はじめに
「自社のWebサイトを持っているが、思うように成果が出ていない」 「アクセス解析ツールを導入したが、どのデータを見て、どう活用すれば良いのかわからない」 「Webサイトを改善したいけれど、勘や経験に頼るしかなく、具体的な改善策が見いだせない」
多くの企業にとって、Webサイトは重要な顧客接点であり、ビジネス成長の鍵を握るツールです。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、データに基づいた現状把握と改善が不可欠です。そこで重要になるのが「Webサイト分析」です。
この記事では、Webサイト分析に取り組みたいと考えている担当者様、特に「何から始めればいいのかわからない」という入門者の方に向けて、Webサイト分析の基本的な考え方から、見るべき主要な指標、代表的なツールであるGoogle Analytics 4 (GA4) の基本的な見方、分析の具体的な始め方、そして注意点までを網羅的に解説します。
この記事を通じて、Webサイト分析の基礎を理解し、データに基づいた客観的な視点で自社サイトを見つめ直し、具体的な改善アクションに繋げるための第一歩を踏み出す一助となれば幸いです。
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Webサイト分析とは? なぜ重要なのか?
Webサイト分析とは、Webサイトへのアクセス状況やサイト内でのユーザー行動に関するデータを収集・分析し、Webサイトの現状を把握したり、課題を発見したり、実施した施策の効果を測定したりする活動全般を指します。一般的に「アクセス解析」とも呼ばれます。
なぜWebサイト分析が重要なのでしょうか?
- 現状の正確な把握: どれくらいのユーザーが、どこから来て、どのページを見て、どのような行動をとっているのか。Webサイト分析を行うことで、憶測ではなく客観的なデータに基づいて自社サイトの現状を正確に把握できます。
- 課題の発見と改善: 「特定のページで離脱率が高い」「コンバージョンに至るユーザーが少ない」「特定の流入経路からのアクセスが弱い」といった課題をデータから発見できます。課題が明確になれば、具体的な改善策を検討し、実行に移すことができます。
- 施策効果の測定: Webサイトのデザイン変更、コンテンツ追加、広告出稿など、実施した施策が実際にどのような効果をもたらしたのかをデータで検証できます。効果測定に基づいて施策を評価し、継続的な改善サイクル(PDCA)を回すことが可能になります。
- ユーザー理解の深化: ユーザーがどのような情報に関心を持ち、サイト内でどのように遷移しているのかを知ることで、ターゲットユーザーのニーズや行動パターンへの理解を深めることができます。これは、より良い顧客体験(CX)の提供にも繋がります。
- データに基づいた意思決定: Webサイトに関する意思決定(コンテンツ戦略、UI/UX改善、マーケティング投資など)を、勘や経験だけでなく、客観的なデータに基づいて行うことができるようになります。
Webサイト分析で見るべき主要な指標
Webサイト分析ツールでは多種多様なデータが計測されますが、最初からすべてを理解しようとすると混乱してしまいます。まずは、基本的な指標の意味を理解し、自社の目的に合わせて注目すべき指標を見極めることが重要です。ここでは、代表的な指標をいくつか紹介します。
①アクセス数に関する指標
- ページビュー数 (PV): Webサイト内の特定のページが表示された回数。同じユーザーが複数回表示してもカウントされます。サイト全体の人気度や、特定のコンテンツへの関心の高さを測る指標です。
- ユーザー数 (UU): 特定の期間内にWebサイトを訪れたユニークユーザー(重複しないユーザー)の数。どれだけ多くの人がサイトに興味を持ってくれたかを示します。
- セッション数: ユーザーがWebサイトを訪れてから離脱するまでの一連の行動(訪問)の回数。1人のユーザーが複数回訪問すれば、その都度カウントされます。サイトへの訪問頻度やエンゲージメントの度合いを見る指標です。
②ユーザー行動に関する指標
- 直帰率 (Bounce Rate): ユーザーがサイトを訪問し、最初の1ページだけを見て他のページに遷移せずに離脱してしまったセッションの割合。直帰率が高いページは、ユーザーの期待に応えられていない、あるいは次のアクションを促せていない可能性があります。(※GA4では概念が少し異なります。後述)
- 離脱率 (Exit Rate): 特定のページが、そのセッションにおける最後の閲覧ページになった割合。ユーザーがサイトから離れる最後の接点となったページを示します。コンバージョン経路上の重要なページで離脱率が高い場合は、改善が必要です。
- 平均セッション時間 / 平均エンゲージメント時間: ユーザーが1回のセッション(訪問)あたり、サイトに滞在した時間の平均。コンテンツへの関心度やエンゲージメントの深さを示す指標の一つです。(※GA4では「エンゲージメント時間」が重視されます)
- ページ/セッション (Pages per Session): 1回のセッションあたりに閲覧されたページ数の平均。ユーザーがサイト内をどれだけ回遊しているかを示します。
③成果に関する指標
- コンバージョン数 (CV): Webサイト上で達成したい目標(商品購入、問い合わせ、資料請求、会員登録など)が達成された回数。Webサイトの最終的な成果を測る最も重要な指標の一つです。
- コンバージョン率 (CVR): セッション数やユーザー数に対して、コンバージョンが達成された割合 (CV数 ÷ セッション数 or ユーザー数 × 100%)。サイトへのアクセスがどれだけ効率的に成果に繋がっているかを示す重要な指標です。
- コンバージョン単価 (CPA - Cost Per Acquisition/Action): 1件のコンバージョンを獲得するためにかかった広告費用などのコスト。費用対効果を測る上で重要な指標です。
これらの指標は、単体で見るだけでなく、期間比較、流入元別、デバイス別、ページ別など、様々な切り口(セグメント)で分析することで、より深い洞察を得ることができます。
代表的な分析ツール:Google Analytics 4 (GA4) の基本
Webサイト分析を行うためのツールは数多くありますが、最も広く利用されているのがGoogleが無料で提供する Google Analytics 4 (GA4) です。従来のユニバーサルアナリティクス (UA) から大きく進化し、Webサイトとアプリを横断した計測や、機械学習を活用した予測機能などが強化されています。ここではGA4の基本的な見方に触れておきます。
GA4の主なレポート:
- レポートのスナップショット: GA4のホーム画面。主要な指標がカード形式で表示され、サイト全体の状況を俯瞰できます。
- リアルタイム: 現在サイトを訪れているユーザーの状況(アクセス数、地域、閲覧ページなど)をリアルタイムで確認できます。キャンペーン実施直後の反応などを確認するのに役立ちます。
- 集客レポート: ユーザーがどこから(検索エンジン、広告、SNS、他のサイトなど)、どのような経路でサイトを訪れたかを確認できます。どのチャネルからの流入が効果的かを知る上で重要です。
- トラフィック獲得レポートなどが中心となります。
- エンゲージメントレポート: ユーザーがサイト内でどのような行動をとったか(閲覧ページ、滞在時間、イベント発生、コンバージョンなど)を確認できます。ユーザーの関心やサイト内での体験を理解する上で重要です。
- ページとスクリーン、イベント、コンバージョン などのレポートが含まれます。
- GA4では「エンゲージメント」という概念が重視され、「エンゲージメントのあったセッション(10秒以上の滞在、コンバージョンイベント発生、または2ページ以上の閲覧があったセッション)」などが計測されます。従来の直帰率は、このエンゲージメントの概念に置き換わっています。
- 収益化レポート: ECサイトなど、サイト上で収益が発生する場合に、商品の購入状況や収益額などを確認できます。
- 維持率レポート: 新規ユーザーとリピーターの比較や、ユーザーが定着しているか(リテンション)を確認できます。
GA4は高機能ですが、まずはこれらの基本的なレポートから、先ほど紹介した主要な指標を確認することから始めると良いでしょう。
Webサイト分析の始め方:実践ステップ
Webサイト分析を始めるための具体的なステップを見ていきましょう。
- 目的の明確化:
- まず、「Webサイトで何を達成したいのか」というビジネス目標を明確にします。そして、その目標達成のために「Webサイト分析で何を明らかにしたいのか」という分析の目的を設定します。(例: 「問い合わせ数を増やすために、どのページの離脱率が高いか特定する」「新規顧客獲得のために、どの流入経路が効果的か把握する」)
- まず、「Webサイトで何を達成したいのか」というビジネス目標を明確にします。そして、その目標達成のために「Webサイト分析で何を明らかにしたいのか」という分析の目的を設定します。(例: 「問い合わせ数を増やすために、どのページの離脱率が高いか特定する」「新規顧客獲得のために、どの流入経路が効果的か把握する」)
- 分析ツールの導入と設定:
- GA4などの分析ツールをWebサイトに導入します。多くの場合、指定されたトラッキングコードをサイトの全ページに設置する必要があります。
- コンバージョン目標(問い合わせ完了、資料請求完了など)をツール上で設定します。これにより、成果を正確に計測できるようになります。
- 重要指標 (KPI) の設定:
- 設定した目的に合わせて、特に注目すべき重要な指標 (KPI: Key Performance Indicator) を決定します。(例: 問い合わせ増が目的なら、CVRや関連ページの離脱率など)
- 設定した目的に合わせて、特に注目すべき重要な指標 (KPI: Key Performance Indicator) を決定します。(例: 問い合わせ増が目的なら、CVRや関連ページの離脱率など)
- データ計測と蓄積:
- ツール導入後、データが蓄積されるのを待ちます。意味のある分析を行うためには、ある程度の期間(最低でも1ヶ月程度)のデータが必要です。
- ツール導入後、データが蓄積されるのを待ちます。意味のある分析を行うためには、ある程度の期間(最低でも1ヶ月程度)のデータが必要です。
- 分析と仮説立案:
- 蓄積されたデータを基に、設定したKPIを中心に分析を行います。グラフ化したり、セグメント別(デバイス別、流入元別など)に比較したりして、傾向や課題点を探ります。「なぜこのページの直帰率が高いのか?」「なぜこのキーワードからのCVRが高いのか?」といった問いを立て、その原因についての仮説を考えます。
- 蓄積されたデータを基に、設定したKPIを中心に分析を行います。グラフ化したり、セグメント別(デバイス別、流入元別など)に比較したりして、傾向や課題点を探ります。「なぜこのページの直帰率が高いのか?」「なぜこのキーワードからのCVRが高いのか?」といった問いを立て、その原因についての仮説を考えます。
- 改善施策の立案と実行:
- 分析と仮説に基づいて、具体的なWebサイトの改善策(コンテンツ修正、導線変更、フォーム改善、新たなコンテンツ作成など)を立案し、実行します。
- 分析と仮説に基づいて、具体的なWebサイトの改善策(コンテンツ修正、導線変更、フォーム改善、新たなコンテンツ作成など)を立案し、実行します。
- 効果測定と継続的な改善:
- 施策実行後、一定期間を置いて再度データを分析し、施策の効果を測定します。効果があれば継続・展開し、効果がなければ原因を再分析して次の改善策を検討します。このPDCAサイクルを継続的に回していくことが重要です。
Webサイト分析を進める上での注意点
Webサイト分析を効果的に進めるためには、以下の点に注意しましょう。
- 目的を見失わない: データを見ること自体が目的にならないように、「何のために分析しているのか」という本来の目的を常に意識することが重要です。
- 指標の選択: 多すぎる指標を追うと混乱します。自社の目的に合った、本当に重要な指標(KPI)に絞って分析を進めましょう。
- 継続性が重要: Webサイト分析は一度やったら終わりではありません。定期的にデータをチェックし、継続的に改善を続けることが成果に繋がります。
- ツールの限界を知る: 分析ツールはあくまでデータを提供するものです。そのデータから何を読み取り、どう活かすかは人間の役割です。データだけにとらわれず、ユーザー視点での考察も重要です。
- 専門知識の必要性: より高度な分析や、GA4の複雑な設定、他のデータとの連携などを検討する場合は、専門的な知識が必要になることもあります。必要に応じて外部の専門家の支援を検討することも有効です。
XIMIXによるデータ分析と活用支援
基本的なWebサイト分析はGA4でも可能ですが、より深い洞察を得てビジネス成果に繋げるためには、さらなるステップが必要になる場合があります。
「GA4のデータだけでは物足りない」 「Webサイトのデータと、CRMやSFAなどの顧客データを統合して分析したい」 「分析結果を分かりやすく可視化し、組織全体で活用したい」
このような高度なニーズに対して、私たち XIMIX (サイミクス) は、Google Cloud を活用したソリューションを提供します。
多くの企業様のデータ活用をご支援してきたNI+Cの知見に基づき、XIMIXでは以下のようなご支援が可能です。
- GA4データのBigQuery連携: GA4の生データをGoogle Cloud のデータウェアハウス BigQuery にエクスポートすることで、より自由で高度なデータ分析が可能になります。SQLを用いた複雑な集計や、他のデータソースとの統合が容易になります。
- データ統合分析基盤の構築: Webサイトデータ、顧客データ(CRM/SFA)、広告データ、基幹システムデータなどをBigQueryに統合し、一元的な分析を可能にする基盤を構築します。
- データ可視化 (Looker活用): Google Cloud のBIツール Looker (Looker Studio含む) を活用し、分析結果をインタラクティブなダッシュボードで可視化します。専門家でなくても、誰もがデータに基づいた意思決定を行える環境を実現します。
- 導入・活用コンサルティング: お客様のビジネス目標達成に向けたデータ活用ロードマップの策定から、ツールの導入・設定、分析・活用の伴走支援まで、トータルでサポートします。
Google Cloud を活用したWebサイト分析の高度化や、データ分析基盤の構築にご興味をお持ちでしたら、ぜひXIMIXにご相談ください。
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XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。
XIMIXのデータ分析サービスについてはこちらをご覧ください。
XIMIXのデータ可視化サービスについてはこちらをご覧ください。
まとめ
この記事では、Webサイト分析の基本について、その重要性から見るべき指標、代表的なツールであるGA4の概要、分析の始め方、そして注意点までを解説しました。
Webサイトは、現代のビジネスにおいて顧客との重要なコミュニケーションチャネルです。その価値を最大化するためには、Webサイト分析を通じて得られるデータを活用し、継続的に改善を図っていくことが不可欠です。
難しく考えすぎず、まずは自社のWebサイトの目的を明確にし、GA4などのツールを使って基本的な指標を確認することから始めてみましょう。そして、分析から得られた気づきを基に、小さな改善でも構わないので実行に移し、その効果を検証するサイクルを回していくことが重要です。
データに基づいたWebサイト改善は、顧客体験の向上、そしてビジネス成果の向上に確実に繋がります。XIMIXは、Google Cloud の技術とノウハウを活かし、お客様のデータドリブンなサイト改善とDX推進を支援します。
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