Gemini×NotebookLMで業務レポートが完成?|丸ごとAI業務レポートの作り方【後編】

 2025.12.11 shinichi murase

後編のテーマは「AIレポートを経営層向けプレゼン資料に変える」

 

こんにちは。

D&A事業本部の村瀬です。

本TechBlogはTeam xG Advent Calendar 2025 11日目の記事になります。

前編のおさらい

前編では、以下の流れで口コミ分析の基本形を完成させました。

  1. ✅ Geminiで口コミを100件自動収集
  2. ✅ NotebookLMで分析環境を準備
  3. ✅ 個別分析で「属性別・時系列・テーマ別」の多角分析を実施
  4. ✅ 自動分析機能でBriefing Docやマインドマップを生成

 

では、このレポートをさらに経営層や幹部に報告できるレベルの資料に昇華させるには、どうすればいいのでしょうか?

 

後編では、ステップ5~6の高度な仕上げテクニックと、Gemini Canvasを使ったプレゼン資料の自動生成の手順をお届けします。

 

🎯 ステップ5:NotebookLMで「詳細レポート」作成

使用ツール: NotebookLM Enterprise

前編で「個別分析」と「自動分析」を行いましたが、経営層に報告する際にはもう一段階の仕上げが必要です。

初めに「レポートテンプレート」を準備します。

この「レポートテンプレート」をNotebookLMのチャットに入力するだけで、想像以上に完成度の高いレポートが生成されます。

なぜ「テンプレート化」するのか

NotebookLMにいきなり「レポート作成してください」と指示しても、こちらの意図と異なるコンテンツが生成される可能性があります。

解決策:「事前に標準的なレポートテンプレートを作成しておく」

テンプレートプロンプト例(コピペ用)

【実行前に】このノートブックのデータについて、あなたが「わかったこと」を3点教えてください。

【データ分析実行】
このノートブック内の情報だけを使って、以下の構成で日本語のレポートを作成してください。

1. サマリー(5〜7行)
   - 分析対象商品の概要
   - 最重要な発見事項
   - 経営層向けのひと言推奨

2. 背景・目的
   - なぜこの商品を分析するのか
   - 分析方法とデータ件数

3. 主要ポイント(見出し+箇条書き)
   - ポジティブな評価トップ3
   - ネガティブな評価トップ3
   - 「投稿者の性別・年代」「投稿年月」の傾向分析を含める

4. 詳細説明(テーマ別)
   - 【テーマ1】カメラ性能について
   - 【テーマ2】バッテリー・充電について
   - 【テーマ3】価格と満足度について
   - 【テーマ4】その他の評価ポイント

5. 結論と示唆
   - このデータから読み取る市場機会
   - 製品改善に向けた推奨アクション
   - 次の検討課題

各セクションに見出しを付け、社内共有レポートとしてそのまま使える文体で書いてください。

【出力形式】
Wordやメール本文として貼り付けられるテキスト形式でお願いします。

💡 このテンプレートのポイント

ポイント1:「あなたがわかったことを3点」と先に聞く理由

  • 筆者(AI)に「背景理解」をさせる
  • その背景を踏まえた方が、より的確で説得力のあるレポートが生成される
  • 修正作業が減る

ポイント2:「ノートブック内の情報だけを使って」と限定する理由

  • ハルシネーション(AIが作った架空の情報)を防ぐ
  • 事実に基づいた分析レポートが完成する

ポイント3:テーマ別に「詳細説明」を構成する理由

  • 単なるランキングや傾向では説得力がない
  • 「なぜそうなのか」という背景を記載することで、改善アクションが浮かびやすくなる

■作成されるレポート例

iPhone Air 口コミ分析ブリーフィング

概要:
このドキュメントは、iPhone Airに関する口コミデータを分析した結果をまとめたものです。軽量薄型デザイン、カメラ性能、バッテリー性能、価格、その他の機能に関するユーザーの意見を分析し、製品の強みと弱みを明らかにします。

主なテーマと考察:
軽量薄型デザイン:圧倒的な高評価。多くのユーザーがその軽さと薄さを賞賛しており、長時間使用しても手が疲れにくい点、持ち運びやすさを利点として挙げています。
例: 「薄くて軽いのが本当に最高!長時間持っていても手が疲れなくて、まるでディスプレイだけ持っているみたいだ。」 (30代, 男性)
例: 「iPhone 6が太って見えるほどの薄さ。薄型化への執念を感じる。」 (不明, 女性)
ただし、薄すぎるゆえに滑りやすく、落下のリスクを懸念する声も存在します。


中略


結論:
iPhone Airは、軽量薄型デザインを重視するユーザーにとって魅力的な選択肢です。しかし、カメラ性能やバッテリー性能、価格などの面で妥協が必要となる可能性があります。購入を検討する際は、自身の利用状況や優先順位を考慮することが重要です。

今後の展望:

次期モデルでは、バッテリー性能の改善が期待されます。
カメラ性能に関しては、超広角レンズの搭載、または画像処理技術のさらなる向上が望まれます。
eSIM専用であることのデメリットを解消するため、物理SIMとの両対応を検討する価値があります。
ユーザーからの要望を踏まえ、より魅力的なカラーバリエーションの追加も検討すべきでしょう。
この分析が、iPhone Airに関する理解を深め、今後の製品開発に役立つことを願います。

🎨 ステップ6:Gemini Canvasで「プレゼンテーション資料」に自動変換

使用ツール: Gemini Canvas(新機能)

ここが最終段階です。作成したレポートをプレゼンテーション資料(Google Slides経由でPowerPoint形式にも出力可能)に自動変換します。

Gemini Canvasとは

Geminiの最新機能で、AIが企画書やレポートのドラフトを生成し、トーン変更、要約、言い回し改善を直接編集できるワークスペースです。完成資料はGoogleドキュメントやスライドへエクスポート可能で、文書作成・資料仕上げの効率化を実現します。

今回はこの機能を使って作成した分析レポートからGoogle Slides形式のプレゼンテーションを見栄えよく自動生成できます。

プロンプト例

iPhone Air向けの口コミ分析の手法を下記のレポートにまとめました。
このレポートからPowerPoint形式のプレゼンテーションを作成してください。

【資料の要件】
- スライド数:10枚前後
- 対象者:経営層・部長クラス
- 目的:データに基づいた改善提案の承認取得
—---
[ステップ5で作成したNotebookLMレポート全文をここに貼り付け]
—---

💡 このプロンプトのポイント

希望するプレゼンテーション構成やスタイルを記述することで、より的確な資料に仕上げることができます。

補足1

構成やデザインに希望があればスライド構成やスタイルを追加指定することもおすすめです。

以下はプロンプト例です。

【スライド構成】
- スライド1: タイトルスライド
- スライド2: 分析概要
- スライド3: 主要な発見事項トップ3


【デザイン指定】
- カラー:青系統
- フォント:ゴシック系
- グラフ:棒グラフ・折れ線グラフを適切に使用
- 各スライドに図解やビジュアルを挿入

補足2

現時点では、Gemini Canvasからのプレゼンテーション出力形式はGoogle Slidesとなっています。そのため、一旦「スライドにエクスポート」を実行し、Google Slidesで利用するか、Google Slidesで開いた後にPowerPoint形式でダウンロードを行ってください。

(下記キャプチャ参照)

1.スライドにエクスポート



2.しばらくすると画面左に下記メッセージが表示されるので「スライドを開く」をクリックするとGoogle Slidesが起動します。

Gemini Canvasの出力結果

  1. ✅ 見出しと本文の自動配置
  2. ✅ グラフ・チャートの自動挿入(データに基づいたビジュアル)
  3. ✅ カラーリングの統一
  4. ✅ アニメーション効果の設定(あれば)
  5. ✅ 経営層向けの表現への自動変換

所要時間:わずか数分で完成!

 

ここまでが本Blogのメイン記事です。

🎯 最後に:生成AIで変わる「ビジネス現場」

従来、ビジネス分析は「高度な専門知識を持つ一部のプロ」だけの領域でした。

しかし今、生成AIにより「普通のビジネスパーソン」でも分析レポート作成が可能になりました。

  • 📊 データ収集が自動化 → 手作業が大幅削減
  • 🤖 分析が自動化 → 専門知識不要
  • 📈 資料化が自動化 → デザイナー不要

従来、データ分析とは「高度な専門知識を持つ一部のプロ」にしか許されない聖域でした 。しかし、GeminiやNotebookLMといった生成AIの登場により、その状況は一変しました。データ収集は自動化され、煩雑な手作業が削減され 、専門知識がなくとも分析自体が自動で実行されます 。つまり、「分析ができるか、できないか」という技術的な壁は、もはや存在しないのです。

分析はAIに任せ、人間は「業務変革」に集中するべきです。今こそ、この新しい環境を最大限に活用し、業務のスピードと質を飛躍的に向上させる「チャレンジの時」です 。

以降は、前編・後編を通じた実務活用のまとめとなります。

💼 実務活用例|企業内での運用方法

これまで学んだ手法を、企業内でどのように活用するかを想定してみましょう。

活用パターン1:CS部門(コールセンター)での活用

従来の流れ

  • オペレーターが顧客の声を聞く
  • 手作業で月次レポート作成(3~5日かかる)
  • 経営層への報告

生成AI活用後

  • オペレーターが顧客の声を聞く
  • 音声データ → NotebookLMで自動分析(数時間で完成)
  • Gemini Canvasで報告資料を自動生成
  • 翌営業日に経営層へ報告

削減時間:従来の80~90%カット

活用パターン2:マーケティング部での活用

従来の流れ

  • 競合調査や市場分析に数週間
  • マーケティング会社へ外注(数十万円のコスト発生)

生成AI活用後

  • Geminiで業界情報収集(数分)
  • 口コミ分析(数時間)
  • 自社商品の改善提案を月1回のペースで経営層に報告

削減コスト:外注費の99%削減 + 時間の90%削減

活用パターン3:新製品開発チームでの活用

従来の流れ

  • 消費者リサーチ(外注で数百万円)
  • 開発案の検証に2~3ヶ月

生成AI活用後

  • 競合商品の口コミ分析で改善ポイント抽出(1週間)
  • 複数の改善案をプロトタイプとして提示
  • 市場ニーズとのマッチング度を可視化してから開発開始

時間削減:従来の50%程度で完成

 

📌 生成AIの「役割分担」が明確に見える

このワークフローを通じて、ツール(Gemini、NotebookLM)の役割分担が明確になります。

 

ツール

役割

強み

Gemini

データ収集、背景理解、プレゼン資料化

広範な知識、変換スピード、多角的な視点

NotebookLM

データ分析、レポート生成

事実に基づいた分析、ハルシネーション少ない、使いやすい

正しいツールを正しいフェーズで使う = 最高の効率化

 

⚡ 生成AI分析の「これからのトレンド」

生成AIの進化は止まりません。今後注目される機能は以下の通りです。

2026年に期待される新機能

  1. マルチモーダル分析 → 音声データ、テキスト、画像、ビデオを同時分析
  2. リアルタイム分析 → SNSやWebデータをリアルタイムで自動収集・分析
  3. 予測分析 → 「今後の市場トレンド予測」を生成AI統合で実施
  4. 個別カスタマイズ → 業界・企業ごとの専用分析エンジン

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