コラム

Google Cloudで実現する実効性の高いDR・バックアップ|「投資としてのBCP」解説

作成者: XIMIX Google Cloud チーム|2026,01,26

バックアップとDR対策の「完成形」を見極める

企業にとってデータは生命線であり、その保護はIT部門のタスクに留まらず、経営の根幹を揺るがすリスク管理そのものです。しかし、多くの中堅・大企業において「バックアップは取得しているが、実際に大規模災害が起きた際にビジネスを継続できる確証がない」という不安を抱えている決裁者は少なくありません。

バックアップ(データの複製・保存)とDR(Disaster Recovery:災害復旧)は混同されがちですが、その目的と投資レベルは明確に異なります。

この記事では、Google Cloudを活用して、どのように「形だけの対策」から脱却し、ビジネスの回復力を高める投資対効果の高い戦略を構築すべきか解説します。

なぜ「バックアップがある」だけでは不十分なのか

多くの企業が陥りやすいのが、「毎日バックアップをとっているから大丈夫だ」という過信です。しかし、大規模なシステム障害や自然災害が発生した際、真に問われるのはデータの有無ではなく「ビジネスをいつ再開できるか」というスピードです。

RTO/RPO、そしてMTPDによるインパクトの定義

投資判断において、私たちは以下の3つの指標を重視します。

  • RPO (Recovery Point Objective): 「どの時点のデータまで戻すか」。24時間前のデータで事業が継続可能かを定義します。

  • RTO (Recovery Time Objective): 「復旧までに要する時間」。

  • MTPD (Maximum Tolerable Period of Disruption): 「最大許容中断時間」。ビジネスが完全に停止し、再起不能なダメージ(社会的信用の失墜や法的制約)を受けるまでのデッドラインです。

重要なのは、RTOがMTPDを超えないことです。現在の対策がこのデッドラインを担保できているかを再確認する必要があります。

ランサムウェア時代の「戻せない」リスク

現代の脅威は自然災害だけではありません。バックアップデータそのものを狙うランサムウェア攻撃が増加しています。

従来の共有ストレージへのコピーだけでは、感染時にバックアップもろとも暗号化され、復旧不能に陥るリスクがあります。今、求められているのは「書き換え不能(Immutable)」なバックアップです。

Google Cloudが提供するデータ保護ソリューション

Google Cloudは、そのグローバルなインフラを活かし、「高可用性」と「コスト最適化」の両立を可能にします。

①Object Lockによる不変バックアップの実現

Google Cloud Storageの「Object Lock(オブジェクトロック)」機能は、指定した期間内、いかなる権限を持ってもデータを削除・変更できない「WORM(Write Once Read Many)」特性を付与します。

これにより、万が一管理者アカウントが侵害された場合でも、ランサムウェアによる破壊からデータを死守することが可能です。

関連記事:
Google Cloud Storage(GCS) とは?Google Cloud のオブジェクトストレージ入門 - メリット・料金・用途をわかりやすく解説

②Google Cloud Backup and DRによる統合管理

大規模環境において強力な武器となるのが「Google Cloud Backup and DR」です。

  • インスタントリカバリ: 数ペタバイトのデータでも、ストレージから直接マウントすることで、リストアを待たずに短時間で業務を再開できます。

  • 永久増分バックアップ: 初回以降は変更分のみを転送・保存。ネットワーク負荷を最小限に抑えつつ、コスト効率の高い多世代管理を実現します。

③Geminiによる運用監視の高度化

現在、Gemini は運用の現場に深く浸透しています。

エラーログからバックアップ失敗の根本原因を特定し、Terraform等のIaC(Infrastructure as Code)を用いたリカバリ環境の自動構成案を提示するなど、人的ミスが許されない有事の際の強力なサポーターとなります。

関連記事:
【入門編】Infrastructure as Code(IaC)とは?メリット・デメリットから始め方まで徹底解説

投資対効果を最大化するDR戦略の構築ステップ

DR対策は「投資」である以上、ROI(投資対効果)の最適化が不可欠です。

①システムの階層化(ティアリング)

全システムを一律に最高レベルにするのではなく、重要度に応じてリソースを配分します。

  1. ティア1(ミッションクリティカル): 停止が即、経営危機を招く。マルチリージョンでのアクティブ・アクティブ構成。

  2. ティア2(重要業務): 数時間の中断は許容。Google Cloud Backup and DRを活用したウォームスタンバイ。

  3. ティア3(一般業務): 翌営業日の復旧を目指す。コスト優先のコールドスタンバイ。

②定期的な「復旧訓練」の自動化

DR構成は、構築して終わりではありません。実際にシステムを切り替える試験の自動化を推奨しています。

クラウド上であれば、本番環境に影響を与えずクローン環境を作成し、リカバリ手順を検証することが容易です。

XIMIXによる支援:確実なビジネス継続のために

最適なDR戦略の構築には、クラウド技術だけでなく、お客様の既存資産(オンプレミス)との整合性やガバナンスへの深い洞察が必要です。『XIMIX』は、SIerとしての長年の経験を活かし、以下の価値を提供します。

①ハイブリッド環境を見据えた全体最適

多くの中堅・大企業は、オンプレミスとクラウドが混在しています。

私たちは、オンプレミス上のデータベースとGoogle Cloud間のリアルタイム同期や、マルチクラウド間でのデータの整合性確保など、複雑な環境下でのDR設計を支援します。

②寄り添うアセスメント

単なる機能提供ではなく、お客様のビジネスインパクト(MTPD)に基づいたアセスメントを実施します。過剰な投資を削り、真に守るべき箇所に予算を集中させることで、経営層が納得できるBCP策定を支援します。

まとめ

データのバックアップやDR対策は、万が一の事態における「企業の生存権」を担保するものです。Google Cloudの最新技術を駆使すれば、コストを抑えつつも、ランサムウェア耐性の高い、実効性のある回復力を手に入れることができます。

しかし、その成功の鍵はツールの導入ではなく、「ビジネス要件に基づいた適切な設計」と「有事を想定した継続的な検証」にあります。自社の対策に少しでも不安を感じられる場合は、ぜひ一度、XIMIXへご相談ください。現在のBCPを、不確実な時代を勝ち抜くための「成長への投資」へと変貌させます。

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