コラム

データ分析は何から始める?最初の一歩を踏み出すための6ステップ

作成者: XIMIX Google Cloud チーム|Apr 22, 2025 1:39:37 PM

はじめに:

「DX推進のためにも、データ分析に取り組むべきだとは分かっている」 「データから新しい発見をして、ビジネスを改善したい」

このように考え、データ分析に関心を持つ中堅・大企業の担当者様は増えています。しかし同時に、「重要性は理解しているけれど、具体的に何から手をつければ良いのか全く見当がつかない」「専門知識も必要そうで、ハードルが高い…」と感じ、最初の一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。

データ分析と聞くと、高度な統計学やプログラミングの知識が必要だと思われがちですが、必ずしもそうではありません。大切なのは、明確な目的を持ち、正しいステップで、まずは小さく始めてみることです。

この記事では、データ分析の世界に足を踏み入れたいと考えている初心者の方々に向けて、具体的な「データ分析の始め方」を6つのステップに分けて分かりやすく解説します。

  • ステップ1: 目的を明確にする - 何のために分析するのか?
  • ステップ2: データを特定し、収集する - どんなデータを、どこから集めるか?
  • ステップ3: 分析環境を準備する - どんなツールを使うか?
  • ステップ4: データを加工・整理する - 分析できる形に整える
  • ステップ5: 分析し、可視化する - データを読み解き、分かりやすく表現する
  • ステップ6: 洞察を得て、アクションに繋げる - 分析結果をどう活かすか?

この記事を読み終える頃には、データ分析を始めるための具体的な道筋が見え、自信を持って最初の一歩を踏み出せるようになっているはずです。さあ、一緒にデータ分析の世界を探求していきましょう。

ステップ1:目的を明確にする - 「何のために」分析するのか?

データ分析を始める上で、最も重要と言っても過言ではないのが、この最初のステップ、「目的の明確化」です。目的が曖昧なまま分析を始めてしまうと、途中で方向性を見失ったり、分析結果をどのように活用すれば良いか分からなくなったりする可能性が高くなります。

まずは、「何を知りたいのか?」「何を解決したいのか?」「データ分析を通じてどのような状態を目指したいのか?*を具体的に考えましょう。

目的を設定する際のポイントは以下の通りです。

  • ビジネス課題と結びつける:
    • 例:「営業部門の売上を10%向上させたい」「Webサイトからの問い合わせ件数を増やしたい」「製造ラインの不良品発生率を5%削減したい」「顧客満足度を向上させたい」など、具体的なビジネス上の課題や目標を設定します。
  • 具体的な問いに落とし込む:
    • 上記の課題を、データで答えられる具体的な問いに変換します。
    • 例:「売上が伸び悩んでいる原因は何か?」「どの広告チャネルからの問い合わせが多いのか?」「不良品が発生しやすい条件は何か?」「顧客アンケートでネガティブな意見が多い項目は何か?」
  • 達成可能で測定可能な目標にする:
    • 設定した目的が、現実的に達成可能か、そして分析結果によって効果測定ができるかを確認します。(SMARTの法則などを参考にすると良いでしょう)

最初は、あまり壮大な目的を設定する必要はありません。まずは身近な業務の課題や、関心のあるテーマから、「これを知りたい」「これを改善したい」という具体的な目的を設定することから始めましょう。この「目的設定」が、後のステップすべての羅針盤となります。

ステップ2:データを特定し、収集する - どんなデータを、どこから集めるか?

目的が明確になったら、次はその目的を達成するために必要なデータを特定し、収集するステップです。

  • 必要なデータの特定:
    • ステップ1で設定した「問い」に答えるためには、どのようなデータが必要かを考えます。
    • 例:「売上分析」なら、売上日時、商品名、金額、顧客属性、販売チャネルなどのデータ。「Webサイト分析」なら、アクセス数、ページビュー、流入元、コンバージョン率などのデータ。
  • データの所在を確認:
    • 必要なデータがどこにあるかを確認します。社内の様々な場所にデータは存在しています。
      • 社内システム: 販売管理システム、顧客管理システム(CRM)、生産管理システム、人事システムなど。
      • Web関連: Webサイトのアクセスログ(Google Analyticsなど)、SNSアカウントのデータなど。
      • ドキュメントファイル: Excelシート、アンケート結果、日報など。
      • 外部データ: 公開されている統計データ(官公庁データなど)、市場調査データ、気象データなど。(目的に応じて利用を検討)
  • データの収集方法:
    • データの所在が分かったら、実際にデータを集めます。システムからデータをダウンロードしたり、手作業で入力したり、API連携で自動収集したりと、データの種類や場所によって方法は異なります。
  • 収集時の注意点:
    • データ品質: 収集したデータに誤りや欠損がないか、形式は揃っているかなどを確認します。(後のステップで加工・整理しますが、収集段階でも意識することが重要)
    • データ量: 分析に必要な十分な量のデータがあるかを確認します。
    • 関連法規・プライバシー: 個人情報など機密性の高いデータを扱う場合は、関連法規や社内規定を遵守し、プライバシーに配慮した取り扱いを徹底します。

最初から完璧なデータをすべて集めようとする必要はありません。まずは目的に関連性の高い、入手しやすいデータから収集を始めてみましょう。

ステップ3:分析環境を準備する - どんなツールを使うか?

データが集まったら、次はそのデータを分析するための「場所」と「道具」を準備します。データ分析ツールには様々な種類があり、目的やデータの量、スキルレベルに応じて適切なものを選ぶことが重要です。

【初心者向け】まずはExcelから

最も身近なツールであるMicrosoft Excelでも、基本的なデータ分析は十分に可能です。

  • できること: データの並べ替え、フィルタリング、基本的な集計(合計、平均など)、ピボットテーブルを使ったクロス集計、基本的なグラフ作成(棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど)。
  • メリット: 多くの企業で導入済み、使い慣れている人が多い、手軽に始められる。
  • デメリット: 大量のデータ(目安として数十万行以上)の扱いは苦手、高度な統計分析や機械学習は難しい。

データ分析の第一歩として、まずはExcelで手持ちのデータを触ってみることをお勧めします。

※なおGoogle Workspace にもGoogleスプレッドシートという表計算ツールがあります。GoogleスプレッドシートでもExcelと同等の事が出来るとお考え下さい。
【基本編】Googleスプレッドシート活用ガイド:機能、業務効率化、導入メリットまで徹底解説

【次のステップ】BIツールで可視化を強化

よりインタラクティブな分析や、分かりやすいレポート作成を行いたい場合は、BI (ビジネスインテリジェンス) ツールの導入を検討しましょう。

  • 代表的なツール: Looker Studio (旧 Google データポータル)、Tableau、Power BI など。
  • できること: 様々なデータソースへの接続、ドラッグ&ドロップ操作でのデータ集計・分析、多様なグラフやダッシュボードの作成、レポートの共有。
  • メリット: 専門知識がなくても直感的に操作しやすい、表現力豊かな可視化が可能、複数人での情報共有が容易。Looker Studioは無料で利用開始できる点も魅力です。
  • デメリット: ツールによってはライセンス費用がかかる場合がある。高度な分析には限界がある場合も。

【本格的な分析へ】データウェアハウスと分析プラットフォーム

扱うデータ量が膨大になったり、より高度で複雑な分析が必要になったりした場合は、データウェアハウス (DWH) やクラウドベースの分析プラットフォームの活用が視野に入ってきます。

  • 代表的なサービス (Google Cloud):
    • BigQuery: ペタバイト級のデータも高速処理できるフルマネージドDWH。SQLを使って柔軟な分析が可能。
    • Vertex AI: 機械学習モデルの開発・運用を支援するプラットフォーム。
  • メリット: 大規模データの高速処理、多様なデータソースの統合管理、高度な分析(SQL、機械学習など)が可能、スケーラビリティが高い(データ増にも対応しやすい)。
  • デメリット: 導入・運用には専門知識が必要、コストがかかる(ただし、Google Cloudなどは従量課金制でスモールスタートも可能)。

※BigQueryについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
【入門編】BigQueryとは?できること・メリットを初心者向けにわかりやすく解説

どのツールを選ぶにしても、最初から高機能なものを導入する必要はありません。まずはExcelや無料のBIツールから始め、分析の目的やスキルレベルに合わせてステップアップしていくのが良いでしょう。

ステップ4:データを加工・整理する - 分析できる形に整える

収集したデータは、多くの場合、そのままでは分析に適していません。表記の揺れ、欠損値、異常値などが含まれていることが多く、これらを整理・整形する「データ加工(データクレンジング、前処理)」という工程が非常に重要になります。分析の質は、この工程の丁寧さによって大きく左右されると言っても過言ではありません。

具体的な作業例としては、以下のようなものがあります。

  • 欠損値の処理: データが入力されていない箇所(空白セルなど)をどう扱うか決め、処理します。(例: 削除する、平均値などで補完する)
  • 表記の揺れ統一: 同じ意味なのに表記が異なるもの(例: 「株式会社〇〇」「(株)〇〇」、「東京都」「東京」)を統一します。
  • データ型の変換: 数値として扱うべきデータが文字列になっていたり、日付データが意図しない形式になっていたりする場合、適切な型に変換します。
  • 外れ値の処理: 他の値から極端に離れた値(入力ミスや異常な測定結果など)を確認し、必要に応じて修正または除外します。
  • データの結合: 複数のデータソースから収集したデータを、共通のキー(顧客ID、商品コードなど)を使って結合します。
  • 必要なデータの抽出・計算: 分析に必要な項目だけを抽出したり、既存のデータから新しい指標(例: 売上金額 ÷ 数量 = 単価)を計算したりします。

この工程は地味で時間のかかる作業ですが、ここを丁寧に行うことで、後の分析の精度と効率が格段に向上します。Excelの関数やフィルタ機能、BIツールのデータ準備機能、あるいはPythonなどのプログラミング言語を使って行います。

ステップ5:分析し、可視化する - データを読み解き、分かりやすく表現する

データが綺麗に整ったら、いよいよ分析と可視化のステップです。ステップ1で設定した「目的」に立ち返り、その問いに答えるための分析を行います。

分析手法(初心者向け)

最初から難しい分析手法を使う必要はありません。まずは基本的な手法から試してみましょう。

  • 集計: 合計、平均、最大値、最小値、中央値などを計算し、データの全体像を把握します。(例: 月別売上合計、顧客単価の平均)
  • 比較: グループ間(例: 店舗別、商品カテゴリ別、期間別)で数値を比較し、違いや特徴を見つけます。(例: A店舗とB店舗の売上比較、昨年同月比)
  • 傾向把握: 時系列データ(売上推移など)をグラフ化し、上昇・下降・横ばいなどのトレンドや、季節変動などのパターンを見つけます。
  • 相関分析: 2つのデータの関係性(一方が増えると他方も増える/減るなど)を調べます。(例: 広告費と売上の関係)
  • クロス集計: 2つ以上の項目を組み合わせて集計し、より詳細な分析を行います。(例: 年代別×商品カテゴリ別の購入金額)

可視化の重要性

分析結果は、数値の羅列だけでは理解しにくいことが多いです。グラフや図を使って「可視化」することで、データのパターンや傾向を直感的に捉えやすくなり、関係者とのコミュニケーションも円滑になります。

  • 適切なグラフの選択: 伝えたい内容に応じて、適切なグラフの種類(棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、散布図など)を選びます。
  • 分かりやすいデザイン: グラフのタイトル、軸ラベル、凡例などを明確にし、色使いなども工夫して、誰にでも理解しやすいように作成します。

ExcelやBIツールには豊富なグラフ作成機能が備わっていますので、積極的に活用しましょう。

ステップ6:洞察を得て、アクションに繋げる - 分析結果をどう活かすか?

データ分析は、分析して終わりではありません。最も重要なのは、分析結果から「何が言えるのか(洞察=インサイト)」を読み取り、それを具体的な「行動(アクション)」に繋げることです。

  • 洞察の獲得:
    • 分析結果や可視化されたグラフを眺め、ステップ1で設定した「問い」に対する答えを探します。
    • 「なぜこのような結果になったのか?」その背景にある要因を考察します。
    • 当初の仮説と比較し、新たな発見や想定外の結果がなかったかを確認します。
  • アクションプランの策定:
    • 得られた洞察に基づいて、具体的な改善策や次の行動計画を立てます。
    • 「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかを明確にします。
    • アクションプランの実行結果を、再びデータで測定・評価できるように計画します。
  • 関係者への共有と報告:
    • 分析結果とそこから得られた洞察、そして提案するアクションプランを、関係者(上司、同僚、関連部署など)に分かりやすく伝え、理解と協力を得ます。

この「分析→洞察→アクション→効果測定」というサイクルを回していくことが、データドリブンな意思決定、つまりデータに基づいた改善活動の本質です。一度で完璧な結果が出なくても、このサイクルを繰り返すことで、着実にビジネスを前進させることができます。

スモールスタートで成功体験を

ここまで6つのステップをご紹介しましたが、最初からすべてを完璧に行おうとすると、挫折してしまうかもしれません。

大切なのは、「スモールスタート」です。まずは、比較的小さな範囲、扱いやすいデータ、明確な目的を設定して、一連のステップを最後まで経験してみましょう。たとえ小さな成功であっても、その経験が自信となり、次のより大きな挑戦への意欲に繋がります。

また、社内にデータ分析の経験者がいる場合は、積極的にアドバイスを求めたり、協力をお願いしたりするのも良いでしょう。

XIMIXによるデータ分析支援

「ステップは分かったけれど、やっぱり自社だけで進めるのは不安…」 「目的設定の段階から、専門家と一緒に壁打ちしたい」 「どのツールを選べば良いか、客観的なアドバイスが欲しい」 「データ加工のところで躓いてしまいそうだ…」

データ分析の始め方には、様々な疑問や壁がつきものです。特に、リソースやノウハウが限られている場合、専門家のサポートを受けることが、スムーズなスタートダッシュを切るための有効な手段となります。

私たち XIMIX (サイミクス) は、Google Cloud と Google Workspace のプロフェッショナルとして、お客様のデータ分析ジャーニーの第一歩から伴走します。

XIMIXが提供するデータ分析スタート支援:

  • ワークショップ: お客様のビジネス課題をヒアリングし、データ分析によって何を達成したいのか、具体的な目的とKPI設定をサポートします。
  • アセスメントとツール選定支援: お客様の状況(データ量、スキルレベル、予算など)を評価し、最適な分析ツール(Googleスプレッドシート、Looker Studio、BigQueryなど)の選定をお手伝いします。
  • データ準備・加工支援: 散在するデータの収集方法の検討や、分析に適した形へのデータ加工・整理を支援します。
  • ハンズオントレーニング: ExcelやLooker Studioなどのツールを使った基本的な分析・可視化の方法を、実践形式でレクチャーします。
  • PoC (概念実証) 支援: 特定のテーマでデータ分析の効果を短期間で検証し、本格導入に向けた判断材料を提供します。

XIMIXは、多くの企業様のDX推進をご支援してきた経験に基づき、お客様の「データ分析、何から始める?」という疑問に、具体的かつ実践的なソリューションを提供します。最初の一歩を安心して踏み出すために、ぜひXIMIXにご相談ください。

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XIMIXのデータ分析サービスについてはこちらをご覧ください。
XIMIXのデータ可視化サービスについてはこちらをご覧ください。

※Google Cloud については、こちらのコラム記事もご参照ください。 
【基本編】Google Cloudとは? DX推進の基盤となる基本をわかりやすく解説
【基本編】Google Cloud導入のメリット・注意点とは? 初心者向けにわかりやすく解説

まとめ:難しく考えず、まずは一歩を踏み出そう

この記事では、データ分析を始めたいと考えている初心者の方に向けて、具体的な6つのステップ(目的設定、データ収集、環境準備、データ加工、分析・可視化、アクション)をご紹介しました。

データ分析は、特別なスキルを持つ一部の人だけのものではありません。正しいステップを踏み、適切なツールを活用し、そして何よりも「目的意識」を持って取り組めば、誰でもその恩恵を受けることができます。

最初から完璧を目指す必要はありません。まずはこの記事で紹介したステップを参考に、身近な課題やデータから「スモールスタート」を切ってみてください。その小さな一歩が、データに基づいた意思決定を組織に根付かせ、DXを推進する大きな力となるはずです。

もし、最初の一歩を踏み出すことに不安を感じたり、途中で壁にぶつかったりした際には、いつでも私たちXIMIXにご相談ください。貴社のデータ分析ジャーニーを、全力でサポートいたします。