現場の不満はDXが次のフェーズへ進むための「サイン」
Google Workspaceを導入した中堅・大企業においgd、初期段階で「使いにくい」「以前のツールの方が効率的だった」という現場からの反発に直面することがあります。プロジェクトを推進する立場からすれば、多額の投資と準備を重ねた結果としての不満は、焦りや不安を感じさせるものかもしれません。
しかし、多くの中堅・大企業の変革を支援してきた経験から言えば、この摩擦こそがレガシーな働き方からの脱却が始まっている「健全なサイン」です。不満が出るということは、社員が新しいツールを実際に使おうと試み、これまでの慣習との間で葛藤が生じている証拠だからです。
本記事では、現場の「使いにくい」という声をどのように分析し、具体的にどのようなフォローアップを行うべきか、組織論と最新技術の両面から解説します。
なぜ「使いにくい」という声が上がるのか?その構造的背景
対策を講じる前に、不満の正体を冷静に分析する必要があります。
「使いにくい」と言われる理由は、単なるボタンの配置の問題ではありません。
①ワークフローのパラダイムシフトへの戸惑い
従来のオフィススイートは「個人のPC内で資料を作成し、メールで送る」という非同期的な働き方を前提としていました。
一方、Google Workspaceは「クラウド上の1つのファイルを全員で編集する」という同期的な働き方を求めています。この「情報の所有権」が個人から共有へと移り変わるプロセスに、心理的な抵抗や運用の混乱が生じているのです。
②「再現性」に固執する減点方式の評価
長年Excelや旧来のメールソフトを使い込んできたプロフェッショナルほど、「これまでの操作がどこまで再現できるか」を基準に評価します。
例えば、マクロの挙動の違いやUIの細かな差異を「欠陥」と捉えてしまい、同時編集や強力な検索機能といった、クラウドネイティブならではの「加点要素」に目が向かない状況が発生します。
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③ラーニングカーブによる一時的な生産性低下
どんなに優れたツールでも、導入直後は操作を習得するためのコスト(ラーニングカーブ)が発生します。
特に業務負荷の高い中堅・大企業の現場では、この「一時的な足踏み」が生産性を阻害していると感じられ、不満として表出します。
現場の抵抗を解消する4つの具体的フォローアップ策
不満を放置すれば、ツールは形骸化し、シャドーIT(会社が把握していないIT利用)の温床となります。ROIを最大化するために必要な、具体的なフォローアップ策を提示します。
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①「不満の棚卸し」による課題の可視化
まずは、現場が何に対して「使いにくい」と言っているのかを定量・定性の両面で可視化します。
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技術的な問題: セキュリティ設定が厳しすぎて共有が不便ではないか?
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スキルの問題: 基本的な「共有設定」や「検索のコツ」が伝わっているか?
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業務プロセスの問題: 承認フローや報告経路が古いツールの仕様に依存していないか?
これらを切り分けることで、「全社研修」が必要なのか、「システム設定の緩和」が必要なのか、打つべき対策が明確になります。
②「チェンジマネジメント」としての推進リーダー育成
IT部門がすべての問い合わせに対応する体制は、大企業では現実的ではありません。各部署に「チャンピオン(推進リーダー)」を数名選出し、彼らに先行して成功体験を積んでもらう体制を構築します。
「情報システム部が言っているから使う」のではなく、「隣の席の同僚が便利だと言っている」という状況を作ることが、心理的ハードルを下げる最短ルートです。
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③Gemini(生成AI)を活用した「学習コスト」の削減
現在、ツールの使い勝手を飛躍的に向上させているのが、生成AI「Gemini for Google Workspace」の活用です。 いまや「この関数の書き方は?」「スライドのレイアウトを整えて」といった細かな操作を覚える必要はありません。
Geminiに自然言語で指示を出すだけで、AIが操作を代行・サポートします。現場に対し、「操作を覚える手間」ではなく「AIに任せて仕事を早く終わらせる体験」を優先的に提供することが、不満を解消する強力な武器となります。
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④成功事例の「社内広報」による価値の再定義
「使いにくい」という声に負けないほど、「こう使ったら便利になった」という事例を社内で循環させます。
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「会議中の同時編集で、議事録作成時間がゼロになった」
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「Geminiを使って、メールの返信案作成を自動化した」
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「スマホから承認ができるようになり、意思決定が半日早まった」
こうした「ビジネス価値(ROI)」に直結する事例を、決裁者層から現場へ積極的に発信することで、ツールの導入目的を「操作の変更」から「働き方の進化」へと昇華させます。
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定着化を阻む「陥りがちな罠」と回避策
多くのプロジェクトを見てきた中で、特に注意すべきは「現場への過度な歩み寄り」です。
既存のツールと100%同じ挙動をさせようとカスタマイズを繰り返すと、Google Workspaceの最大のメリットである「シンプルさ」と「常に最新であること」が損なわれます。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX白書」等でも指摘されている通り、日本企業の多くは既存プロセスをITに合わせる「Fit to Standard」への転換に課題を抱えています。
現場の不満に対しては、「以前のツールに戻す」のではなく、「新しいツールで同等以上の成果を出すためのプロセス変更」を提案する姿勢が、決裁者には求められます。
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成功の鍵を握る「外部専門家」という選択肢
自社リソースだけで、数千、数万人の社員の意識とスキルを変えるのは容易ではありません。特に中堅・大企業においては、既存のガバナンスを維持しつつ、いかにスピード感を持って定着させるかという「バランス感覚」が成否を分けます。
ここで有効なのが、他社の失敗・成功パターンを熟知した外部パートナーの活用です。単なる操作研修の講師ではなく、貴社の業務プロセスを深く理解し、現場の不満を「改善のタネ」に変えるチェンジマネジメントの知見を持ったパートナーが伴走することで、導入プロジェクトの成功確率は飛躍的に高まります。
まとめ
Google Workspace導入後の「使いにくい」という不満は、組織が次のステージへ進むための通過点です。
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不満を「技術」「スキル」「プロセス」に切り分けて分析する。
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GeminiなどのAIを活用し、操作の習得コストを最小化する。
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現場主導の推進体制を築き、成功事例を積極的に広報する。
これらのフォローアップを戦略的に行うことで、現場の抵抗は期待へと変わり、組織全体の生産性は確実に向上します。もし、自社内での対応に限界を感じていらっしゃるのであれば、数多くの大企業支援で培った知見を持つ私たちにご相談ください。貴社の文化に最適な、地に足のついた定着化ロードマップを共に構築いたします。
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