【初心者向け】Google Workspace管理コンソールとは?主要機能と導入時の初期設定ガイド

 2025,04,21 2025.06.30

はじめに

企業のDX推進において、コミュニケーションとコラボレーションの基盤となるグループウェアの選択は、事業の生産性を左右する重要な経営判断です。なかでもGoogle Workspaceは、その直感的な操作性と豊富な機能から多くの企業で導入が進んでいます。

しかし、導入を決めた、あるいは検討中の管理者の方から、このような声をお聞きすることが少なくありません。 「多機能なのは理解しているが、まずどこから手をつければ良いのかわからない」 「自社のセキュリティポリシーを、具体的にどう設定に反映すれば良いのか不安だ」 「オンプレミス環境の管理に慣れているため、クラウドベースの管理に戸惑いを感じる」

本記事では、Google Workspaceの導入を検討されている、または導入初期段階にある管理者様を対象に、Google Workspaceの「司令塔」である管理コンソールに焦点を当てます。基本的な役割から、組織の安全と効率を守るための主要機能、そして導入後すぐに着手すべき初期設定まで、企業のIT管理者が押さえるべきポイントを網羅的かつ分かりやすく解説します。

この記事が、管理コンソールの全体像を掴み、効果的な運用の第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

Google Workspace 管理コンソールとは?

Google Workspace 管理コンソールは、組織のGoogle Workspaceアカウント全体を、ウェブブラウザ上で一元的に管理・設定するための専用インターフェースです。管理者はこのコンソールを通じて、セキュリティポリシーの策定、ユーザーアカウントの管理、アプリケーション利用ルールの設定、デバイスの制御など、組織のITガバナンスに関わるあらゆる操作を行います。

いわば、組織のGoogle Workspace環境における「コックピット」であり、その設定一つひとつが、組織の生産性とセキュリティレベルを直接的に決定づける重要な役割を担っています。

管理コンソールへのアクセス方法

特権管理者アカウントでGoogleにログイン後、画面右上のアプリランチャー(9つの点のアイコン)から「管理」を選択するか、ブラウザで直接 admin.google.com にアクセスすることでサインインできます。アクセス権限は、付与された管理者の役割によって異なります。

【機能解説】管理コンソールの全体像を掴む

管理コンソールは非常に多機能です。ここではまず、組織運用に不可欠な「基本機能」と、より高度な統制を実現する「応用・セキュリティ強化機能」に分けて、その全体像を見ていきましょう。

基本機能編:組織運用の土台を築く

ここでは、まず押さえておくべき基本的な機能をご紹介します。

ユーザー管理

従業員の入社・異動・退職に伴うユーザーアカウントのライフサイクル管理を行います。具体的には、アカウントの作成・編集・削除、パスワードのリセット、組織部門への割り当てなどが含まれます。また、特定の目的(例: info@company.com)で利用する「グループ(メーリングリスト)」の作成・管理もここで行います。

アプリケーション管理

Gmail、Googleドライブ、カレンダーなど、組織で利用する各Google Workspaceアプリケーションの有効化/無効化や、機能ごとの詳細な利用権限を設定します。 例えば、「全社的にGmailを有効にするが、特定の部署のみGoogle Meetの録画機能を許可する」「Googleドライブでのファイル共有は、原則として組織内のみに制限する」といった、組織のルールに合わせた柔軟な制御が可能です。

デバイス管理

従業員が業務で利用するPC、スマートフォン、タブレットといったデバイスを管理し、セキュリティを確保します。基本的なモバイルデバイス管理(MDM)機能により、紛失・盗難時のリモートワイプ(遠隔データ消去)や、パスワードポリシーの強制、業務アプリと個人アプリの分離(Android)など、情報漏洩リスクを低減するための重要な設定が可能です。

関連記事:【Google Workspace】アカウント棚卸の基本|コスト削減とセキュリティ強化を実現する手順

応用・セキュリティ強化編:企業の情報を守り抜く

中堅〜大企業において、Google Workspaceを安全に活用するためには、より高度なセキュリティ機能の理解と設定が不可欠です。

高度なセキュリティ設定

企業の重要資産である情報を守るため、多層的な防御を実装します。

  • 2段階認証プロセス(MFA)の強制: 不正ログイン対策の基本であり、最も効果的な設定の一つです。

  • パスワードポリシーの強化: 文字数や複雑性の要件を定め、脆弱なパスワードを排除します。

  • アラートセンター: 不審なアクティビティや潜在的なセキュリティリスクを自動で検知し、管理者に通知します。脅威への迅速な初動対応を可能にします。

データ損失防止(DLP)

GmailやGoogleドライブでやり取りされる情報の中に、事前に定義した機密情報(例: 個人情報、クレジットカード番号、マイナンバー、社外秘キーワードなど)が含まれていないかをスキャンし、ルールに基づいて情報の送信や共有をブロック・警告する機能です。意図しない情報漏洩を未然に防ぐための強力なセーフティネットとなります。

コンテキストアウェアアクセス

ユーザーの状況(誰が、どのデバイスから、どのIPアドレスから、どの場所からアクセスしているか)に応じて、Google Workspaceへのアクセス可否を動的に制御する、ゼロトラストの考え方に基づいた高度なセキュリティ機能です。例えば、「社内ネットワークからのアクセスは許可するが、海外からの不明なIPアドレスからのアクセスはブロックする」といった制御が可能になります。

関連記事:
不正ログインを防ぐ!Google Workspace 二段階認証プロセスの基本と設定方法【入門編】
【入門編】DLPとは?データ損失防止(情報漏洩対策)の基本をわかりやすく解説
Google Workspaceのコンテキストアウェアアクセスとは?セキュリティ強化の第一歩をわかりやすく解説

【実践ガイド】導入時に実施すべき初期設定ステップ

Google Workspaceを導入する際、まず最初に設定しておくべき最重要項目を、目的別のステップでご紹介します。私たちXIMIXがお客様をご支援する際にも、この流れを基本に、お客様のポリシーに合わせた最適な設定を設計・実装しています。

ステップ1:セキュリティ基盤の構築

何よりも優先すべきは、組織全体のセキュリティ基盤を確立することです。

  • 特権管理者アカウントの保護: 管理コンソールにアクセスできる最上位の権限を持つアカウントは、必ず2段階認証プロセスを設定し、厳重に管理します。

  • 全ユーザーへの2段階認証プロセスの適用: 全従業員に対して2段階認証を「強制」に設定し、不正アクセスのリスクを抜本的に低減させます。

  • パスワードポリシーの設定: 組織のセキュリティ基準に合わせ、パスワードの最低文字数、複雑さ(英数記号の組み合わせ)、有効期限などを設定します。

  • 基本的なアラートの設定: 「不審なログイン試行」「管理者権限の変更」など、セキュリティ上重要なイベントが発生した際に、管理者に通知が届くように設定します。

ステップ2:組織・運用ルールの反映

次に、自社の組織構造や運用ルールを管理コンソールに反映させます。

  • 組織部門の設計・作成: 本社、支社、部署、役職など、管理ポリシー(適用するルール)を分けたい単位で「組織部門」を作成します。これにより、部門ごとに異なるアプリ設定やセキュリティポリシーを柔軟に適用できます。

  • ユーザーとグループの作成: 従業員のアカウントを作成し、適切な組織部門に割り当てます。また、全社通知用や部署ごとのメーリングリストとして「グループ」を作成します。

  • Googleドライブの共有設定: デフォルトの共有設定を「組織内のリンクを知っている全員」などに限定し、意図せず外部にファイルが公開されるリスクを低減します。社外との共有ポリシー(許可/不許可)もここで定義します。

関連記事:【基本編】Google グループ活用ガイド:機能、業務効率化、メリットまで徹底解説

ステップ3:アプリケーション利用ルールの策定

従業員がアプリケーションを安全かつ効率的に利用するためのルールを設定します。

  • Gmailの設定: 会社の信頼性に関わるため、迷惑メールフィルタの強度や、組織全体で統一された署名テンプレートの設定などを確認します。

  • Googleカレンダーの設定: 会議室などの「リソース」を登録し、予約管理ができるようにします。また、外部へのカレンダー共有に関するポリシーを設定します。

これらの初期設定は、安全で統制の取れたGoogle Workspace運用を開始するために不可欠です。

管理コンソール活用のベストプラクティス

管理コンソールを効果的に運用し続けるためには、いくつかのポイントがあります。

定期的なレポートと監査ログの確認

「レポート」機能では、組織全体のGoogle Workspace利用状況やセキュリティに関するログを確認できます。特に監査ログは、「誰が」「いつ」「何をしたか」を追跡できるため、定期的に確認することで、不正な操作の早期発見やインシデント発生時の原因調査に役立ちます。

管理者権限の適切な委任

一人の特権管理者に権限を集中させるのではなく、「ユーザー管理管理者」「ヘルプデスク管理者」など、役割に応じた権限を複数の管理者に委任することで、業務負荷の分散とセキュリティリスクの低減(最小権限の原則)が実現できます。

関連記事:【入門編】最小権限原則とは?セキュリティ強化とDXを推進する上での基本を徹底解説

段階的な機能の適用

最初から全ての機能を使いこなそうとする必要はありません。まずは本記事で紹介した基本的な設定を確実に実施し、組織の成熟度や新たな課題に応じて、DLPやコンテキストアウェアアクセスといった高度な機能の導入を検討していくのが現実的です。

よくある質問(Q&A)

Q1: 管理者を追加・変更するにはどうすればよいですか?

A1: 管理コンソールの [アカウント] > [管理者ロール] から、既存の役割をユーザーに割り当てるか、特定の権限のみを持つカスタムの役割を作成して割り当てることができます。

Q2: 退職者が出た場合、アカウントはどうすればよいですか?

A2: セキュリティの観点から、まずユーザーのパスワードをリセットし、すべてのログインセッションを無効化します。その後、必要に応じてデータの移行やバックアップを行い、ライセンスコスト削減のためにアカウントを削除または停止します。XIMIXでは、こうした退職者対応のベストプラクティスについてもご支援しています。

Q3: 特定のユーザーグループだけ、外部とのファイル共有を禁止できますか?

A3: はい、可能です。「組織部門」または「共有設定グループ」を利用して、特定のユーザーグループに対してGoogleドライブの共有ポリシーを個別に設定できます。例えば、「一般社員は社内共有のみ許可し、役員層や営業部門は外部共有を許可する」といった柔軟な制御が実現できます。

XIMIXによるGoogle Workspace導入・運用支援

ここまでGoogle Workspace管理コンソールの機能と設定について解説してきましたが、 「自社の複雑な組織構造に合わせた最適な設定がわからない」 「セキュリティ設定のベストプラクティスを専門家の視点で教えてほしい」 「導入後の継続的な運用や、ユーザーからの問い合わせ対応までサポートしてほしい」 といったお悩みをお持ちの管理者様も多いのではないでしょうか。

特に中堅〜大企業においては、既存システムとの連携、厳格なセキュリティポリシーの策定、全社的なガバナンスの徹底など、考慮すべき点が多岐にわたります。

私たちXIMIXはGoogle CloudおよびGoogle Workspaceのプレミアパートナーとして、数多くの中堅〜大企業様の導入・移行・運用をご支援してまいりました。その豊富な経験と専門知識に基づき、お客様のビジネスや組織の状況に合わせた最適な導入計画の策定から、本記事で解説したような管理コンソールの初期設定、高度なセキュリティポリシーの設計・実装、導入後の伴走支援や運用アウトソーシングまで、一貫したサービスを提供します。

Google Workspaceの導入や、管理コンソールの設定・運用にお悩みでしたら、ぜひ一度XIMIXにご相談ください。お客様のDX推進を強力にバックアップします。

XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。

  •  

※Google Workspace については、こちらのコラム記事もご参照ください。

まとめ

Google Workspaceの管理コンソールは、単なる設定画面ではなく、組織の生産性とセキュリティを司る戦略的なツールです。本記事では、その基本的な役割から、組織を守るための高度な機能、そして導入時に必ず押さえるべき初期設定のステップまでを解説しました。

最初は多機能さに圧倒されるかもしれませんが、基本的な機能から理解を深め、組織の状況に合わせて段階的に活用していくことが成功の鍵です。特に、本記事で紹介した初期設定、とりわけセキュリティに関する項目は、安全な運用基盤を築く上で不可欠です。

Google Workspaceの導入や活用は、企業のDXを加速させるための重要なドライバーとなります。本記事が、その力強い第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。もし、導入や運用に関して専門家の知見やサポートが必要だと感じられた際には、お気軽にXIMIXまでお問い合わせください。


【初心者向け】Google Workspace管理コンソールとは?主要機能と導入時の初期設定ガイド

BACK TO LIST