コラム

データ分析、人材不足でも諦めない!専門家なしで始める現実的な方法とは?

作成者: XIMIX Google Cloud チーム|2025,04,24

はじめに

多くの企業で「データに基づいた意思決定」が経営の重要課題となる一方、それを担う専門人材の不足が深刻化しています。実際に、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX白書」では、DXを推進する上での課題として「人材の不足」を挙げる企業が依然として多く、データ活用への大きな障壁となっていることが示されています。

「データ分析の必要性は理解しているが、詳しい専門家がいない」「担当者が他業務と兼務で、分析まで手が回らない」 こうした状況から、データ活用を諦めてしまうのは大きな機会損失です。

本記事では、データ分析を進めたいものの、社内リソースに課題を感じている企業の担当者・決裁者の皆様へ。人材不足という逆境を乗り越え、データ分析を始めるための現実的な方法を、具体的なアプローチと成功のポイントを交えて解説します。

なぜ今、人材不足でもデータ分析を急ぐべきなのか

リソースが限られる中で、なぜデータ分析への投資を優先すべきなのでしょうか。その理由は、データ活用がもたらす価値が、もはや「あれば望ましいもの」から「事業継続に不可欠なもの」へと変化しているからです。

  • 顧客理解の深化: 顧客の行動やニーズをデータで捉え、パーソナライズされた体験を提供する。
  • 業務プロセスの最適化: 勘や経験則だけでなく、データに基づきボトルネックを特定・解消し、生産性を向上させる。
  • 的確な意思決定: 客観的なデータが、変化の激しい市場環境で戦略の精度を高め、経営リスクを低減する。
  • 新たなビジネス機会の創出: データに隠れたインサイトから、新たな商品・サービス開発のヒントを得る。

人材不足を理由にデータ活用を先送りすれば、競合他社との差は開く一方です。限られたリソースの中でも工夫次第で第一歩を踏み出すことが、未来の競争力を左右します。

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データ分析が進まない「人材不足」という3つの壁

多くの企業が直面する「人材不足」という課題は、具体的に3つの壁として立ちはだかります。自社の状況がどれに当てはまるか、ご確認ください。

壁1:専門スキル・ノウハウの欠如

データサイエンティストやアナリストといった専門職が社内に不在のケースです。統計学やプログラミングの知識、データベースを扱うスキルがなく、「分析手法がわからない」「自社に合うツールを選べない」といった問題に直面します。

壁2:推進体制・リソースの不足

担当者が任命されても、他業務との兼務で分析に集中できないケースです。データ分析は片手間で成果が出るほど簡単ではありません。また、部門間の連携が取れず、必要なデータが集まらないといった体制面の課題も含まれます。

壁3:戦略・目的の曖昧さ

「データ分析で何を実現したいのか」という目的が明確でないケースです。目的が曖昧なままでは、分析結果をどう解釈し、次のアクションに繋げれば良いかが分からず、プロジェクトが迷走してしまいます。

これらの壁は相互に関連しており、データ分析プロジェクトを停滞させる大きな原因となります。

人材不足を乗り越える、データ分析実現への4つのアプローチ

では、これらの壁をどう乗り越えればよいのでしょうか。ここでは、人材不足の中でもデータ分析を成功に導くための、現実的な4つのアプローチをご紹介します。

アプローチ1:スモールスタートで早期に成功体験を積む

最初から全社規模の壮大なプロジェクトを目指すのではなく、特定の部門や課題に絞って小さく始める方法です。

  • メリット: 初期投資を抑制でき、短期間で成果を出しやすいため、データ分析の価値を社内に示しやすくなります。失敗した際のリスクも最小限に抑えられます。
成功のポイント: まずはPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施し、低コストで有効性を検証するのが定石です。Excelやスプレッドシートなど、今あるツールでできる範囲から試すだけでも、新たな発見があるはずです。

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アプローチ2:最新ツールで「専門家の仕事」を代替・効率化する

専門知識がなくても直感的に操作できるツールを活用し、テクノロジーで人材不足を補うアプローチです。

  • BIツール: データをグラフやダッシュボードで自動的に可視化します。Looker のようなモダンなBIツールは、専門家でなくても使いやすいインターフェースを備えています。
  • データ準備ツール: 分析前の煩雑なデータ収集・加工・統合を自動化します。GUIベースで操作できる Dataprep のようなツールを使えば、プログラミング知識は不要です。

成功のポイント: 「ツール導入」が目的化しないよう注意が必要です。自社の目的、データ量、利用者のスキルレベルを冷静に見極め、最適なツールを選定することが重要です。XIMIXのような知見あるパートナーに相談するのも一つの手です。

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アプローチ3:社内人材を「市民データサイエンティスト」へ育成する

時間はかかりますが、既存社員に新たなスキルを習得してもらう「リスキリング」により、社内にデータ活用文化を根付かせるアプローチです。

  • メリット: 業務知識を持つ人材が分析を行うため、現場に即したインサイトが得られやすくなります。ノウハウが社内に蓄積され、長期的なコスト削減にも繋がります。
成功のポイント: データ分析に関心を持つ意欲的な社員を発掘し、育成対象とすることが第一歩です。オンライン講座や外部研修とOJTを組み合わせ、実務の中でスキルを磨く機会を提供することが効果的です。

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アプローチ4:外部の専門家(パートナー)と協業しスピードと成果を得る

データ分析基盤の構築や高度な分析、戦略策定などを外部の専門企業に委託するアプローチです。

  • メリット: 短期間で専門的な知見やスキルを活用でき、自社リソースを本来のコア業務に集中させられます。客観的な視点からのアドバイスも得られます。

成功のポイント: パートナー選定が成否を分けます。技術力はもちろん重要ですが、それ以上に「自社のビジネスや課題を深く理解してくれるか」「組織への定着まで伴走してくれるか」を見極めることが重要です。丸投げではなく、協業してノウハウを吸収する姿勢が求められます。

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践】自社に最適なデータ分析の進め方を見つける組み合わせ戦略

ご紹介した4つのアプローチは、どれか一つを選ぶものではありません。多くの場合、自社のフェーズに合わせてこれらを柔軟に組み合わせることが、成功への近道となります。

  • 初期段階: スモールスタート(①)で課題を絞り、手軽なBIツール(②)を導入。初期設定や基本的な活用法は外部パートナー(④)の短期的な支援を受けるのが効率的です。
  • 中期段階: ツール活用(②)を現場に広げつつ、意欲ある社員を対象に人材育成(③)を開始。より高度な分析やデータ基盤の拡張は、引き続き外部パートナー(④)に依頼します。
  • 発展段階: 育成した社内人材(③)が中心となり、外部パートナー(④)と対等な立場で連携しながら、分析テーマの拡大や本格的な内製化を目指します。

 

人材不足の課題、XIMIXがGoogle Cloudで解決を支援します

「何から始めれば良いかわからない」「適切なツールを選べない」「信頼できるパートナーが見つからない」 こうした人材不足に起因するデータ分析の課題に対し、私たち XIMIX は、お客様の状況に合わせた最適な解決策をご提案します。

長年培ってきたシステムインテグレーションのノウハウと、Google Cloud のプレミアパートナーとしての技術力を掛け合わせ、お客様のデータ活用を強力に支援します。

  • PoC支援: 「スモールスタート」を切りたいお客様に、低コスト・短期間での効果検証をサポートします。
  • ツール導入・活用支援: LookerやBigQueryといったツールの導入から、ダッシュボード構築、効果的な活用法のレクチャーまで、お客様のスキルレベルに合わせて伴走します。
  • データ分析基盤構築・運用: リソース不足のお客様に代わり、データ分析基盤の設計・構築から運用保守までをトータルでサポートします。
  • 伴走型コンサルティング: お客様自身がデータ活用を自走できるよう、課題設定から分析、施策立案までを協業しながら進めます。

XIMIXは単なるツール提供や分析代行に留まりません。お客様が自律的にデータ活用を推進できる組織となることをゴールに、技術とビジネスの両面から最適なソリューションを提供します。

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まとめ

データ分析における人材不足は、多くの企業が直面する深刻な課題ですが、データ活用を断念する理由にはなりません。

本記事でご紹介した、

  • スモールスタートで始める
  • 使いやすいツールを活用する
  • 社内人材を育成する
  • 外部パートナーと協業する

これらのアプローチを自社の状況に合わせて賢く組み合わせることで、限られたリソースの中でもデータ分析は着実に推進できます。

完璧な体制が整うのを待つのではなく、まずはデータという羅針盤を手に入れるための小さな一歩を踏み出すことが重要です。変化の激しい時代を乗り切るため、ぜひ自社に合ったデータ分析の進め方を見つけてください。