はじめに
2026年8月末から9月最初の週の Google Cloud AI カテゴリでは、これまで Preview だった機能が次々と正式提供(GA)へ進んだ点が最大の特徴でした。Gemini 3.8 Flash が本番利用可能になり、業務の自動化を組み立てる Workflow Builder(旧 Agent Designer)、エージェントの稼働状況を可視化するレイテンシ・エラー率ビュー、社内ナレッジをまとめるプロジェクト機能もそれぞれ GA となりました。あわせて、機微情報の検査・ブロックを担う Sensitive Data Protection のコンテンツポリシーや、エージェント間通信を統制する Access policies といったガバナンス機能も GA となり、コストを抑えて AI エージェントを回すための Deferred tier も Preview で登場しています。
本記事では、2026年8月31日〜9月6日に公式リリースノートで発表された Google Cloud AI カテゴリの主要トピック18件を、リリース日順に解説します。各項目には公式ドキュメントと該当日のリリースノートへのリンク、想定ユースケース、業務上のメリットを添えています。
経営層の方は「AI 活用が試験導入から本番運用のフェーズへ移りつつある」という視点で、IT 担当者の方は「どの機能が GA でどれが Preview か、何を設定・監視・検証すべきか」という視点で読み進めると、導入・運用判断に役立つはずです。
| 対象期間 |
2026年8月31日〜2026年9月6日 |
| 対象製品 |
Google Cloud |
| 対象カテゴリ |
AI |
| アップデート件数 |
18件(主要トピック) |
今回のアップデート一覧
アップデート詳細
1. Gemini Enterprise — Sensitive Data Protection のコンテンツポリシーに対応(GA)
Gemini Enterprise のコネクタ・アプリ・Gemini Notebook Enterprise のノートブックに対して、Sensitive Data Protection(旧 DLP API。個人情報など機微なデータを検出・保護するサービス)のコンテンツポリシーを適用できるようになりました(2026年8月31日、GA)。
ポリシーに違反するコンテンツを検査してブロックし、機微情報を含むファイルのアップロードも防止できます。
🔍 何が変わったのか
- 検査対象の広さ: テキストの内容、画像内の文字(OCR)、画像の安全性、リッチドキュメント(PDF・DOCX・PPTX・XLSX)、メタデータのラベルが検査対象になります
- 取り込み・インデックス作成の段階でブロック: 機微データがそもそも取り込まれない/インデックスされないように制御できます
- ファイルアップロードの防止: ローカル・Google ドライブ・OneDrive からアシスタントや Gemini Notebook Enterprise へファイルをアップロードする際にポリシー検査が行われ、違反するファイルはアップロードに失敗し、セッションへ追加されません
- ラベルの活用: Microsoft の秘密度ラベル(SharePoint/OneDrive/Outlook/Teams)や Google Workspace のラベルもポリシー判定に利用できます
- 設定に必要なもの: Gemini Enterprise Admin ロール、サービスアカウントへの DLP User ロール、そしてアプリと同じリージョンに作成したコンテンツポリシーが必要です
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
社内 AI アシスタントを全社展開している情報システム部門と、個人情報保護・情報管理を担う法務・コンプライアンス部門が対象です。「マイナンバーやクレジットカード番号を含む資料が AI の検索対象に混ざってしまう」「利用者が機微情報を含むファイルを気軽にアップロードしてしまう」といったリスクに対して、仕組みとして歯止めをかけられます。
✨ 導入メリット
- 人の注意力に依存せず仕組みで機微情報の流入を防げるため、運用ルールの周知だけに頼る状態から抜け出せます
- 取り込み前の段階でブロックできるため、インデックスに混入した後の削除・作り直しといった手戻りを減らせます
- 既存の Sensitive Data Protection の検出設定を流用できるため、セキュリティ強化を段階的に進めやすくなります
- GA として提供されるため、全社展開時のガバナンス要件を満たす手段として位置づけやすくなります
📚 公式ソース
2. Gemini Enterprise Agent Platform — IAM の Access policies(統合アクセスポリシー)が GA
Agent Gateway(エージェントの通信を仲介する窓口)が Identity-Aware Proxy(アプリケーション単位でアクセス認可を集約する Google Cloud のサービス)と Access policies を用いて、エージェントと接続先リソースの間の通信を統制できるようになりました(2026年8月31日、GA)。
統制の対象には、MCP サーバー(AI が外部ツールへ接続するための標準的な窓口)、他のエージェント、Agent Registry に登録済み/未登録のエンドポイントが含まれます。
🔍 何が変わったのか
- エージェントプリンシパル単位の制御: 「どのエージェントが、どの接続先へ通信してよいか」をポリシーとして定義できるようになりました
- 1つのポリシーで許可と拒否を併記: Access policies は、1つのポリシーの中に複数の許可ルールと拒否ルールをまとめて記述できます
- CEL 条件による細かな制御: CEL(Common Expression Language。条件を式で記述する言語)を使い、ツール名、読み取り専用の制約、HTTP メソッド、URL パスといった属性に基づいて通信を絞り込めます
- dry-run(試験)モードと enforce(適用)モード: 実際に遮断せず影響だけを確認する dry-run モードと、ルールを実際に適用する enforce モードを選べます
- エンドツーエンドの認証・認可: mTLS(相互 TLS。通信の双方が証明書で相手を検証する方式)と Context-Aware Access(接続元の状況に応じてアクセスを判断する仕組み)を組み合わせた、エージェントの認証・認可に対応します
- Service Extensions との併用も GA: Agent Gateway は Service Extensions にも対応し、エージェントの通信に対する認可判断を Google のサービスまたは自社の認可サービスへ委譲できるようになりました(同日 GA)
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
AI エージェントを自社開発・運用するプラットフォーム部門と、セキュリティ統制を担う部門が対象です。「調査用エージェントには社内 API の参照だけを許可し、更新系の操作は拒否する」といった方針をポリシーとして表現できます。dry-run モードがあるため、既存のエージェントを止めずに影響範囲を先に確認してから適用へ進む運用が組めます。
✨ 導入メリット
- エージェントごとの権限をコード化されたポリシーで管理でき、設定の属人化の解消につながります
- 読み取り専用や HTTP メソッド単位で絞り込めるため、最小権限の原則に沿ったエージェント運用を実現しやすくなります
- dry-run モードにより、本番影響を抑えながら段階的に統制を強化できます
- GA として提供されるため、AI エージェントの全社展開に向けたセキュリティ強化の土台として位置づけられます
📚 公式ソース
3. Gemini 3.8 Flash が GA — 本番利用が可能に
Gemini 3.8 Flash が正式提供(GA)となり、本番環境で利用できるようになりました(2026年9月2日)。Gemini Enterprise Agent Platform でのモデル提供に加えて、Gemini Enterprise の Web アプリでも global / us / eu の各リージョンで GA となっています。ソフトウェア開発、エージェントによる処理、多段階の推論といった領域で Gemini 3.7 Flash から大きく改善した「最も賢いワークホースモデル(日常業務を幅広く支える主力モデル)」と位置づけられています。
🔍 何が変わったのか
- 提供段階が GA へ: Preview 段階を終え、本番利用が可能になりました。Google Cloud の GA 製品は、正式なサポートと利用規約の適用対象となります
- Gemini Enterprise Web アプリでの提供: global / us / eu のリージョンで利用できます
- 管理者側の設定:Web アプリで利用者にモデルを選ばせるには、アプリの「Configurations」→「Feature Management」タブでモデルセレクター(Enable model selector)を有効にし、そのうえで対象モデルのトグルを有効化します
- リージョンに関する注意: 国内リージョンが未対応の場合、トラフィックを global エンドポイントへ振り向ける旨の警告ダイアログを管理者が確認する必要があります
- トークン消費に関する注意: 性能を引き出すためにトークンの消費が増える場合があります。計算効率を重視する場合は、Gemini 3.7 Flash を選ぶか、effort(思考にかける労力)のレベルを下げる選択肢があります
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
アプリケーション開発を担う開発部門と、社内 AI アシスタントを全社展開している情報システム部門が対象です。コードの生成・修正、複数の手順にまたがるエージェント処理、条件を踏まえた多段階の判断が必要な業務で、GA モデルとして本番の業務フローに組み込めるようになります。
✨ 導入メリット
- Preview 段階の制約を前提とせずに、本番業務へ組み込む判断ができるようになります
- ソフトウェア開発やエージェント処理、多段階の推論で前世代から改善しているため、これまで精度が足りず自動化を見送っていた業務を再検討する余地が生まれます
- 用途に応じて Gemini 3.7 Flash や effort レベルの調整と使い分けられるため、品質とコストのバランスを業務ごとに設計できます
- 管理者がモデルの選択肢を制御できるため、部門ごとに使うモデルを揃え、ガバナンスを保った AI 活用を進められます
📚 公式ソース
4. Gemini Enterprise — Workflow Builder(旧 Agent Designer)が GA
Workflow Builder(旧称 Agent Designer)が GA となり、マルチステップ(複数の手順にまたがる)の自動化ワークフローを組織全体で構築できるようになりました(2026年9月3日)。
🔍 何が変わったのか
- 提供段階が GA へ: 検証段階から、組織全体での本格利用に踏み出せる段階になりました
- 作成方法: 自然言語(普段の話し言葉に近い文章)のプロンプトやビジュアルエディタでエージェントを作成でき、AI の自動処理と人による承認ステップを組み合わせたワークフローも構築できます
- チャットからの呼び出し: チャット上で @メンションにより作成したエージェントを呼び出せます
- 既存エージェントのインポート: A2A(エージェント間連携の規格)や ADK(Agent Development Kit)で作られたエージェントを取り込めます
- エンタープライズコネクタ: Google Workspace、Slack、Jira、ServiceNow、Confluence、Microsoft OneDrive/SharePoint/Outlook などの業務システムと接続できます
- Agent Gallery の拡張と管理者トグル: 共有・再利用のためのギャラリーが拡張され、管理者向けの機能有効化トグルが用意されています
- 権限の範囲: エージェントが使えるアクションやツールはGemini Enterprise の管理者が払い出したデータコネクタ・ツール・権限の範囲に限られます
- その他: 統合されたシミュレーション環境での動作テスト、特定のグループへの公開、定期実行のスケジューリングにも対応します
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
申請・承認や問い合わせ一次対応など、複数システムをまたぐ定型業務を抱える管理部門・営業事務・カスタマーサポート部門が対象です。たとえば「問い合わせ内容を分類し、ナレッジから回答案を作り、担当者の承認を経て ServiceNow のチケットを更新する」といった流れを、専門的な開発をせずに組み立てられます。
✨ 導入メリット
- 現場の担当者自身が自動化を設計できるため、開発待ちの期間が短くなり業務効率化のスピードが上がります
- 人による承認ステップを挟めるため、判断を伴う業務でも安全に自動化の範囲を広げられます
- 使えるツールと権限が管理者の払い出し範囲に限定されるため、ガバナンスを保ったまま全社展開を進められます
- 主要な業務 SaaS とのコネクタが用意されており、個別の連携開発を減らせます
📚 公式ソース
5. Google Cloud CCaaS 6.9 をリリース — エージェントデスクトップがメール対応
Google Cloud Contact Center as a Service(CCaaS)[マネージド型のコンタクトセンター基盤]のバージョン 6.9 がリリースされました(2026年9月3日)。
エージェントデスクトップ(オペレーターの操作画面)がメール対応に広がり、あわせて通話・チャット・外部連携にまたがる多数の不具合が修正されています。インスタンスへの適用タイミングは、選択しているデプロイスケジュールによって異なります。
✨ 使えるようになる機能
- エージェントデスクトップのメール対応: デスクトップレイアウトの設定に Email Adapter のチェックボックスが追加され、メールセッションを扱えるようになりました。あわせてメニューバーに新しいメールメニューが追加されています
- チャネル構成の柔軟性: 通話用のレイアウトにメール対応を追加することも、チャットやメールの専用レイアウトを作ることもできます
- 適用タイミングの選択: 更新の適用時期は、契約中のデプロイスケジュールに応じて決まります
⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点
- メールに関する修正: 新規メールを送信できない問題が修正されました
- 通話に関する修正: コールアダプタの処理結果(disposition)パネルの表示不整合、ボイスメールの重複表示、営業時間外のコールバックがキャンセルされない不具合、通話終了時の遅延・接続エラー、保留音と通話音声の重複が修正されました
- 外部連携に関する修正: Salesforce の click-to-dial で電話番号が上書きされる問題、Zendesk 連携でのタブ遷移の不具合が修正されました
- 管理・監査に関する修正: 営業時間グループの削除が監査ダッシュボードに反映されない問題が修正されました
- デフォルト動作の破壊的変更や機能の廃止については、今回の公開情報には含まれていません
🤔 判断観点
- 影響範囲: CCaaS を運用しているコンタクトセンター全般が確認対象です。特に Salesforce・Zendesk と連携している環境、ボイスメールやコールバックを運用している環境は関連が深い修正が含まれます
- チャネル拡張の検討: メール対応をエージェントデスクトップに集約すると、電話・チャット・メールの応対履歴を1つの画面で扱えるという観点があります。既存のメール対応ツールとの役割分担を整理する余地があります
- 検証推奨事項: デスクトップレイアウトの変更はオペレーターの操作に直接影響するため、少人数のグループで先行して操作性を確認する進め方も選択肢になります
- ロールアウト戦略: 適用時期は選択中のデプロイスケジュールに依存するため、公式のスケジュール情報を確認し、繁忙期を避けた確認計画を立てるという観点があります
📚 公式ソース
6. Gemini Enterprise — Assured Workloads(FedRAMP High)内でフェデレーテッドデータストアが利用可能に(GA)
Gemini Enterprise(企業向け AI アシスタント・エージェントプラットフォーム)で、FedRAMP High 準拠の Assured Workloads フォルダ内にあるプロジェクトに対して、Google Workspace および第三者製サービスのフェデレーテッドデータストアを接続できるようになりました(2026年8月31日、GA)。
Assured Workloads は、Google Cloud のフォルダに「コントロールパッケージ」を適用することで、配下のプロジェクトとリソースにデータの所在地・アクセス・運用担当者に関する制御を自動で効かせる仕組みです。
🔍 何が変わったのか
- 対象環境の拡大: これまで制約があった Assured Workloads(FedRAMP High)配下のプロジェクトでも、フェデレーテッドデータストアを接続できるようになりました
- 接続先の種類: Google Workspace のデータソースと、第三者製サービスのデータソースの双方が対象です
- フェデレーテッド(連携型)とは: データを Google Cloud 側へ取り込まず、検索のたびに接続先の API へ問い合わせる方式です。インデックス作成(データ取り込み)が不要な点が特徴です
- FedRAMP High の位置づけ: Assured Workloads のコントロールパッケージには FedRAMP Moderate と FedRAMP High が用意されており、FedRAMP High では Google のサポート担当者の所在地や身元確認に関する追加要件が適用されます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
公共分野の案件や、規制の厳しい業界向けのシステムを扱う部門が対象です。コンプライアンス要件からワークロードを Assured Workloads フォルダ配下に置いている環境でも、Google Workspace や業務 SaaS 上の資料を AI アシスタントの検索対象に加えられるようになります。「コンプライアンス境界は維持したまま、社内ナレッジ検索だけは AI で効率化したい」という要件に応える構成が取れます。
✨ 導入メリット
- コンプライアンス要件が厳しい環境でも AI 活用の範囲を広げられ、規制対応と業務効率化を両立しやすくなります
- データを取り込まない連携型のため、データの保管場所を増やさずに検索対象を拡張できます
- GA として提供されるため、本番の業務システムへ組み込む判断がしやすくなります
📚 公式ソース
7. Gemini Enterprise Agent Platform — 画像生成モデルの機能拡充(マルチリージョン対応・4K 出力 GA)
Gemini Enterprise Agent Platform(機械学習・生成 AI の統合プラットフォーム)の画像生成モデル Gemini 3.1 Flash Image と Gemini 3 Pro Image で、提供リージョンと出力仕様が拡充されました(2026年8月31日)。業務での画像生成をリージョン要件のもとで運用しやすくなり、印刷・大型表示にも耐える解像度が正式提供となりました。
🔍 何が変わったのか
- マルチリージョンエンドポイント対応: Gemini 3.1 Flash Image が US および EU のマルチリージョンエンドポイントで利用できるようになりました
- 4K 画像出力が GA: Gemini 3.1 Flash Image と Gemini 3 Pro Image の両モデルで、4K 解像度の画像出力が正式提供となりました
- 動画入力からの画像生成が GA: Gemini 3.1 Flash Image で、動画を入力として画像を生成する機能が正式提供となりました
- Gemini 3.5 Flash がカナダで利用可能に: Gemini Enterprise 側では Gemini 3.5 Flash がカナダ(ca)で提供され、保存データとリージョン内での機械学習処理(データレジデンシー)に対応しました
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
広告・販促物の制作を担うマーケティング部門や、製品カタログ・マニュアルの図版を扱う制作部門が対象です。4K 出力が GA になったことで、Web 用の小さな画像だけでなく、印刷物や店頭のデジタルサイネージ向けの素材づくりにも使いやすくなります。動画入力に対応したことで、撮影済みの動画から静止画のビジュアルを起こす作業にも活用できます。データの所在地に関する要件がある場合は、US/EU のマルチリージョンエンドポイントを選択する運用が取れます。
✨ 導入メリット
- 用途ごとに別ツールを使い分ける必要が減り、制作フローの一本化を進めやすくなります
- 高解像度出力が正式提供となったことで、外注していた素材づくりの一部を内製化する検討ができます
- リージョンを指定できるため、データの所在地に関する社内規程と整合させた形で生成 AI を利用できます
📚 公式ソース
8. Cloud Run — AI エージェント向けの Agent Platform 機能が Preview で提供
Cloud Run(コンテナをそのまま動かせるサーバーレス実行環境)のサービスおよびジョブに対して、Agent Platform 機能を設定できるようになりました(2026年9月1日)。
AI エージェントや MCP サーバー(AI が外部ツールへ接続するための標準的な窓口)を Cloud Run 上で動かす際に、認証と組織内での発見を仕組みとして支える機能です。この機能は Preview として提供されています。
🔍 何が変わったのか
- Agent Identity(エージェント識別情報): Cloud Run 上のワークロードに、暗号技術で検証できる固有の識別情報を割り当てられます。これはシステム側で管理され、他のエージェント・ツール・Google Cloud の API へ安全に接続する土台になります
- Agent Registry への自動登録: デプロイしたエージェントや MCP サーバーが自動的に登録され、組織内での発見が容易になります。手作業での登録が不要になります
- 対応リソース: サービスはエージェントと MCP サーバーの両方として、ジョブはエージェントとしてデプロイできます
- 設定変更の制約: 一度割り当てた機能種別・識別情報種別は変更や解除ができません。初期設計時の確認が重要です
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
社内向けの AI エージェントを自社開発している開発チームや、それを運用するプラットフォーム部門が対象です。「どのエージェントが、どの権限で、どのシステムに接続しているのか」を識別情報として管理したい場面や、部門ごとに作られたエージェントを組織横断で棚卸ししたい場面で活用できます。
✨ 導入メリット
- エージェントごとの認証情報を個別に作り込む必要が減り、認証周りの実装・保守の負荷を抑えられます
- 自動登録によってエージェントの一覧性が高まり、社内に散在した AI 資産の属人化の解消につながります
- 既存の Cloud Run のデプロイフローに乗せられるため、新しい実行基盤を立ち上げずに検証を始められます
📚 公式ソース
9. Gemini Enterprise — 請求書払いの Cloud Billing アカウント全てで超過利用の制御が可能に
Gemini Enterprise で、超過利用の制御が、請求書払いの Cloud Billing アカウント全てで利用できるようになりました(2026年9月1日)。
従来は一部のアカウントで有効化できない制限がありましたが、これが解消されました。
🔍 何が変わったのか
- 対象アカウントの拡大: 請求書払いの Cloud Billing アカウントであれば、超過利用の制御を有効化できるようになりました
- 利用条件: 超過利用と支出管理を利用するには、プロジェクトに請求書払いの Cloud Billing アカウントがあり、かつ無料トライアルではない有効なサブスクリプションが1つ以上紐づいている必要があります
- 超過利用(overage)とは: プランに含まれる利用枠(プール型のクォータ)を使い切った後も、従量課金の料金で機能を使い続けられる仕組みです。管理者は、この超過利用を許可するかどうかをプロジェクト設定で切り替えられます
- 対象エディション: 超過利用に対応するのは Standard・Plus・Standard Emerging Market の各エディションです。従量課金(Pay-as-you-go)は利用枠の上限がないため対象外です
- 上限に達したとき: 利用枠を超えると該当機能で「Usage limit reached」のエラーが表示されます。Cloud Billing で月次の支出上限を設定しておくと、上限到達時に超過利用が自動停止します(停止には数分かかるため、上限を若干超える場合があります)
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
Gemini Enterprise を全社展開している情報システム部門と、その予算を管理する経理・財務部門が対象です。「利用枠を超えても業務は止めたくないが、想定外の請求は避けたい」という要件に対して、超過利用の許可と支出上限をあわせて設定する運用が組めます。
✨ 導入メリット
- 繁忙期など一時的に利用が増える局面でも、AI アシスタントの利用停止を避けやすくなり、業務の継続性を保てます
- 支出上限とアラート(50%・80%・100% などのしきい値)を組み合わせることで、コスト最適化と可用性のバランスを取りやすくなります
- 請求書払いのアカウント全般で設定できるようになり、契約形態による運用の差異が減ります(無料トライアルではない有効なサブスクリプションが必要な点はご留意ください)
📚 公式ソース
10. Gemini Enterprise Agent Platform — Claude Fable 5.1 が Model Garden で利用可能に
Gemini Enterprise Agent Platform の Model Garden(多様な AI モデルを選んで使えるモデルカタログ)で、Anthropic の Claude Fable 5.1 が利用できるようになりました(2026年9月1日)。
Google 製モデルとパートナー企業のモデルを、同じプラットフォーム上から呼び出せる形です。
🔍 何が変わったのか
- Claude Fable 5.1 の追加: Anthropic のモデルを Model Garden から選択して利用できるようになりました
- 利用条件・仕様の確認先: 対応リージョン、コンテキストウィンドウ(一度に読み込める情報量)、料金といった詳細は、公式のモデルドキュメントで確認できます
- 提供条件(重要): 本モデルは Advanced AI Safety Addendum の対象であり、不正利用の監視を目的としてプロンプトと応答が最長30日間保存されます。取り扱うデータの性質に応じて、社内規程との適合を事前に確認することが求められます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
用途に応じて複数の AI モデルを比較・使い分けたい開発チームやデータサイエンス部門が対象です。文書作成支援やコード生成といったタスクごとに、Google 製モデルとパートナー製モデルの出力品質・応答速度・コストを同一環境で比較する検証に使えます。
✨ 導入メリット
- モデルごとに別サービスと契約せずに済み、調達・管理の手間を抑えながらモデル選定を進められます
- 認証・監査・ネットワーク制御といった Google Cloud 側の共通の仕組みに乗せて評価できます(ただしプロンプト・応答の保存に関する条件は個別に確認が必要です)
- 特定モデルへの依存度を下げた構成を検討しやすくなり、中長期の柔軟性が高まります
📚 公式ソース
11. Gemini Enterprise Agent Platform — Embedding の SKU 変更と、セッション/Memory bank のメータリング開始
Gemini Enterprise Agent Platform で、料金に関わる2つの変更が発表されました(2026年9月1日)。Memory bank(エージェントが会話の文脈や知識を保持する仕組み)が使用するエンベディングのモデル課金単位が更新され、あわせてセッションと Memory bank のコンピュート(計算リソース)が Agent Platform コンピュートの SKU でメータリング(計測)の対象になりました。課金の開始は2026年9月1日で、詳細は公式の料金ページに記載されています。
⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点
- 課金単位の切り替え: Memory bank 経由の Embedding 利用が、これまでとは異なる SKU で計上されます。請求明細上の項目名が変わる可能性があります
- セッション/Memory bank のメータリング対象化: これまで計測対象ではなかったセッションおよび Memory bank のコンピュートが、Agent Platform コンピュートの SKU で計測されるようになりました。課金の開始は2026年9月1日です
- 機能の廃止や非推奨化については、今回の公開情報には含まれていません
🤔 判断観点
- 影響範囲: Memory bank やセッションを利用しているエージェントを稼働させている環境が確認対象になります
- コスト影響の確認: 請求レポートで2026年9月1日以降の SKU 別内訳を確認し、これまでの月額との差分を把握しておくという観点があります
- 予算管理: 新たに計上される項目があるため、Cloud Billing の予算アラートのしきい値を見直す余地があります
- 設計の見直し: 会話履歴やセッションの保持範囲、Embedding の実行頻度が費用に影響するため、Memory bank の設計とコストの関係を整理しておくという観点もあります
📚 公式ソース
12. Gemini Enterprise Agent Platform — Deferred tier が Preview で提供、消費トークン50%割引
自律型エージェントの実行スケジューリング向けに、Deferred tier(遅延実行ティア)が Preview で提供されました(2026年9月2日)。
応答速度をあまり求められない裏側の処理をオフピークの時間帯にキューイングして実行することで、コストと処理能力の両面を改善する仕組みです。
🔍 何が変わったのか
- スループット重視のスケジューラ: 即時応答を必要としない多段階のエージェント処理を、混雑していない時間帯へ回して実行します
- 消費トークンが50%割引: 標準ティアの料金と比べて、モデル推論のコストが50%抑えられます
- レート制限の緩和: 重い非同期処理をオフピークへ移すことで、429(レート超過)エラーの発生を抑え、リアルタイム処理向けの標準ティアのクォータを空けられます
- 完了目標: タスクの95%を24時間以内に完了することを目標とし、24時間以内に完了しなかったタスクは失敗状態へ移行されます
- 使い方と対象: Python SDK でサービスティアに deferred を指定して呼び出します(バックグラウンド実行かつ結果を保存する設定、ストリーミングは無効が前提)。現時点の対象は Deep Research Agent です
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
市場調査や競合分析のレポートを AI に自動生成させている企画部門・調査部門、および夜間バッチで大量の文書処理を回したい情報システム部門が対象です。「翌朝までに結果が出ていればよい」タイプの調査タスクをまとめて投入する運用に向いています。
✨ 導入メリット
- 推論コストが50%抑えられるため、同じ予算でより多くの調査・分析タスクを回せます
- 重い処理を別のティアへ分離できるため、日中の対話型 AI の応答が重い処理に引きずられにくくなります
- レート制限に起因するエラーの発生を抑えられ、大量処理を伴う AI 活用の運用安定性が高まります
📚 公式ソース
13. Gemini Enterprise Agent Platform — CodeMender に機械可読メトリクスとセッション別集計を追加
CodeMender(コードの脆弱性を検出・検証・修正する AI エージェント)が更新され、実行状況を数値で確認する手段が加わりました(2026年9月2日)。
あわせて複数の不具合が修正されています。なおCodeMender は Public Preview として一部のお客様に限定して提供されており、商用・本番用途での利用は認められていません。また、正当なセキュリティ防御目的で、自社が所有または分析の許可を得たコードに対してのみ利用する条件があります。
✨ 使えるようになる機能
- 機械可読なメトリクスの出力: JSON 形式で出力するフラグが追加され、キャッシュヒット率、思考処理の比率、ツール呼び出し回数、実行時間といった指標をプログラムで扱えるようになりました
- セッション別のトークン消費の確認: セッション ID を指定した統計コマンドにより、セッションごとのトークン消費の内訳を詳しく確認できるようになりました
- 不具合修正: 複数のバグ修正が含まれています
⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点
- 今回の公開情報には、機能の廃止・非推奨化やデフォルト動作の破壊的変更は含まれていません
- 提供条件は継続: 限定提供の Public Preview であり、テストおよび評価目的の利用に限られる点は変わりません
🤔 判断観点
- 利用条件: 限定提供かつ評価目的限定のため、まず自社が対象かどうかの確認が起点になるという観点があります
- 影響範囲: CodeMender を評価中の開発チーム・セキュリティ担当が確認対象です
- 活用観点: JSON 形式のメトリクスを CI(継続的インテグレーション)のログ収集へ取り込み、評価の再現性を高めるという使い方が考えられます
- コスト把握: セッション別のトークン消費が見えるようになったため、評価にかかる費用の実績を整理しておく余地があります
📚 公式ソース
14. Gemini Enterprise — エージェントのレイテンシ・エラー率ビューが GA
Gemini Enterprise の Observability(可観測性)タブに、エージェント単位のレイテンシ(応答時間)ビューとエラー率ビューが追加され、GA となりました(2026年9月3日)。
AI アシスタントの「体感の速さ」と「失敗の内訳」を数値で追えるようになります。
🔍 何が変わったのか
| ビュー |
内容 |
| レイテンシビュー |
TTFT(最初のトークンが返るまでの時間。思考過程のトークンを含む)、TTFA(回答の最初のトークンが返るまでの時間。思考過程は除く)、TTLT(最後のトークンが返るまでの時間)を、p50(中央値)と p95(遅い側5%の境目)で表示。サマリーカードと時系列グラフの両方で確認できます |
| エラー率ビュー |
リクエストの結果を OK(2xx)/クライアントエラー(4xx)/サーバーエラー(5xx)/キャンセルの応答クラス別に分類。リクエスト量の推移、クラス別の失敗率、個別の gRPC エラーコードと集計を表示します |
- 対象エージェント: Observability タブは Core Assistant、Workflow Builder、Deep Research の各エージェントで利用できます
- 前提設定: エージェント単位のメトリクスを表示するには、OpenTelemetry のトレースとログの計測を有効にする設定が必要です
- 機能種別での絞り込み: 生成メディア、Web 検索、ファイル分析、コネクタ、Canvas、スキルなどの機能種別でフィルタでき、特定の遅い機能に全体値が引っ張られる状況を切り分けられます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
Gemini Enterprise を全社展開している情報システム部門・運用担当者が対象です。「AI の返答が遅い」という利用者の声に対して、思考過程が長いのか回答生成が長いのかを TTFT と TTFA の差から切り分けたり、エラーの原因が利用側の入力(4xx)かサービス側(5xx)かを判別する場面で役立ちます。
✨ 導入メリット
- 体感の速さを p50・p95 の数値で追えるため、改善の効果を定量的に測定できます
- エラーを応答クラス別に分けて見られるため、社内対応で済む問題とサポート照会が必要な問題を早期に切り分けられます
📚 公式ソース
15. Gemini Code Assist — 新規サブスクリプションのコンソール購入が不可に
Gemini Code Assist(コード補完・生成を支援する開発者向け AI)について、新規サブスクリプションを Google Cloud コンソール経由で購入できなくなることが告知されました(2026年9月4日)。
対象は、有効なサブスクリプションを持たない請求先アカウントです。既存の有効なサブスクリプションには影響しません。
✨ 使えるようになる機能
- 既存契約の継続: すでに有効なサブスクリプションを持つ請求先アカウントは、これまでと同様に利用を続けられます
- 代替の開発者向け AI ツールの案内: リリースノートでは、代替として Antigravity が案内されています。Antigravity は、対象となる(eligible)Gemini Enterprise サブスクリプションまたは Gemini Enterprise Agent Platform 経由で利用できます
⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点
- セルフサービス購入の停止: 有効なサブスクリプションがない請求先アカウントでは、Google Cloud コンソールから新規に Gemini Code Assist のサブスクリプションを購入できなくなります
- 新規契約の窓口の変更: 新たに契約する場合は、営業担当への問い合わせが必要になります
🤔 判断観点
- 影響範囲: これから Gemini Code Assist を導入しようとしていた開発部門・調達担当が対象です。既存利用者は当面の対応は不要という整理になります
- 調達プロセスの見直し: これまでコンソールから随時追加していた運用がある場合、営業窓口を通じた調達フローへ切り替える準備をしておくという観点があります
- 選択肢の比較: 開発者向け AI ツールとして Antigravity を含めた比較検討を行い、自社の Gemini Enterprise サブスクリプションが対象(eligible)に該当するか、Gemini Enterprise Agent Platform 経由で利用できるかを確認する余地があります
- ライセンス棚卸し: 現在の契約状態(有効なサブスクリプションがあるか)を請求先アカウント単位で確認しておくと、影響範囲を正確に把握できます
📚 公式ソース
16. Gemini Enterprise — Monday のフェデレーテッドデータストアが GA
Gemini Enterprise で、プロジェクト管理ツール Monday のフェデレーテッドデータストアが GA となりました(2026年9月4日)。
フェデレーテッド(連携型)とは、データを Google Cloud 側へ取り込まず、検索のたびに接続先の API へ問い合わせる方式です。データ取り込み(インデックス作成)が不要な点が特徴です。
🔍 何が変わったのか
- Monday の横断検索: Gemini Enterprise のアプリアシスタントから、Monday のボード・アイテム・更新・ドキュメントを横断的に検索できるようになりました
- データ取り込みが不要: 検索クエリが Monday の API へ直接送られ、結果が他の接続済みデータソースの結果と統合して表示されます
- 設定に必要なもの: Discovery Engine Editor のロールと、アプリケーションの OAuth クライアント ID・シークレットが必要です。検索対象とするエンティティ(対象データの種類)はセットアップ時に選択します
- 留意点: 精度向上のため、検索クエリが送信前に AI によって書き換えられる場合があり、その際にセッション内の検索履歴の情報が反映されることがあります
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
Monday でプロジェクトやタスクを管理している企画部門・開発部門・制作部門が対象です。「この案件の直近の進捗コメントをまとめて」といった問い合わせに対して、Monday を開き直さずに、社内文書の検索結果とあわせて確認できるようになります。
✨ 導入メリット
- データを取り込む必要がないため、初期構築と同期運用の負荷を抑えて連携を始められます
- 常に接続先の最新状態を参照するため、進捗情報のように更新が頻繁なデータでも鮮度を保てます
- 複数ツールを行き来する情報収集の手間が減り、意思決定スピードの向上につながります
- GA として提供されるため、本番の業務フローへ組み込む判断がしやすくなります
📚 公式ソース
17. Gemini Enterprise — Relativity / Streak / Superhuman Mail のデータストアが Public Preview
Gemini Enterprise で、新たに3種類のデータストアが Public Preview(一般公開プレビュー)として追加されました(2026年9月4日)。
対象は Relativity(電子情報開示・法務向けプラットフォーム)、Streak(Gmail 連携型の CRM)、Superhuman Mail(メールクライアント)です。いずれも自然言語での検索・読み取りに対応し、Streak ではアクション(AI が実行できる操作)も利用できます。
🔍 何が変わったのか
| データストア |
対応内容 |
提供段階 |
| Relativity |
自然言語での検索・読み取り |
Public Preview |
| Streak |
自然言語での検索・読み取りに加え、アクションの実行にも対応 |
Public Preview |
| Superhuman Mail |
自然言語での検索・読み取り |
Public Preview |
- Relativity の利用条件: 利用できるロケーションは global / us / eu です。また、既存の Relativity データストアに対して VPC Service Controls(データ境界を守る仕組み)の境界を後から適用することはできず、データストアを削除して作り直す必要があります
- 設計上の推奨: 新しいアプリを作成する場合やデータストアを追加する場合は、1つのコネクタ種別に属するアクションに対してデータストアを1つだけ関連付けることが推奨されています
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
法務部門・知財部門(Relativity)や、メールを起点に商談を管理している営業部門(Streak/Superhuman Mail)が対象です。「この案件に関連する文書を探す」「直近のやり取りの経緯を整理する」といった調査を、AI アシスタントへの自然な問いかけで進められるようになります。
✨ 導入メリット
- 専用ツールの検索構文に習熟していない担当者でも情報にたどり着けるようになり、調査業務の属人化の解消につながります
- Streak はアクションにも対応するため、確認から更新までを一連の流れとして処理でき、入力作業の手間を減らせます
- 個別に連携機能を開発せずに標準コネクタで接続できるため、開発・保守の負荷を抑えられます
📚 公式ソース
18. Gemini Enterprise — プロジェクトの作成・管理機能が GA
Gemini Enterprise の Web アプリで、プロジェクトの作成・管理機能が GA となりました(2026年9月4日)。プロジェクトとは、特定の業務やテーマごとに専用のナレッジベース(AI が回答の根拠にする資料の集まり)を作り、その資料を土台にした会話を行うための機能です。アシスタントはプロジェクト内のナレッジファイルとウェブ検索の両方に基づいて回答します。一方で、プロジェクトに明示的に追加していない他の社内データソースからは切り離されます。
🔍 何が変わったのか
- 専用ナレッジベースの構築: 個人の作業やチームの共同作業ごとにプロジェクトを作成し、資料をまとめられるようになりました
- 対応ファイル形式: PDF、Microsoft Word(DOCX)、Microsoft PowerPoint(PPTX)、Microsoft Excel(XLSX)、CSV、HTML、テキスト(TXT)のローカルアップロードに対応します。加えて Google ドライブのファイル、テキストメモ、SharePoint などのサードパーティコネクタ経由の文書も利用できます
- プライベートチャット: プロジェクト内では複数の会話を並行して進められ、その会話は本人にしか見えません
- 共同作業と権限: プロジェクトのオーナーがメンバーを招待でき、既定では編集者(Editor)権限が付与されます
- ファイルの見え方に関する注意: ローカルからアップロードしたファイルは、プロジェクトメンバー全員が閲覧・ダウンロード・削除できます。一方、Google ドライブなどのコネクタ経由でリンクしたファイルは元の共有権限が維持され、他のメンバーに使わせるには元のアプリケーション側で共有する必要があります(メンバーには少なくとも閲覧権限が必要です)
- 管理者設定が必要: 利用にあたり、管理者が Web アプリの機能管理で「Enable projects」トグルを有効にする必要があります。SharePoint 連携を使う場合は、Google Cloud コンソールでのコネクタ設定も必要です
- 上限: 1つのプロジェクトで扱えるのはファイルおよびリンク文書で最大50件です
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
提案書の作成や社内制度の改定、システム導入プロジェクトなど、テーマごとに関連資料が散在しがちな部門が対象です。関連する仕様書・議事録・規程をプロジェクトにまとめておくことで、「この条件は資料のどこに書かれているか」といった確認を、根拠となる資料に基づいた回答として得られます。
✨ 導入メリット
- テーマに関係のない社内データソースから切り離されるため、回答の根拠が追いやすくなり、確認作業の手戻りを減らせます
- プロジェクト内の資料に加えてウェブ検索の情報も踏まえた回答が得られるため、社内資料と外部動向を突き合わせた検討を進めやすくなります
- 資料の集約とチームでの共有が同じ場所で行えるため、引き継ぎや新任者のキャッチアップが早まり、属人化の解消につながります
- コネクタ経由でリンクしたファイルは元の共有権限が維持されるため、既存のアクセス管理を崩さずに共同利用できます(ローカルアップロードしたファイルはメンバー全員に見える点にご留意ください)
📚 公式ソース
まとめ
2026年8月31日〜9月6日の AI カテゴリでは、Preview から GA への移行が集中したことが最大のテーマでした。Gemini 3.8 Flash が本番利用可能になり、業務自動化を組み立てる Workflow Builder、テーマ別のナレッジベースを作るプロジェクト機能、Monday のフェデレーテッドデータストアがそれぞれ GA となりました。あわせて、エージェントのレイテンシ・エラー率ビューも GA となり、AI 活用を「試す」段階から「運用として測り、改善する」段階へ進めるための土台が揃ってきています。
ガバナンス面の進展も見逃せません。Sensitive Data Protection のコンテンツポリシーにより機微情報の取り込みとアップロードを仕組みで防げるようになり、IAM の Access policies ではエージェントと接続先の間の通信を許可・拒否ルールと CEL 条件で統制できるようになりました。さらに FedRAMP High 準拠の Assured Workloads 環境でもフェデレーテッドデータストアが使えるようになり、規制対応が求められる領域でも AI 活用の選択肢が広がっています。
コストと効率の面では、Deferred tier(Preview)が注目点です。応答速度を求めない処理をオフピークへ回すことで消費トークンが50%割引となり、レート制限の緩和も期待できます。一方で Embedding SKU の変更と、セッション/Memory bank のコンピュートが Agent Platform コンピュート SKU でメータリング対象になった点(課金開始は2026年9月1日)があるため、9月以降の請求内訳の確認が実務的なポイントになります。基盤面では Cloud Run の Agent Platform 機能(Preview)により、自社開発したエージェントに識別情報を付与し、組織内で棚卸しできる仕組みが整いつつあります。
IT 担当者の視点では、Gemini 3.8 Flash のモデルセレクター設定とトークン消費の傾向確認、プロジェクト機能の「Enable projects」トグルとファイル上限50件の確認、CCaaS 6.9 の適用スケジュールとデスクトップレイアウト変更の影響確認が当面の実務課題です。また、Gemini Code Assist の新規サブスクリプション購入方法の変更は、これから導入を検討していた組織にとって調達フローの見直しが必要になる点にご留意ください。経営の視点では、GA へ移行した機能群を使って業務効率化とデータ活用をどの範囲まで本番運用へ広げるかを、ガバナンス要件と照らしながら判断する時期といえます。
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