、外部サービス連携、BI のバージョン管理まで、現場で役立つ内容をまとめました。
特に Connected Sheets から BigQuery ML の TimesFM モデルを使える機能の GA は、スプレッドシートの延長で予測や異常検知を行える点で、データ活用の裾野を大きく広げるアップデートです。
| 対象期間 | 2026年6月29日〜2026年7月5日 |
| 対象製品 | Google Cloud |
| 対象カテゴリ | データ分析 |
| アップデート件数 | 6件(主要トピック) |
今回のアップデート一覧

アップデート詳細
1. BigQuery / Dataform — データ準備・ワークフローに外部サービスへのアクセスを付与(Preview)
BigQuery(Google Cloud のクラウド型データウェアハウス)のデータ準備(data preparations)やパイプライン、そして Dataform(BigQuery 向けの SQL データ変換・ELT サービス)のワークフローに対し、Google アカウントのユーザー認証情報で実行・スケジュールする際に、追加の外部サービスへのアクセスを付与できるようになりました(2026年6月29日・Preview)。
🔍 何が変わったのか
- BigQuery のデータ準備に、Google Drive へのアクセスを付与できます
- BigQuery のパイプラインに、Google Drive・Bigtable・Knowledge Catalog へのアクセスを付与できます
- Dataform のワークフローに、Bigtable・Google Drive・Knowledge Catalog へのアクセスを付与できます
- いずれも Google アカウントのユーザー認証情報で実行・スケジュールする際に利用でき、拡張アクセスオプションは Preview で提供されます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
Google Drive 上のスプレッドシートや、Bigtable(NoSQL の大規模テーブルデータベース)に蓄えたデータ、Knowledge Catalog(データカタログ・ガバナンスサービス)で管理する情報を組み合わせて処理したいデータエンジニアが、自身の Google アカウントの権限でデータ準備やワークフローを走らせられます。複数のサービスにまたがるデータをひとつの処理の流れで扱いたい場面に適しています。
✨ 導入メリット
- Drive・Bigtable・Knowledge Catalog といった外部サービスと連携でき、データ処理の対象範囲が広がります
- 実行者本人の認証情報でアクセスを制御でき、権限管理の見通しがよくなります
- サービス間のデータ連携を一連の処理にまとめられ、運用の手間を抑えられます
📚 公式ソース
- 製品ドキュメント: Schedule pipelines(BigQuery) / Schedule runs(Dataform)
- リリースノート: Google Cloud release notes - June 29, 2026
2. Cloud SQL for MySQL — MySQL 8.0.45 が既定のマイナーバージョンに
Cloud SQL for MySQL(Google Cloud のマネージド MySQL データベース)で、MySQL 8.0.45 が Cloud SQL for MySQL 8.0 の既定(デフォルト)のマイナーバージョンになりました(2026年6月29日)。新規に作成するインスタンスなどで、標準的に採用されるバージョンが更新されます。
🔍 何が変わったのか
- Cloud SQL for MySQL 8.0 の既定のマイナーバージョンが MySQL 8.0.45 になりました
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
Cloud SQL for MySQL を運用する IT 担当者が、利用中のインスタンスのマイナーバージョンや、新規作成時に採用されるバージョンを把握するうえでの目安になります。マイナーバージョンのサポート方針を確認しながら、運用計画を検討したい場面に役立ちます。
✨ 導入メリット
- 既定バージョンが更新され、標準的な構成を最新のマイナーバージョンで揃えやすくなります
- マネージドサービスとしてバージョンが管理されるため、運用の見通しがよくなります
📚 公式ソース
- 製品ドキュメント: Database versions and version policies(Cloud SQL for MySQL)
- リリースノート: Google Cloud release notes - June 29, 2026
3. BigQuery — reservation の割り当てで principal を指定しクエリをルーティング
BigQuery の reservation(予約。クエリ処理に使う計算リソースの割り当て枠)で、割り当て(reservation assignment)に任意の principal(実行者を表す識別子)を指定できるようになりました(2026年6月30日)。ジョブを実行するユーザー・サービスアカウント・サードパーティ ID に応じて、特定の reservation にクエリを振り分けられます。
🔍 何が変わったのか
- reservation の割り当てに、任意の principal プロパティを指定できます
- ジョブを実行するユーザー・サービスアカウント・サードパーティ ID の識別情報に基づき、特定の reservation にクエリをルーティングできます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
複数の部門やアプリケーションで BigQuery を共用する組織の IT 管理者が、実行者ごとに使う計算リソースの枠を分けたい場面で活用できます。たとえば特定のサービスアカウントが実行するバッチ処理を専用の reservation に振り分ける、といった制御が可能になります。
✨ 導入メリット
- 実行者の識別情報に応じてクエリを振り分けられ、計算リソースの配分をきめ細かく制御できます
- 用途ごとにリソース枠を分けやすくなり、リソース管理の見通しがよくなります
📚 公式ソース
- 製品ドキュメント: Work with reservation assignments(BigQuery)
- リリースノート: Google Cloud release notes - June 30, 2026
4. BigQuery ML — Connected Sheets から TimesFM モデルで予測・異常検知(GA)
BigQuery ML(BigQuery 上で機械学習を扱う機能)の学習済み TimesFM モデルを、Connected Sheets(Google スプレッドシートから BigQuery のデータを扱う機能)から直接利用できるようになりました(2026年7月1日・GA)。AI.FORECAST 関数で予測を、AI.DETECT_ANOMALIES 関数で異常検知を行えます。
🔍 何が変わったのか
- Connected Sheets から、学習済みの TimesFM モデルを BigQuery ML 上で直接利用できます
- AI.FORECAST 関数で時系列の予測を作成できます
- AI.DETECT_ANOMALIES 関数でデータの異常を検知できます
- 本機能は一般提供(GA)です
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
スプレッドシートで日々の売上や需要のデータを扱う業務部門の担当者が、SQL や機械学習の専門知識に頼らず、使い慣れた表計算の画面から将来の予測値を算出したり、想定外の値(異常)を洗い出したりできます。月次・週次の需要予測や、数値の急な変化に気づきたい場面に適しています。
✨ 導入メリット
- 使い慣れた Connected Sheets から予測・異常検知を行え、専門知識がなくても時系列分析に取り組めます
- 学習済みモデルを使うため、モデルの準備なしに予測分析を始められます
- GA のため、本番の業務プロセスに安心して組み込めます
📚 公式ソース
- 製品ドキュメント: Connected Sheets / AI.FORECAST 関数
- リリースノート: Google Cloud release notes - July 1, 2026
5. Looker — リリースチャネル(Rapid / Regular / No channel)を導入(Preview)
Looker(Google Cloud core。BI・データ可視化プラットフォーム)に、バージョン更新のペースを選べる リリースチャネル が Preview で導入されました(2026年7月1日)。Rapid・Regular・No channel の 3 つから選択できます。あわせて、各チャネルの最新バージョンとして 26.10 の展開が開始されています。
🔍 何が変わったのか
- Looker(Google Cloud core)でリリースチャネルを選択できるようになりました(Preview)
- Rapid チャネル: 新機能へ早期にアクセスできますが、SLA(サービスレベル契約)の対象外です
- Regular チャネル: 安定性のバランスを重視し、オプションで「Accelerated Security Patching(セキュリティパッチの前倒し適用)」フラグを利用できます
- No channel: チャネルを指定しない選択肢です
- 各チャネルの最新バージョンとして 26.10 の展開が始まっています
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
Looker を管理する IT 担当者が、新機能をいち早く試したい環境と、安定性を優先したい本番環境とで、バージョン更新のペースを使い分けられます。新機能の検証を進めたい場合は Rapid、業務での安定運用を重視する場合は Regular を選ぶ、といった運用が可能になります。
✨ 導入メリット
- 更新ペースを選択でき、検証環境と本番環境で方針を分けやすくなります
- Regular チャネルではセキュリティパッチの前倒し適用を選べ、セキュリティ運用の選択肢が広がります
- バージョン更新の管理を自組織の方針に合わせて設計しやすくなります
📚 公式ソース
- 製品ドキュメント: Looker (Google Cloud core) release process — Release channels
- リリースノート: Google Cloud release notes - July 1, 2026
6. Oracle Database@Google Cloud — Exascale Storage Vaults に対応(GA)
Oracle Database@Google Cloud(Google Cloud 上で Oracle Database を利用できるサービス)が、Exadata on Dedicated Infrastructure および Exadata VM Clusters 向けに Exascale Storage Vaults をサポートするようになりました(2026年7月2日・GA)。
🔍 何が変わったのか
- Exadata on Dedicated Infrastructure で Exascale Storage Vaults を作成・構成できます
- Exadata VM Clusters を Exascale Storage Vaults とともに作成できます
- 本機能は一般提供(GA)です
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
Oracle Database@Google Cloud で Exadata 基盤を運用する IT 担当者が、Exascale Storage Vaults を用いたストレージ構成を選択できます。Exadata インフラや VM クラスターのストレージ設計を検討する場面で活用できます。
✨ 導入メリット
- Exadata の基盤で Exascale Storage Vaults を利用でき、ストレージ構成の選択肢が広がります
- GA のため、本番運用の構成に安心して採用を検討できます
📚 公式ソース
- 製品ドキュメント: Create an Exascale Storage Vault for an Exadata Infrastructure
- リリースノート: Google Cloud release notes - July 2, 2026
その他のアップデート
上記の主要トピック以外にも、この期間にはバージョン対応や運用に関する告知が発表されています。自組織の利用状況に応じてご確認ください。
- Managed Service for Apache Airflow — 新しいリリースを開始(2026年6月29日): Managed Service for Apache Airflow の新しいリリースが 2026年6月29日に開始されました。全リージョンへの展開が進行中で、地域によってはまだ変更や機能が利用できない場合があります。Google Cloud release notes - June 29, 2026
- Managed Service for Apache Airflow — 新しい Airflow ビルド/イメージを提供(2026年6月29日): Managed Airflow(Gen 3)に新しい Airflow ビルド(composer-3-airflow-2.11.1-build.8 が既定など)が、Managed Airflow(Gen 2)に新しいイメージ(composer-2.17.5-airflow-2.11.1 が既定など)が提供されました。Cloud Composer version list
- BigQuery Migration Service — Cloud Billing アカウントが必須に(2026年6月29日告知): 2026年5月18日以降、BigQuery Migration Service(SQL 変換・移行評価などの機能)の利用にはすべてのユーザーで Cloud Billing アカウントが必要になりました。なお同サービスの料金は引き続き無料です。BigQuery Migration Service の概要
まとめ
2026年6月29日〜7月5日のデータ分析カテゴリは、専門知識がなくても使えるデータ活用と柔軟な運用制御が大きなテーマでした。Connected Sheets から BigQuery ML の TimesFM モデルで予測・異常検知ができる機能の GA は、表計算に慣れた担当者が予測分析に踏み出せる点で、現場へのデータ活用の浸透を後押しします。
また、BigQuery reservation の principal 指定は実行者ごとの計算リソース制御を、BigQuery・Dataform の外部サービス連携は Drive・Bigtable・Knowledge Catalog をまたいだデータ処理を可能にします。Looker のリリースチャネルや Cloud SQL for MySQL 8.0.45 の既定化、Oracle Database@Google Cloud の Exascale Storage Vaults も、運用の柔軟性と安心感を高めるアップデートです。いずれも自組織の利用状況に照らして、活用できるものをご検討ください。
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- XIMIX について: https://ximix.niandc.co.jp/about-ximix
参考資料
- Google Cloud Release Notes: https://cloud.google.com/release-notes
- 2026-06-29: Google Cloud release notes - June 29, 2026
- 2026-06-30: Google Cloud release notes - June 30, 2026
- 2026-07-01: Google Cloud release notes - July 1, 2026
- 2026-07-02: Google Cloud release notes - July 2, 2026
- BigQuery リリースノート: https://cloud.google.com/bigquery/docs/release-notes
- カテゴリ:
- クラウド
- キーワード:
- Google Cloud