Google Cloud の AI 関連サービスは、2026年5月下旬も目まぐるしく進化しています。既存機能の一般提供開始(GA)から新モデルの追加、そして重要なサービス廃止予告まで、AI 活用を検討・推進している企業が押さえておくべきアップデートが多数発表されました。
本記事では、2026年5月24日〜31日に発表された Google Cloud AI カテゴリのアップデート12件を解説します。Gemini Enterprise の機能強化・廃止、Vertex AI における新しい AI モデルの追加、Document AI の機能強化など幅広いトピックを取り上げています。
特に Vertex AI Extensions の非推奨化(2026年11月26日サービス終了予定)は、すでに Extensions を利用している企業にとって移行計画を要するアップデートです。ぜひ本文をご確認ください。
| 対象期間 | 2026年5月24日〜2026年5月31日 |
| 対象製品 | Google Cloud |
| 対象カテゴリ | AI |
| アップデート件数 | 12件 |
Vertex AI Extensions(外部 API やサービスと AI モデルを連携させるためのフレームワーク)が、2026年5月26日をもって非推奨(Deprecated)となりました。2026年11月26日以降にサービスが終了します。現在 Extensions を利用しているアプリケーションは、それまでに Gemini Enterprise Agent Platform(Gemini Enterprise Agent Platform)への移行が必要です。
Gemini Enterprise assist(Gemini Enterprise 内の旧来の AI アシスト機能)が、2026年5月26日をもって廃止・シャットダウンされました。同機能のユーザーは、今後 Gemini Enterprise のドキュメントから直接包括的な回答を得られるようになります。
Gemini Enterprise の Core Assistant(Google が提供するルートエージェント。ユーザーがエージェントを指定せずに話しかけた際の既定応答を担う "Made by Google" コンポーネント)が、2026年5月28日に一般提供(GA)を開始しました。企業内の情報ソースと連携した AI エージェントとして、本番利用可能な品質で正式提供されます。
あわせて、トレース情報・メトリクス表示機能が Preview として追加されました。AI エージェントの応答品質や利用状況をモニタリングできるようになります。
社内ドキュメント・業務システムのデータと連携した AI アシスタントを、本番環境で安心して展開できるようになります。営業担当者が「今週の商談状況を要約して」と問い合わせ、社内 CRM のデータを基に AI が回答する、といったシナリオが実用レベルで実現できます。
Gemini Enterprise の Slack データストアが、2026年5月27日に一般提供(GA)を開始しました。Slack 上の会話・ファイルを AI が検索・参照できる機能が、本番利用可能な段階に到達しました。
プロジェクト担当者が「先月の開発チャンネルでのバグ議論をまとめて」と AI に依頼し、Slack の過去ログから情報を抽出・要約できます。業務ナレッジが Slack に蓄積されている組織で、情報の検索・活用を効率化できます。
2026年5月28日、Vertex AI Model Garden に Claude Opus 4.8(Anthropic 社の最新 AI モデル)が追加され、GA(一般提供)として利用可能になりました。あわせて、画像生成モデルの機能強化も発表されています。
Gemini 3.1 Flash Image と Gemini 3 Pro Image では 4K 出力のサポート(Preview)が追加され、高解像度な画像生成が可能になります。さらに Gemini 3.1 Flash Image は ビデオ入力対応(Preview)も追加されました。
Vertex AI 上で複数の AI モデルを使い分けたい企業にとって、選択肢が広がります。Claude Opus 4.8 の高度な推論能力を、Google Cloud 環境内でセキュアに利用したいケースで有効です。また、4K 画像生成対応により、マーケティング素材や製品ビジュアルの高品質化にも活用の可能性が広がります(Preview)。
Gemini Enterprise において、Gemini 3.5 Flash モデルの管理者向け制御設定が変更されます。2026年5月26日の発表時点では、管理者は feature management toggle で Gemini 3.5 Flash の表示/非表示を制御可能でしたが、2026年6月8日以降、このトグルは廃止され、Gemini 3.5 Flash がデフォルト ON になります(管理者が無効化できなくなります)。
Gemini 3.5 Flash は応答速度と品質のバランスに優れたモデルです。組織内のユーザーが Gemini Enterprise を利用する際、より高性能なモデルが自動的に適用されるようになります。
Gemini Enterprise が PagerDuty(インシデント管理・アラート管理プラットフォーム)のデータストアに接続可能になりました(2026年5月26日、Preview)。PagerDuty 上のインシデント情報・アラート履歴を AI が参照・検索できるようになります。
SRE(サイトリライアビリティエンジニアリング)やオペレーション担当者が「先月の P1 インシデントの傾向を教えて」と AI に質問し、PagerDuty のデータを基に即座に回答を得られます。障害対応の振り返りや改善施策の立案にかかる時間を短縮できます。
Gemini Enterprise の Google Sites(Google が提供するウェブサイト作成ツール)データストアに、サイト URL プレフィックスフィルターが追加されました(2026年5月26日、Preview)。特定のサイトセクションを AI の検索対象に含める・除外するといった細かな制御が可能になります。
社内ポータルサイト(Google Sites 製)を AI のデータソースとして活用する際、特定の部門ページや機密性の低いコンテンツのみを AI に参照させることができます。AI が参照する情報の精度・適切さを管理したい IT 部門・情報セキュリティ担当者に有用です。
Document AI(Google Cloud のドキュメント処理 AI サービス)の Layout Parser(文書の構造を解析するパーサー)において、画像およびテーブルの注釈(アノテーション)機能が 2026年5月27日に一般提供(GA)を開始しました。
Layout Parser は PDF やスキャン文書から文書構造を認識するサービスです。今回の GA により、文書内の画像(図表・写真)やテーブル(表形式データ)の位置・内容をより正確に抽出できるようになります。
請求書・契約書・報告書などの PDF 文書から、表形式のデータ(金額・日付・品目など)を自動抽出する業務で活用できます。従来は手動での転記が必要だったケースで、Document AI の Layout Parser を活用することで入力業務を大幅に削減できる可能性があります。
Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)に、Gemini Deep Research Agent が Preview として追加されました(2026年5月26日)。これは、複雑なマルチステップの調査ワークフローを計画・実行・統合するマネージド AI エージェントです。パブリックウェブと企業内のプライベートデータを横断して情報を収集し、引用付きの包括的なレポートを自動生成します。
市場調査・競合分析・技術評価など、複数の情報源を横断して調査レポートを作成する業務での活用が期待されます。例えば、新規市場参入の可否判断のために「業界動向・競合製品・規制情報」を横断して調べる際、エージェントが自動的に情報を収集・整理・レポート化してくれます。
Gemini Enterprise Agent Platform の Agent Platform Sandboxes に、新たな Preview 機能が追加されました(2026年5月26日)。エージェントが安全な分離環境内でブラウザ操作や独自コンテナ実行などを行えるようになります。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)的なブラウザ操作の自動化や、特殊なライブラリが必要なデータ分析・AI 推論タスクをエージェントに委ねたい場合に活用できます。安全に隔離された環境でブラウザ操作を伴う業務プロセスの自動化が見込めます。
Gemini Enterprise Agent Platform の Gemini 3.1 Flash Image Preview および Gemini 3 Pro Image Preview が廃止されました(2026年5月28日)。2026年7月17日までに GA 版エンドポイントへの移行が必要です。
廃止される Preview エンドポイントと、移行先の GA 版エンドポイントは以下の通りです。
| 廃止される Preview エンドポイント | 移行先(GA 版) |
| gemini-3.1-flash-image-preview | gemini-3.1-flash-image |
| gemini-3-pro-image-preview | gemini-3-pro-image |
2026年5月24日〜31日の AI カテゴリで特に押さえておきたいのは3点です。第一に、Vertex AI Extensions の非推奨化(2026年11月26日サービス終了)と Gemini Enterprise assist の廃止(シャットダウン済み)です。これらを利用している企業は早急な対応・移行が必要です。第二に、Gemini 3.1 Flash Image / Gemini 3 Pro Image Preview 廃止(2026年7月17日期限)も短期対応が求められます。
第三に、Gemini Enterprise の機能拡充です。Core Assistant の GA・Slack データストアの GA に加え、Deep Research Agent や Agent Platform Sandboxes など新 Preview 機能が次々と追加されました。Claude Opus 4.8 の提供開始も AI モデルの選択肢を広げる重要なアップデートです。AI 活用を推進している企業は、廃止対応と並行してこれらの新機能の評価を進めることをお勧めします。
XIMIX(サイミクス)は NI+C が運営する Google Cloud プレミアパートナーサービスです。Google Cloud / Google Workspace の導入・活用支援、データ活用、AI 活用などをご支援しています。本記事で取り上げた Vertex AI Extensions からの移行支援や Gemini Enterprise の導入・活用にご関心がありましたら、お気軽にご相談ください。