はじめに
2026年9月第2週の Google Cloud AI カテゴリは、AI エージェントを「安全に、組織のネットワーク境界の中で動かす」ための機能が一気に揃った週でした。エージェントの通信を仲介する Agent Gateway が VPC Service Controls に対応し、外向き通信を制御するエージェント接続テンプレートも登場しました。AI に実際の操作を任せる Computer Use サンドボックスと Shell サンドボックスは正式提供(GA)となり、Gemini Enterprise の Slack アプリもチャンネルメンションとマルチターン会話に対応しています。コンタクトセンター基盤の Google Cloud CCaaS ではバージョン 6.12 がリリースされ、ルーティングやレポート精度に関する大規模な不具合修正が行われました。あわせて、高度なレポートダッシュボードの次期バージョン(6.4)のプレリリースノートも公開され、リアルタイム監視の項目拡充などが予告されています。
本記事では、2026年9月7日〜9月13日に公式リリースノートで発表された Google Cloud AI カテゴリの22件のアップデートを、読者価値の高い単位に整理した主要トピック16項目として、リリース日順に解説します。各項目には公式ドキュメントと該当日のリリースノートへのリンク、想定ユースケース、業務上のメリットを添えています。
経営層の方は「AI エージェントの活用がセキュリティ統制と両立できる段階に入ってきた」という視点で、IT 担当者の方は「どの機能が GA でどれが Preview か、既存環境にどのような設定・検証が必要か」という視点で読み進めると、導入・運用の判断に役立つはずです。
| 対象期間 |
2026年9月7日〜2026年9月13日 |
| 対象製品 |
Google Cloud |
| 対象カテゴリ |
AI |
| アップデート件数 |
22件(主要トピック16項目として整理して解説) |
今回のアップデート一覧
アップデート詳細
1. Agent Platform Workbench — アップグレード予定のメタデータが検証されるように
Agent Platform Workbench(Google Cloud 上で使えるクラウド型のノートブック環境)で、インスタンスの作成時・更新時に notebook-upgrade-schedule というメタデータキーの値が検証されるようになりました(2026年9月8日)。指定できるのは、1行で書かれた unix-cron 形式(「毎週日曜の午前3時」といった実行スケジュールを数字と記号で表す、Linux で広く使われている書式)のスケジュールのみです。
🔍 何が変わったのか
- 入力値のチェックが追加: インスタンスを作成または更新するタイミングで、アップグレード予定を表すメタデータの値が正しい書式かどうかを検証します
- 許容される書式: 1行の unix-cron 形式のスケジュールである必要があります
- 位置づけ: 公式リリースノートでは不具合修正(FIX)として公開されています。新機能の追加ではなく、設定ミスを防ぐための改善です
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
データ分析チームのノートブック環境を管理している情報システム部門や、分析基盤の運用担当者が対象です。ノートブックの自動アップグレードを「業務時間外に実施する」といった運用ルールでスケジュール設定している環境では、書式を誤ったまま設定が通ってしまうと、意図した時刻に更新が走らない状態に気づきにくくなります。今回の変更により、設定した時点で誤りを検知できます。
✨ 導入メリット
- 設定ミスが作成・更新の時点で判明するため、「更新されていないことに後から気づく」という運用事故を防ぎやすくなります
- スケジュール設定の書式が明確になることで、手順書の整備がしやすくなり、運用の属人化の解消につながります
- 環境を多数運用している組織ほど、設定の一貫性を保ちやすくなります
📚 公式ソース
2. Gemini Enterprise — Google Cloud Marketplace のエージェント検索がセマンティック検索に対応(Preview)
Gemini Enterprise(企業向けの AI アシスタント・エージェントプラットフォーム)で、Google Cloud Marketplace 上のエージェント検索がセマンティック検索に対応しました(2026年9月8日、Preview)。セマンティック検索とは、キーワードの一致ではなく意味の近さで探す検索方式のことです。「レポートを生成する」「テキストを翻訳する」といったようにやりたいことを説明する言葉でエージェントを探せるようになりました。
🔍 何が変わったのか
- 探し方の変化: 従来のようにエージェント名や正確なキーワードを言い当てなくても、機能の内容を説明する言い回しで検索できます
- 公式の例示: リリースノートでは「generate reports(レポートを生成する)」「translate text(テキストを翻訳する)」といった説明的な検索が例として挙げられています
- 提供段階: Preview として提供されています。本番の業務手順に組み込む前に、評価目的での利用が前提となります
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
AI エージェントの導入を検討している情報システム部門や、業務改善の企画を担う部門が対象です。「請求書の内容を読み取ってくれるエージェントはないか」「議事録を要約する仕組みを探したい」といった、解決したい業務課題は明確だが製品名は分からないという状況で、Marketplace 上の選択肢にたどり着きやすくなります。
✨ 導入メリット
- 製品名や専門用語を知らない担当者でも候補を探せるため、AI 活用の検討を現場主導で進めやすくなります
- 候補の洗い出しにかかる時間が短くなり、導入検討のスピードが上がります
- 自社で一から開発するか、既存のエージェントを採用するかの比較検討がしやすくなります
📚 公式ソース
3. Gemini Enterprise Agent Platform — Agent Gateway に「エージェント接続テンプレート」が登場
Agent Gateway(AI エージェントの通信を仲介する窓口)が、エージェント接続テンプレートという仕組みを使って、VPC ネットワーク(Google Cloud 上に構築する自社専用の仮想ネットワーク)への外向き通信(エグレス)を設定・管理できるようになりました(2026年9月8日)。エージェントが外部と通信するときに、どこまでを自社ネットワーク経由にするかを選べます。
🔍 何が変わったのか
- 通信経路をテンプレートで定義: エージェントの外向き通信を VPC ネットワークへ流す設定を、テンプレートとして管理できるようになりました
- 2つのモードを選択可能: エージェントの外向き通信をすべて VPC ネットワークへ流す ALL_TRAFFIC と、特定のプライベート IP アドレス範囲宛ての通信だけを流す PRIVATE_RANGES_ONLY の2つから選べます
- 設定の一元化: 個々のエージェントごとに通信設定を作り込むのではなく、テンプレートとして定義・再利用できます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
AI エージェントを自社で開発・運用しているプラットフォーム部門と、ネットワーク・セキュリティ統制を担う部門が対象です。「エージェントが社内システムの API を参照するときだけ自社ネットワークを経由させ、一般的な外部サービスへの通信はそのままにしたい」という場合は PRIVATE_RANGES_ONLY、「エージェントの通信はすべて自社ネットワークの監視下に置きたい」という場合は ALL_TRAFFIC、といった使い分けができます。
✨ 導入メリット
- エージェントの通信経路を明示的に設計できるため、既存のネットワーク統制ルールと整合させやすくなります
- テンプレートとして再利用できるため、エージェントが増えても設定のばらつきが起きにくく、運用負荷を抑えられます
- 次項で紹介する VPC Service Controls への対応の前提となる設定でもあり、セキュリティ強化の土台になります
📚 公式ソース
4. Google Cloud CCaaS — リアルタイム監視ダッシュボードの表示項目を拡充(プレリリース)
Google Cloud Contact Center as a Service(CCaaS)(マネージド型のコンタクトセンター基盤)で、応対状況をその場で把握するためのリアルタイム系ダッシュボードに複数の列が追加される予定であることが公開されました(2026年9月8日)。監督者(スーパーバイザー)が「いま何が起きているか」を少ない操作で把握できるようにする改善です。この内容は高度なレポートダッシュボード 6.4 の「プレリリースノート」として公開されたもので、現時点では提供前の予告情報です。公式には「これらのアップデートをリリースする際には、ここに示すとおりの機能になる見込み」と注記されています。
🔍 何が変わったのか
| 追加予定の列 |
内容 |
Active Call ID(s) (Real-time Agent Monitoring の Live Agent Data テーブル) |
接続中・接続済み・再接続中のいずれかの状態にある通話の ID を表示します。1人のオペレーターが複数の通話を同時に扱っている場合は、通話 ID がカンマ区切りで並びます。公式リリースノートでは、監督者がライブ監視中に対象の通話を特定するまでの手順数を減らす、と説明されています |
Total Consumer Talk Time / Total Hold Time (Real-time Calls - Calls Connected の Connected Calls テーブル) |
Total Consumer Talk Time は、通話がバーチャルエージェントまたは人のオペレーターに最初につながってからの合計時間です。Total Hold Time は、進行中の保留を含めて、その通話がこれまでに保留となっていた合計時間を示します |
Total Consumer Chat Time (Real-time Chats - Chats Connected の Connected Chats テーブル) |
チャットがバーチャルエージェントまたは人のオペレーターに最初につながってからの合計時間を表示します |
Projecting (Real-time Calls - Calls Queued の Call Queued テーブル) |
ルーティングエンジン(deltacast)が、その待ち呼を対応可能なオペレーターへ割り当てようとしている最中かどうかを示します |
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
コンタクトセンターの現場監督者(スーパーバイザー)と、応対品質の管理を担う部門が対象です。問い合わせが集中している時間帯に「どのオペレーターがどの通話を扱っているのか」を素早く特定したい場面や、「待たせている時間のうち、どれだけが保留によるものか」を把握したい場面で役立ちます。Projecting 列があることで、待ち呼が滞留しているのか、割り当て処理が進んでいるのかを見分けられます。
✨ 導入メリット
- 通話 ID を画面上で直接確認できるため、監督者が対象の通話にたどり着くまでの操作が減り、リアルタイムの支援に入りやすくなります
- 通話時間と保留時間を分けて見られるため、顧客体験の悪化要因を切り分けた改善が可能になります
- チャット側にも同等の指標が追加される予定で、電話とチャットを同じ観点で管理しやすくなります
- 待ち呼の割り当て状況が見えることで、増員や振り分け変更といった意思決定スピードが上がります
📚 公式ソース
5. Google Cloud CCaaS — チーム単位のフィルタが分かりやすく(プレリリース)
CCaaS のダッシュボードで、チームによる絞り込み(フィルタ)の名称と対象が整理される予定であることが公開されました(2026年9月8日)。「オペレーターのチーム」で絞るのか「キューに割り当てられたチーム」で絞るのかが、画面上で区別できるようになります。こちらも高度なレポートダッシュボード 6.4 の「プレリリースノート」として公開された、提供前の予告情報です。
🔍 何が変わったのか
- フィルタ名の変更: Teams フィルタが Agent Teams に改称される予定です。応対を担当しているオペレーターのチームで絞り込むフィルタであることが明確になります。対象は Real-time Queue Monitoring - Calls、Real-time Queue Monitoring - Chats、Real-time Calls - Calls Connected、Real-time Chats - Chats Connected の各ダッシュボードです
- Queue Teams フィルタの追加: Real-time Calls - Calls Queued と Real-time Chats - Chats Queued の各ダッシュボードに Queue Teams フィルタが追加される予定で、キューに割り当てられたチームで待機中の問い合わせを絞り込めるようになります
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
複数の製品・サービス窓口を1つのコンタクトセンターで運営している組織が対象です。「自部門が担当するキューにいま何件の待ち呼があるか」を確認したい管理者は Queue Teams で、「自チームのオペレーターの稼働状況」を見たい監督者は Agent Teams で、それぞれ目的に合った絞り込みができます。
✨ 導入メリット
- フィルタの意味が名称から読み取れるため、誤った条件で集計してしまう事故を減らせます
- 待機中の問い合わせをキュー担当チーム単位で見られるようになり、部門ごとの負荷把握が容易になります
- 操作の習熟に依存しない画面設計になることで、監督者の交代時の引き継ぎがしやすくなります
📚 公式ソース
6. Google Cloud CCaaS — 高度なレポートダッシュボード 6.4 プレリリースノート(集計精度の修正予定)
CCaaS の高度なレポートダッシュボード(Advanced reporting dashboards)について、バージョン 6.4 のプレリリースノート(今後提供予定の内容を事前に知らせるお知らせ)が公開され、集計値の正確性に関わる複数の不具合が修正される予定であることが示されました(2026年9月8日)。以下はいずれも提供前の予告情報です。公式には「これらのアップデートをリリースする際には、ここに示すとおりの機能になる見込み」「高度なレポートダッシュボードの次のバージョンは 6.4 より大きい番号になる可能性がある」と注記されています。
🔍 何が変わったのか
- 平均待ち時間の算出: Queue Performance - Calls ダッシュボードの Queue Summary テーブルで、指定期間に短時間の放棄呼(short abandons)が含まれる場合に、Avg Queue Time 列が平均ではなく待ち時間の単純合計を表示していた問題が修正される予定です
- リアルタイムの待ち呼指標: Real-time Calls - Calls Queued で、自動応答検知の取りこぼしによりキューへ戻された発信者が Total Queued Now に含まれていなかった問題、および最大/平均待ち時間が最初にキューへ入った時点から計測されていた(本来は直近でキューへ戻った時点から計測すべき)問題が修正される予定です
- フィルタの効き方: Agent Performance、Real-time Agent Monitoring、All Interactions – Calls/Chats の各ダッシュボードで Direction フィルタが正しく反映されるようになる予定です。また Call Queue Metrics(Historical)の Explore で、Agent Name を表示列に含めずに絞り込むと0件になる問題も解消される見込みです
- チームフィルタと集計対象: Individual Call History Report と Individual Chat History Report の生成時にチームフィルタが正しく適用されず、管理対象外のキューのデータが混ざっていた問題が修正される予定です
- 表示と多言語対応: タイル間で数値の書式が揃っていなかった問題、言語を切り替えても列見出し・フィルタのラベル・タイトルがすぐに切り替わらなかった問題、ダッシュボード下部に灰色のバーが表示され全体を表示できなかった問題が修正される予定です
- その他: Queue Group Performance - All の Productive Agents 列がキューグループの設定に応じた値を表示していなかった問題、Custom After Hours Deflection により、サブメニュー宛ての通話が音声メッセージへそらされた場合に、All Queued Interactions レポートで親メニューに誤って集計されていた問題も修正対象です
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
コンタクトセンターの KPI 管理を担う運営責任者や、レポートをもとに人員配置を検討する管理部門が対象です。平均待ち時間やキュー別の実績は、増員判断・SLA(サービス品質の約束)評価・外部委託先の評価にも使われる数値です。今回のプレリリースノートでは、これらの指標が定義どおりの計算で表示されるようになる予定であることが示されています。
✨ 導入メリット
- 平均待ち時間やキュー滞留の数値が正確になり、データに基づく意思決定の信頼性が高まります
- フィルタが意図どおりに効くため、レポート作成時の手作業による確認・突き合わせを減らせます
- 多言語環境での表示切り替えが改善され、海外拠点を含む運用でも同じ画面を共有しやすくなります
🤔 判断観点
- 影響範囲: 高度なレポートダッシュボードを日常的に参照している運営部門・管理部門が確認対象です
- 過去データの扱い: 平均待ち時間の算出やフィルタの挙動が変わるため、修正前後で同じ期間の数値が変わる可能性があります。過去の報告値との比較を行う場合は、前提の違いを整理しておくという観点があります
- レポート運用の見直し: 不具合を回避するために手作業の補正を入れていた運用があれば、その手順が不要になっていないかを確認する余地があります
- 先行情報の活用: プレリリースノートは提供前の内容であり、実際のリリース時に内容やバージョン番号が変わる可能性がある点を踏まえて参照するという観点があります
📚 公式ソース
7. Gemini Notebook Enterprise — VPC Service Controls 環境でウェブサイト URL の取り込みが不可に(破壊的変更)
Gemini Notebook Enterprise(資料をもとに要約・質問応答ができるノートブック機能)で、VPC Service Controls を有効にしているプロジェクトでは、ウェブサイトの URL をノートブックの情報ソースとして追加できなくなりました(2026年9月9日、破壊的変更)。VPC Service Controls は、Google Cloud のサービス群の周囲に「境界(ペリメータ)」を設けて、データが外へ出ないように制御する仕組みです。
🔍 何が変わったのか
- 制限の内容: VPC Service Controls が有効なプロジェクトでは、ウェブサイト URL をノートブックのソースとして追加できません
- 理由: ウェブサイトを直接取り込む処理はその場でウェブをクロール(巡回取得)するため、Google のネットワークの外へ出る通信が発生し、VPC Service Controls の境界ポリシーに反することになるためです
- 引き続き利用できるソース: Google ドキュメントや YouTube の URL など、その他のソース種別は VPC Service Controls を有効にしたプロジェクトでもそのまま利用できます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
機密性の高いデータを扱うため VPC Service Controls を適用している金融・医療・公共分野の情報システム部門が対象です。この環境でノートブックを使う場合は、外部のウェブ記事を URL で直接取り込むのではなく、必要な資料を社内のドキュメントとして保存してから読み込ませるといった運用の設計が必要になります。境界の外へ通信を出さないという方針を維持したまま、社内資料を中心としたナレッジ活用を進める形です。
✨ 導入メリット
- 境界の外へ通信が出る操作が仕組みとして遮断されるため、利用者の注意に依存せずデータ保護の方針を徹底できます
- 制限の理由と対象が公式に明示されているため、社内向けの利用ガイドを作りやすくなります
- Google ドキュメントや YouTube URL は引き続き使えるため、統制を効かせたまま AI 活用の範囲を確保できます
🤔 判断観点
- 影響範囲: VPC Service Controls を有効にしているプロジェクトで Gemini Notebook Enterprise を利用している部門が確認対象です
- 既存運用の確認: ウェブサイト URL の取り込みを前提とした手順書・研修資料があれば、記載の見直しが必要になる可能性があります
- 代替手段の整理: 外部情報を扱う必要がある業務では、社内ドキュメント化してから取り込む運用へ切り替えるか、対象プロジェクトの構成を見直すかという選択肢の比較が起点になります
- 利用者への周知: 追加操作が失敗する形で表面化するため、事前の案内により問い合わせ対応の負荷を抑えられるという観点があります
📚 公式ソース
8. Gemini Enterprise Agent Platform — Agent Gateway が VPC Service Controls と複数の Agent Registry に対応
Agent Gateway に、統制と構成の自由度を高める2つの機能が加わりました(2026年9月9日)。1つはVPC Service Controls の境界ルールをエージェントの通信にも適用できるようになったこと、もう1つは1つの Agent Gateway に最大2つの Agent Registry(エージェントの登録簿)を紐づけられるようになったことです。
🔍 何が変わったのか
- エージェント通信への境界適用: Agent Gateway が、エージェント同士のやり取りに対して VPC Service Controls の境界ルールを適用するようになりました。VPC 接続を構成すると、エージェントの通信が自社のプライベートな VPC ネットワークを経由し、組織の境界ルールがエージェントの通信にも適用されます
- 有効化の前提条件: 境界の適用を有効にするには VPC 接続の設定が必須であり、接続テンプレートは ALL_TRAFFIC(すべての外向き通信を VPC 経由にするモード)で構成する必要があります
- 対象となる環境(重要): 公式には、VPC Service Controls への対応は 2026年9月8日より後に作成され、かつエージェント接続テンプレートで VPC 接続を構成した Agent Gateway のデプロイのみが対象と明記されています
- Agent Registry の複数構成: 1つの Agent Gateway インスタンスに対して、グローバルのレジストリ1つと、リージョンまたはマルチリージョンのレジストリ1つの、合計最大2つを関連付けられるようになりました
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
AI エージェントの全社基盤を整備しているプラットフォーム部門と、データ持ち出しリスクを管理するセキュリティ部門が対象です。「社内データを扱うエージェントの通信を、既存の VPC Service Controls の境界内に収めたい」という要件に対応できます。また Agent Registry を2つ構成できることで、全社共通のエージェントはグローバルのレジストリ、地域固有の要件があるエージェントはリージョンのレジストリという使い分けが可能になります。
✨ 導入メリット
- 既存の VPC Service Controls の統制をエージェントにも拡張でき、AI 活用と情報漏えい対策を同じ枠組みで管理できます
- エージェント個別にネットワーク制御を作り込む必要が減り、設計・監査の負担を抑えられます
- グローバルと地域のレジストリを併用でき、全社標準と地域要件の両立がしやすくなります
- 適用条件が公式に明示されているため、既存環境を作り直すべきかどうかの判断がしやすくなります(2026年9月8日より後に作成したデプロイが対象である点にご留意ください)
📚 公式ソース
9. Gemini Enterprise Agent Platform — Priority PayGo が米国・EU のマルチリージョンエンドポイントに対応
Priority PayGo(優先的な処理を従量課金で利用する仕組み)のリクエストを、これまでの global エンドポイントに加えて、us(米国)と eu(欧州)のマルチリージョンエンドポイントへも送信できるようになりました(2026年9月9日)。マルチリージョンエンドポイントとは、特定の地理的範囲の中にある複数のリージョンへ処理を振り分ける接続先のことです。
🔍 何が変わったのか
- 送信先の拡大: Priority PayGo のリクエスト送信先として、us と eu のマルチリージョンエンドポイントが選べるようになりました
- 従来の選択肢も継続: これまでどおり global エンドポイントへ送信することもできます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
データの処理地域に関する社内規程や契約要件を持つ企業の、AI アプリケーション開発チームが対象です。「処理を米国内または欧州内に限定したうえで、優先的な処理を従量課金で利用したい」という要件に対して、エンドポイントの選択で対応できるようになります。グローバル展開している企業が、地域ごとに異なる要件に合わせて構成を分ける場面でも利用できます。
✨ 導入メリット
- 地理的な範囲を指定して利用できるため、データの所在地に関する社内規程と整合させやすくなります
- 優先的な処理を要件の異なる地域でも使えるようになり、AI 活用の適用範囲が広がります
- global との使い分けにより、業務の重要度に応じた構成を選べます
📚 公式ソース
10. Gemini Enterprise Agent Platform — Computer Use と Shell のサンドボックスが GA
Gemini Enterprise Agent Platform の Computer Use(AI がパソコンの画面を操作するように処理を進める機能)と Shell サンドボックスが、正式提供(GA)となりました(2026年9月9日)。サンドボックスとは、外部から持ち込んだプログラムを隔離された安全な区画で実行するための仕組みです。今回の GA にあわせて、企業利用に必要なセキュリティ機能と運用機能も追加されています。
🔍 何が変わったのか
- Shell サンドボックス: 信頼できないシェルコマンドの実行、パッケージのインストール、ファイルの操作を、隔離された Linux コンテナの中で行えます。API を直接呼び出す形で実行します
- VPC Service Controls と Private Service Connect への対応: サンドボックスのデータを VPC Service Controls で保護し、プライベートな受信用エンドポイント(PSC-E)とプライベートな送信経路(PSC-I)によりネットワークの境界を分離できます
- 顧客管理の暗号鍵(CMEK)への対応: Cloud KMS(Google Cloud の鍵管理サービス)の鍵を使って、ディスク上のデータやスナップショットのチェックポイントを含む保存データを保護できます
- 一時停止と再開: 使っていないサンドボックスの計算リソースを切り離しつつ、ファイルシステムの状態と接続の識別情報は保持し、数秒で再開できます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
AI エージェントに実作業を任せる仕組みを開発している開発部門・データ活用部門が対象です。AI が生成したコードをその場で実行して結果を確かめる、ファイルを加工する、必要なライブラリを導入する、といった処理を本番環境から隔離された区画で行えます。一時停止と再開に対応したことで、検証作業を中断しても環境を作り直す必要がなく、そのまま続きから再開できます。
✨ 導入メリット
- GA として提供されるため、本番の業務システムへ組み込む判断がしやすくなります
- 信頼できないコードの実行を隔離環境に閉じ込められるため、AI に作業を任せる範囲を広げつつリスクを抑えられます
- VPC Service Controls・Private Service Connect・CMEK に対応したことで、既存のセキュリティ要件を満たした形で導入しやすくなります
- アイドル時にリソースを切り離せるため、コスト最適化と作業の継続性を両立できます
📚 公式ソース
11. Gemini Enterprise — Slack アプリがチャンネルメンションとマルチターン会話に対応(GA)
Gemini Enterprise の Slack 向けアプリに、2つの機能が追加され正式提供(GA)となりました(2026年9月10日)。Slack のチャンネルやスレッドの中で AI アシスタントを直接呼び出せるチャンネルメンションと、やり取りの流れを踏まえて会話を続けられるマルチターン会話です。
🔍 何が変わったのか
- チャンネルメンション: Slack のチャンネルや会話スレッドの中で、Gemini Enterprise アプリを直接メンションして呼び出せるようになりました。アプリの回答は本人にだけ表示される形で返されるため、内容を確認したうえで共有するかどうかを選べます
- マルチターン会話: ダイレクトメッセージでのやり取りにおいて、アプリが現在のセッションの文脈を記憶します。追加の質問をしたり、前の回答を修正させたりできます。文脈を消してやり直したい場合は「New chat」をクリックします
- 利用開始に必要な作業(重要): これらの機能を有効にするには、Slack の管理者がアプリを再インストールする必要があります。再インストール後、利用者が Slack コネクタを認可する必要もあります
- 再インストールしない場合: 再インストールと再認可を行わない場合、その Slack ワークスペースは従来の(レガシーの)動作のままとなります
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
Slack を社内コミュニケーションの中心に据えている組織の、各部門の業務担当者が対象です。プロジェクトのチャンネルで議論している最中に「この仕様について社内資料ではどうなっているか」をその場で確認する、といった使い方ができます。回答が本人にだけ表示されるため、内容を確かめてからチャンネルへ共有するという運用が自然に行えます。ダイレクトメッセージでは、一度の質問で終わらせず、条件を足しながら回答を詰めていくことができます。
✨ 導入メリット
- 普段使っているチャットツールから離れずに社内情報を確認でき、ツールの切り替えによる作業の中断を減らせます
- 回答が非公開で返るため、内容を精査せずにチャンネルへ流れてしまう事態を避けられます
- 会話の文脈が保持されるため、質問のたびに前提を書き直す手間がなくなり、業務効率化につながります
- GA として提供されるため、全社的な利用の対象として位置づけやすくなります(管理者の再インストールと利用者の認可が前提となる点にご留意ください)
📚 公式ソース
12. Gemini Enterprise — 従量課金エディションと AI 開発者ツールが請求書払いアカウント全体で利用可能に
Gemini Enterprise の Pay-as-you-go(従量課金)エディションへの申し込みと、AI 開発者ツールの利用が、請求書払い(invoiced)の Cloud Billing アカウントに紐づくすべてのプロジェクトで可能になりました(2026年9月10日)。従来は、特定の件名のメール(「[Billing Update] New Gemini Enterprise overage billing controls launching Aug 17, 2026」)を受け取った顧客だけが AI 開発者ツールを利用できましたが、この制限は撤廃されました。
🔍 何が変わったのか
- 対象の拡大: 請求書払いの Cloud Billing アカウントに紐づくプロジェクトであれば、従量課金エディションへの申し込みと AI 開発者ツールの利用ができます
- 従来の制限の撤廃: 案内メールを受け取った顧客に限定されていた利用条件が適用されなくなりました
- エディションの比較: どのエディションで何が使えるかは、公式のエディション比較ドキュメントで確認できます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
これから Gemini Enterprise の導入を検討している情報システム部門や、AI 開発者ツールを評価したい開発部門が対象です。年間契約のプランを結ぶ前に、まず従量課金で小さく試してから範囲を広げるという進め方が取りやすくなります。請求書払いの契約形態であれば、案内メールの有無にかかわらず検討を始められます。
✨ 導入メリット
- 利用開始の条件が明確になり、導入検討のスタートラインに立ちやすくなります
- 従量課金で始められるため、初期の投資判断のリスクを抑えて効果を検証できます
- 案内メールの受領有無による差がなくなり、社内での説明や稟議の前提が整理しやすくなります
📚 公式ソース
13. Google Cloud CCaaS — エージェントデスクトップにネットワーク診断ツールと Apps メニューを追加
CCaaS のエージェントデスクトップ(オペレーターが応対に使う操作画面)に、2つの使い勝手の改善が入りました(2026年9月11日)。回線状態を自分で確認できるネットワーク診断ツールと、管理画面からデスクトップを開ける Apps メニューです。
🔍 何が変わったのか
- ネットワーク診断ツール: エージェントデスクトップのナビゲーションメニューに追加され、ネットワークの強度と診断情報を表示します。回線の健全性を素早く確認し、接続の不具合を切り分ける手掛かりになります
- Apps メニューからの起動: CCaaS ポータルで Apps から Agent Desktop を選ぶと、エージェントデスクトップが新しいブラウザタブで開きます。ポータルのセッションを終了せずに、ポータルとデスクトップの間を行き来できます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
在宅勤務を含むハイブリッド勤務でコンタクトセンターを運営している組織や、応対品質の問い合わせ対応を担うヘルプデスクが対象です。「音声が途切れる」という申告があったときに、オペレーター自身が診断ツールで回線状態を確認できるため、端末側の問題かサービス側の問題かの切り分けが早くなります。また管理者や監督者は、ポータルでの設定作業と実際のデスクトップの確認を、ログインし直すことなく並行して行えます。
✨ 導入メリット
- 回線状況を現場で確認できるため、問い合わせの一次切り分けにかかる時間を短縮できます
- 在宅環境ごとの通信品質の差を把握しやすくなり、対応方針を個別に検討できます
- ポータルとデスクトップの往復でセッションが切れないため、管理者・監督者の作業効率が上がります
📚 公式ソース
14. Google Cloud CCaaS — HubSpot 連携で電話番号ごとの Do Not Call 設定が可能に
CCaaS の HubSpot(顧客管理・マーケティング支援の SaaS)連携で、Do Not Call(電話をかけないでほしいという意思表示)の設定を、コンタクトや会社のレコード全体ではなく特定の電話番号単位で構成できるようになりました(2026年9月11日)。あわせて、オプトアウトの照合が大文字・小文字を区別しなくなりました。
🔍 何が変わったのか
- 設定の粒度が細かく: レコード全体ではなく、電話番号ごとに Do Not Call を設定できます
- 照合条件の緩和: オプトアウトの照合が大文字・小文字の違いに影響されなくなりました
- 管理者向けの設定場所: Settings から Developer Settings を開き、HubSpot を選択した状態の CRM ペインに、Do Not Call Configuration セクションが新設されました
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
アウトバウンド(発信)の営業活動やフォローコールを行っている営業部門と、個人情報・同意管理を担うコンプライアンス部門が対象です。たとえば「会社の代表番号への連絡は問題ないが、担当者の携帯電話への連絡は控えてほしい」といった顧客の意向を、番号単位で正確に反映できるようになります。
✨ 導入メリット
- 顧客の意向を細かい粒度で反映できるため、コンプライアンス対応の精度が高まります
- レコード全体を対象にする必要がなくなり、必要な連絡までできなくなるという機会損失を避けやすくなります
- 大文字・小文字の違いによる照合漏れがなくなり、設定の取りこぼしを減らせます
- 管理画面に専用の設定セクションが用意され、設定内容の可視化と引き継ぎがしやすくなります
📚 公式ソース
15. Google Cloud CCaaS — コールド転送で通話が自動的に再開されるように
CCaaS で、オペレーターがコールド転送(相手に事前説明をせずにそのまま取り次ぐ転送方式)を行ったとき、受け手のオペレーターが応答した瞬間に通話が再開されるようになりました(2026年9月11日)。受け手が保留を手動で解除する操作は不要になります。
🔍 何が変わったのか
- 自動での通話再開: 転送先のオペレーターが通話に応答した時点で、通話が自動的に再開されます
- 手動操作の削減: 受け手のオペレーターが、顧客を保留から手動で戻す必要がなくなりました
- 無音時間の解消: 従来はオペレーターが応答してから保留を解除するまでの間に無音が発生していましたが、これが解消されます
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
一次受付から専門窓口へ取り次ぐ運用を行っているコンタクトセンター全般が対象です。「担当におつなぎします」と伝えた後の数秒間、顧客側に無音が続くと、切れてしまったのではないかという不安を与えがちです。この待ち時間がなくなることで、取り次ぎ時の顧客体験が改善します。
✨ 導入メリット
- 転送時の無音がなくなり、顧客の不安や誤った切断を減らせます
- 受け手のオペレーターの操作が1つ減るため、応対に集中しやすくなり、教育すべき操作手順も簡素になります
- 取り次ぎ全体の所要時間が短くなり、応対の生産性向上につながります
📚 公式ソース
16. Google Cloud CCaaS 6.12 をリリース — ルーティング・レポート・連携の広範な修正
Google Cloud CCaaS のバージョン 6.12 がリリースされました(2026年9月11日)。今回は非常に多数の不具合修正を含むリリースで、通話の振り分け(ルーティング)、キャパシティ制御、レポートの集計精度、エージェントデスクトップの表示、外部サービス連携、監査ログ、アクセシビリティなど、広い範囲に及んでいます。インスタンスへの適用タイミングは、選択しているデプロイスケジュールによって異なります。
🔍 何が変わったのか
- ルーティング・キャパシティ関連: 通話量の急増時にチームのキャパシティ保護が回避され、対応可能なオペレーター数が設定した下限を下回っていた問題が修正されました。また、1分未満の推定待ち時間がゼロに切り捨てられ、混雑時に発動する各種の制御動作(over-capacity actions)が正しく作動しなかった問題、主要キューが最低稼働数を下回っていてもオペレーターに副次キューの通話が割り当てられていた問題も解消されています
- 混雑時の迂回・ボイスメール: オペレーター個人あての直通通話(direct agent calls)で混雑時の電話迂回が作動せず、エラー表示や発信者の無期限の待機が発生していた問題、混雑時の振り替え中にボイスメールが保存されなかった問題、バーチャルエージェントからのエスカレーションがボイスメールへ迂回された際に着信通話の録音が外部ストレージへ書き出されなかった問題が修正されました
- レポート精度: 完了した転送がキュー滞留の記録を二重に生成し、キュー件数と SLA 指標が過大に表示されていた問題、手動の後処理(ラップアップ)が無関係な直近の通話に紐づけられていた問題、作業時間と待機時間が重複して計上されていた問題、キャンセルされたエスカレーションで待ち時間がマイナスとして記録されていた問題が修正されています
- エージェントデスクトップ: 通話終了後に必須の処理結果(ディスポジション)入力が求められなかった問題、感情分析のバナーが通話開始時にすぐ表示されなかった問題、チャット割り当て時に会話履歴ではなく読み込み表示が出ていた問題、ボイスメールの巻き戻し・早送りが先頭に戻ってしまう問題、カスタムデータの入れ子構造がオブジェクト表記のまま表示されていた問題などが修正されました
- 外部連携・基盤: Vonage の BYOC 通話で Agent Assist のリアルタイム文字起こしが開始されなかった問題、Twilio の ICE トークン取得時の一時的なエラーで通話接続が失敗・遅延していた問題、IMAP 接続の断続的な拒否によりメール取得が長時間停止していた問題、非効率なデータベース問い合わせによる高 CPU 使用率と全チャネルの性能低下が修正されています
- 管理・監査・アクセシビリティ: API クライアントやバックグラウンド処理などブラウザ経由以外の変更が監査ログに記録されなかった問題、キューの作成・更新がタイムアウトする問題、チャットウィジェットの操作できないテキストにキーボードフォーカスが当たり、キーボード操作やスクリーンリーダーの利用を妨げていた問題が修正されました
💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)
CCaaS を運用しているコンタクトセンター全般が対象です。とくに、繁忙期の入電集中でキャパシティ保護を効かせている運用、転送を多用する運用、SLA の達成率を経営指標として報告している運用では、今回の修正が日々の数値と体験に直接影響します。Vonage の BYOC(自社調達回線の持ち込み)や Twilio、HubSpot などの外部サービスと連携している環境も関連が深い内容です。
✨ 導入メリット
- キュー滞留の二重計上や待ち時間の誤計算が解消され、SLA 指標の信頼性が高まります
- キャパシティ保護が想定どおり作動することで、繁忙時の応対品質の低下を抑えられます
- ブラウザ以外からの変更も監査ログに記録されるようになり、内部統制・監査対応の観点で説明しやすくなります
- チャットウィジェットのキーボード操作が改善され、アクセシビリティ要件への対応が進みます
🤔 判断観点
- 緊急性: 今回の公開情報では、修正の中心は動作の不具合と集計精度です。緊急度の判断は、自社で該当する事象が発生していたかどうかを起点に整理するという観点があります
- 影響範囲: コンタクトセンターの運営部門、レポートを利用する管理部門、外部サービス連携を担う情報システム部門が確認対象です
- レポートの連続性: キュー滞留の二重計上や待ち時間の計算が修正されるため、修正前後で同じ期間の指標が変わる可能性があります。月次・四半期の報告と適用時期の関係を整理しておく余地があります
- 検証推奨事項: 転送・ボイスメール・混雑時の迂回といった、修正対象に該当する動作を実機で確認する進め方が考えられます
- ロールアウト戦略: 適用時期は選択中のデプロイスケジュールに依存します。公式のスケジュール情報を確認し、繁忙期を避けた確認計画を立てるという観点があります
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まとめ
2026年9月7日〜9月13日の AI カテゴリを振り返ると、最大のテーマは「AI エージェントをネットワークとセキュリティの統制下に置く」ことでした。Agent Gateway はエージェント接続テンプレートで外向き通信の経路を選べるようになり、VPC Service Controls の境界ルールをエージェントの通信にも適用できるようになりました。さらに Computer Use と Shell のサンドボックスが GA となり、VPC Service Controls・Private Service Connect・CMEK への対応も揃っています。AI に実作業を任せる構想を、既存のセキュリティ要件を満たした形で検討できる段階に入ってきたといえます。
一方で、統制を強めたことによる制約も明確になりました。Gemini Notebook Enterprise では、VPC Service Controls 有効環境でウェブサイト URL をソースとして追加できなくなりました(Google ドキュメントや YouTube URL は引き続き利用可能)。また Agent Gateway の VPC Service Controls 対応は2026年9月8日より後に作成されたデプロイのみが対象と明記されています。「制約と適用条件をあらかじめ把握したうえで構成を設計する」ことが、これまで以上に重要になっています。
利用者に近い領域では、Gemini Enterprise の Slack アプリがチャンネルメンションとマルチターン会話に対応して GA となり、普段のチャットの中で社内情報を確認する体験が実用段階に入りました。ただし管理者による再インストールと利用者の認可を行わないと従来の動作のままとなる点は、展開計画に織り込む必要があります。導入のハードル面では、従量課金エディションと AI 開発者ツールが請求書払いアカウント全体で利用可能になり、小さく試して広げる進め方が取りやすくなりました。
コンタクトセンター領域では Google Cloud CCaaS 6.12 が大きな節目です。コールド転送の自動再開によって取り次ぎ時の無音が解消され、キュー滞留の二重計上をはじめとするレポート精度やルーティングの修正が多数含まれているため、IT 担当者の方は適用スケジュールの確認と、指標の連続性への影響整理が当面の実務課題になります。あわせて、高度なレポートダッシュボードのプレリリースノート(6.4)では、リアルタイム監視の項目拡充やチームフィルタの整理が予告されました。こちらは提供前の情報であり、提供時期やバージョン番号は変わる可能性があります。経営の視点では、AI エージェントの活用範囲をセキュリティ統制と照らしながらどこまで広げるかを、具体的な構成条件まで踏まえて判断できる材料が揃った週といえるでしょう。
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