はじめに
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進において、コミュニケーションとコラボレーションの基盤となるツール選びは非常に重要です。中でもGoogle Workspaceは多くの企業で導入されていますが、複数のプランが存在するため、「自社にはどのプランが最適なのか?」「具体的に何ができて、何ができないのか?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。
特に「Business Standard」プランは、多くの企業にとってバランスの取れた選択肢となり得ますが、その詳細な機能や制限については意外と知られていないかもしれません。
この記事では、これからGoogle Workspaceの導入を検討している企業、特にBusiness Standardプランに関心のある担当者様に向けて、以下の点を分かりやすく解説します。
- Google Workspace Business Standardの主要な機能
- 知っておくべき利用上の制限
- 他の主要プランとの簡単な比較
- Business Standardの導入が推奨される企業やチームの特徴
この記事を読むことで、Google Workspace Business Standardが自社のニーズに合致するかどうかを判断し、導入に向けた具体的な検討を進めるための一助となれば幸いです。
Google Workspace Business Standardの概要
Google Workspace Business Standardは、中小規模から中堅企業まで幅広く利用されている人気のプランです。基本的なビジネスツールに加え、チームでの共同作業を強化する機能や、ある程度の管理機能が含まれており、コストと機能のバランスが取れています。
後述するBusiness Starterプランの機能に加えて、より大きなファイルストレージ、大人数でのビデオ会議、チーム用ドライブなどが利用可能になる点が大きな特徴です。
Business Standardで利用できる主要機能
Business Standardプランでは、日々の業務に不可欠な多くのツールを利用できます。ここでは代表的な機能をご紹介します。
コミュニケーションツール
- Gmail: カスタムドメイン(例: yourname@yourcompany.com)を利用できるビジネス向けメールです。強力な迷惑メールフィルタや検索機能に加え、セキュリティ機能も強化されています。
- Google Meet: 高画質・高音質のビデオ会議ツールです。Business Standardでは、最大150人まで同時接続が可能で、会議の録画機能も利用できます(Googleドライブに保存)。画面共有やチャット機能も充実しており、リモートワークや拠点間の会議に不可欠です。
- Google Chat: テキストベースのコミュニケーションツールです。ダイレクトメッセージやグループチャット(スペース)を作成でき、ファイル共有やタスク管理も連携して行えます。
コラボレーションツール
- Google ドライブ: クラウドベースのファイルストレージです。Business Standardでは、ユーザーあたり2TBの容量が提供されます。
- Google ドキュメント、スプレッドシート、スライド: オンラインで文書、表計算、プレゼンテーション資料を作成・編集できるツールです。複数人でのリアルタイム共同編集が可能で、変更履歴も自動で保存されます。Microsoft Officeファイルとの互換性もあります。
- Google フォーム: アンケートや申し込みフォームを簡単に作成できるツールです。回答は自動的にスプレッドシートに集計されます。
- Google サイト: プログラミングの知識がなくても、社内ポータルサイトやプロジェクトサイトなどを簡単に作成できるツールです。
- Google Keep: メモやアイデア、ToDoリストなどを手軽に記録・共有できるツールです。
その他の便利な機能
- Google カレンダー: スケジュール管理ツールです。個人の予定管理はもちろん、チームメンバーの空き時間を確認しながら会議のスケジュール調整が簡単に行えます。会議室などのリソース予約も可能です。
- Cloud Search: Gmail、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、カレンダーなど、Google Workspace内の情報を横断的に検索できる機能です。必要な情報を素早く見つけ出すのに役立ちます。(※一部機能制限あり)
- Apps Script: Google Workspaceの各ツールを連携させたり、定型業務を自動化したりするためのスクリプト環境です。簡単なプログラミングで業務効率化を図れます。
Business Standardの主な制限事項
Business Standardは多機能ですが、上位プランと比較していくつかの制限事項があります。導入前に確認しておきましょう。
- Google ドライブのストレージ容量: ユーザーあたり2TBです。Business Starterの30GBと比較すると大幅に増えますが、動画ファイルなど大容量データを頻繁に扱う場合や、全社的なファイルサーバーとして利用するには、容量が不足する可能性があります。その場合は、Business Plus(5TB/ユーザー)やEnterpriseプラン(5TB/ユーザーまたは必要に応じて追加)を検討する必要があります。
- Google Meetの参加人数: 最大150人までです。大規模な全社会議やウェビナーなどを開催する場合には、参加人数上限の高いBusiness Plus(最大500人)やEnterpriseプランが必要になることがあります。
- データ損失防止(DLP)機能: Gmailやドライブ内の機密情報の漏洩を防ぐための高度なDLP機能は、Business Standardには含まれていません。より高度なセキュリティ・コンプライアンス要件がある場合は、Enterpriseプランが必要です。
- Google Vault(電子情報開示とアーカイブ): Business StandardにもVaultは含まれますが、対象データや保持ポリシーの設定などに一部制限があります。厳格なコンプライアンス要件や訴訟対策が必要な場合は、より機能が充実しているEnterpriseプランのVaultが必要です。
- 高度なエンドポイント管理: モバイルデバイスやPCに対する高度なセキュリティポリシー(特定のアプリの強制インストール、デバイスのワイプなど)の一部は、Enterpriseプランでのみ利用可能です。
これらの制限が自社の運用に影響するかどうかを事前に評価することが重要です。
他のGoogle Workspaceプランとの簡単な比較
Business Standardの位置づけを理解するために、主要な他のプランと比較してみましょう。
機能/プラン | Business Starter | Business Standard (本記事) | Business Plus | Enterprise Standard/Plus |
---|---|---|---|---|
対象規模 | 小規模チーム、個人事業主 | 中小~中堅企業 | 中堅~大企業 | 大企業、高度な要件を持つ企業 |
ドライブ容量 | 30GB/ユーザー | 2TB/ユーザー | 5TB/ユーザー | 5TB~(必要に応じて拡張可) |
Meet参加人数 | 最大100人 | 最大150人 | 最大500人 | 最大1000人 |
Meet録画 | 不可 | 可能 | 可能 | 可能(+高度機能) |
共有ドライブ | 不可 | 可能 | 可能 | 可能 |
Vault | 不可 | 可能(一部制限あり) | 可能 | 可能(高度機能) |
高度な管理/セキュリティ | 基本的な管理機能 | 基本的な管理機能 | 強化された管理・セキュリティ | 最も高度な管理・セキュリティ・コンプライアンス |
月額料金 | 低 | 中 | 高 | 要問い合わせ |
※上記は代表的な違いであり、詳細な機能差は公式情報をご確認ください。(2025年4月20日時点の情報)
Business Starterは最も基本的なプランで、個人や少人数のチーム向けです。Business Plusは、Standardよりもストレージ容量、Meet参加人数が多く、セキュリティ機能も強化されています。Enterpriseプランは、大規模組織向けの高度なセキュリティ、コンプライアンス、管理機能を提供します。
どのプランが最適かは、企業の規模、業務内容、セキュリティ要件、予算などによって異なります。もしプラン選定にお悩みの場合は、専門家への相談も有効です。
Business Standardはどんな企業におすすめ?
上記の機能と制限を踏まえると、Google Workspace Business Standardは以下のような企業やチームに特におすすめです。
- チームでの共同作業を活発に行いたい企業: Meetの録画機能は、チームでの情報共有やプロジェクト推進に非常に役立ちます。
- ある程度のファイルストレージ容量が必要な企業: ユーザーあたり2TBの容量は、一般的なビジネス文書や資料の保存には十分な場合が多いでしょう。
- リモートワークやハイブリッドワークを導入している企業: MeetやChat、共同編集機能は、場所を選ばない働き方を強力にサポートします。
- 基本的なセキュリティと管理機能で十分な企業: 高度なコンプライアンス要件や厳格なデータ管理規則が必須でない場合、Business Standardの機能でカバーできることが多いです。
- コストと機能のバランスを重視する企業: Business Starterでは機能が不足するが、Business PlusやEnterpriseほどの高度な機能は不要、という場合に最適な選択肢となります。
もちろん、これはあくまで一般的な目安です。自社の具体的な状況に合わせて検討することが最も重要です。
XIMIXによるGoogle Workspace導入・活用支援
Google Workspace Business Standardは多くの企業にとって魅力的なプランですが、その導入や効果的な活用には、適切な設定、既存システムからの移行、従業員へのトレーニング、運用ルールの策定など、専門的な知見が求められる場面も少なくありません。
「どのプランが自社に最適か判断できない」 「導入は決めたが、スムーズな移行や設定に不安がある」 「導入したものの、もっと機能を活用して業務効率を上げたい」 「セキュリティ設定や運用ルールについて相談したい」
このような課題をお持ちではありませんか?
私たちXIMIX(提供:NI+C)は、Google CloudおよびGoogle Workspaceのプレミアパートナーとして、中堅〜大企業のお客様を中心に、数多くの導入支援や活用コンサルティングを行ってまいりました。
豊富な実績と専門知識に基づき、お客様のビジネス課題や組織規模に合わせた最適なプラン選定から、スムーズな導入、効果を最大化するための活用促進、運用サポートまで、一貫してご支援いたします。単なるツール導入に留まらず、お客様のDX推進を成功に導くための伴走支援を得意としています。
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XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
※Google Workspace の基本的な機能については、こちらの記事もご参照ください。
- 改めて知りたい「Google Workspace とは」- 機能・メリット・活用法をDX視点で解説
- グループウェアの進化がDXを加速する - Google Workspaceに見る次世代の働き方
- Google Workspace導入コストを徹底解剖!ライセンスから運用まで費用全体を把握
まとめ
今回は、Google Workspace Business Standardプランについて、その主要な機能、制限事項、他のプランとの比較、そして導入に適した企業像を解説しました。
Business Standardは、多くの企業にとって、コストと機能のバランスが取れた有力な選択肢です。Meetの録画機能など、チームでのコラボレーションを強化する機能が充実しており、ユーザーあたり2TBのストレージ容量も魅力です。
ただし、ストレージ容量やMeetの参加人数、高度なセキュリティ機能には制限があるため、自社の要件と照らし合わせて慎重に検討する必要があります。
Google Workspaceの導入は、単なるツール更新ではなく、働き方そのものを変革する可能性を秘めています。最適なプランを選び、効果的に活用することで、生産性向上やコミュニケーション活性化、ひいてはDX推進に大きく貢献できるはずです。
この記事が、貴社のGoogle Workspace導入検討の一助となれば幸いです。導入や活用に関してさらに詳しい情報が必要な場合や、専門家によるサポートをご希望の場合は、お気軽にXIMIXまでお問い合わせください。
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