はじめに
本記事は、Google Workspace Studio(旧Flows)の実践ノウハウを100本紹介する連載「Google Workspace Studio活用方法100本ノック」の一つとなります。
今回は、チームリーダーやプロジェクトマネージャーがWBS(進捗管理表)をいちいち確認しに行く手間や、メンバーによるタスクの着手漏れを減らし、全員がより本質的な業務に集中出来るようにすることが目的です。
WBSの「ステータス」が「完了」になっていないかつ「完了予定」が昨日以前のものを洗い出し、その作業内容を自動でGoogle Chatへ通知するシンプルな仕組みを整え、チームの状況把握の手間を解消していきます。
| 難易度 | 初心者向け |
| 実現すること | WBSをわざわざ見に行って遅れを洗いださなくとも、毎日設定した時間に遅れているタスク内容が通知され、チーム全体の進捗を簡単に把握できるようになります |
| 想定する対象者 | プロジェクトの進捗遅延やタスクの漏れを早期に検知したいチームリーダーやPM |
| 利用サービス | Googleスプレッドシート, Google Chat |
ユースケース
今回作成するエージェントの代表的なユースケースとしては以下のようなことが考えられると思います。
- リーダーの朝のルーティン効率化:始業時に「昨日までに終わるはずだったタスク」が一覧でチャットに届くため、WBSを端からチェックする必要がなくなります。一目で遅延状況を把握し、即座に担当者へのフォローアップに動けます。
- メンバーのタスク認識漏れの防止:完了報告を忘れていたタスクや、未着手のまま期限が過ぎてしまった項目が毎朝自動でリマインドされます。チャットに流れることで「今、自分が何を優先してリカバリーすべきか」を自然と再認識できます。
前提条件
今回のエージェントを作成するための前提条件は以下となります。Google Workspace Studioは2025年12月時点ではそれまではFlowsという名前で提供されていたサービスからリネームされたサービスかつまだ提供されて間もないため、このブログの内容が最新ではなくなる可能性があることをご了承ください。- 利用環境:Google Workspace Studioにアクセスできるユーザーであること。
- 利用アプリ:WBSを記載しているスプレッドシートが事前に用意されていること。
- 社内ルール:スプレッドシートの内容をAIに渡す際の社内ポリシーや情報管理ルールを確認済みであること。
エージェントの全体図
今回作成したエージェントは計4ステップで構成されています。
スターターとしてスケジューラーを設定し、ステップ2で「完了」になっていない行を取得、ステップ3でそれらを加工しステップ4でChatに送信する、という流れです。

構築手順
エージェント作成前に、あらかじめ下記のようにスプレッドシート内に表を用意しておきます。下記を満たすように記載してください。
- 1行目が一意の列名になっていること(※重要!これが守られていないとスプレッドシートを含むエージェントを作成できません。)
- 「ステータス」列に「未実施」「対応中」のような完了以外を示す値が含まれていること
- 「完了予定」列のような期限を示す列に日付が入っていること

スプレッドシートの準備が終わったら、エージェントを作成していきます。まず、Workspace Studioのトップページから、左上の「+」ボタンより「New agent」をクリックします。

今回作成するエージェントは定期的に実行されるようにしたいので、エージェントの編集画面の「Starter」から「On a schedule」を選択し、Start date and timeに開始する日付と時間・Repeatに繰り返し間隔・Endsにどの程度の期間まで有効にするかを設定します。今回は毎朝10時に起動、1年間有効にしました。

Step2では「Get sheet contents」を選択し、先ほど用意したスプレッドシートを選択します。

「Find rows to get values from」には、データ取得する行の条件を設定します。今回の場合、「ステータス」列が「完了」でないもの、つまり「未実施」もしくは「対応中」のものを取得するようにしたいので、下画像のように設定しました。

次に、「Actions」から「Ask Gemini」を選択します。
ここでは、Step2で取得した「ステータス」が「完了」ではない行から、さらに「完了予定」が昨日以前のものを抽出し、その結果を「タスク内容」列の値でリストアップします。+Variablesボタンを押すことで、以前のStepで取得した値を扱うことが出来るので、それを利用しGeminiに画像の通り簡単な指示を与えます。

最後にStep4でChatで通知を行います。期限超過している旨を示す簡単なメッセージと、Step3同様+Variablesを使用しStep3でGeminiが生成した超過タスク一覧をそのままメッセージに渡します。

以上が構築手順です。
実行テスト
作成したエージェントは画面下部の「Test run」をクリックし、「Start」を押してテスト実行します。


今回はこの状態のシートで実行します。実行日付は12/25なので、計6行が結果として通知される想定です。

結果がこちらです。想定通り、「完了」ではないかつ「完了予定」が昨日以前のタスク内容が一覧でChatで送られてきました。

まとめ
WBSの中で「期限が過ぎているのに未完了」のタスクを毎日自動で洗い出し、Google Chatへ通知する仕組みを組むことで、プロジェクトの停滞やリマインド漏れを一気に減らせます。
Google Workspace Studioなら、スターターにスケジュール(時間指定)、アクションにスプレッドシートの行抽出とChat通知を組み合わせるだけで、毎朝のチェック業務を数分で自動化することが可能です。
まずはこのデイリー通知を導入し、チーム全員が「今日優先すべきこと」を迷わず把握できる環境を整えたうえで、さらに一歩進んだ進捗管理の自動化にも挑戦していきましょう。
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