Google Cloud の AI 関連サービスは、2026年6月下旬も着実に進化を続けています。今回は Gemini Enterprise の可観測性(オブザーバビリティ)や Agent Registry の一般提供(GA)、AI エージェントを守る Model Armor の適用範囲拡大など、エンタープライズでの AI エージェント運用を支える基盤機能の充実が中心となりました。
本記事では、2026年6月22日〜28日に発表された Google Cloud AI カテゴリの主要トピックを、リリース日順に解説します。Gemini Enterprise の可観測性・エージェント管理機能の GA、Gemini Enterprise Agent Platform のセキュリティ・スループット機能、AI Hypercomputer の新しい操作インターフェース、コンタクトセンター(CCaaS)の機能追加と廃止情報まで取り上げています。
経営層の方は「AI エージェントを安全かつ統制された形で業務に広げるための土台が整いつつある」という視点で、IT 担当者の方は「どの機能が GA になり、どの機能に移行対応が必要か」という視点で読み進めると、導入・運用判断に役立つはずです。
| 対象期間 | 2026年6月22日〜2026年6月28日 |
| 対象製品 | Google Cloud |
| 対象カテゴリ | AI |
| アップデート件数 | 8件(主要トピック) |
AI Hypercomputer(AI/ML ワークロード向けの統合インフラ)で、Google Cloud コンソール上の Gemini を AI インターフェースとして利用できるようになりました(2026年6月23日、Preview)。ハードウェアの選択肢を評価し、デプロイにかかるコストを見積もる作業を、対話的に進められます。
AI/ML ワークロード向けのインフラ構成を検討するインフラ担当者・データサイエンティストが対象です。どのハードウェアを選べばよいか、どの程度のコストがかかるかを、コンソール上の Gemini に問いかけながら整理できます。
Gemini Enterprise(企業向け AI アシスタント・エージェントプラットフォーム)の Observability(可観測性)が一般提供(GA)になりました(2026年6月24日)。アプリレベルでの設定や、メトリクス(指標)・トレース(処理の追跡記録)の閲覧が可能です。
Gemini Enterprise を業務に導入し、その利用状況や挙動を把握したい管理者・運用担当者が対象です。メトリクスやトレースを確認することで、アプリの動作状況をモニタリングし、想定外の挙動の切り分けに役立てられます。
Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI。ML/生成 AI の統合基盤)で、AI エージェントのセキュリティに関わる 2 つの機能が一般提供(GA)になりました(2026年6月24日)。エージェントへの入出力を保護する Model Armor for Agent Gateway と、リスクを把握するための Top security findings ウィジェットです。
AI エージェントを本番運用するセキュリティ担当者・運用チームが対象です。Model Armor によりエージェントへの不適切な入力や応答に組織のルールを適用でき、Top security findings ウィジェットでランタイムの脆弱性所見を一目で把握できます。
Google Cloud Contact Center as a Service(CCaaS)では、コンタクトセンターの運用を支える複数の機能追加(Prerelease Feature)と不具合修正が行われました(2026年6月24日)。緊急時のキュー対応や発信時のコンプライアンス支援、発信者体験の改善などが中心です。
コンタクトセンターのスーパーバイザーや管理者が対象です。システム障害や災害といった予期せぬ事象の際に緊急キュー停止でコールを迅速に振り分けたり、発信拒否リストへの誤発信をアラートで防いだりできます。切断された発信者をキュー先頭に戻すことで、再度の待ち時間を抑えた対応も可能です。
Gemini Enterprise で、エージェントとカスタム MCP サーバーを一元管理する Agent Registry が一般提供(GA)になり、あわせて自然言語操作に対応する Lovable data store が Public Preview として登場しました(2026年6月25日)。エージェントの ID 表示にも対応しています。
複数の AI エージェントや MCP サーバーを運用する管理者・開発者が対象です。Agent Registry でエージェントを一覧管理し、egress ポリシーで外部連携を統制できます。Lovable data store では、プロジェクト検索やコネクタ管理を自然言語で行えるため、設定作業のハードルが下がります。
Google Cloud CCaaS の Web SDK バージョン 2 が、2026年6月26日に廃止されることが告知されました(2026年6月25日アナウンス)。バージョン 2 を利用している場合は、バージョン 3 への移行が必要です。
Gemini Enterprise で、Confluence Data Center(自社管理型の Confluence)を対象とした federated data store(横断検索用データストア)が一般提供(GA)になりました(2026年6月26日)。Confluence のコンテンツを Gemini Enterprise から横断的に検索・参照できます。
社内ドキュメントやナレッジを Confluence Data Center で管理している企業が対象です。これをデータストアとして接続することで、社員が Gemini Enterprise から自然言語で社内ナレッジを検索・参照できます。
Gemini Enterprise Agent Platform の Provisioned Throughput(処理能力をあらかじめ確保する仕組み)で、注文(オーダー)管理を柔軟にする 4 つの新機能が一般提供(GA)になりました(2026年6月26日)。
あわせて、同プラットフォームでは 2026年6月25日 付で、Gemini Online Inference API の SLA(サービス品質保証)に関する記載上の事務的訂正(公式ドキュメントの記述修正)も行われています。機能的な変更ではなく、記載内容の訂正です。
生成 AI ワークロードで安定した処理能力を確保したい IT 担当者・運用チームが対象です。需要の変動に合わせて注文内容を変更・分割したり、将来のキャンペーンや繁忙期に向けて注文をあらかじめ予約したりと、計画的なリソース管理が行えます。
2026年6月22日〜28日の AI カテゴリは、AI エージェントを安全かつ統制された形で運用するための基盤機能の充実が大きなテーマでした。Gemini Enterprise の Observability・Agent Registry の GA、Model Armor for Agent Gateway や Top security findings ウィジェットの GA により、エージェントの「監視」「管理」「保護」を支える仕組みが揃いつつあります。
IT 担当者の視点では、CCaaS の Web SDK バージョン 2 が廃止され、バージョン 3 への移行が必要になる点が確認のポイントです。経営の視点では、Confluence Data Center 連携の GA による社内ナレッジ活用の広がりや、Provisioned Throughput の柔軟な注文管理によるリソース計画の最適化が、AI 活用を前進させる材料となります。自組織の AI 活用方針に照らし、これらの機能の評価や移行対応の検討を進めていただくとよいでしょう。
XIMIX(サイミクス)は NI+C が運営する Google Cloud プレミアパートナーサービスです。Google Cloud / Google Workspace の導入・活用支援、AI 活用、データ活用などをご支援しています。本記事で取り上げた Gemini Enterprise・Agent Platform の活用や、コンタクトセンターの AI 活用にご関心がありましたら、お気軽にお問い合わせください。