Googleサイトで作った社内ポータルが使われない? 活用を促進し形骸化を防ぐ運用ノウハウ

 2025,05,23 2025.05.23

はじめに

「全社的な情報共有の活性化を目指して、Googleサイトで社内ポータルを立ち上げたものの、期待したほど活用されていない…」 「最初のうちはアクセスもあったが、次第に情報が更新されなくなり、今ではほとんど見られていないようだ…」

多くの企業で、このようなお悩みを抱えているのではないでしょうか。社内ポータルは、適切に運用されれば情報共有の効率化、社内コミュニケーションの活性化、企業文化の醸成など、DX推進において大きな効果を発揮するツールです。特に、Google Workspaceを導入している企業にとっては、Googleサイトは手軽に社内ポータルを構築できる魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

しかし、構築しただけで自然に活用されるわけではありません。本記事では、Googleサイトで構築した社内ポータルが形骸化してしまう主な原因を分析し、そうならないために、そして既に形骸化しつつあるポータルを再活性化させるための具体的な運用ノウハウ、コンテンツのアイデア、そして推進体制のポイントについて分かりやすく解説します。

この記事を通じて、貴社の社内ポータルが真に価値ある情報基盤として機能するための一助となれば幸いです。

なぜ社内ポータルは形骸化してしまうのか?よくある原因

社内ポータルが期待通りに活用されず、形骸化してしまう背景には、いくつかの共通した原因が存在します。まずは、自社の状況と照らし合わせながら、これらの原因を理解することから始めましょう。

①目的・目標が曖昧なままスタートしている

「何のために社内ポータルを運営するのか」「誰に、どのような価値を提供したいのか」といった目的や目標が明確でないままでは、コンテンツの方向性も定まらず、利用者にとっても魅力のないものになりがちです。例えば、「情報共有のため」という漠然とした目的だけでは、具体的にどのような情報を、どのように共有すれば業務効率の向上やコミュニケーション活性化に繋がるのかが見えにくいでしょう。

②コンテンツに魅力がない・情報が古い

社内ポータルが提供する情報が、社員にとって有益でなかったり、いつまでも古い情報が掲載されたままだったりすると、次第にアクセスされなくなります。業務に必要な最新の情報(例:社内規定の改訂、新しいツールの使い方)がすぐに見つからない、あるいは興味を引くコンテンツがない状態では、社員がポータルサイトを開く動機が生まれません。

③使い勝手が悪く、情報が見つけにくい

ナビゲーションが複雑でどこに何の情報があるのか分からない、検索しても目的の情報にたどり着けないなど、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)が悪い場合も、社員の利用意欲を削いでしまいます。Googleサイトは比較的簡単にページを作成できますが、情報設計を考慮せずにページを乱立させると、かえって使いにくいポータルになってしまう可能性があります。

関連記事:
Googleサイトで社内ポータルを構築!デザイン・情報設計・運用の基本【入門編】

④社員への周知や利用促進が不足している

どんなに素晴らしい社内ポータルを構築しても、その存在や利用メリットが社員に十分に伝わっていなければ活用されません。導入時のアナウンスだけでなく、定期的な情報発信や利用を促す仕掛けがなければ、日常業務の忙しさの中で忘れ去られてしまう可能性があります。

⑤運用体制が整っていない・担当者が不明確

社内ポータルの情報を誰が、いつ、どのように更新するのか、といった運用体制が不明確であったり、担当者の負荷が高すぎたりすると、コンテンツの鮮度を保つことが難しくなります。ボランティアベースの運用や、特定個人の善意に頼った運用では、継続的な情報更新は困難と言えるでしょう。

これらの原因を事前に理解し、対策を講じることが、社内ポータルを形骸化させないための第一歩となります。

Googleサイト社内ポータルを活性化させる!継続運用のための5つの戦略

では、Googleサイトで構築した社内ポータルを活性化させ、継続的に活用されるものにするためには、具体的にどのような戦略が必要なのでしょうか。ここでは5つの重要な戦略をご紹介します。

戦略1: 明確な目的設定とKPI(重要業績評価指標)管理

まず、「何のために社内ポータルを運営するのか」「それによってどのような状態を目指すのか」という目的を明確に定義しましょう。例えば、「全社員への情報伝達の迅速化」「部門間のナレッジ共有促進」「新入社員の早期戦力化支援」「企業文化の浸透」など、具体的であるほど良いでしょう。

目的が定まったら、その達成度を測るためのKPIを設定します。例えば、以下のようなものが考えられます。

  • アクセス数・ページビュー数: ポータル全体の利用状況
  • 特定コンテンツの閲覧数: 重要なお知らせやマニュアルの浸透度
  • 情報更新頻度: コンテンツの鮮度
  • 社員アンケートによる満足度: ポータルに対する社員の評価
  • 業務効率改善に関する指標: (例)問い合わせ件数の削減、情報検索時間の短縮

これらのKPIを定期的に測定・分析し、改善に繋げていくことが重要です。

戦略2: 「見たくなる・使いたくなる」コンテンツ企画と鮮度維持

社員が自らアクセスしたくなるような、魅力的で価値のあるコンテンツを提供し続けることが、社内ポータル活性化の鍵となります。

  • 業務に直結する実用的な情報:
    • 就業規則、各種申請書フォーマット、経費精算マニュアルなどの社内規定・手続き関連情報
    • 業界ニュース、競合情報、市場トレンドなどの業務関連知識
    • 業務で利用するITツールやシステムの操作マニュアル、FAQ
    • 過去のプロジェクト事例、成功・失敗事例などのナレッジ共有
  • 社内コミュニケーションを促進するコンテンツ:
    • 新入社員紹介、部署紹介、社員インタビュー
    • 社内イベントの告知・レポート、サークル活動の紹介
    • 経営層からのメッセージ、ビジョンや経営方針の共有
    • 意見交換やアイデア募集のための掲示板、アンケートフォームの設置 (Googleフォームとの連携が便利です)
  • コンテンツの鮮度を保つ工夫:
    • コンテンツカレンダーを作成し、定期的な情報更新計画を立てる。
    • 各部署に情報提供担当者を任命し、協力を得る体制を構築する。
    • 季節ネタや時事ネタを盛り込むなど、マンネリ化を防ぐ工夫をする。

コンテンツの質と鮮度を高く保つことで、社員にとって「見る価値のある場所」としての地位を確立できます。

戦略3: 利用者目線の情報設計とGoogleサイトの特性を活かしたUI/UX改善

情報が整理されておらず、どこに何があるか分からないポータルは敬遠されます。利用者が必要な情報に迅速かつ容易にたどり着けるような、分かりやすい情報設計を心がけましょう。

  • 直感的なナビゲーション: グローバルナビゲーションやサイドメニューを整理し、論理的で分かりやすい構造にする。
  • 強力な検索機能の活用: Googleサイトの検索機能はもちろん、情報をタグ付けするなどして検索精度を高める工夫をする。
  • レスポンシブデザインの確認: Googleサイトは標準でレスポンシブデザインに対応していますが、スマートフォンやタブレットからでも快適に閲覧・操作できるかを確認しましょう。特に外出先や移動中にアクセスする社員にとっては重要です。
  • Google Workspaceとの連携:

Googleサイトの強みであるGoogle Workspaceとのシームレスな連携を最大限に活用することで、利便性の高い社内ポータルを実現できます。

戦略4: 社員への浸透と利用促進策(巻き込み方)

社内ポータルの存在意義を社員に理解してもらい、積極的に利用してもらうための仕掛けも重要です。

  • トップメッセージの発信: 経営層から社内ポータルの重要性や活用への期待を発信することで、社員の意識を高めます。
  • 利用メリットの継続的な周知: ポータルを見ることでどのようなメリットがあるのか(例:業務が効率化する、必要な情報がすぐ手に入る、会社の動向が分かる)を具体的に伝え続けます。
  • 研修会や説明会の実施: 新入社員向け研修や、定期的な利用方法説明会などを開催し、操作に不慣れな社員をサポートします。
  • 利用促進キャンペーンの実施:
    • 例:クイズ企画(ポータル内の情報から回答を探す)、コンテンツ投稿コンテスト、部署対抗アクセスランキングなど、ゲーム性を取り入れて楽しみながら利用を促す。
    • 優れた情報提供者や活用頻度の高い社員を表彰する。
  • フィードバックの収集と改善への反映: 定期的に社員アンケートを実施したり、意見箱を設置したりして、ポータルに対する意見や要望を収集し、改善に活かします。

社員を「利用者」としてだけでなく、「参加者」として巻き込んでいく意識が大切です。

関連記事:
なぜ「フィードバック文化」が大切なのか?組織変革を加速する醸成ステップと心理的安全性

戦略5: 効果的な運用体制の構築と役割分担

継続的な運用のためには、しっかりとした体制づくりが不可欠です。

  • 推進担当者・チームの設置: ポータル全体の企画、運営、効果測定、改善などを担当する中心的な役割を明確にします。この担当者は、各部署との連携ハブにもなります。
  • 各部門からの情報収集・更新協力体制: 各部署に情報連絡員やコンテンツ作成担当者を置き、現場の情報をスムーズに収集・更新できる仕組みを作ります。これにより、中央の運用担当者の負担を軽減し、コンテンツの網羅性や鮮度を高めることができます。
  • 定期的な効果測定と改善サイクルの確立: 設定したKPIに基づき、定期的にポータルの利用状況を分析し、課題を発見します。その課題に対する改善策を実施し、再度効果を測定するというPDCAサイクルを回していくことが、ポータルを常に進化させ、価値を高めるために重要です。
  • 運用ルールの明確化: コンテンツの掲載基準、更新頻度、承認プロセス、情報セキュリティに関するルールなどを明確に定め、全社で共有します。

これらの戦略を組み合わせ、粘り強く取り組むことで、社内ポータルは形骸化することなく、企業にとって不可欠な情報基盤へと成長していくでしょう。

Googleサイト活用のヒント:すぐに試せる工夫と機能

Googleサイトには、社内ポータルをより魅力的で使いやすいものにするための便利な機能が備わっています。いくつか具体的なヒントをご紹介します。

  • テンプレートの活用でデザイン性を統一・向上: Googleサイトには様々なテンプレートが用意されています。これらを活用することで、デザインに自信がない担当者でも、ある程度整った見栄えのページを効率的に作成できます。企業ブランドに合わせたカスタマイズも可能です。

  • 埋め込み機能で表現力アップ: 動画(YouTube、Googleドライブ上の動画)、スライド(Googleスライド)、ドキュメント(Googleドキュメント)、地図(Googleマップ)、カレンダー(Googleカレンダー)などをページに直接埋め込むことで、情報を視覚的に分かりやすく伝えられます。

  • 「お知らせ」機能や「更新情報」セクションの工夫: ポータルのトップページに「最新のお知らせ」や「最近更新された情報」といったセクションを設け、常に新しい情報が目に入るように工夫しましょう。Googleサイトの「お知らせ」機能を使うと、手軽に更新情報を発信できます。

  • 適切な権限設定で情報セキュリティを担保: Googleサイトでは、サイト全体やページ単位でアクセス権限(閲覧権限、編集権限)を細かく設定できます。公開範囲を全社員にするのか、特定の部署やプロジェクトメンバーに限定するのかなど、情報の内容に応じて適切に管理することで、セキュリティを保ちながら情報共有が可能です。

これらの機能を積極的に活用し、試行錯誤しながら自社に最適な形を見つけていくことが大切です。

中堅・大企業における社内ポータル活用のさらなるポイント

特に中堅・大企業においては、社内ポータルは単なる情報掲示板に留まらず、より戦略的な役割を担うことが期待されます。

  • 部門横断的なコラボレーションの促進: 組織が大きくなるほど、部門間の壁ができやすくなります。社内ポータルを、各部門の取り組みや成功事例、保有するナレッジを共有し、部門を超えたコミュニケーションや協業を促進するプラットフォームとして活用できます。
  • 企業文化・バリューの浸透: 経営理念や行動指針、企業が大切にする価値観などを、ストーリーや社員の活動事例を通じて発信し続けることで、企業文化の醸成と浸透を支援します。これは、社員の一体感を高め、エンゲージメント向上にも繋がります。
  • DX推進のハブとしての役割: 社内ポータルを、DXに関する最新情報、各部門のDXへの取り組み状況、新しいITツールの導入情報などを集約・発信する中心的な場所と位置づけることで、全社的なDX推進を加速させる触媒としての機能も期待できます。

これらの視点を持つことで、社内ポータルは企業の成長と変革を支える強力な武器となり得ます。

関連記事:
組織内でのDXの成功体験・成果共有と横展開の重要性、具体的なステップについて解説

XIMIXによる支援サービス

ここまで、Googleサイトを活用した社内ポータルの活性化と継続運用のためのノウハウをご紹介してきました。しかしながら、

  • 「具体的な社内ポータルの企画・設計から相談したい」
  • 「Googleサイトの機能を最大限に活かしつつ、デザイン性も高いポータルを構築したいが、自社だけでは難しい」
  • 「既存の社内ポータルが抱える課題を専門家の視点から診断し、具体的な改善策を提案してほしい」
  • 「社内ポータルの運用体制を構築し、コンテンツ企画や利用促進を軌道に乗せるための伴走支援が必要だ」
  • 「社内ポータル活用を、全社的なDX推進戦略の一部として効果的に位置づけたい」

といったお悩みやご要望をお持ちの企業様もいらっしゃるかもしれません。

私たちXIMIXは、Google CloudおよびGoogle Workspaceの導入・活用支援において豊富な実績と専門知識を有しています。Googleサイトを活用した効果的な社内ポータルの企画、設計、構築、そして運用定着化支援まで、お客様の状況やニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。

単にツールを導入するだけでなく、お客様のビジネス課題の解決やDX推進の成功に向けて、策定から実装、そしてその後の伴走支援に至るまで、トータルでサポートさせていただくのが私たちの強みです。多くの企業様の情報共有基盤構築や業務効率化をご支援してきた経験に基づき、貴社の社内ポータルが真に「活用される」ものとなるよう、専門家の視点から具体的なアドバイスと実行支援を行います。

社内ポータルの刷新や活性化、Google Workspaceの更なる活用、そしてDX推進全般に関するお悩みやご相談がございましたら、ぜひお気軽にXIMIXまでお問い合わせください。

XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。

まとめ

本記事では、Googleサイトで構築した社内ポータルを形骸化させず、継続的に活用されるものにするための運用ノウハウについて、その原因分析から具体的な戦略、そしてGoogleサイトならではの活用ヒントまで解説しました。

社内ポータルを成功させるためには、明確な目的意識、魅力的なコンテンツ、利用者目線の使いやすさ、積極的な利用促進、そしてそれを支える適切な運用体制が不可欠です。これらは一朝一夕に実現できるものではなく、継続的な努力と改善が求められます。

まずは、本記事でご紹介したポイントを参考に、自社の社内ポータルの現状を見直し、できるところから改善に着手してみてはいかがでしょうか。小さな成功体験を積み重ねることが、社員のエンゲージメントを高め、ポータルを活性化させる原動力となります。

社内ポータルは、適切に育てていくことで、情報共有の効率化のみならず、組織の一体感醸成やDX推進を力強く後押しする、まさに「企業の成長エンジン」となり得る存在です。この記事が、その第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。


Googleサイトで作った社内ポータルが使われない? 活用を促進し形骸化を防ぐ運用ノウハウ

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