企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、Google Cloud のようなクラウド環境の活用はもはや不可欠です。しかし、クラウド基盤を整えた上で、次に必要となるのが、業務に必要な様々なソフトウェアやツールの導入です。データベース、セキュリティツール、分析プラットフォーム、業種特化型ソリューションなど、その選択肢は多岐にわたります。
従来、サードパーティ製ソフトウェアをクラウド環境に導入するには、ライセンスの購入、サーバーへのインストール、ネットワーク設定、セキュリティ構成など、煩雑な手順と専門知識が必要でした。導入までに時間がかかり、管理も複雑化しやすいという課題を感じている担当者の方も多いのではないでしょうか。
こうした課題を解決し、Google Cloud上でのソフトウェア導入・利用を劇的に簡便化するのが「Google Cloud Marketplace」です。これは、Google Cloud環境に最適化された様々なソフトウェアやサービスを、簡単かつ迅速に検索・購入・デプロイ(展開)できるオンラインストアのようなものです。
この記事では、Google Cloud Marketplaceとは何か、どのようなメリットがあるのか、そしてどのように活用できるのかについて、入門レベルの方にも分かりやすく解説します。Marketplaceの仕組みを理解し、自社のDX推進や業務効率化に役立てましょう。
Google Cloud Marketplace(旧称: GCP Marketplace)は、Google Cloud上で動作する、Googleおよびサードパーティベンダーが提供するソフトウェアソリューションやサービスを検索、購入、デプロイできるプラットフォームです。
身近な例で言えば、スマートフォンのアプリストアのようなものを想像すると分かりやすいかもしれません。アプリストアでは、様々な開発者が提供するアプリを検索し、数クリックでインストールして利用を開始できます。Google Cloud Marketplaceも同様に、クラウド環境で利用できるビジネス向けのソフトウェアや開発ツール、データセットなどを、カタログから探し出し、簡単な操作で自社のGoogle Cloudプロジェクトに展開できるようにするものです。
扱われているソリューションは、OS、データベース、セキュリティツール、ネットワーク機器(仮想アプライアンス)、開発ツール、分析ツール、AI/機械学習ソリューション、さらには業界特化型のSaaS(Software as a Service)アプリケーションやデータセットまで、非常に多岐にわたります。これらはGoogleや信頼できるパートナー企業によって提供されており、Google Cloud環境での動作が検証されています。
Marketplaceを利用することで、従来のソフトウェア導入方法と比較して、以下のような多くのメリットが得られます。
最大のメリットは、導入プロセスが大幅に簡略化されることです。多くのソリューションは、OSを含めて設定済みのVM(仮想マシン)イメージとして提供されており、数クリックでCompute Engineインスタンス上にデプロイできます。手動でのインストールや複雑な初期設定の手間が省け、必要なソフトウェアを迅速に利用開始できます。SaaSソリューションの場合も、Google Cloudアカウントとの連携やセットアップが容易に行えるようになっています。
Marketplaceで購入した有料ソリューションの利用料金は、Google Cloudの利用料金と合わせて一括で請求されます。複数のベンダーと個別に契約・支払いを行う必要がなくなり、請求処理の手間が大幅に削減されます。コスト管理の観点からもメリットが大きいと言えるでしょう。
Marketplaceで提供されるソリューションは、Googleによる審査やセキュリティスキャンを受けているものが多く、一定の信頼性が担保されています。また、Google Cloudのインフラ上で動作するように最適化されているため、互換性の問題なども起こりにくくなっています。ベンダーによるサポート情報も明記されている場合が多いです。
データベース、セキュリティ、ネットワーキング、AI/ML、データ分析、開発ツール、ビジネスアプリケーションなど、幅広いカテゴリで数千ものソリューションが提供されています(2025年4月現在、ラインナップは常に拡大しています)。自社のニーズに合った最適なツールやサービスを見つけやすくなっています。オープンソースソフトウェアも多数登録されており、簡単にデプロイできます。
ソリューションによっては、従量課金制、サブスクリプション、持ち込みライセンス(BYOL: Bring Your Own License)など、複数の料金モデルが用意されています。利用状況に合わせて最適なプランを選択でき、コスト効率を高めることが可能です。無料トライアルが提供されているソリューションも多くあります。
Google Cloud Marketplaceでは、主に以下のような種類のソリューションが提供されています。
OS、ミドルウェア、アプリケーションなどがプリインストールされ、設定済みの仮想マシンイメージです。Compute Engineインスタンスとして迅速にデプロイできます。
クラウドベースで提供されるソフトウェアアプリケーションです。Marketplaceを通じてサブスクリプション契約を行い、Google Cloudアカウントと連携して利用を開始できます。
Google Kubernetes Engine (GKE) クラスタにデプロイできるコンテナ化されたアプリケーションです。複雑なアプリケーションも簡単に展開・管理できます。
特定の機能を提供するAPI(Application Programming Interface)です。自社のアプリケーションに組み込んで利用できます。
分析や機械学習モデルのトレーニングなどに利用できる、すぐに使えるデータセットです。
これらのソリューションは、カテゴリやベンダー、料金体系などで検索・フィルタリングすることが可能です。
Marketplaceの利用は非常に直感的です。基本的な流れは以下のようになります。
多くのソリューションには詳細なドキュメントやチュートリアルへのリンクが用意されているため、導入後の設定や利用方法も確認しやすくなっています。
便利なMarketplaceですが、利用にあたってはいくつか注意すべき点もあります。
これらの点を考慮し、計画的にMarketplaceを活用することが重要です。
Google Cloud Marketplaceは、必要なソフトウェアやサービスを迅速かつ容易に導入できる強力なツールですが、「数あるソリューションの中から自社に最適なものを選ぶのが難しい」「導入後の設定や運用、セキュリティ対策に不安がある」「Marketplace経由の支払いも含めて、Google Cloudの請求管理を効率化したい」といった課題や要望をお持ちのお客様もいらっしゃるでしょう。
私たちXIMIXでは、Google Cloud Marketplaceの活用を含め、お客様のクラウド導入・運用をトータルでサポートします。
XIMIXは、長年にわたるGoogle Cloudの導入・運用支援で培ったノウハウと、幅広いパートナーネットワークを活かし、お客様のGoogle Cloud活用を成功に導きます。ソフトウェア導入の効率化やコスト管理にお悩みでしたら、ぜひXIMIXにご相談ください。
XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。
※Google Cloud については、こちらのコラム記事もご参照ください。
【基本編】Google Cloudとは? DX推進の基盤となる基本をわかりやすく解説
【基本編】Google Cloud導入のメリット・注意点とは? 初心者向けにわかりやすく解説
本記事では、Google Cloud Marketplaceについて、その概要、メリット、提供ソリューションの種類、基本的な使い方、そして注意点を解説しました。
Google Cloud Marketplaceは、Google Cloud上で動作するソフトウェアやSaaS、API、データセットなどを簡単に見つけ、迅速に導入・利用開始できる便利なプラットフォームです。ソフトウェア導入の手間と時間を大幅に削減し、請求の一元化も実現できるため、企業のDX推進や開発効率の向上に大きく貢献します。
データベースの構築、セキュリティ対策の強化、データ分析基盤の整備、新しいSaaSアプリケーションの試用など、様々なシーンでMarketplaceを活用できます。ぜひ一度、どのようなソリューションが提供されているか、Google Cloud Consoleから覗いてみてはいかがでしょうか。
Marketplaceのソリューション選定や導入、請求管理などでお困りの際は、お気軽にXIMIXまでお問い合わせください。お客様のニーズに合わせた最適な活用方法をご提案いたします。