コラム

【初心者向け】Google Cloud・AWS・Azureの違いとは? 主要3大クラウドの特徴と選び方

作成者: XIMIX Google Cloud チーム|Apr 21, 2025 8:12:40 AM

はじめに

企業のDX推進に不可欠となったクラウドサービス。中でも、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure (Azure)、そして Google Cloud は「3大クラウド」と呼ばれ、多くの企業が導入を検討しています。しかし、選択肢が多いだけに、「結局どれを選べばいいの?」「Google Cloud は AWS や Azure とどう違うの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

特にクラウド初心者の方にとっては、各プラットフォームの違いや特徴を理解し、自社に最適なサービスを見極めるのは簡単なことではありません。サービスを選び間違えると、期待した効果が得られないばかりか、無駄なコストが発生してしまう可能性もあります。

この記事では、Google Cloudの導入を検討されている方をはじめ、主要クラウドサービスの情報を探している初心者の方に向けて、Google Cloud、AWS、Azureの基本的な違い、それぞれの特徴や得意分野、そして選び方のヒントをわかりやすく解説します。この記事が、複雑に見えるクラウド選択の一助となり、貴社にとって最適なプラットフォームを見つけるための判断材料となれば幸いです。

(重要: クラウドサービスは日々進化しており、サービス内容や特徴も変化します。この記事では2025年4月時点での一般的な情報に基づき基本的な違いを解説しますが、最新かつ詳細な情報については、必ず各サービスの公式サイトをご確認ください。)

クラウド選択の重要性と主要3サービス

現代のビジネスにおいて、クラウドサービスの活用は競争優位性を確立するための鍵となっています。スケーラビリティ、コスト効率、最新技術へのアクセスといったメリットを享受できる一方で、どのクラウドプラットフォームを選択するかは、将来のビジネス展開やIT戦略に大きな影響を与えます。

現在、世界のパブリッククラウド市場をリードしているのが、以下の3つのプラットフォームです。

  • Amazon Web Services (AWS): Amazon.comが提供。最も長い歴史を持ち、市場シェアもトップ。豊富なサービスラインナップと幅広い導入実績が特徴です。
  • Microsoft Azure (Azure): Microsoftが提供。Windows ServerやMicrosoft 365 (旧Office 365) など、既存のMicrosoft製品との高い親和性や、ハイブリッドクラウド環境の構築に強みを持っています。
  • Google Cloud: Googleが提供。Google検索やYouTubeなどを支える強力なインフラと、データ分析・AI/機械学習分野における先進的な技術、コンテナ技術(Kubernetes)への貢献などが特徴です。

これらの3大クラウドは、いずれも高品質なサービスを提供していますが、それぞれに違いがあり、得意とする分野や思想が異なります。

Google Cloud・AWS・Azureの基本的な特徴を比較

それでは、各プラットフォームの基本的な特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。

AWS: 実績とサービス数でリード

  • 歴史とシェア: 2006年にサービスを開始し、パブリッククラウド市場のパイオニア的存在。長年の運用実績とノウハウ、圧倒的な市場シェアを誇ります。
  • サービス数: コンピューティング、ストレージ、データベースから、IoT、機械学習、衛星通信まで、非常に幅広いサービスを提供しており、あらゆるニーズに対応できる選択肢の多さが魅力です。
  • エコシステム: 多くのサードパーティベンダーやパートナー企業がAWSに対応したソリューションを提供しており、充実したエコシステムが形成されています。
  • 得意分野(イメージ): スタートアップから大企業まで幅広い層に利用されており、特にECサイトの基盤や、多様なサービスを組み合わせて使いたい場合に強みを発揮します。

Azure: Microsoftエコシステムとの強力な連携

  • Microsoft製品との親和性: Windows Server環境のクラウド移行や、Microsoft 365、Active Directoryなどとの連携がスムーズに行える点が大きな違いであり、強みです。
  • ハイブリッドクラウド: オンプレミス環境とクラウド環境を連携させるハイブリッドクラウド構成や、プライベートクラウド環境の構築・管理(Azure Stackなど)に関するソリューションが充実しています。
  • エンタープライズ向け: 大企業の既存システムとの連携や、セキュリティ、コンプライアンス要件への対応を重視したサービス・機能を提供しています。
  • 得意分野(イメージ): 既にMicrosoft製品を多く利用している企業、Windowsベースのシステムが多い企業、ハイブリッドクラウド環境を構築したい企業に適しています。

Google Cloud: データ分析・AIと技術革新に強み

  • データ分析・AI/機械学習: BigQuery(データウェアハウス)やVertex AI(機械学習プラットフォーム)など、大規模データ処理やAI開発・活用に関するサービス群は業界をリードするレベルであり、大きな特徴です。
  • 高性能ネットワーク: Googleが世界中に張り巡らせた独自の高速ネットワークインフラを利用でき、グローバル展開や低遅延が求められるサービスに適しています。
  • コンテナ技術 (Kubernetes): コンテナオーケストレーションツールのデファクトスタンダードであるKubernetes(元々Googleが開発)のマネージドサービス(GKE: Google Kubernetes Engine)は、高い評価を得ています。モダンなアプリケーション開発・運用に強みがあります。
  • オープンソース志向: オープンソースソフトウェア(OSS)への貢献度が高く、特定のベンダー技術へのロックインを避けやすい設計思想を持っています。
  • 得意分野(イメージ): 大規模なデータ分析を行いたい企業、AI・機械学習を活用したい企業、Kubernetesを使ったコンテナベースのシステムを構築したい企業、先進的な技術を取り入れたい企業に向いています。 

ここが違う!観点別比較 (初心者向け)

より具体的に、いくつかの観点から3大クラウド違いを見てみましょう。

サービスラインナップと得意分野

  • AWS: サービスの数が圧倒的に多く、非常に多岐にわたります。
  • Azure: 主要なサービスは網羅しており、特にMicrosoft製品連携やハイブリッドクラウド関連のサービスが充実しています。
  • Google Cloud: 主要サービスに加え、データ分析、AI/機械学習、コンテナ管理(GKE)、ネットワーク関連のサービスに際立った強みを持っています。

料金体系の考え方

  • 基本: いずれも従量課金制が基本ですが、割引オプションの体系に違いがあります。
  • AWS: リザーブドインスタンス(RI)やSavings Plansといった割引プランがあります。
  • Azure: 予約(Azure Reservations)やハイブリッド特典(既存ライセンス活用)などがあります。
  • Google Cloud: 確約利用割引(CUDs)や、一部リソースに自動適用される継続利用割引(SUDs)が特徴的です。 

操作性・管理コンソール

  • 各社ともWebベースの管理コンソールを提供していますが、デザインや操作感は異なります。
  • 一般的に、AWSは機能が多い分、コンソールも多機能で慣れが必要という声があります。AzureはWindowsユーザーには馴染みやすいインターフェースかもしれません。Google Cloudは比較的シンプルで分かりやすいという評価もありますが、これは個人の感覚にもよります。
  • そのため無料枠やトライアルで実際に触ってみるのが一番です。

オープンソースへの取り組み

  • 3社ともOSSを活用・サポートしていますが、Google Cloudは特にKubernetesやTensorFlowなど、OSSの開発と普及に深く関わっており、オープン性を重視する企業にとっては魅力的な選択肢となり得ます。

自社に最適なクラウドを選ぶには?

AWS、Azure、Google Cloud、それぞれに優れた点があります。では、初心者は何を基準に選べば良いのでしょうか?

「どれが一番良いか」ではなく「どれが自社に合うか」

重要なのは、絶対的な優劣をつけることではなく、自社の目的や状況に最も合ったプラットフォームを選ぶことです。「適材適所」の考え方が基本となります。

検討ポイント

以下の点を考慮して、総合的に判断しましょう。

  • 目的・用途: クラウドで何をしたいのか? (例: Webサイト構築、データ分析、AI開発、既存システム移行など) → 各クラウドの得意分野と照らし合わせる。
  • 既存システム環境: 現在利用しているOS、データベース、アプリケーションは何か? (例: Windows中心ならAzureとの親和性が高い可能性)
  • 社内の技術スキル: 社内に特定のクラウドに詳しいエンジニアがいるか? 習得しやすいプラットフォームはどれか?
  • コスト感: 予算はどの程度か? どのような料金体系や割引が自社の利用パターンに合うか?
  • サポート体制: どのようなレベルのサポートが必要か? 日本語サポートは充実しているか?
  • ベンダーロックインへの懸念: 特定のベンダーに依存したくないか? オープンソース技術を重視するか?

マルチクラウドという考え方

近年では、単一のクラウドに限定せず、複数のクラウドサービスを適材適所で使い分ける「マルチクラウド」戦略をとる企業も増えています。例えば、「基幹システムはAzure、データ分析基盤はGoogle Cloud、WebサービスはAWS」といった組み合わせも可能です。

XIMIXによる支援サービス:最適なクラウド選択と活用をサポート

「比較してみたけれど、やはり自社にどれが最適か判断が難しい」「Google Cloudの特徴は魅力的だが、AWSやAzureからの移行はどうすれば?」—— クラウド選定は、企業のIT戦略における重要な意思決定です。専門家の客観的なアドバイスが役立つ場面も多いでしょう。

私たち「XIMIX」は、Google Cloudのプレミアパートナーとして深い知見を持つと同時に、AWSやAzureを含むマルチクラウド環境の構築・運用支援実績も豊富です。お客様の状況を丁寧にヒアリングし、特定のプラットフォームに偏らない中立的な視点から、最適なクラウド選定と活用戦略をご提案します。

  • Google Cloud導入・移行支援: Google Cloudを選択された場合、その特徴を最大限に活かすための設計、スムーズな導入・移行を強力にサポートします。他クラウドからの移行もお任せください。
  • マルチクラウド環境構築・運用支援: 複数のクラウドを組み合わせる場合も、一貫した管理体制と効率的な運用を実現するためのノウハウを提供します。

クラウド選定でお悩みの際は、ぜひ一度XIMIXにご相談ください。貴社のDX推進に最適なクラウド戦略を共に考えます。

XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。

※Google Cloud については、こちらのコラム記事もご参照ください。 
【基本編】Google Cloudとは? DX推進の基盤となる基本をわかりやすく解説
【基本編】Google Cloud導入のメリット・注意点とは? 初心者向けにわかりやすく解説

まとめ

今回は、初心者向けに主要3大クラウドサービス、Google Cloud・AWS・Azureの基本的な違いと特徴、そして選び方のヒントを比較しながら解説しました。

  • AWS: 実績豊富でサービス数が多く、汎用性が高い。
  • Azure: Microsoft製品との連携に強く、エンタープライズやハイブリッド構成向け。
  • Google Cloud: データ分析・AI/機械学習、コンテナ技術に強みを持ち、技術革新をリード。

それぞれに得意分野があり、「どれが絶対的に優れている」というわけではありません。自社の目的や状況に合わせて、最適なプラットフォームを選択することが重要です。Google Cloudは、特にデータ活用やAI導入、モダンなアプリケーション開発を目指す企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。

この記事が、クラウドサービス比較の第一歩となり、貴社に最適なクラウド戦略を考えるきっかけとなれば幸いです。