【入門編】GmailとGoogle チャット、どう使い分ける?Google Workspaceの効果的なコミュニケーション術

 2025,05,09 2025.06.25

はじめに

Google Workspaceを導入したものの、「この連絡はGmail?それともGoogle チャット?」「チーム内で使い方の認識がバラバラで、かえって非効率…」といった課題を感じている企業は少なくありません。

便利なツールが増えた結果、情報が分散し、重要な連絡が埋もれてしまう事態は避けたいものです。特に組織全体で活用する上では、明確なガイドラインがなければ混乱を招き、DX推進の足かせにもなりかねません。

この記事では、Google Workspaceの主要コミュニケーションツールであるGmailとGoogle チャットについて、単なる機能紹介ではなく、「どのような情報を、誰に、どう伝えたいか」という目的の観点から、最適な使い分け基準を分かりやすく解説します。

本記事をお読みいただくことで、貴社のDX推進ご担当者様、決裁者の皆様は以下の価値を得られます。

  • Gmailとチャットの本質的な違いを理解し、迷わずツールを選択できる
  • 組織としての明確な利用ルールを策定するためのヒントが得られる
  • コミュニケーションの生産性を向上させ、情報共有を円滑にする具体的な方法がわかる
  • Google Workspaceの価値を最大化し、組織のDXを加速させる

ツールの特性を深く理解し、戦略的に使い分けることで、組織全体のコミュニケーションを次のレベルへと引き上げましょう。

GmailとGoogle チャットの本質的な違いとは?

効果的な使い分けを理解するため、まずは両者の最も大きな違いである「情報の性質」に着目しましょう。コミュニケーションで扱う情報は、大きく「ストック情報」と「フロー情報」に分けられます。

  • ストック情報(蓄積・記録型): 後から参照されることを前提とした、記録・保管すべき情報。議事録、契約書、公式通知、業務マニュアルなどが該当します。
  • フロー情報(流動・対話型): リアルタイム性が高く、その場の対話や議論の中で流れていく情報。日々の進捗確認、簡単な質疑応答、アイデア出しなどがこれにあたります。

GmailとGoogle チャットは、それぞれ得意とする情報の性質が異なります。

比較軸 Gmail  Google チャット 
得意な情報の性質 ストック情報(蓄積・記録) フロー情報(流動・対話)
主な用途 社外との公式連絡、記録保持、全社通知 チーム内の議論、迅速な情報共有、進捗確認
コミュニケーション型 非同期(各自のタイミングで返信) 同期・非同期(リアルタイムな対話と非同期の確認)
相手 社外の顧客・取引先、社内の複数部署 主にチーム・プロジェクト内のメンバー
フォーマル度 高い(ビジネス文書) 低い(会話に近い)
 

この基本原則を理解するだけで、日々のツール選択の迷いは大幅に解消されるはずです。

【目的別】Gmailが最適なシーン:記録と信頼性が求められる場面

Gmailは、その記録性と信頼性の高さから、「ストック情報」を扱うフォーマルなコミュニケーションに適しています。

①社外の顧客や取引先との公式な連絡

理由: 見積書や契約書、請求書といった重要書類の送付や、公式な依頼・問い合わせなど、社外関係者とのやり取りは、ビジネス文書としての体裁と確実な記録が不可欠です。送信・受信の証跡が残り、後々のトラブルを防ぐ意味でもGmailが第一選択となります。

②正式な依頼・報告・承認プロセス

理由: 部署を横断する業務依頼、上司への稟議申請、重要な経営判断の報告など、組織の正式なプロセスにおいては、「いつ、誰が、何を承認したか」という記録が極めて重要です。宛先(To, Cc, Bcc)が明確で、送受信履歴が完全に保存されるGmailは、こうした社内ガバナンスの基盤となります。

③議事録や重要資料の全社・部署単位での共有

理由: 会議の正式な議事録や、社内規程、長期間参照されるマニュアルなど、「組織の資産として残すべき情報」の共有にはGmailが適しています。強力な検索機能により、数年後でも必要な情報を正確に見つけ出すことが可能です。

【目的別】Google チャットが最適なシーン:スピードと連携が求められる場面

Google チャットは、スピード感と双方向性が特徴の「フロー情報」を扱う、チーム内のコラボレーションを加速させるツールです。

①チームやプロジェクト内の日常的なコミュニケーション

理由: 日々の進捗確認、簡単な質問・相談、アイデアの壁打ちなど、「ちょっといいですか?」と声をかけるような気軽なやり取りに最適です。メールのように件名や挨拶を考える必要がなく、会話のようなテンポで議論が進むため、チームの一体感や心理的安全性の醸成にも繋がります。

②複数人でのリアルタイムな議論と迅速な意思決定

理由: 緊急性の高いトラブル対応や、短時間で方針を決めたい場面で、関係者が集まり即座に議論を開始できます。Google Meetとの連携もスムーズで、テキストでの議論が白熱すれば、ワンクリックでビデオ会議に切り替えることも可能です。

③ドキュメントの共同編集やフィードバック

理由: Google ドライブ上の資料をチャットスペースに共有し、「ここの表現、どう思う?」といった具体的なフィードバックをリアルタイムで求める際に非常に便利です。メンバーはチャット上で会話しながら、同じドキュメントを同時に編集でき、共同作業の効率が飛躍的に向上します。

組織導入で失敗しないための3つのステップ

ツールの特性を理解しても、組織に定着しなければ意味がありません。NI+Cがこれまで多くのお客様をご支援してきた経験から、効果的な使い分けを浸透させるための3つのステップをご紹介します。

ステップ1:シンプルな共通ルールを策定し、明文化する

「どのような場合にどちらを使うか」という基本的なガイドラインを策定し、組織全体で共有することが不可欠です。最初から完璧を目指す必要はありません。

  • 社外連絡は原則Gmail
  • 社内のチーム・プロジェクト連絡は原則Google チャット
  • チャットでの議論で決定した重要事項は、要点をまとめてGmailで関係者に共有する
  • 迷ったら、まずはチャットの専用スペースで相談する

このようなシンプルなルールから始め、運用しながら自社に合わせて改善していくのが成功の鍵です。

ステップ2:情報が埋もれないための「仕組み」を作る

チャットは情報が流れやすいというデメリットがあります。これを防ぐため、以下の仕組みを導入することを推奨します。

  • スペースのタスク機能を活用: チャットでの会話から生まれたタスクは、その場で担当者と期限を設定して登録します。これにより、対応漏れを防ぎます。
  • 重要情報の集約場所を決める: プロジェクトの重要決定事項は、Google ドキュメントの議事録やGoogleサイトのポータルにまとめ、そのリンクをスペースの概要欄に掲示するルールにします。
  • 通知設定の最適化: メンションや重要なスペース以外の通知はオフにすることを推奨し、情報過多による集中力の低下を防ぐガイドラインを示します。

ステップ3:セキュリティとガバナンスを意識した運用を行う

特に大企業では、ツールの利便性だけでなく、安全な運用が不可欠です。

  • 社外ユーザーとの共有設定: Google チャットのスペースに社外のゲストを招待する際のルールや申請フローを定めておきましょう。
  • 情報保持ポリシーの適用: Google Vaultを活用し、機密情報や個人情報を含むやり取りが、企業の定めるポリシーに沿って適切に保持・破棄されるよう設定します。

これらのステップは、単にツールを導入するだけでは実現が難しく、組織の文化やセキュリティポリシーを深く理解した上での設計が求められます。

高度な課題解決ならXIMIXへ:貴社に最適なコミュニケーション基盤を

GmailとGoogle チャットの基本的な使い分けは、本記事でご理解いただけたかと思います。しかし、本当の意味でDXを推進し、生産性を最大化するためには、次のような高度な課題が立ちはだかります。

  • 「自社の複雑な業務プロセスに合わせて、最適なルールをどう設計すれば良い?」
  • 「導入したものの、一部の部署でしか使われず形骸化している…」
  • 「他のGoogle Workspaceツール群とどう連携させれば、相乗効果が生まれるのか?」
  • 「当社の厳しいセキュリティ要件を満たす、安全な運用体制を構築したい」

私たちXIMIXは、長年にわたり日本の大企業を支えてきたNI+Cの豊富な経験と技術力を背景に、Google Workspaceの導入から活用コンサルティング、伴走支援まで一気通貫で提供するプロフェッショナル集団です。

単なるツールの機能説明に留まらず、お客様のビジネス目標達成というゴールから逆算し、コミュニケーション基盤の最適化、組織への定着化、そして業務プロセス全体の変革までを強力にサポートします。

Google Workspaceの導入・活用に関するお悩みや、より高いレベルでのコミュニケーション改革にご関心をお持ちでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ

本記事では、GmailとGoogle チャットを効果的に使い分けるための本質的な考え方と、具体的な実践方法について解説しました。

  • Gmail: 「ストック情報」を扱う、社外連絡や公式記録に適したツール。
  • Google チャット: 「フロー情報」を扱う、チーム内の迅速な連携とコラボレーションに適したツール。

重要なのは、どちらか一方に偏るのではなく、コミュニケーションの「目的」「相手」「情報の性質」に応じて、両者を戦略的に使い分けることです。

まずはこの記事を参考に、ご自身のチームで「この連絡はチャットの方が速いかもしれない」「この決定事項は記録としてメールで残そう」と意識することから始めてみてください。その小さな一歩が、組織全体の生産性を大きく向上させることに繋がります。

Google Workspaceのポテンシャルを最大限に引き出し、貴社のビジネスがさらに加速するための一助となれば幸いです。


【入門編】GmailとGoogle チャット、どう使い分ける?Google Workspaceの効果的なコミュニケーション術

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