企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進において、データ活用は避けて通れない重要なテーマです。しかし、「データと言っても種類が多くてよくわからない」「分析と言われても、何から始めれば良いのか見当がつかない」といったお悩みを抱える企業ご担当者様も少なくないのではないでしょうか。
ビジネスで扱うデータには大きく分けて「構造化データ」と「非構造化データ」の2種類があり、これらの特性を理解せずに分析を進めようとすると、期待した成果が得られないばかりか、時間とコストを無駄にしてしまう可能性もあります。
本記事では、企業のDX推進を担当される方や、データ活用の初めの一歩を踏み出そうとされている決裁者の皆様に向けて、以下の点を分かりやすく解説します。
この記事を最後までお読みいただくことで、データ活用の基礎知識が身につき、自社の状況に合わせた適切なデータ分析戦略を検討するための一助となれば幸いです。
構造化データとは、その名の通り、行と列を持つ表形式など、あらかじめ定義された形式や構造で整理・格納されているデータのことです。イメージとしては、Excelの表やリレーショナルデータベース(RDB)に格納されているデータを思い浮かべていただくと分かりやすいでしょう。これらのデータは、各項目(フィールド)が何を意味するのか(例:顧客名、購入日、金額など)が明確に定義されています。
具体例:
これらのデータは、日々の業務システムから生成されることが多く、企業の基幹情報として長年にわたり活用されてきました。その意味するところは、過去の取引の事実、顧客の属性、製品の状態など、比較的明確で直接的な情報です。
一方、非構造化データとは、特定の形式や構造を持たず、そのままではデータベースの表形式に当てはめることが難しい多様な形式のデータを指します。現代において企業が扱うデータの大部分は、この非構造化データであると言われています。これらのデータは、そのままでは意味を捉えにくいものの、分析を通じて価値ある洞察を引き出すことが期待されます。
具体例:
これらのデータは、顧客の感情や行動の背景、市場のトレンド、潜在的なリスクなど、構造化データだけでは捉えきれない貴重なインサイトを含んでいる可能性があります。その意味するところは、文脈に依存したり、解釈が必要だったりする間接的な情報が多いのが特徴です。
構造化データと非構造化データでは、その特性が異なるため、分析のアプローチや用いられる技術も大きく異なります。
構造化データは、データが整理されているため、比較的伝統的な分析手法が適用しやすいという特徴があります。
構造化データの分析は、主に過去の実績を把握し、現状を理解することを目的として行われることが多いです。分析結果は定量的で、具体的な数値として示されることが一般的です。
関連記事:【入門編】BigQueryとは?できること・メリットを初心者向けにわかりやすく解説
非構造化データは、そのままでは分析が難しいため、まず何らかの方法でデータに意味付けや構造化を施す前処理が必要になることが一般的です。
非構造化データの分析は、顧客の本音の理解、新たな市場ニーズの発見、未来予測など、より深い洞察や新たな価値創出を目指す場合に行われます。分析結果は定性的な情報を含むことが多く、解釈を通じてビジネス上の意味を見出すプロセスが重要となります。
関連記事:データマイニングとは?データ分析との違いと関係性を初心者にも分かりやすく解説
構造化データと非構造化データの中間的な位置づけとして「半構造化データ」というものも存在します。これは、JSONやXMLのように、データ自体にタグやメタデータが含まれており、ある程度の構造を持っているが、RDBほど厳密なスキーマではないデータを指します。ログファイルなどもこれに該当する場合があります。半構造化データは、非構造化データに比べて処理しやすいものの、構造化データほど単純ではありません。
構造化データと非構造化データ、それぞれに活用上のメリットとデメリットがあります。DXを推進する上では、これらの特性を理解し、目的に応じて適切に使い分けることが重要です。
メリット | デメリット |
---|---|
データが整理されており、理解しやすい | 柔軟性に欠け、新しい種類のデータの追加が難しい場合がある |
検索、集計、分析が比較的容易で高速 | 定義された範囲外の情報を捉えられない |
データの品質管理や一貫性の担保がしやすい | 変化の速いビジネス環境への追随が難しいことがある |
成熟した技術やツールが多く、導入しやすい | データの意味や背景を読み解くには限界がある |
過去の事実に基づいた定量的な分析に適している |
適した活用シーン: 定型的なレポート作成、売上分析、顧客管理、在庫管理など、明確な指標に基づいて状況を把握・管理したい業務。KPIモニタリングや実績評価などに強みを発揮します。
メリット | デメリット |
---|---|
多様な形式のデータをそのまま格納できる柔軟性がある | データの整理や前処理に手間とコストがかかる |
顧客の声や市場トレンドなど、質的な情報を捉えやすい | 分析に高度な技術や専門知識が必要となる場合がある |
新しい視点や深い洞察を得られる可能性がある | データ品質のばらつきが大きく、ノイズが多い可能性がある |
イノベーションや新たな価値創造の源泉となり得る | 保管・管理コストが増大しやすい |
セキュリティやプライバシー保護への配慮がより重要になる |
適した活用シーン: 顧客満足度向上施策の立案(メールやアンケート分析)、新製品開発のヒント発見(SNS分析)、不正検知(ログ分析)、業務プロセスの自動化(ドキュメント分析)など、新たな知見を得たい、あるいは複雑な事象を理解したい場合。トレンド予測や潜在ニーズの掘り起こしに適しています。
多くの企業では、これら両方のデータを組み合わせることで、より包括的で深い分析が可能になります。例えば、構造化された販売データと、非構造化の顧客レビューデータを組み合わせることで、「どの製品が売れているか」だけでなく、「なぜその製品が支持されているのか(あるいは不満なのか)」といった背景まで理解することができます。
DXを推進する上で、構造化データと非構造化データの両方を活用することは、競争優位性を確立するために不可欠です。
特に近年では、IoTデバイスの普及やデジタルコミュニケーションの活発化により、企業が収集・利用できる非構造化データの量は爆発的に増加しています。これらの「宝の山」とも言えるデータをいかに効果的に活用できるかが、今後の企業成長の鍵を握ると言っても過言ではありません。
Google Cloud は、構造化データ分析のための BigQuery や、非構造化データを含むあらゆるデータを格納できる Google Cloud Storage、さらにはAI/機械学習を活用して高度なデータ分析を実現する Vertex AI など、多様なデータ活用ニーズに応える包括的なサービスを提供しています。これらのサービスを活用することで、企業はデータ活用のための強力な基盤を効率的に構築・運用することが可能です。
関連記事:
【入門編】顧客データ分析とは?目的・手法から始め方、注意点まで徹底解説
顧客データ活用の第一歩:パーソナライズドマーケティングを実現する具体的な方法とは?【BigQuery】
ファン化を加速するデータ活用:顧客を深く理解しLTVを最大化する実践ガイド
データ活用方法のアイデア集 - ビジネスを伸ばす具体的な使い方とは?.
ここまで構造化データと非構造化データの意味、分析の違い、そしてそれらを活用するメリット・デメリットについて解説してきました。しかし、実際にこれらのデータを活用してDXを推進しようとすると、
といった新たな課題に直面することも少なくありません。
私たちXIMIXは、Google Cloud のプレミアパートナーとして、お客様のDX推進を強力にサポートいたします。長年にわたるSIer経験と、Google Cloud の先進技術を組み合わせることで、データの収集・蓄積から分析、活用に至るまで、お客様の状況やニーズに合わせた最適なソリューションをご提案します。
XIMIXでは、以下のようなご支援が可能です。
多くの企業様をご支援してきた経験から、お客様が抱える課題に寄り添い、一歩先のデータ活用をご提案できることが私たちの強みです。DX推進におけるデータ活用でお困りの際は、ぜひXIMIXにご相談ください。
XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。
本記事では、DX推進の第一歩として重要な「構造化データ」と「非構造化データ」について、それぞれの意味、分析の違い、そして活用上のメリット・デメリットを解説しました。
データの種類とその特性を理解することは、効果的なデータ戦略を立案するための基礎となります。この記事が、皆様の企業におけるデータ活用の取り組みを加速させる一助となれば幸いです。
最初は何から手をつければ良いか分からないかもしれませんが、まずは自社にどのようなデータが存在するのかを把握することから始めてみてはいかがでしょうか。そして、そのデータをどのようにビジネスに活かせるか、専門家の意見も参考にしながら検討を進めていくことをお勧めします。