はじめに
「データに基づいた意思決定が重要だ」「データ活用で競争力を高めたい」——。 DX推進の機運が高まる中、多くの企業でデータ分析への関心が高まっています。しかしその一方で、「データ分析の必要性は理解しているが、社内に詳しい専門家がいない」「担当者はいるものの、他の業務と兼務で手が回らない」「何から始めれば良いのか、誰に相談すれば良いのか分からない」といった、人材やスキルの不足という深刻な課題に直面している企業も少なくありません。
人材不足は、データ分析を推進する上での大きな障壁となり得ます。ですが、専門家がいないから、人手が足りないからといって、データ活用を諦めてしまうのは非常にもったいないことです。
この記事では、データ分析を進めたいけれど社内リソースに課題を感じている企業の担当者・決裁者の皆様に向けて、人材不足という状況下でもデータ分析を始めるための現実的な対策や考え方を、具体的な選択肢とともにご紹介します。
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なぜ人材不足でもデータ分析に取り組むべきなのか?
そもそも、なぜリソースが限られている状況でも、データ分析に取り組む必要があるのでしょうか? その理由は、データ活用がもたらすメリットが、現代のビジネスにおいて不可欠なものとなりつつあるからです。
- 顧客理解の深化: データ分析を通じて顧客の行動やニーズを深く理解し、よりパーソナライズされた商品・サービス提供やコミュニケーションを実現できます。
- 業務効率の向上: データに基づいて業務プロセスを見直し、ボトルネックを解消することで、生産性の向上やコスト削減につなげられます。
- 的確な意思決定: 経験や勘だけに頼らず、客観的なデータに基づいた意思決定を行うことで、戦略の精度を高め、リスクを低減できます。
- 新たなビジネス機会の創出: データの中に隠れたパターンやインサイトを発見し、新たな商品開発やサービス改善、新規事業のヒントを得ることができます。
これらのメリットは、企業の競争力維持・向上に直結します。人材不足を理由にデータ活用を先送りにしてしまうと、競合他社との差は開く一方となりかねません。限られたリソースの中でも、工夫次第でデータ分析の第一歩を踏み出すことは可能なのです。
データ分析における人材・リソース不足の具体的な課題
データ分析を進める上で、多くの企業が直面する人材・リソース面の課題には、具体的にどのようなものがあるでしょうか。自社の状況と照らし合わせてみてください。
- 専門スキルを持つ人材がいない: データサイエンティストやデータアナリストといった専門職が社内にいない、あるいは不足している。統計学、プログラミング、データベースなどの知識を持つ人材が見つからない。
- 担当者の時間不足: データ分析担当者が任命されても、他の業務と兼務しているケースが多く、分析業務に十分な時間を割けない。
- 何から手をつければ良いかわからない: データ分析の目的設定、必要なデータの収集・整理、適切な分析手法の選択など、プロジェクトの進め方自体がわからない。
- ツールの選定・導入が難しい: 世の中には様々なデータ分析ツールがあるが、自社の目的やスキルレベルに合ったツールを選ぶのが困難。導入しても使いこなせない。
- 分析結果をビジネスに活かせない: 分析結果が出ても、それを解釈し、具体的なアクションプランに落とし込むことができない。経営層や現場に分析結果の重要性を伝えられない。
これらの課題は相互に関連しており、一つでも当てはまるとデータ分析プロジェクトが停滞してしまう原因となります。
人材不足でもデータ分析を進めるための具体的な対策
では、これらの課題を抱えながら、どのようにデータ分析を進めていけば良いのでしょうか。ここでは、4つの現実的な対策(選択肢)をご紹介します。これらは単独で行うだけでなく、組み合わせて実施することも有効です。
① スモールスタートで始める(小さく始めて大きく育てる)
最初から全社規模での大規模なデータ分析を目指すのではなく、特定の部門や解決したい具体的な課題に絞って、小さな範囲から始めるアプローチです。
- メリット: 初期投資を抑えられる、短期間で成果を出しやすい(成功体験を得やすい)、失敗した際のリスクが小さい、必要なスキルやツールを限定しやすい。
- 進め方例:
- 特定部門(例:マーケティング部、営業部)の特定の課題(例:広告効果の測定、解約率の分析)にフォーカスする。
- PoC (Proof of Concept:概念実証) を実施し、データ分析の有効性や実現可能性を低コストで検証する。
- まずはExcelなど身近なツールでできる範囲から試してみる。
② 使いやすいツールを活用する(テクノロジーで補う)
専門的な知識やコーディングスキルがなくても、直感的な操作でデータ分析や可視化を行えるツールを活用することで、人材不足を補うことができます。
- BI (ビジネスインテリジェンス) ツール: データをグラフやダッシュボードで分かりやすく可視化し、インサイトを得やすくするツール。Looker など、専門家でなくても比較的容易に扱えるものが増えています。
- ETL/ELTツール、データプレパレーションツール: データの抽出・変換・統合といった、分析前の面倒なデータ準備作業を自動化・効率化するツール。Google Cloud の Dataprep などは、GUIベースで操作できるため、専門知識が少なくても利用しやすいです。
- メリット: 分析作業の効率化、属人化の防止、専門スキル要件の緩和。
- 注意点: ツール導入自体が目的化しないように注意。自社の目的、データ量、利用者のスキルレベルに合ったツールを選ぶことが重要です。
③ 社内人材の育成(未来への投資)
時間はかかりますが、既存の社員に必要な知識やスキルを習得してもらう(リスキリング) ことで、社内にデータ活用文化を根付かせ、持続的なデータ分析体制を構築する方法です。
- 進め方例:
- データ分析に関する研修プログラムの導入(オンライン講座、外部研修など)。
- OJT (On-the-Job Training) を通じて、実務の中でスキルを習得する機会を提供する。
- データ分析に関心のある社員を発掘し、「市民データサイエンティスト」(専門家ではないが、業務知識と基本的なデータ分析スキルを併せ持ち、現場でデータを活用できる人材)として育成する。
- メリット: 社内にノウハウが蓄積される、業務知識を持つ人材が分析を行うため現場に即したインサイトが得られやすい、長期的なコスト削減につながる可能性がある。
- 注意点: 効果が出るまでに時間がかかる、育成対象者のモチベーション維持が必要、適切な教育プログラムの選定が重要。
④ 外部パートナー(専門家)の活用(スピードと専門知識の獲得)
データ分析基盤の構築、高度な分析、戦略策定、人材育成などを外部の専門企業に委託する方法です。
- メリット: 短期間で専門的な知見やスキルを活用できる、自社リソースをコア業務に集中できる、最新技術やトレンドを取り入れやすい、客観的な視点からのアドバイスが得られる。
- 活用例:
- データ分析戦略のコンサルティング
- データ分析基盤(DWH、データレイクなど)の設計・構築
- 特定のテーマに関する分析代行
- 社内人材育成プログラムの提供・実施
- 分析プロジェクトの伴走支援
- 注意点: コストがかかる、外部に依存しすぎると社内にノウハウが蓄積されない可能性がある、自社の状況や目的を正確に伝え、信頼できるパートナーを選ぶことが重要。
対策を組み合わせて、自社に合った進め方を見つける
上記で紹介した4つの対策は、どれか一つだけを選ぶというものではありません。多くの場合は、自社の状況やデータ分析のフェーズに合わせて、これらの対策を柔軟に組み合わせていくことが現実的かつ効果的です。
組み合わせ例:
- 初期段階: スモールスタートで始め(①)、使いやすいBIツールを導入し(②)、初期設定や基本的な使い方について外部パートナーの支援を受ける(④)。
- 中期段階: ツール活用(②)を進めながら、関心のある社員を対象に育成プログラムを開始し(③)、より高度な分析や基盤構築は外部パートナーに依頼する(④)。
- 発展段階: 育成した社内人材(③)が中心となり、外部パートナー(④)と連携しながら、分析テーマの拡大や内製化を進める。
重要なのは、自社のリソース状況、データ分析の目的、かけられるコストや時間などを総合的に考慮し、無理なく継続できる進め方を見つけることです。
人材不足でもデータ分析推進!XIMIXがお手伝いします
データ分析を進めたいけれど、人材不足でお困りではありませんか? 「何から始めれば良いかわからない」「適切なツールを選べない」「外部に頼みたいが、どこに相談すれば良いか…」 このような課題に対し、私たちNI+Cが提供する XIMIX は、お客様の状況に合わせた最適な解決策をご提案します。
多くの企業様から、データ分析における人材不足に関するご相談をいただきます。これは、DX推進における共通の課題と言えるでしょう。XIMIXでは、Google Cloud の先進的なテクノロジーと、NI+Cが長年培ってきたシステムインテグレーションのノウハウを組み合わせ、お客様の課題解決を強力にサポートします。
- データ分析 PoC支援: スモールスタートで効果を検証したいお客様向けに、低コスト・短期間でのPoC実施をサポートします。
- ツール導入・活用支援: Looker や BigQuery、Dataprep といった Google Cloud の各種サービスの導入から、効果的な活用方法のレクチャー、ダッシュボード構築まで、お客様のスキルレベルに合わせて支援します。
- 伴走型支援・コンサルティング: お客様と一緒に課題設定から分析、施策立案までを行い、データ活用を内製化できるよう伴走支援します。)
- データ分析基盤構築・運用: 人材不足で運用まで手が回らないお客様向けに、データ分析基盤の設計・構築から運用保守までをトータルでサポートします。
- 人材育成プログラム: お客様のニーズに合わせたデータ分析人材育成プログラムのご提案も可能です。
XIMIXは、単なるツール導入や分析代行に留まらず、お客様が自律的にデータ活用を推進できるようになることを目指し、技術面・ビジネス面の両方から最適なソリューションを提供します。
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まとめ
データ分析における人材不足は、多くの企業が直面する深刻な課題です。しかし、それはデータ活用を諦める理由にはなりません。
この記事でご紹介したように、
- スモールスタートで始める
- 使いやすいツールを活用する
- 社内人材を育成する
- 外部パートナー(専門家)を活用する
といった対策を、自社の状況に合わせて賢く組み合わせることで、限られたリソースの中でもデータ分析を着実に推進していくことが可能です。
完璧な体制が整うのを待つのではなく、まずは小さな一歩を踏み出すことが重要です。データという羅針盤を手に入れ、変化の激しい時代を乗り切るために、自社に合ったデータ分析の進め方を見つけていきましょう。
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