近年、業務効率化やDX推進の切り札として、Google のノーコード開発プラットフォーム「AppSheet」を活用する企業が増えています。直感的な操作でビジネスアプリケーションを迅速に構築できるAppSheetは、現場部門主導のDX(市民開発)を力強く後押しします。
しかし、手軽にアプリを開発できる一方で、「開発したアプリを誰が、どのように保守・改修していくのか?」という課題に直面するケースも少なくありません。特に、初めてAppSheetを導入された企業や、専任のIT担当者がいない部門では、この点が大きな懸念事項となるでしょう。
本記事では、AppSheetで開発したアプリの保守・改修というテーマに焦点を当て、以下のような疑問をお持ちのDX推進担当者様や情報システム部門の皆様に向けて、基本的な考え方や進め方を分かりやすく解説します。
この記事を通じて、AppSheetアプリの持続的な活用と価値最大化に向けたヒントを得ていただければ幸いです。
AppSheetで開発したアプリも、他の業務システムと同様に、開発して終わりではありません。ビジネス環境の変化、業務プロセスの変更、利用ユーザーからのフィードバック、あるいはAppSheet自体のアップデートなど、様々な要因によってアプリの修正や機能追加(改修)が必要になります。
保守とは、主にアプリの安定稼働を維持するための活動を指します。具体的には、AppSheetの仕様変更への対応、データソースとの連携確認、軽微なバグ修正、セキュリティアップデートへの追従などが含まれます。これらを怠ると、アプリが突然動かなくなったり、情報セキュリティ上のリスクが生じたりする可能性があります。
一方、改修は、アプリの機能改善や機能追加を目的とした活動です。ユーザーの利便性向上、新しい業務要件への対応、パフォーマンス改善などが該当します。適切な改修を行うことで、アプリはより使いやすく、業務への貢献度も高まります。
AppSheetアプリの保守・改修を継続的に行うことは、以下の観点から非常に重要です。
特に、AppSheetのようにアジャイルに開発・改善を繰り返せるプラットフォームでは、定期的な見直しと改善がその真価を発揮する鍵となります。
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AppSheetアプリの保守・改修を誰が担うかは、企業の規模、ITリソースの状況、アプリの重要度や複雑性などによって最適な形が異なります。主な担当者のパターンと、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
AppSheetの大きな特長の一つは、プログラミングの専門知識がない業務部門の担当者でもアプリを開発できる「市民開発」を促進する点です。そのため、最初にアプリを開発した人がそのまま保守・改修も担当するケースは少なくありません。
向いているケース: 比較的小規模でシンプルなアプリ、担当者が固定されておりスキルも有している場合。
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企業の情報システム部門が、AppSheetアプリも含めた社内システムの保守・運用を一元的に管理するケースです。
向いているケース: 複数の部門でAppSheetが利用されている、全社的なITガバナンスが重視される、アプリの重要度が高い場合。
AppSheetの開発・運用に関する専門知識を持つ外部のパートナー企業に、保守・改修業務を委託する方法です。
向いているケース: 社内に専門知識を持つ人材がいない、より高度な改修や技術サポートが必要、コア業務に集中したい場合。
初期は開発者自身や情報システム部門が担当し、アプリの数が増えたり、より高度な運用が求められるようになった段階で、外部の専門家のサポートを検討するというパターンも有効です。
AppSheetアプリの保守・改修をスムーズに進めるためには、基本的な流れと押さえるべきポイントがあります。ここでは、入門者向けに分かりやすく解説します。
まず、対象となるAppSheetアプリの現状を正確に把握し、保守・改修が必要な箇所や課題を明確にします。
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課題と優先順位が明確になったら、具体的な保守・改修計画を立てます。
計画に基づいて、実際の修正作業や機能追加を行います。
テストで問題がないことが確認できたら、修正・改修内容を本番環境に反映(デプロイ)します。
AppSheetアプリの保守・改修において、意外と見落とされがちですが非常に重要なのがドキュメントの整備です。
これらのドキュメントは、担当者が変わった場合のスムーズな引き継ぎや、将来的なアプリの拡張性を担保する上で不可欠です。AppSheetは直感的に開発できる反面、複雑なロジックを組むと後から見返した際に理解が難しくなることもあります。コメント機能などを活用しつつ、設計思想や変更点を記録しておくことを強く推奨します。
最後に、AppSheetアプリの保守・改修をより効率的に、そして持続可能なものにするためのポイントをいくつかご紹介します。
AppSheetには、保守・改修作業を助ける機能が備わっています。
これらの機能を理解し、活用することで、保守・改修の負担を軽減できます。
開発当初から、保守・改修のしやすさを意識したシンプルな設計を心がけることが重要です。
一度開発したアプリも、定期的に見直しを行い、継続的に改善していくことが大切です。
ここまで、AppSheetで開発したアプリの保守・改修の重要性、担当者の考え方、具体的な進め方について解説してきました。実際に自社でこれらの体制を整え、運用していく中で、
といった新たな課題やお悩みが生じることもあるかと存じます。
私たちXIMIXは、Google CloudおよびGoogle Workspaceの正規パートナーとして、AppSheetの導入支援から、アプリ開発、そして今回ご紹介した保守・運用サポート、さらには内製化支援コンサルティングまで、お客様の状況やニーズに合わせた包括的なサービスを提供しております。
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本記事では、AppSheetで開発したアプリの保守・改修について、その重要性から担当者の考え方、具体的な進め方、そして効率化のポイントまで、入門者向けに解説しました。
AppSheetは手軽にアプリを開発できる強力なツールですが、その価値を最大限に引き出し、持続的に活用するためには、適切な保守・改修体制を構築し、運用していくことが不可欠です。
今回の内容を参考に、まずは自社の状況に合わせて、誰が、どのようにAppSheetアプリの保守・改修を担っていくのかを検討し、小さなステップからでも実践してみてください。そして、もし専門家のサポートが必要だと感じられた際には、ぜひXIMIXまでお声がけいただければ幸いです。
この記事が、皆様のAppSheetを活用したDX推進の一助となれば幸いです。