コラム

Googleフォームの「セクションによる分岐」で問い合わせ対応をスマートに。UX向上と業務効率化を両立する実践ガイド

作成者: XIMIX Google Workspace チーム|2026,01,20

はじめに

企業におけるデジタル接点の入り口として、Googleフォームは極めて強力なツールです。しかし、あらゆる顧客や従業員の要望を一つのフォームに詰め込んだ結果、回答者にとって「自分に関係のない設問」が延々と続く、複雑でストレスフルなフォームになっていないでしょうか。

中堅・大企業のDX推進において、フォームの役割は単なる「データ収集」に留まりません。回答者の属性や目的に応じて最適な設問を提示する「セクションによる分岐」を活用することで、回答精度の向上と、その後の事務局対応の劇的な効率化が可能になります。

この記事では、Googleフォームの分岐機能の基本から、ビジネス価値を最大化するための設計の勘所までを解説します。

問い合わせフォームに「分岐」が必要な理由

多くの企業で「問い合わせ対応が属人化している」「データの整理に時間がかかる」といった課題が散見されます。その根本的な原因の一つは、入力の入り口であるフォームの設計にあります。

①回答者の離脱を防ぐUXの最適化

回答者にとって、20も30も設問が並ぶフォームは心理的なハードルを高めます。

例えば、既存顧客向けの保守受付と、新規顧客の見積依頼では、聞くべき項目が全く異なります。分岐機能を使い、最初の選択肢に応じて必要な設問だけを表示させることで、回答完了率(コンバージョン率)を大幅に向上させることが可能です。

②後続プロセスの自動化・効率化

分岐によってデータが整理された状態で収集されると、その後のフローがスムーズになります。

Googleスプレッドシートへの自動集計はもちろん、特定の回答内容に応じて担当部署に通知を飛ばすといった「自動仕分け」の精度が向上します。これは、月間数百件以上の問い合わせを処理する大企業のバックオフィス部門において、ROI(投資対効果)を最大化させるための鍵となります。

セクションによる分岐の作り方:3ステップ

Googleフォームで分岐を作成するのは、プログラミングの知識がなくても数クリックで可能です。

ここでは、一般的な「問い合わせ種別(見積依頼・資料請求・その他)」による分岐を例に解説します。

①セクションを分割する

まず、フォームを「共通項目(社名・氏名など)」と「分岐後の個別項目」に分けるために、セクションを追加します。 右側のフローティングメニューにある「セクションを追加(二本線のアイコン)」をクリックすると、フォームがページ単位で分割されます。

  • セクション1:基本情報

  • セクション2:見積依頼用設問

  • セクション3:資料請求用設問

  • セクション4:その他お問い合わせ

②選択肢に応じた移動先を設定する

分岐の起点となる設問(例:ラジオボタン形式の「お問い合わせ種別」)を作成します。

設問の右下にある「三点リーダー(︙)」をクリックし、「回答に応じてセクションに移動」を選択します。すると、各選択肢の横に移動先を指定するプルダウンが表示されるので、先ほど作成した対応するセクションを割り当てます。

③送信直前のフローを確認する

各セクションの最後にある「セクション後の動作」の設定も重要です。例えば、セクション2(見積依頼)の回答が終わった後に、セクション3(資料請求)が表示されてしまっては意味がありません。

セクションの下部にあるプルダウンを「フォームを送信」に変更することで、必要な回答を終えたユーザーを直接完了画面へ導くことができます。

大企業のDX担当者が押さえるべき設計の秘訣

機能としての作り方はシンプルですが、実際にエンタープライズ環境で運用する場合、いくつか考慮すべき戦略的ポイントがあります。

多くの現場を見てきた経験から導き出された「陥りやすい罠」と「成功のポイント」を紹介します。

①データの「正規化」を意識する

分岐を多用しすぎると、収集されるデータのカラム(列)がバラバラになり、後の分析が困難になることがあります。

「氏名」や「メールアドレス」といった共通項目は必ず最初の共通セクションで取得し、分岐先では「その目的特有のデータ」のみを収集するように設計することが、データ品質を担保する鉄則です。

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②複雑すぎる分岐は管理の負債になる

条件分岐が3階層、4階層と重なると、フォームの修正時にどこで不整合が起きているか把握できなくなります。大規模組織では、複数の担当者がフォームをメンテナンスすることもあるでしょう。

「1つのフォームで全てを解決しようとしない」ことも重要です。あまりに分岐が複雑になる場合は、フォーム自体を分ける、あるいはワークフロー専用ツール(AppSheet等)への移行を検討するタイミングかもしれません。

③セキュリティとガバナンス

中堅・大企業において、フォームを通じた個人情報の収集は厳格な管理が求められます。Google Workspace の機能を活用し、回答範囲の制限(ドメイン内限定)や、収集したデータの保存先に対するアクセス権限設定を適切に行うことが、コンプライアンス遵守の観点から不可欠です。

フォームの価値をさらに高める最新トレンド

現在、フォームは単なる入力ツールから「インテリジェントな接点」へと進化しています。

①生成AI(Gemini)との連携

Googleフォームで収集した自由記述の問い合わせ内容を、Gemini を活用して自動的に要約・感情分析し、優先順位付けを行う仕組みを構築する企業が増えています。

国内企業の多くがAIを活用した顧客対応の自動化を最優先事項に挙げています。分岐によって構造化されたデータは、AIにとって「最も処理しやすい高品質な燃料」となります。

②リアルタイムのデータ活用

フォームの回答をBigQueryに同期し、Lookerでリアルタイムに可視化することで、市場の反応や社内課題を即座に経営判断に活かすことができます。

これは、単なる「事務効率化」を超えた、真のデータドリブン経営への第一歩となります。

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XIMIXが提供する構築支援

Googleフォームの分岐設定は入り口に過ぎません。中堅・大企業が真のDXを実現するためには、フォームを起点とした業務プロセス全体の再設計が必要です。

「XIMIX」では、Google CloudおよびGoogle Workspaceの深い知見を活かし、以下のような高度なソリューションを提供しています。

  • 複雑な業務要件の整理と、最適なツール選定(Forms / AppSheet / Workflows等)

  • Geminiを活用した問い合わせ解析・自動返信システムの構築

  • エンタープライズレベルのセキュリティ・ガバナンス設計

  • 既存の基幹システムやCRMとのセキュアな連携開発

「標準機能でどこまでできるのか?」「自社の複雑な要件を満たすにはどうすればいいか?」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なグランドデザインをご提案します。

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まとめ:シンプルな機能を「武器」に変えるために

Googleフォームの「セクションによる分岐」は、一見すると地味な機能かもしれません。しかし、これを適切に使いこなすことは、ユーザー体験の向上、データ品質の改善、そしてAI活用の基盤作りへと直結します。

  • 回答者の属性に合わせてセクションを分ける

  • 「回答に応じてセクションに移動」で導線を整理する

  • データ活用を見据えたシンプルな設計を心がける

まずは現在の問い合わせフォームを見直し、1つでも2つでも「不要な設問」を分岐によって隠すことから始めてみてください。その小さな改善が、組織全体の生産性を変える大きな一歩となるはずです。