[Google Cloud Next '26 Las Vegas] セッション参加レポート - AI全社展開を阻む本当の壁

 2026.04.24 XIMIX 佐々木

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Google Cloud Next '26 Las Vegasとは

Google Cloud Next '26は、2026年4月22日から4月24日の3日間、アメリカ・ラスベガスのMandalay Bayにおいて開催されるGoogleのクラウドサービスに関する世界最大級のイベントです。「ディープ ラーニング、刺激的なセッション、共同での問題解決など、充実した 1 週間になることでしょう。業界の専門家や、あなたと同じ課題や機会に直面している同業者から直接学ぶチャンスです。Next 26 を終える頃には、他では得られない斬新なアイデア、最先端のスキル、行動につながる知見を身につけていることでしょう。」と銘打っており、AIコンテンツで大いに盛り上がった昨年や一昨年にも勝るとも劣らないイベントとなることが期待されます。

私たちNTTインテグレーションも、Google Cloudに精通した専門家として、技術イノベーションの最新動向を取り入れ、顧客に対するソリューション提供に活かしていくことを目指して参加しています。

このような貴重な機会ですので、現地からいち早くブログで最新情報や熱量を発信してまいります。

本記事で紹介するセッション概要

講演日時:2026年4月22日 12:15 - 13:30
セッションタイトル:Drive agency-wide adoption and impact with AI
セッション内容のサマリ:企業のAIパイロット運用が停滞してしまうのは、チームの実際の働き方に即していないからです。センターポイント・エナジー(CenterPoint Energy)社がいかにして、既存のビジネスロジックにAIを直接組み込むプラットフォーム「Helix」を構築したかをご紹介します。

Helixは、業務への「関連性」を重視した設計により、73%を超えるアクティブなエンゲージメントを達成しています。キャップジェミニ(Capgemini)社との提携により、HelixはADKやVertex AIから、LookML、FirestoreDB、BigQueryに至るまで、Google Cloudの包括的なAIおよびデータ製品ポートフォリオを活用しています。本セッションでは、単なる「孤立したツール」の域を超え、真の価値を生み出すための「インテリジェンスの結合組織(コネクティブ・ティシュー)」をいかに構築すべきかを探ります。

このセッションで期待できること

本セッションを選んだきっかけとして、概要に記載のあったサービスがアプリ開発をしている私の領域に関連していたことから注目したのですが、技術的な側面よりもどうすればエージェントを組織全体に使ってもらえるかやエージェントを活用するための仕組みづくりなども学べればと思い臨みました。

セッション内容

このセッションはモデレーターを中心に、複数の業界リーダーが順番に発言するパネル形式で進行しました。「AIの組織全体への展開において何が最大の課題か」という問いに対し、登壇者たちは一様に「技術の問題ではなく、組織・文化・人の問題だ」と答えました。以下、議論の柱となったテーマ別にご紹介します。

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1. エージェント展開を阻む「組織の壁」

登壇者たちが共通して指摘したのは、AIの全社展開において「技術の統合よりも組織内部の統合の方がはるかに難しい」という点でした。セキュリティ要件の充足やシステム連携といった技術的なハードルはむしろ解決しやすく、真の障壁は組織的な摩擦——つまり、誰がアクセス権を持つか、誰が推進するか、変化をどう受け入れてもらうかという人的・構造的な問題にあるとのことでした。

ある登壇者は、わずか4人のチームとGoogleのパートナー支援により、4万3000の政府機関のユーザー全員にわずか4日で展開を完了した事例を紹介していました。経営層の強いコミットメントによってアクセス権と許可が付与されたことが、この驚異的なスピードを実現した最大の要因だったと語りました。

ポイント:エージェントを利用する仕組みづくりを支援せよ
技術的な実装だけでなく、権限設計・展開計画・ステークホルダー調整まで含めた「展開の仕組みづくり」こそ私たちパートナーの付加価値になる。

2. 「データレイク集約」から「エージェント型アクセス」へ

「まずデータを一か所に集めてからAIに渡す」という従来のアプローチからの脱却が強く促されました。登壇者の一人は、政府機関のデータが非常に強固なサイロの中に存在している現実を踏まえつつ、「今やエージェント型アプローチとデータの意味付け階層を組み合わせることで、データがどこにあっても自然言語でアクセスし活用できる」と述べ、データの物理的な移動なしにAIを活用できる新しいアーキテクチャの重要性を強調しました。

また、まずはローコード型のシンプルなエージェント(逐次処理・単一エージェント)から始め、段階的にエージェント型ワークフローを拡張していくアプローチが現実的だとも語られました。

ポイント:データ基盤提案構成の転換
顧客のデータ基盤整備において、「集約してから活用」という設計ではなく、既存のデータをそのままエージェントから活用できるアーキテクチャ提案が求められるようになる。BigQueryのCross-Cloud Lakehouseやナレッジカタログなどの組み合わせを視野に入れた提案が重要。

3. 業務変革の起点は「感情」:従業員体験へのアプローチが鍵

複数の登壇者が強調したのは、AI導入効果を効率や数字だけで語るのではなく、「従業員が日々感じる負担を減らす」という感情的な満足感を起点にすることの重要性です。管理業務・繰り返しタスクの自動化によって本来の業務に集中できるようになると、従業員が自発的に「もっと使いたい」と感じるようになり、それが組織全体への自然な普及を加速させるとのことでした。

また、「従業員にAIを遊べる場所(サンドボックス)を提供する」「個別のユースケースを押し付けず、組織内で活用先を自ら見つけさせる」というアプローチも有効とされました。さらに、「今年はエージェントの年」として、従業員の役割が「タスクを実行する」から「エージェントを監督する」へと変わりつつあるという認識も共有され、全従業員がエージェント監督スキルを持つことが新たな標準となると語られました。

ポイント:従業員の体験にアプローチ
顧客へのAI導入支援においては、システム実装だけでなく「従業員が感じる変化の体験設計」まで踏み込んだ提案が差別化になる。変革管理・AIリテラシー研修・サンドボックス環境の提供など、技術以外の支援メニューの充実が今後ますます重要になる。

まとめ・感想

本セッションを通じて強く感じたのは、AIの組織全体への定着において「技術はもはや障壁ではない」という現実です。登壇した各業界のリーダーたちが口々に語ったのは、変革を阻む真の壁は組織文化・変更管理・人材育成にあるという点でした。

また、「組織の壁を越えてAIを全社に定着させる」という課題は、まさに私が所属するチームが提供する「danect⁺ 課題解決ワークショップ」が向き合っている問題そのものです。技術導入の前段階として「何を解決すべきか」「どこから始めるべきか」を明確にすることが、スケールする全社展開への最も確実な第一歩だと、本セッションを通じてあらためて確信しました。AIの活用を検討されているお客様には、ぜひこの課題解決ワークショップを起点としたアプローチをご提案していきたいと思います。

 

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