Google Workspaceの活用が不十分な部門や個人に対して、どのようなサポートやトレーニングを提供すべきか?

 2025,05,29 2025.05.29

はじめに

多くの企業で導入が進む Google Workspace。その多機能性とコラボレーション促進力は、DX推進や生産性向上に大きく貢献するポテンシャルを秘めています。しかし、「全社的に導入したものの、一部の部門や特定の従業員の間で活用が進んでいない」「期待したほど情報共有や業務効率化に繋がっていない」といったお悩みを持つ企業のご担当者様も少なくないのではないでしょうか。

Google Workspace のような強力なツール群も、実際に使う人がその価値を理解し、日々の業務で活かせてこそ真価を発揮します。では、活用が不十分な部門や個人に対して、企業は具体的にどのようなサポートやトレーニングを提供すれば、状況を改善し、Google Workspace のポテンシャルを最大限に引き出すことができるのでしょうか?

本記事では、この問いに答えるべく、まずは利用状況を正確に把握するための分析方法から説き起こし、その上で効果的なサポート体制の構築やターゲットに応じたトレーニングプログラムの具体的な提供方法について、実践的なポイントを交えながら解説します。組織全体の Google Workspace 活用度を高め、DX推進を加速させるための一助となれば幸いです。

なぜ「活用が不十分な部門や個人」への対策が重要なのか?

組織全体で Google Workspace の導入効果を最大化するためには、特に活用が遅れている部門や個人への対策が不可欠です。その理由は以下の通りです。

①投資対効果(ROI)の最大化

Google Workspace の導入にはコストが伴います。一部のユーザーしか活用していない状態では、投資に見合う効果が得られているとは言えません。活用が進まない層を底上げすることで、初めて組織全体の生産性が向上し、ROIの最大化に繋がります。

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②コラボレーションの質の向上とサイロ化の防止

一部の部門や個人が Google Workspace を活用していないと、情報共有の断絶や業務プロセスの非効率が生じやすくなります。これが部門間のサイロ化を招き、組織全体のコラボレーションを阻害する要因となり得ます。全員が共通のプラットフォームで円滑に連携できる環境を整えることが重要です。

③DX推進のボトルネック解消

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、一部の先進的な部門だけでなく、組織全体で取り組むべきものです。Google Workspace の活用は、その基盤となるデジタルリテラシーの向上や、データドリブンな働き方への移行を促します。活用が不十分な層は、DX推進全体のボトルネックとなり得るため、積極的な支援が求められます。

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利用状況の分析:サポート・トレーニングの第一歩

効果的なサポートやトレーニングを提供するためには、まず「誰が」「どのツールを」「どの程度」活用できていないのかを正確に把握する必要があります。

①管理コンソールレポートの活用

Google Workspace の管理者は、管理コンソールから組織全体の利用状況に関する様々なレポートにアクセスできます。

  • アクティブユーザーの動向: 定期的にアクティブユーザー数を確認し、特に活動が見られないユーザーや部門を特定します。
  • 各アプリの利用データ: GmailGoogleドライブGoogle MeetGoogle チャット など、主要なアプリケーションごとの利用頻度やデータ量を確認し、あまり使われていないツールを特定します。
  • ストレージ利用状況: Googleドライブの利用状況を確認し、ファイルの保存・共有が適切に行われているか評価します。

これらの定量データは、課題のある部門や個人を特定するための客観的な指標となります。

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②アンケートやヒアリングによる課題の深掘り

定量データだけでは見えてこない「なぜ活用が進まないのか」という理由を明らかにするために、アンケートやヒアリングを実施します。

  • 従業員アンケート: Google フォームなどを活用し、各ツールの利用頻度、困っていること、必要なサポート、トレーニングへの要望などを収集します。匿名性を担保することで、率直な意見が集まりやすくなります。
  • 部門ヒアリング: 特に利用率が低い部門のマネージャーやメンバー、あるいは逆に活用が進んでいる部門のキーパーソンにヒアリングを行い、具体的な課題やニーズ、成功事例などを深掘りします。

これらの定性情報を組み合わせることで、より的確なサポート・トレーニング計画の立案に繋がります。

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効果的なサポート・トレーニングの具体的な提供方法

分析結果に基づき、活用が不十分な部門や個人に対して、具体的かつ効果的なサポート・トレーニングを提供していくための方法を見ていきましょう。

1. ターゲットに合わせたトレーニングプログラムの設計と実施

画一的な内容ではなく、対象者のスキルレベルや業務内容、課題に応じてカスタマイズされたトレーニングが効果的です。

  • 基礎トレーニングセッション:
    • 対象者: Google Workspace の利用経験が浅い、または基本的な操作に不安がある個人や部門。
    • 内容: Gmail の効率的な使い方、Google カレンダーでのスケジュール共有、Google ドライブでのファイル整理・共有の基本、Google Meet での会議参加方法など、日常業務で必須となる操作を中心にハンズオン形式で丁寧に解説します。
    • ポイント: 少人数制で質問しやすい雰囲気を作り、成功体験を積んでもらうことを重視します。

  • 応用・業務特化型トレーニング:
    • 対象者: 特定のツールは使っているが、より高度な機能や業務への応用方法を知りたい個人や部門。
    • 内容: 例えば、営業部門向けには顧客情報管理や提案資料の共同編集テクニック、企画部門向けには Geminiや Google スライドを活用したアイデア創出・プレゼンテーション手法など、具体的な業務シーンを想定した実践的な内容を提供します。
    • ポイント: 参加者同士の活用事例共有やディスカッションを取り入れ、学びを深めます。

  • 「苦手意識克服」ワークショップ:
    • 対象者: 特定のツールに対して苦手意識を持っている、または過去に使いこなせなかった経験がある個人。
    • 内容: なぜ苦手なのかを丁寧にヒアリングし、そのハードルを乗り越えるための個別のサポートや、簡単な成功体験を積めるような課題設定を行います。
    • ポイント: ポジティブなフィードバックを重視し、小さな進歩を称賛することでモチベーションを高めます。

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2. 多様な学習機会とリソースの提供

一度のトレーニングだけでなく、継続的に学び、疑問を解消できる環境を整えることが重要です。

  • オンライン学習コンテンツの整備:
    • 動画チュートリアル、操作マニュアル(図解入り)、FAQ集などを社内ポータル(例: Google サイトで作成)に集約し、いつでも誰でもアクセスできるようにします。短い時間で学べるマイクロラーニング形式のコンテンツも有効です。

  • 定期的なQ&Aセッションや相談窓口の設置:
    • 月に一度のオンライン相談会や、チャットベースのヘルプデスクを設け、従業員が気軽に質問できる場を提供します。

  • 社内ユーザーコミュニティの醸成:
    • Google Chat のスペースなどを活用し、従業員同士が活用方法を教え合ったり、便利な使い方を発見・共有したりできるコミュニティを形成します。成功事例の共有は、他の従業員のモチベーション向上にも繋がります。

3. 伴走型のサポート体制とフォローアップ

トレーニングを実施して終わりではなく、その後の定着化まで見据えたサポートが重要です。

  • 部門別推進担当者の任命と育成:
    • 各部門に Google Workspace 活用推進のキーパーソン(アンバサダー)を任命し、彼らが部門内の啓蒙活動や小規模な勉強会の開催、初期的な問い合わせ対応を行えるように支援します。

  • 活用状況の定期的なモニタリングとフィードバック:
    • トレーニング後も利用状況データを定期的に確認し、改善が見られない場合は追加のフォローアップや個別指導を行います。

  • 成功事例の積極的な共有と表彰:
    • Google Workspace を活用して業務改善や成果を上げた部門や個人を表彰し、その事例を社内報やポータルサイトで共有することで、他の従業員の模範となり、活用意欲を高めます。

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サポート・トレーニングを成功に導くための重要な視点

これらの施策を効果的に進めるためには、以下の視点を持つことが不可欠です。

  • 経営層のコミットメントとメッセージ発信: 経営層自らが Google Workspace 活用の重要性を理解し、そのメリットや期待を社内に継続的に発信することで、従業員の意識改革を促します。
  • 「やらされ感」ではなく「自分ごと」にするための動機付け: なぜ Google Workspace を使う必要があるのか、それによって自身の業務がどう楽になるのか、会社にどんなメリットがあるのかを丁寧に説明し、共感を呼ぶことが重要です。
  • 現場の声を丁寧に拾い上げ、改善に繋げるサイクル: 一方的な押し付けではなく、現場の課題や要望に耳を傾け、サポート内容やトレーニングプログラムを柔軟に見直していく姿勢が求められます。
  • 長期的な視点での取り組み: 活用の定着には時間がかかります。短期的な成果だけでなく、長期的な視点で根気強く取り組みを継続することが成功の鍵です。

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XIMIXによるGoogle Workspace活用・定着化支援

ここまで、Google Workspace の活用が不十分な部門や個人へのサポート・トレーニングについて解説してきましたが、これらの施策を自社だけで企画・実行するには、専門知識やリソース、時間が必要となる場合も少なくありません。

私たちXIMIXは、Google Cloud および Google Workspace の導入支援から活用促進、定着化に至るまで、お客様の状況に合わせた包括的なサービスを提供しています。

  • 現状分析・課題特定サービス: お客様の Google Workspace 利用状況を詳細に分析し、部門や個人の課題を明確にします。
  • トレーニング: 経験豊富な講師が、お客様の業種・業務内容やスキルレベルに合わせた最適なトレーニングプログラムを企画・実施します。基礎から応用、管理者向けまで幅広く対応可能です。
  • 活用促進コンサルティング: トレーニングだけでなく、社内への情報発信、マニュアル整備、ヘルプデスク体制の構築支援など、Google Workspace の活用を組織全体に浸透させるための施策をトータルでご支援します。
  • 伴走型サポート: お客様のDX推進パートナーとして、計画の実行から効果測定、改善まで、継続的にサポートいたします。

多くの企業様をご支援してきた実績とノウハウを基に、お客様が抱える「Google Workspace をもっと活用したいが、どうすれば良いかわからない」という課題を解決し、組織全体の生産性向上とDX推進の実現に貢献します。

Google Workspace の社内活用やトレーニングに関するお悩みは、ぜひお気軽にXIMIXにご相談ください。 

XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。

まとめ

Google Workspace の活用が不十分な部門や個人へのサポート・トレーニングは、組織全体の生産性向上、コラボレーション活性化、そしてDX推進を成功させるための重要な取り組みです。

本記事でご紹介したように、まずは利用状況を正確に分析し、課題を特定することから始めましょう。そして、対象者のニーズに合わせた多様なトレーニング機会を提供し、継続的なサポートとフォローアップを行うことが不可欠です。経営層の理解とコミットメントを得ながら、現場の声を反映し、長期的な視点で取り組むことで、Google Workspace は必ずや皆様の組織にとって強力な武器となるはずです。

最初の一歩として、自社のGoogle Workspaceの利用レポートを確認してみる、あるいは活用に悩んでいる従業員に声をかけてみることから始めてみてはいかがでしょうか。


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