対応事例 - サポート終了を契機に、止められない IoT データ基盤を Google Cloud へ

A 社 データ基盤刷新プロジェクト

このプロジェクトで目指す成果
  • 日々のデータ処理を止めずに、データ統合ツールの EOL に伴う移行を完遂
  • オンプレミス依存からの脱却による、インフラ運用負荷とコストの低減
  • GUI ベース ETL の導入による、ベンダーロックイン脱却と内製化に向けた基盤整備
  • AlloyDB・BigQuery の活用による、処理性能の向上とスケーラビリティの確保

 

お客様とプロジェクトの概要

IoT データの活用が、多くの業界で事業の競争力を左右する時代になりました。一方で、そのデータを支える基盤そのものが老朽化し、サポート終了(EOL)という「待ったなし」の期限に直面するケースも増えています。

A 社は、IoT データを活用したサービスを法人のお客様に提供しています。同社では、主力サービスのデータ集計を担ってきたデータ統合ツールの EOL を控え、データ基盤の全面刷新に踏み切りました。XIMIX は、アーキテクチャ設計から構築、データ移行までを一貫して支援しており、現在、新基盤への移行プロジェクトを推進しています。

本記事では、単なる「延命のための移行」ではなく、コスト最適化とベンダーロックインからの脱却、そして内製化への第一歩を同時に目指す取り組みと、A 社が移行先として Google Cloud を選定した理由をご紹介します。

課題 既存データ統合ツールのサポート終了(EOL)/オンプレミス依存による高いランニングコスト/特定ベンダーへの依存/増大し続ける IoT データへの対応
対応 Google Cloud(AlloyDB for PostgreSQL・BigQuery・Cloud Storage・Compute Engine)と GUI ベース ETL ツール「DataSpider」による次世代データ基盤の構築
目的 日々のデータ処理を止めない移行/インフラ運用負荷とコストの低減/大容量データに対応する処理性能とスケーラビリティの確保/内製化に向けた基盤整備
XIMIX の支援範囲 アーキテクチャ設計/構築/データ移行/プロジェクトマネジメント

背景と課題 ― 待ったなしの EOL と、止められないデータ処理

既存データ統合ツールのサポート終了(EOL)

A 社では、IoT データを活用した主力サービス(以下、本サービス)のデータ集計・分析を、特定のデータ統合ツールが担ってきました。しかし、そのツールのサポート終了が決まったことで、システム刷新が急務となりました。

EOL 対応には明確な期限があります。しかも本サービスのデータ処理は事業運営に直結するため、止めることができません。「期限に間に合わせる」ことと「日々の処理を止めない」ことを両立させる必要がありました。

オンプレミス依存による高いランニングコスト

既存環境はオンプレミスに依存しており、物理インフラの維持・保守にかかるコストが継続的に発生していました。IoT データが年々増加するなかで、将来的にはさらなる増強投資も見込まれる状況です。

A 社はこれを単なる「入れ替え」の機会ではなく、コスト構造そのものを見直す機会と捉えました。

特定ベンダーへの依存と、内製化というテーマ

もう一つの重要な経営課題が、特定ベンダーへの依存(ベンダーロックイン)からの脱却でした。ビジネス環境の変化に迅速に対応するには、開発・運用を自社でコントロールできる状態、すなわち内製化を進める必要があります。

とはいえ、いきなりすべてを内製化することは現実的ではありません。「コスト最適化」と「内製化への第一歩」を、EOL 対応という制約のなかで同時に成立させる。これが本プロジェクトの挑戦です。

なぜ Google Cloud を選定したのか

A 社が移行先として Google Cloud を選定した決め手は、コスト最適化・内製化を見据えた柔軟性・スケーラビリティの三つです。

オンプレミス依存からの脱却によるコスト最適化

従来のオンプレミス環境では、物理サーバーの保守・更改に継続的な投資が必要であり、データ量の増加に備えた先行投資も避けられませんでした。Google Cloud のマネージドサービスを活用すれば、インフラの運用管理にかかる負荷を軽減し、リソースを必要な分だけ利用する構成へと移行できます。

「ツールの EOL への対応」という守りの投資を、コスト構造の見直しという攻めの施策に転換できる点が、高く評価されました。

ベンダーロックインを回避し、内製化を後押しする構成

A 社は、特定ベンダーに依存しない構成を志向していました。Google Cloud のマネージドサービスにインフラの運用管理を委ねることで、A 社の担当者がインフラ保守ではなくデータ活用そのものに注力できる環境を目指せる点が評価されました。この「運用を任せ、開発の主導権は自社に残す」という構図が、内製化への現実的な第一歩になると判断されました。

この方針を踏まえ、データ連携基盤には GUI ベースで直感的に開発できる ETL ツール「DataSpider」を選定しました。高度なプログラミングを必要とせずにデータパイプラインを構築・改修できるため、将来的に A 社自身が開発・運用を担える余地が生まれます。

増大し続ける IoT データに耐える処理性能と拡張性

本サービスから生成されるデータは、今後さらに増加することが見込まれます。既存環境のままでは、データ量の増加がそのまま性能劣化や追加投資に直結しかねません。

レプリケーション先として AlloyDB for PostgreSQL、集計・分析基盤として BigQuery を採用することで、大容量データを高速に処理できる構成を目指しています。将来のデータ増加を、基盤の作り直しではなくリソース調整で吸収できる見通しが得られる点が、中長期的な安心材料として評価されました。

ソリューションとアーキテクチャ

XIMIX は、日々増大する IoT データを安定的かつ効率的に処理するため、Google Cloud を中核とした次世代データ連携基盤の設計・構築を進めています。

各サービスの役割

AlloyDB for PostgreSQL 本サービスから連携される膨大なデータのレプリケーション先。高い処理性能により、後段の集計処理を支えます
BigQuery 集計・分析基盤。大規模データに対する高速なレポーティングを担います
Cloud Storage 各種設定ファイルの保管、および出力レポートの格納先
Compute Engine ETL ツール「DataSpider」の実行基盤
DataSpider(ETL ツール) GUI ベースでデータパイプラインを開発・実行。内製化を見据えて選定

この構成では、データの受け皿(AlloyDB)・加工(DataSpider)・分析(BigQuery)・保管(Cloud Storage)の役割を明確に分離しています。役割を分けることで、将来いずれかの領域を拡張・変更する際にも個別に見直しやすい構成を意識しました。

XIMIX の役割とプロジェクトの進め方

XIMIX は、本プロジェクトにおいてアーキテクチャ設計から構築、データ移行までをトータルで主導しています。

最大のミッションは、既存のデータ統合ツールから新基盤へのシームレスな移行です。本サービスでは日々膨大な IoT データが生成され続けており、移行作業のために処理を止めることはできません。

XIMIX は、システムインテグレーターとして長年培ってきた移行の知見と Google Cloud の技術を掛け合わせ、日々のデータ処理を阻害しない移行計画を策定しました。現在、この計画に沿って移行を進めています。技術面の設計に加え、進行管理やリスクコントロールを含めたプロジェクトマネジメントの両面から、期限のある EOL 対応を支援しています。

本プロジェクトで目指す効果

データ処理を止めない EOL 移行

膨大な IoT データの処理を継続しながら、既存ツールのサポート終了に伴う移行を進めています。事業に直結するサービスを止めることなく、期限内に移行を終えることを目指しています。

インフラ運用負荷とコストの低減

オンプレミスの物理インフラに依存した構成から、Google Cloud のマネージドサービスを中心とした構成へ移行することで、運用にかかる負荷とコストの低減を見込んでいます。

内製化に向けた基盤の整備

Compute Engine 上に DataSpider を導入し、GUI で開発・改修できる環境を整備します。特定ベンダーへの依存から脱却し、A 社主導による将来的なシステム開発・運用の内製化に向けた土台づくりを目指しています。

処理性能の向上とスケーラビリティの確保

AlloyDB をレプリケーション先、BigQuery を分析基盤として活用することで、大容量データの処理性能の向上と、今後のデータ増加にも対応できる拡張性の確保を目指しています。

お客様の声

「既存ツールのサポート終了が決まったとき、同じ仕組みをそのまま置き換えるのではなく、これからのデータ活用を見据えた基盤にしたいと考えました。

移行先として Google Cloud を選んだ決め手は三つあります。一つ目は、オンプレミス環境の維持にかかっていたコストと運用負荷を見直せることです。二つ目は、インフラの運用はマネージドサービスに任せつつ、データ連携の開発は GUI ツールで自分たちがコントロールできる構成にでき、特定のベンダーに縛られにくいことです。そして三つ目は、今後も増え続けるデータに対して、基盤を作り直すことなく対応していける拡張性です。

移行はまだ道半ばですが、日々の処理を止めずに進めるという難しい条件のなかで、自分たちの手で改善を重ねていける基盤に向けて一歩ずつ前進していると感じています。」

A 社
システム部 次長 様

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