【入門】Webサイト分析の基本:見るべき指標からGA4の使い方、改善の進め方まで

 2025,04,28 2025.07.06

はじめに

「自社のWebサイトが、期待するほどの成果に繋がっていない」 「GA4を導入したはいいが、どの数字を見てどう活かせばいいのか分からない」 「サイト改善を進めたいが、勘や経験に頼ってしまい、的確な次の一手が見つからない」

もし、このような課題を感じているなら、その解決の鍵は「Webサイト分析」にあります。Webサイトはもはや単なる情報発信ツールではなく、ビジネス成長を左右する重要な顧客接点です。その価値を最大化するには、データに基づいた客観的な現状把握と、戦略的な改善活動が欠かせません。

この記事では、Webサイト分析の第一歩を踏み出そうとしている入門者の方に向けて、分析の重要性から見るべき主要指標、必須ツールであるGoogleアナリティクス4 (GA4) の基本的な見方、成果に繋げるための実践ステップ、そして成功のポイントまでを網羅的に解説します。

データに基づいた改善サイクルを回し、Webサイトを「成果を生み出す資産」へと変えるための知識と手順を、ぜひここで手に入れてください。

Webサイト分析はなぜビジネス成長に不可欠なのか?

Webサイト分析(アクセス解析)とは、サイトのアクセス状況やユーザー行動をデータで収集・分析し、現状把握や課題発見、施策効果の測定を行う活動です。ではなぜ、これが現代のビジネスにおいて不可欠なのでしょうか。

①現状把握と課題発見

Webサイト分析の基本は、思い込みや憶測を排除し、事実(データ)に基づいて現状を正確に把握することにあります。「どのくらいのユーザーが」「どこから来て」「どのページを」「どのように見て」「成果に繋がった(あるいは繋がらなかった)のか」を可視化することで、「特定のページで離脱が多い」「スマホからのアクセスなのに、PCでしか見やすくない」といった課題が明確になります。

②データに基づく意思決定

課題がデータで裏付けられれば、改善策も具体的になります。「離脱が多いこのページの構成を見直そう」「コンバージョン率が高いこの流入経路への投資を増やそう」といったビジネス上の意思決定を、客観的な根拠を持って行えるようになります。これにより、リソースの最適な配分と、施策の成功確率向上が期待できます。

③顧客理解の深化とCX(顧客体験)向上

ユーザーの行動データは、顧客のニーズや興味関心、悩みを映し出す鏡です。「ユーザーはどんなキーワードで検索して来たのか」「どのコンテンツを熱心に読んでいるのか」を分析することで、ターゲット顧客への理解が深まります。この理解は、より質の高い情報やサービスを提供し、優れた顧客体験(CX)を創出するための土台となります。

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【目的別】Webサイト分析で見るべき主要指標

分析ツールには無数の指標がありますが、一度に全てを追う必要はありません。大切なのは「ビジネスの目的に合わせて、どの指標に注目するか」です。ここでは、特に重要な指標を3つの目的別に整理して解説します。

①サイトの集客力を測る指標

まず、どれだけの人がサイトに興味を持ってくれているかを知るための指標です。

  • ユーザー数 (UU): 特定の期間内にサイトを訪れた、重複しないユーザーの数。サイトの認知度や集客規模の基本となります。

  • セッション数: ユーザーがサイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動(訪問)の回数。サイトへの訪問頻度や、リピート率の高さを示唆します。

  • 流入チャネル: ユーザーがどこ経由でサイトにたどり着いたか(例: Google検索、広告、SNS、他サイトからのリンクなど)を示します。どの集客施策が効果的かを知る上で極めて重要です。

②サイト内でのユーザー行動を測る指標

次に、サイトを訪れたユーザーが、コンテンツにどれだけ満足し、回遊してくれたかを知る指標です。

  • エンゲージメント: GA4で重視される指標で、ユーザーがサイトに対して行った意味のある操作(10秒以上の滞在、コンバージョンイベントの発生、2ページ以上の閲覧など)を指します。コンテンツの質やユーザーの関心の高さを測る重要なバロメーターです。

  • 離脱率: ユーザーがサイトから離脱する最後のページになった割合。特に、お問い合わせフォームや購入手続きページなど、コンバージョン経路上のページで離脱率が高くないかは必ず確認すべきポイントです。

  • ページビュー数 (PV): ページが表示された合計回数。サイト全体でどのページが人気か、関心を集めているかを知ることができます。

③サイトの成果を測る指標

最後に、Webサイトがビジネス目標にどれだけ貢献しているかを測る、最も重要な指標です。

  • コンバージョン (CV) 数: 「商品購入」「資料請求」「問い合わせ」など、Webサイト上で設定した最終的な目標(ゴール)が達成された回数です。

  • コンバージョン率 (CVR): サイトへの訪問(セッション数)のうち、何割がコンバージョンに至ったかを示す割合(CV数 ÷ セッション数 × 100%)。Webサイトの収益性を測る上で欠かせない指標です。CVRの改善は、ビジネス成果に直結します。

  • コンバージョン単価 (CPA): 1件のコンバージョンを獲得するためにかかった広告費などのコスト。広告などの費用対効果を判断するために用います。

これらの指標を単体で見るのではなく、期間比較(先月比、前年同月比)やセグメント別(デバイス別、流入チャネル別、ユーザー属性別)に分析することで、より深い洞察が得られます。

分析の必須ツール「Googleアナリティクス4 (GA4)」の基本

Webサイト分析には様々なツールがありますが、事実上の標準となっているのがGoogleの無料ツール「Googleアナリティクス4 (GA4)」です。ここでは、GA4の膨大な機能の中から、まず押さえておきたい基本的なレポートの見方を紹介します。

GA4で何がわかる?主要レポートの見方

GA4にログインすると、左側にメニューが表示されます。まずは以下のレポートを中心に見ていきましょう。

  • レポートのスナップショット: サイト全体の主要指標がカード形式で一覧表示されるホーム画面です。まずはここで、ユーザー数やエンゲージメント時間、コンバージョン数といった全体の動向を大まかに把握します。

  • 集客レポート: 「ユーザーがどこから来たのか」を分析できます。「トラフィック獲得」レポートを見れば、自然検索、広告、SNSなど、チャネルごとのユーザー数やセッション数、CV数が分かり、どの集客施策が有効に機能しているかを評価できます。

  • エンゲージメントレポート: 「ユーザーがサイト内で何をしたか」を分析できます。「ページとスクリーン」レポートでは、どのページの閲覧数が多く、エンゲージメントが高いかを確認可能。「コンバージョン」レポートでは、設定したゴールの達成状況を詳しく見ることができます。

  • リアルタイム: 「今、この瞬間」のサイト状況を確認できます。キャンペーン開始直後やテレビ放映後などの反響をリアルタイムで見る際に役立ちます。

旧アナリティクス(UA)との違いと「エンゲージメント」の重要性

以前のユニバーサルアナリティクス(UA)を使っていた方は、GA4で「直帰率」という指標が標準ではなくなったことに戸惑うかもしれません。GA4では、「1ページしか見ずに離脱した」というネガティブな側面だけでなく、「ユーザーがサイトに価値を感じてくれたか」をより積極的に評価する「エンゲージメント」という概念が中心に据えられています。この変化は、コンテンツの質をより重視する現代のWebマーケティングの潮流を反映したものと言えるでしょう。

Webサイト分析の始め方|成果に繋げる6つの実践ステップ

ツールを導入しても、やみくもにデータを眺めているだけでは成果に繋がりません。ここでは、分析をビジネスの成功に繋げるための具体的なステップを解説します。

ステップ1: ビジネスゴールと分析の目的を明確にする

最も重要なステップです。まず「Webサイトを通じて、事業の何を達成したいのか?(売上向上、リード獲得、ブランディングなど)」というビジネスゴールを定めます。その上で、「ゴール達成のために、分析によって何を明らかにしたいのか?」という分析の目的を具体化します。

(例)ビジネスゴール: 「新規問い合わせを月20%増やす」 → 分析の目的: 「問い合わせフォームへの到達率が低い原因を特定する」

ステップ2: GA4の導入とコンバージョン設定

GA4を導入し、トラッキングコードをサイトの全ページに設置します。そして、ステップ1で定めたゴール(問い合わせ完了、資料請求完了など)をコンバージョンとしてGA4に設定します。この設定を行わないと、成果の計測ができません。

ステップ3: 重要業績評価指標 (KPI) の設定

分析の目的に合わせて、特に重視して追いかける指標(KPI)を2〜3個に絞ります。例えば、先の例(問い合わせ増)であれば、KPIは「問い合わせフォームページの離脱率」や「全体のコンバージョン率(CVR)」などが考えられます。

ステップ4: データ分析と仮説の立案

KPIを中心にデータを分析し、傾向や課題点を探ります。ここで重要なのが「なぜ?」を繰り返し、課題の原因についての仮説を立てることです。

(例)データ: 「スマホからのアクセス時、問い合わせフォームの離脱率がPCより30%高い」 → 仮説: 「スマホだと入力項目が多くて面倒に感じられているのではないか?」「入力エラー時の表示が分かりにくいのではないか?」

ステップ5: 改善施策の立案と実行

立てた仮説を検証するための、具体的な改善策を考え、実行します。先の仮説であれば、「入力項目を必須なものだけに絞り込む」「フォームのデザインをスマホ向けに最適化する」といった施策が考えられます。

ステップ6: 効果測定とPDCAサイクルの実践

施策の実行後、一定期間(例: 1ヶ月)をおいて、再度データを分析し、KPIが改善したかどうかを効果測定します。効果があれば継続・横展開し、なければ原因を再分析して次の仮説・施策へと繋げます。このPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)のPDCAサイクルを回し続けることが、Webサイトを継続的に成長させる唯一の方法です。

分析を成功に導くためのポイントと注意点

多くの企業様をご支援する中で見えてきた、Webサイト分析を成功させるための3つのポイントをご紹介します。

「目的」を見失わない

高機能なツールを前にすると、つい様々なデータを見ること自体が目的になりがちです。常に「何のためにこのデータを見ているんだっけ?」と自問し、ステップ1で設定したビジネスゴールと分析の目的に立ち返ることが、遠回りのようで一番の近道です。

小さな仮説検証を繰り返す

壮大な計画を立てて、半年に一度しか改善しない、というやり方は今の時代のスピードに合いません。「このボタンの色を変えたらクリック率は上がるか?」「このページのタイトルを変えたら滞在時間は延びるか?」といった小さな仮説を立て、素早く実行・検証するサイクルを回していく方が、結果的に大きな成果に繋がります。

ツールの数値を鵜呑みにしない

データは強力な武器ですが、万能ではありません。例えば、「滞在時間が短い」というデータも、「求めていた情報がすぐに見つかって満足した」結果かもしれません。数値の裏側にあるユーザーの文脈や心理を想像することが不可欠です。データとユーザー視点の両輪で考える癖をつけましょう。 

基本の次へ|XIMIXと実現するデータドリブンなサイト運営

GA4による基本的な分析は、Webサイト改善の大きな一歩です。しかし、ビジネスをさらに加速させるためには、より高度なデータ活用が求められるフェーズが訪れます。

「Webサイトのデータと、営業部門が持つ顧客データ(CRM)を繋げて分析したい」 「分析結果を、専門家でなくても分かるレポートにして全社で共有したい」

こうしたニーズに対し、私たちXIMIX (サイミクス) は、Google Cloud を活用した一歩先のソリューションを提供します。

GA4だけでは見えない世界とは?

GA4は優れたツールですが、そのデータはあくまでサンプリング(一部を抽出)されたものである場合があります。また、分析できる範囲もGA4のインターフェース内に限られます。ビジネスの意思決定の精度を極限まで高めるには、全ての生データを扱い、他のデータと組み合わせる必要があります。

Google Cloud活用で実現する高度なデータ分析・活用

NI+Cが持つ豊富なデータ活用支援の知見に基づき、XIMIXは以下のご支援を通じて、お客様のデータ活用を新たなステージへと導きます。

  • GA4データのBigQuery連携: GA4の全生データを、Google Cloud のデータウェアハウス BigQuery へエクスポート。これにより、複雑な条件での集計や、サイトデータとCRM/SFAデータ、広告データ、基幹システムのデータなどを統合した、より本質的な分析が可能になります。

  • データ可視化 (Looker活用): 統合・分析したデータを、Google Cloud のBIツール Looker を用いて、誰もが直感的に理解できるダッシュボードとして可視化。組織全体がデータに基づき対話し、意思決定を行う文化を醸成します。

  • 伴走型コンサルティング: お客様のビジネスゴール達成に向けたデータ活用戦略の策定から、ツール導入、分析・活用の定着まで、経験豊富なプロフェッショナルが伴走支援します。

Google Cloud を活用したWebサイト分析の高度化や、全社的なデータ分析基盤の構築にご興味をお持ちでしたら、ぜひXIMIXにご相談ください。

XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。

まとめ

本記事では、Webサイト分析の基本について、その重要性から見るべき指標、GA4の概要、実践的な進め方、そして成功のポイントまでを解説しました。

Webサイト分析は、もはや専門部署だけの仕事ではありません。データに基づき顧客を理解し、仮説を立て、改善を繰り返すスキルは、これからのビジネスパーソンにとって不可欠なものとなるでしょう。

まずは難しく考えすぎず、自社のWebサイトの目的を再確認し、GA4で基本的な指標を眺めることから始めてみてください。そこから得られる小さな気づきと改善の積み重ねが、やがて大きなビジネス成果へと繋がっていきます。

XIMIXは、Google Cloud の技術とNI+Cの豊富な実績を活かし、お客様のデータドリブンなサイト改善と、その先にあるDX推進を強力に支援します。


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