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Google Cloud アップデート情報 | AI (2026年6月29日〜2026年7月5日)

作成者: XIMIX Google Cloud チーム|2026.07.13

はじめに

Google Cloud の AI 関連サービスは、2026年6月末から7月初旬にかけても着実に進化を続けています。今回は Gemini Enterprise の外部データ連携(HubSpot・Jira・SharePoint など)の一般提供(GA)拡大や、インド・シンガポールリージョン対応、AI エージェントを統制する Semantic Governance Policies、そして Model Garden への Claude Sonnet 5 追加などが中心となりました。

本記事では、2026年6月29日〜7月5日に発表された Google Cloud AI カテゴリの主要トピックを、リリース日順に解説します。Gemini Enterprise のデータストア GA・リージョン拡大、Gemini Enterprise Agent Platform のガバナンス・モデル・スループット機能、Agent Platform Workbench の実行環境更新、コンタクトセンター(CCaaS)のパネル置き換え・機能追加、MCP サーバーのアクセス制御まで取り上げています。

経営層の方は「社内の情報資産とAIエージェントを、安全かつ統制された形で結び付ける土台が広がっている」という視点で、IT 担当者の方は「どの機能が GA になり、どの変更に対応が必要か」という視点で読み進めると、導入・運用判断に役立つはずです。

対象期間 2026年6月29日〜2026年7月5日
対象製品 Google Cloud
対象カテゴリ AI
アップデート件数 10件(主要トピック)

今回のアップデート一覧

アップデート詳細

1. Gemini Enterprise — HubSpot・Jira Data Center データストアが GA、SharePoint/OneDrive のアクション絞り込みが Preview

Gemini Enterprise(企業向け AI アシスタント・エージェントプラットフォーム)で、外部システムを横断的に検索するための フェデレーションデータストア(federated data store)が拡充されました(2026年6月29日)。HubSpot(CRM/マーケティングツール)と Jira Data Center(自社管理型の課題管理ツール)のデータストアが一般提供(GA)になり、あわせて Microsoft SharePoint・OneDrive では、参照・操作できる範囲を絞り込む機能が Public Preview として追加されました。

🔍 何が変わったのか

  • HubSpot フェデレーションデータストア(GA): HubSpot のデータを Gemini Enterprise から横断検索できるように
  • Jira Data Center フェデレーションデータストア(GA): 自社管理型 Jira のデータを対象に追加
  • SharePoint・OneDrive のアクション絞り込み(Public Preview): 設定したフィルタが検索クエリとアクション実行の両方に適用され、アクセス可能な SharePoint サイト・OneDrive パスを指定できる。範囲外のデータへの取得・変更(mutation)は失敗するか結果を返さない

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

営業やマーケティングの顧客情報を HubSpot で、開発案件の課題管理を Jira Data Center で管理している企業が対象です。これらを Gemini Enterprise に接続することで、担当者が自然言語で顧客情報や案件状況を横断的に検索できます。SharePoint・OneDrive では、部門ごとにアクセス範囲を絞り込むことで、必要な情報だけを AI が扱う運用が可能になります。

✨ 導入メリット

  • 複数の業務システムに散在する情報を横断検索でき、情報を探す手間と属人化の解消につながります
  • アクセス範囲をフィルタで制御でき、セキュリティ強化と統制されたデータ活用を両立しやすくなります
  • 自社管理型のツール(Jira Data Center 等)も AI 活用の対象に加えられ、データ活用の選択肢が広がります

📚 公式ソース

2. Gemini Enterprise Agent Platform — Memory Bank の既定モデルが Gemini 3.5 Flash に

Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI。ML/生成 AI の統合基盤)の Memory Bank(AI エージェントが会話の記憶を保持・生成する仕組み)で、記憶生成に使われる既定モデルが Gemini 2.5 Flash から Gemini 3.5 Flash に更新されました(2026年6月29日)。

🔍 何が変わったのか

  • Memory Bank の記憶生成に使用される既定モデルが Gemini 3.5 Flash に変更

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

会話の文脈や過去のやり取りを踏まえて応答する AI エージェントを構築・運用する開発者・運用担当者が対象です。既定モデルが新しい世代に更新されることで、記憶生成の処理を最新モデルの特性のもとで利用できます。

✨ 導入メリット

  • 既定モデルが更新され、Memory Bank の記憶生成を最新世代のモデルで利用できます
  • 設定を意識せずに新しい既定モデルを利用でき、運用負荷を抑えられます

📚 公式ソース

3. Gemini Enterprise Agent Platform — Semantic Governance Policies が Preview

Gemini Enterprise Agent Platform で、AI エージェントの動作をルールに基づいて統制する Semantic Governance Policies(SGP、セマンティック ガバナンス ポリシー) と SGP エンジンが Preview として登場しました(2026年6月29日)。SGP は、AI エージェントが実行しようとするツール呼び出し(tool call)を、ユーザーの意図と組織のビジネスルールに照らして実行時(ランタイム)に評価する、セキュリティとコンプライアンスの制御層です。

🔍 何が変わったのか

  • 自然言語による制約(Natural Language Constraints): コードを書いたりアプリを再デプロイしたりせず、平易な英語でビジネスルールやセキュリティ ガードレールを記述できる
  • 意図に基づくゲーティング(Layered Intent Gating): エージェントのツール呼び出しを実行時に検査し、信頼できるユーザー意図との整合を確認して、不正なアクションやデータ持ち出しを防ぐ
  • きめ細かなスコープ設定(Granular Scoping): エージェントの全ツールへ横断適用する、または特定のツール・パラメータを対象に制約できる(例: 金額上限や地理的制限の強制)
  • Agent Skills のライフサイクル統制: セッション中に動的に読み込まれる Agent Skills(ツールパッケージ)を統制し、コンテキスト汚染やサプライチェーン攻撃からエージェントを保護
  • ドライランモード(Dry Run Mode): 実トラフィックに適用する前に、Log Explorer でポリシーの判定結果を確認・観察できる

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

業務に AI エージェントを本格導入するセキュリティ担当者・ガバナンス責任者が対象です。たとえば「一定金額を超える処理は許可しない」「特定の地域以外への操作を制限する」といったルールを自然言語で定義し、エージェントの実行時に自動でチェックできます。まずドライランモードで判定結果を確認してから本適用する、といった段階的な導入も可能です。

✨ 導入メリット

  • ビジネスルールを自然言語で記述でき、専門的なコーディングなしでガバナンスを整備しやすくなります
  • 実行時にツール呼び出しを検査でき、不正操作やデータ持ち出しの防止によるセキュリティ強化につながります
  • ドライランで事前に影響を確認でき、統制導入に伴うリスクを抑えられます

📚 公式ソース

4. Gemini Enterprise Agent Platform — Provisioned Throughput のメール通知が GA

Gemini Enterprise Agent PlatformProvisioned Throughput(処理能力をあらかじめ確保する仕組み)で、関連イベントの メール通知を受け取る機能が一般提供(GA)になりました(2026年6月29日)。

🔍 何が変わったのか

  • Provisioned Throughput のイベントに関するメール通知が一般提供(GA)として利用可能に

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

生成 AI ワークロードで安定した処理能力を確保したい IT 担当者・運用チームが対象です。Provisioned Throughput に関するイベントをメールで受け取ることで、状況の把握を運用フローに組み込めます。

✨ 導入メリット

  • イベントをメールで受け取れ、運用状況の把握と対応を進めやすくなります
  • 通知を仕組みとして取り込むことで、確認漏れを抑え、安定運用に寄与します

📚 公式ソース

5. Agent Platform Workbench — Python 3.12 ベースコンテナに対応

Agent Platform Workbench(マネージドな開発・分析用ノートブック環境)のカスタムコンテナで、既定の Python 3.10 ベースコンテナに加えて Python 3.12 ベースコンテナを利用できるようになりました(2026年6月30日)。標準版とスリム版の Python 3.12 ベースコンテナが提供されています。

🔍 何が変わったのか

  • Agent Platform Workbench インスタンス向けのカスタムコンテナで Python 3.12 ベースコンテナを選択可能に(標準版・スリム版)
  • 従来どおり Python 3.10 ベースコンテナも引き続き利用可能

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

Agent Platform Workbench で分析やモデル開発を行うデータサイエンティスト・開発者が対象です。新しい Python バージョンを前提とするライブラリを利用する際に、Python 3.12 ベースのカスタムコンテナを構築して開発環境を整えられます。

✨ 導入メリット

  • より新しい Python バージョンで開発環境を構築でき、対応ライブラリの選択肢が広がります
  • 既定の Python 3.10 も併存するため、既存環境を維持しつつ段階的に移行できます

📚 公式ソース

6. Gemini Enterprise — インド・シンガポールリージョンに対応(GA with allowlist)、SharePoint フィルタが GA

Gemini Enterpriseインド(IN)および シンガポール(SG)リージョンで利用できるようになりました(2026年6月30日、allowlist 付き GA)。これらのリージョンでは、保存データのデータレジデンシー(DRZ)と機械学習処理(MLP)をリージョン内で完結できます。あわせて、Microsoft SharePoint フェデレーションデータストアのフィルタ機能が一般提供(GA)になりました。

🔍 何が変わったのか

  • インド・シンガポールリージョン対応(GA with allowlist): リージョン内での保存データのデータレジデンシー(DRZ)と機械学習処理(MLP)に対応。これらのリージョンでは最新の Gemini 3.5 Flash モデルもリージョン内 DRZ・MLP で利用可能
  • 利用には制限事項があり、Gemini Enterprise または NotebookLM Enterprise でこれらのリージョンを利用するには、Google の担当チームへの連絡が必要(allowlist 方式)
  • SharePoint フィルタ(GA): Microsoft SharePoint フェデレーションデータストアのフィルタが一般提供に

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

データの保存場所や処理場所を特定の国・地域内に限定したいというデータレジデンシー要件を持つ企業(インド・シンガポールで事業を展開する企業や、現地の規制に対応する必要がある企業)が対象です。これらのリージョンで Gemini Enterprise を利用することで、データの所在をリージョン内に保ちながら AI 活用を進められます。

✨ 導入メリット

  • 保存データと機械学習処理をリージョン内に保てるため、地域のデータレジデンシー要件に対応しやすくなります
  • 利用可能リージョンが広がり、対象地域での AI 活用の選択肢が増えます
  • SharePoint フィルタの GA により、社内文書のアクセス範囲を安定的に制御できます

📚 公式ソース

7. Gemini Enterprise Agent Platform — Model Garden に Claude Sonnet 5 が登場

Gemini Enterprise Agent PlatformModel Garden(利用可能な AI モデルを提供するライブラリ)で、Anthropic の Claude Sonnet 5 が利用できるようになりました(2026年6月30日)。

🔍 何が変わったのか

  • Model Garden に Anthropic の Claude Sonnet 5 が追加

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

用途に応じて複数の AI モデルを比較・使い分けたい開発者・データサイエンティストが対象です。Model Garden から Claude Sonnet 5 を選び、自社のアプリケーションやエージェントに組み込んで検証・活用できます。

✨ 導入メリット

  • Google 製モデルに加えてパートナーモデルの選択肢が広がり、用途に応じたモデル選定がしやすくなります
  • 同一基盤上で複数モデルを扱えるため、比較検証や使い分けを進めやすくなります

📚 公式ソース

8. Gemini Enterprise Agent Platform — Provisioned Throughput で複数の保留中新規注文が 一般提供(GA)になりました

Gemini Enterprise Agent PlatformProvisioned Throughput で、複数の保留中(pending)注文を同時に送信できる機能が一般提供(GA)になりました(2026年7月1日)。同一モデル・同一リージョンに対して、最大 7 件の Google モデル注文を送信できます。

🔍 何が変わったのか

  • 同一モデル・同一リージョンに対し、最大 7 件の Google モデル注文を保留中として送信できるように

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

生成 AI ワークロードのために処理能力を計画的に確保したい IT 担当者・運用チームが対象です。需要の増加や複数のタイミングでの確保に備えて、同一モデル・同一リージョンへ複数の注文をまとめて手配できます。

✨ 導入メリット

  • 複数注文をまとめて送信でき、需要変動に合わせたリソース計画を柔軟に進められます
  • 計画的な処理能力の確保により、コスト最適化と安定稼働の両立を図りやすくなります

📚 公式ソース

9. Google Cloud CCaaS — Knowledge Assist パネルを Agent Assist Hub パネルへ置き換え、バージョン 4.45 と機能追加・不具合修正

Google Cloud Contact Center as a Service(CCaaS)では、Agent Desktop(エージェント向け画面)の Knowledge Assist パネルが、新しい Agent Assist Hub パネルへ置き換えられることが告知されました(2026年6月30日アナウンス)。あわせて、バージョン 4.45 のリリース、HubSpot 連携での発信拒否(DNC)対応、切断後のキュー復帰、複数の不具合修正が行われました(2026年7月1日)。

✨ 使えるようになる機能

  • Agent Assist Hub パネル: 従来の Knowledge Assist パネルを置き換える新パネル。内部に Knowledge Assist モジュールを含み、従来パネルの機能を 1:1 で置き換える
  • HubSpot での発信拒否(Do Not Call)対応: DNC 登録番号への発信時に「This number is on the Do Not Call list」を発信アダプターに表示。エージェントは必要に応じて発信を続行でき、続行した場合は CRM にコメントが記録される(非キャンペーンのアウトバウンド通話が対象)
  • 切断後のキュー復帰: 切断された発信者に、キューの先頭へ戻る選択肢を提供できる(IVR 通話のみが対象、キュー内のバーチャルエージェントはスキップ)
  • バージョン 4.45 のリリース: インスタンスへの適用タイミングは選択したデプロイスケジュールに依存

⚠️ 使えなくなる機能 / 変更点

  • Agent Desktop の Knowledge Assist パネルは Agent Assist Hub パネルへ置き換えられます。実施時期は 2026 年 Q3 序盤(7 月中旬〜下旬ごろ)が見込まれています
  • 置き換えの瞬間にコンタクトセンターにサインインしているエージェントは、新しい Knowledge Assist モジュールが一時的に動作しなくなります。一度サインアウトして再度サインインすると動作するようになります(更新後にサインインするエージェントはこの影響を受けません)
  • インスタンスは自動更新され、設定変更は不要です。ただしモジュールが動作しない場合に備え、エージェントへの再サインインの案内が必要です(Critical デプロイ構成で営業時間外に更新される場合、エージェントの対応は不要)
  • 不具合修正: 未完了キャンペーンが後続キャンペーンの開始を妨げる問題、ウォーム転送時のボイスメール接続不良、ゴーストアサインメント、コールディスポジションパネルの読み込み失敗、ストリーミング接続エラー、HubSpot 発信での重複連絡先作成、ACW(通話後処理)時間の集計誤り、Start Call ボタン非表示など、複数を修正

🤔 判断観点

  • 影響範囲: Agent Desktop で Knowledge Assist パネルを利用しているコンタクトセンター。利用していない場合、パネル置き換えの告知は影響しません
  • 緊急性: 置き換えはインスタンスの自動更新として実施される予定で、設定作業自体は不要とされています。一方で更新直後のエージェント再サインインが必要になり得るため、周知の準備が検討対象となります
  • 検証推奨事項: 更新後に Agent Assist Hub パネル内の Knowledge Assist モジュールが想定どおり動作するか、また 4.45 の機能追加が既存の運用フローと整合するかの確認が考えられます
  • ロールアウト戦略: 実施時期(Q3 序盤の見込み)とデプロイスケジュールを踏まえ、営業時間や繁忙時間帯を避けた周知・確認の段取りが検討対象となります
  • リスクと対応案: 更新の瞬間にサインイン中のエージェントでモジュールが停止した場合は、サインアウト・再サインインで復旧する旨をあらかじめ現場に共有しておくことが考えられます

📚 公式ソース

10. Google Cloud MCP servers — IAM で tool.name 単位のアクセス制御が可能に

Google Cloud MCP servers(Model Context Protocol サーバー。AI エージェントに外部ツールを接続する仕組み)で、tool.name 属性を使って特定の MCP ツールへのアクセスを制御できるようになりました(2026年7月2日)。Identity and Access Management(IAM)の許可(allow)・拒否(deny)ポリシー内で指定します。

🔍 何が変わったのか

  • IAM の許可・拒否ポリシーで tool.name 属性を用いて、特定の MCP ツール単位でアクセスを制御可能に

💼 こんな場面で活用できます(ユースケース)

AI エージェントに接続する MCP ツールを統制したいセキュリティ担当者・プラットフォーム管理者が対象です。ツール単位で許可・拒否を設定することで、利用者や用途に応じて使えるツールの範囲を細かく制御できます。

✨ 導入メリット

  • MCP ツール単位でアクセスを制御でき、最小権限の考え方に沿ったセキュリティ強化につながります
  • 既存の IAM ポリシーの枠組みで制御でき、統制を一元的に管理しやすくなります

📚 公式ソース

まとめ

2026年6月29日〜7月5日の AI カテゴリは、社内の情報資産と AI エージェントを安全に結び付ける動きが大きなテーマでした。Gemini Enterprise では HubSpot・Jira Data Center データストアの GA やインド・シンガポールリージョン対応が進み、SharePoint/OneDrive のアクセス絞り込みや Semantic Governance Policies、MCP の IAM 制御といった「統制」を支える機能が相次いで登場しています。

IT 担当者の視点では、CCaaS の Knowledge Assist パネルが Agent Assist Hub パネルへ置き換わる点(更新直後のエージェント再サインイン運用)が確認のポイントです。経営の視点では、リージョン拡大によるデータレジデンシー対応や、Claude Sonnet 5 を含むモデルの選択肢拡大が、AI 活用を前進させる材料となります。自組織の AI 活用方針とデータガバナンス要件に照らし、これらの機能の評価や変更対応の検討を進めていただくとよいでしょう。

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