「老朽化したオンプレミス環境から脱却し、DXを推進したい」 「事業の成長に合わせ、柔軟にITインフラを拡張できる体制を整えたい」
このような課題意識から、Google Cloudへのシステム移行を検討される企業が年々増加しています。しかし、特に初めてクラウド移行に取り組むご担当者様からは、
何から手をつければ良いのか、全体像が掴めない
自社にはどの移行方法が合っているのか分からない
移行中にトラブルが発生しないか、潜在的なリスクが不安だ
といった切実な声が聞かれます。
本記事は、まさにこのようなお悩みを持つ、中堅〜大企業のDX推進・情報システム部門の決裁者・ご担当者様に向けて執筆しています。Google Cloud移行の基本的な手順はもちろんのこと、失敗しないための移行戦略の選び方、陥りがちな落とし穴と具体的な対策まで、プロジェクト成功に必要な知識を網羅的に解説します。
この記事を最後までお読みいただくことで、Google Cloud移行プロジェクトの解像度を上げ、自信を持って最初の一歩を踏み出すことができるはずです。
具体的な手順に入る前に、多くの企業がなぜGoogle Cloudを選択するのか、その主要なメリットを再確認しましょう。移行目的の明確化は、プロジェクト成功の羅針盤となります。
ハードウェアの購入費やデータセンターの維持管理費が不要になり、初期投資を大幅に抑制できます。また、利用した分だけ料金が発生する従量課金制のため、リソースの過剰投資を防ぎ、ビジネスの実態に合わせたコストの最適化が可能です。
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ビジネスの急成長や季節的な需要の変動に合わせ、サーバーのスペックや台数といったITリソースを、数分単位で迅速かつ容易に拡張・縮小できます。これにより、機会損失を防ぎ、常に最適なパフォーマンスを維持します。
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サーバーやOS、ミドルウェアの管理・保守業務から解放され、情報システム部門の貴重なリソースを、ビジネス価値を直接生み出すアプリケーション開発やデータ活用といった、より戦略的な業務へシフトさせることができます。
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データ分析基盤の「BigQuery」、AI/機械学習プラットフォームの「Vertex AI」、コンテナ管理の「Google Kubernetes Engine」など、Googleが誇る最先端のテクノロジーをサービスとして利用できます。これにより、データドリブンな意思決定や新たなサービス開発を加速させます。
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Googleのサービスを支える巨大で堅牢なインフラと、世界トップクラスのセキュリティ専門家チームによる保護を享受できます。ゼロトラストモデルに基づいた多層的な防御により、企業の重要な情報資産を様々な脅威から守ります。
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世界各地に分散されたデータセンターと、標準で備わっている冗長化構成により、自然災害や予期せぬ障害が発生した際にもサービスを継続できる、可用性の高いシステムを構築できます。これにより、事業継続計画(BCP)や災害復旧(DR)対策を大幅に強化します。
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Google Cloudへの移行と一言で言っても、そのアプローチは一つではありません。システムの特性や移行の目的に応じて、最適な戦略を選択することが、クラウドのメリットを最大化する鍵となります。ここでは、一般的に「6R」と呼ばれる代表的な移行戦略を解説します。
既存のサーバーやアプリケーションを、構成変更を最小限に留めてそのままクラウド環境へ移行する最もシンプルな手法です。
メリット: 移行期間が短く、低コストで実現可能。専門的なスキル要件も低い。
デメリット: クラウドネイティブな機能(自動スケーリングなど)の恩恵を十分に受けられない場合がある。
適したケース: 迅速にオンプレミスから脱却したい場合、アプリケーションの改修が困難な場合。
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OSやミドルウェアなどを、クラウド上で提供されるマネージドサービスに置き換えるなど、一部を最適化して移行する手法です。
メリット: リフト&シフトよりクラウドのメリットを享受でき、運用負荷の軽減やパフォーマンス向上が期待できる。
デメリット: ある程度の改修が必要となり、検証に工数がかかる。
適したケース: データベースをマネージドな「Cloud SQL」に置き換えるなど、運用を効率化したい場合。
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クラウドネイティブの利点を最大限に活かすため、アプリケーションのアーキテクチャ全体を大幅に見直し、再設計・再開発する手法です。
メリット: スケーラビリティ、可用性、俊敏性を最大化できる。マイクロサービス化などが代表例。
デメリット: 高度な技術力と多くの時間・コストを要する。
適したケース: ビジネスのコアとなるシステムで、将来的な成長や変化に柔軟に対応させたい場合。
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リパーチェス (Repurchase): 既存のパッケージソフトウェアから、SaaS型のアプリケーションに乗り換える戦略。(例: 自社構築のCRMからSalesforceへ)
リタイア (Retire): 不要になったシステムを廃止する戦略。アセスメントの結果、使用されていないことが判明したシステムが対象です。
リテイン (Retain): 現状のままオンプレミス環境で維持する戦略。移行が困難、またはメリットが見出せないシステムが対象です。
どの戦略を選ぶべきか分からない場合は、専門知識を持つパートナーに相談し、客観的なアセスメントを受けることを強く推奨します。
Google Cloudへの移行は、一般的に「評価・計画」「設計・構築」「移行・テスト」「運用・最適化」の4つのフェーズで進められます。ここでは各フェーズで実施すべき具体的なタスクを解説します。
移行プロジェクトの成否の8割は、このフェーズで決まると言っても過言ではありません。
目的と目標の明確化: 「なぜ移行するのか(コスト削減、DX推進など)」を定義し、「移行後にどのような状態を実現したいか(サーバーコスト30%削減など)」という具体的な目標(KGI/KPI)を設定します。
現状アセスメント: 既存のシステム構成、サーバーリスト、ネットワーク構成、アプリケーション間の依存関係、データ量などを詳細に調査・可視化します。XIMIXの経験上、この依存関係の把握が不十分なまま進めてしまい、移行テスト段階でトラブルになるケースが散見されます。
移行対象の選定と優先順位付け: 全システムを一度に移行するのではなく、ビジネスへの影響が少ないシステムや、クラウド化のメリットが大きいシステムからスモールスタートするのが定石です。
移行戦略の決定: 前述の「6R」を参考に、対象システムごとに最適な移行戦略を選択します。
PoC (概念実証) の実施: 本格移行の前に、技術的な実現可能性や性能、コストなどを小規模な環境で検証し、リスクを洗い出します。
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計画フェーズで決定した方針に基づき、Google Cloud上に移行先の環境を具体的に設計・構築します。
クラウドアーキテクチャ設計: Compute Engine, GKE, Cloud SQL, Cloud Storageなど、要件に合うGoogle Cloudサービスを選定し、最適なシステム構成を設計します。
ネットワーク設計: オンプレミス環境と安全に接続するための方法(Cloud VPN, Cloud Interconnect)や、VPC(Virtual Private Cloud)による論理的なネットワーク空間を設計します。
セキュリティ設計: IAM(Identity and Access Management)による厳格なアクセス権限管理、ファイアウォールルール、データの暗号化など、自社のセキュリティポリシーに準拠した設計を行います。
運用・監視設計: Cloud MonitoringやCloud Loggingを活用した監視体制や、障害発生時のエスカレーションフローなどを設計します。
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設計書に基づき、実際にデータやアプリケーションをGoogle Cloud環境へ移行し、テストを行います。
データ移行: データベースやファイルサーバーなどのデータを、ビジネスへの影響(ダウンタイム)を最小限に抑えながら新環境へ移行します。データの整合性チェックが極めて重要です。
アプリケーション移行: 仮想マシンやアプリケーションを、設計通りにGoogle Cloud環境へデプロイします。
総合テスト: 移行したシステムが要件通りに動作するか、性能は劣化していないか、セキュリティ設定に漏れはないかなど、機能・性能・セキュリティの観点から徹底的にテストを実施します。
切り替え(カットオーバー): テスト完了後、ユーザーのアクセス先を旧環境から新環境へ切り替えます。事前に綿密な切り替え手順書を作成し、リハーサルを行うことが成功の鍵です。
移行が完了してからが、クラウド活用の本当のスタートです。継続的な改善活動が重要となります。
システム監視と安定運用: 設計した監視体制に基づき、システムの稼働状況、パフォーマンス、コストを常時監視し、インシデントに迅速に対応します。
コスト最適化: 利用状況を分析し、インスタンスタイプの適正化(ライトサイジング)や、確約利用割引(CUD)などを活用して、継続的にコストを最適化します。
セキュリティ強化: 新たな脅威に対応するため、定期的にセキュリティ設定を見直し、脆弱性診断などを実施してセキュリティレベルを維持・向上させます。
パフォーマンス改善: ユーザーからのフィードバックや監視データに基づき、必要に応じてシステムのパフォーマンスチューニングを行います。
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ここでは、多くの企業がGoogle Cloud移行プロジェクトで直面しがちな失敗例と、それを回避するための具体的な対策を解説します。
対策: 正確なアセスメントに時間をかけることが最も効果的です。専門家の支援を受け、ツールも活用しながら、サーバーのスペックだけでなく、ネットワーク帯域、アプリケーション間の複雑な依存関係まで、徹底的に洗い出しましょう。
対策: クラウドは「水道」と同じです。リソースを起動しているだけでコストが発生するため、「とりあえず移行」しただけでは、オンプレミス時代より高くつくことがあります。移行後のコスト最適化フェーズを計画に含め、定期的なリソースの見直しや割引制度の活用を徹底しましょう。
対策: データ移行は最難関の一つです。データ量、ネットワーク帯域、許容ダウンタイムを基に、現実的な移行ツールと手順を選定します。本番と同等の環境で、必ず複数回のリハーサルを行い、手順の確立と所要時間の計測を行ってください。
対策: オンプレミスとクラウドではセキュリティの責任範囲(責任共有モデル)が異なります。Google Cloudが提供するIAMやVPC、ファイアウォールなどの機能を正しく理解し、自社のセキュリティポリシーに合わせて「ゼロトラスト」の考え方で再設計することが不可欠です。
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対策: クラウドは導入して終わりではありません。コスト管理、セキュリティ監視、パフォーマンスチューニングなど、クラウドならではの運用スキルが必要です。移行計画の段階で運用体制を定義し、担当者の育成や、知見のある外部パートナーとの連携を検討しましょう。
Google Cloudは、移行作業の効率化とリスク低減を支援する多様なネイティブツールを提供しています。
Migrate for Compute Engine: オンプレミスや他社クラウド上の仮想マシンを、最小限のダウンタイムでCompute Engineへ移行するサービスです。「リフト&シフト」戦略で強力な効果を発揮します。
Database Migration Service (DMS): MySQLやPostgreSQLなどのデータベースを、ダウンタイムを最小限に抑えながらCloud SQLなどへ移行できるフルマネージドサービスです。「リプラットフォーム」戦略で中心的な役割を担います。
Storage Transfer Service: オンプレミスのNFSサーバーや他のクラウドストレージから、大容量データをオンラインで迅速にCloud Storageへ転送するサービスです。
これらのツールを適切に活用することで、移行プロジェクトをよりスムーズに進めることが可能です。
ここまでGoogle Cloud移行について解説してきましたが、「自社のリソースだけで、これらすべてを計画・実行するのは困難だ」と感じられた方も多いのではないでしょうか。
私たちXIMIXは、Google Cloudのプレミアパートナーとして、数多くのお客様の移行プロジェクトを成功に導いてきた豊富な実績と専門知識を有しています。お客様のビジネスゴール達成に向け、戦略策定から実行、そして移行後の運用まで、ワンストップで伴走支援いたします。
的確なアセスメントと戦略策定: お客様が最も懸念される「何から手をつければ良いか」という段階から、経験豊富なエンジニアが丁寧にヒアリング。独自のツールとノウハウで現状を可視化し、ビジネス目標に合致した最適な移行戦略とロードマップをご提案します。
高品質な設計・構築: 認定資格を持つエンジニアが、セキュリティとコスト効率を両立させた、拡張性の高いクラウド環境を設計・構築します。特に、オンプレミス環境とのハイブリッドクラウド構成や、ミッションクリティカルなシステムの高可用性構成の設計を得意としています。
リスクを最小化する移行実行: ダウンタイムやビジネスへの影響を最小限に抑えるため、綿密な移行計画とリハーサルを徹底します。経験豊富なプロジェクトマネージャーが、進捗と課題を常にお客様と共有し、安全かつ確実な移行を実現します。
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本記事では、初めてGoogle Cloudへの移行を検討されているご担当者様に向けて、失敗しないための移行戦略、具体的な手順、そして陥りがちな落とし穴と対策までを詳しく解説しました。
Google Cloud移行は、単なるインフラの引っ越しではありません。コスト削減や俊敏性の向上、そしてDX推進といった大きなビジネスメリットをもたらす戦略的な取り組みです。成功のためには、事前の入念な計画とアセスメント、そして自社に最適な移行戦略を選択することが不可欠です。
もし、Google Cloudへの移行に関して、具体的な進め方や技術的な課題、あるいは体制面での不安などがあれば、どうぞお気軽にXIMIXにご相談ください。専門家がお客様の状況に真摯に寄り添い、最適な移行プランをご提案いたします。