コラム

Google Cloud Marketplaceとは? クラウド上でのソフトウェア導入を加速する仕組みを解説

作成者: XIMIX Google Cloud チーム|Apr 22, 2025 11:52:11 AM

はじめに

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、Google Cloud  のようなクラウド環境の活用はもはや不可欠です。しかし、クラウド基盤を整えた上で、次に必要となるのが、業務に必要な様々なソフトウェアやツールの導入です。データベース、セキュリティツール、分析プラットフォーム、業種特化型ソリューションなど、その選択肢は多岐にわたります。

従来、サードパーティ製ソフトウェアをクラウド環境に導入するには、ライセンスの購入、サーバーへのインストール、ネットワーク設定、セキュリティ構成など、煩雑な手順と専門知識が必要でした。導入までに時間がかかり、管理も複雑化しやすいという課題を感じている担当者の方も多いのではないでしょうか。

こうした課題を解決し、Google Cloud上でのソフトウェア導入・利用を劇的に簡便化するのが「Google Cloud Marketplace」です。これは、Google Cloud環境に最適化された様々なソフトウェアやサービスを、簡単かつ迅速に検索・購入・デプロイ(展開)できるオンラインストアのようなものです。

この記事では、Google Cloud Marketplaceとは何か、どのようなメリットがあるのか、そしてどのように活用できるのかについて、入門レベルの方にも分かりやすく解説します。Marketplaceの仕組みを理解し、自社のDX推進や業務効率化に役立てましょう。

Google Cloud Marketplaceとは?

Google Cloud Marketplace(旧称: GCP Marketplace)は、Google Cloud上で動作する、Googleおよびサードパーティベンダーが提供するソフトウェアソリューションやサービスを検索、購入、デプロイできるプラットフォームです。

身近な例で言えば、スマートフォンのアプリストアのようなものを想像すると分かりやすいかもしれません。アプリストアでは、様々な開発者が提供するアプリを検索し、数クリックでインストールして利用を開始できます。Google Cloud Marketplaceも同様に、クラウド環境で利用できるビジネス向けのソフトウェアや開発ツール、データセットなどを、カタログから探し出し、簡単な操作で自社のGoogle Cloudプロジェクトに展開できるようにするものです。

扱われているソリューションは、OS、データベース、セキュリティツール、ネットワーク機器(仮想アプライアンス)、開発ツール、分析ツール、AI/機械学習ソリューション、さらには業界特化型のSaaS(Software as a Service)アプリケーションやデータセットまで、非常に多岐にわたります。これらはGoogleや信頼できるパートナー企業によって提供されており、Google Cloud環境での動作が検証されています。

Google Cloud Marketplaceを利用するメリット

Marketplaceを利用することで、従来のソフトウェア導入方法と比較して、以下のような多くのメリットが得られます。

①導入の迅速化と簡便化

最大のメリットは、導入プロセスが大幅に簡略化されることです。多くのソリューションは、OSを含めて設定済みのVM(仮想マシン)イメージとして提供されており、数クリックでCompute Engineインスタンス上にデプロイできます。手動でのインストールや複雑な初期設定の手間が省け、必要なソフトウェアを迅速に利用開始できます。SaaSソリューションの場合も、Google Cloudアカウントとの連携やセットアップが容易に行えるようになっています。

②請求の一元化

Marketplaceで購入した有料ソリューションの利用料金は、Google Cloudの利用料金と合わせて一括で請求されます。複数のベンダーと個別に契約・支払いを行う必要がなくなり、請求処理の手間が大幅に削減されます。コスト管理の観点からもメリットが大きいと言えるでしょう。

③信頼性とセキュリティ

Marketplaceで提供されるソリューションは、Googleによる審査やセキュリティスキャンを受けているものが多く、一定の信頼性が担保されています。また、Google Cloudのインフラ上で動作するように最適化されているため、互換性の問題なども起こりにくくなっています。ベンダーによるサポート情報も明記されている場合が多いです。

④豊富な選択肢

データベース、セキュリティ、ネットワーキング、AI/ML、データ分析、開発ツール、ビジネスアプリケーションなど、幅広いカテゴリで数千ものソリューションが提供されています(2025年4月現在、ラインナップは常に拡大しています)。自社のニーズに合った最適なツールやサービスを見つけやすくなっています。オープンソースソフトウェアも多数登録されており、簡単にデプロイできます。

⑤柔軟な料金体系

ソリューションによっては、従量課金制、サブスクリプション、持ち込みライセンス(BYOL: Bring Your Own License)など、複数の料金モデルが用意されています。利用状況に合わせて最適なプランを選択でき、コスト効率を高めることが可能です。無料トライアルが提供されているソリューションも多くあります。

Marketplaceで提供されているソリューションの種類

Google Cloud Marketplaceでは、主に以下のような種類のソリューションが提供されています。

①VMイメージ(仮想マシンソリューション)

OS、ミドルウェア、アプリケーションなどがプリインストールされ、設定済みの仮想マシンイメージです。Compute Engineインスタンスとして迅速にデプロイできます。

  • 例: WordPress、Redmine、各種データベース(MySQL, PostgreSQLなど)、セキュリティアプライアンス(ファイアウォール、WAFなど)、開発環境

②SaaS(Software as a Service)

クラウドベースで提供されるソフトウェアアプリケーションです。Marketplaceを通じてサブスクリプション契約を行い、Google Cloudアカウントと連携して利用を開始できます。

  • 例: CRM、マーケティングオートメーション、プロジェクト管理ツール、セキュリティ監視サービス

③Kubernetesアプリケーション

Google Kubernetes Engine (GKE) クラスタにデプロイできるコンテナ化されたアプリケーションです。複雑なアプリケーションも簡単に展開・管理できます。

④API

特定の機能を提供するAPI(Application Programming Interface)です。自社のアプリケーションに組み込んで利用できます。

  • 例: 地図情報API、翻訳API、データ分析API

⑤データセット

分析や機械学習モデルのトレーニングなどに利用できる、すぐに使えるデータセットです。

  • 例: 公共統計データ、気象データ、ゲノムデータ

これらのソリューションは、カテゴリやベンダー、料金体系などで検索・フィルタリングすることが可能です。

Google Cloud Marketplaceの基本的な使い方

Marketplaceの利用は非常に直感的です。基本的な流れは以下のようになります。

  1. アクセス: Google Cloud Consoleにログインし、ナビゲーションメニューから「Marketplace」を選択します。
  2. 検索: 探しているソリューションの名前やキーワード、カテゴリなどから検索します。フィルタ機能を使って、料金体系、OS、ベンダーなどで絞り込むことも可能です。
  3. 選択: 目的のソリューションが見つかったら、詳細ページを開きます。概要、機能、料金、サポート情報、レビューなどを確認します。
  4. 構成とデプロイ(VMイメージの場合): 「デプロイ」または「起動」ボタンをクリックします。デプロイ先のプロジェクト、ゾーン、マシンタイプ、ディスクサイズ、ネットワーク設定などを必要に応じて構成します。
  5. 購入と設定(SaaSや有料APIの場合): サブスクリプションプランを選択し、購入手続きを行います。その後、必要な設定やアカウント連携を行います。
  6. 利用開始: デプロイや設定が完了すれば、すぐにソリューションを利用開始できます。VMイメージの場合は、作成されたインスタンスのIPアドレスやログイン情報が表示されます。

多くのソリューションには詳細なドキュメントやチュートリアルへのリンクが用意されているため、導入後の設定や利用方法も確認しやすくなっています。

Marketplaceを利用する上での注意点

便利なMarketplaceですが、利用にあたってはいくつか注意すべき点もあります。

  • 料金の確認: 無料トライアル期間が終了すると自動的に課金が開始される場合や、従量課金で想定以上にコストがかかる可能性があります。料金体系、課金単位、無料枠などを詳細ページで十分に確認しましょう。
  • サポート体制: 提供されるサポートの範囲やレベルは、ソリューションやベンダーによって異なります。特にクリティカルなシステムで利用する場合は、サポート体制(対応時間、問い合わせ方法など)を確認しておくことが重要です。
  • ライセンス: 持ち込みライセンス(BYOL)を利用する場合は、ベンダーのライセンス規約を遵守する必要があります。
  • バージョンの確認: VMイメージなどで提供されるソフトウェアのバージョンが、自社の要件に合っているか確認しましょう。アップデートの適用方法なども確認が必要です。
  • セキュリティ設定: デプロイされたVMインスタンスなどのセキュリティ設定(ファイアウォールルールなど)は、自社のポリシーに合わせて適切に見直す必要があります。デフォルト設定のまま運用しないように注意しましょう。

これらの点を考慮し、計画的にMarketplaceを活用することが重要です。

XIMIXによる支援サービス

Google Cloud Marketplaceは、必要なソフトウェアやサービスを迅速かつ容易に導入できる強力なツールですが、「数あるソリューションの中から自社に最適なものを選ぶのが難しい」「導入後の設定や運用、セキュリティ対策に不安がある」「Marketplace経由の支払いも含めて、Google Cloudの請求管理を効率化したい」といった課題や要望をお持ちのお客様もいらっしゃるでしょう。

私たちXIMIXでは、Google Cloud Marketplaceの活用を含め、お客様のクラウド導入・運用をトータルでサポートします。

  • 導入・設定支援: 選定したソリューションのデプロイ、初期設定、既存システムとの連携などを、ベストプラクティスに基づき支援します。セキュリティ設定の最適化もお任せください。
  • 請求代行・管理サービス: XIMIXの請求代行サービスをご利用いただくことで、Google Cloud本体の利用料金とMarketplaceで購入したソリューションの料金を、日本円建ての請求書で一括してお支払いいただけます。請求に関するお問い合わせ窓口も一本化でき、管理の手間を大幅に削減できます。
  • 運用・サポート: 導入したソリューションの運用監視、アップデート対応、トラブルシューティングなど、継続的なサポートを提供します(注意:ソリューションや契約内容により異なります)。

XIMIXは、長年にわたるGoogle Cloudの導入・運用支援で培ったノウハウと、幅広いパートナーネットワークを活かし、お客様のGoogle Cloud活用を成功に導きます。ソフトウェア導入の効率化やコスト管理にお悩みでしたら、ぜひXIMIXにご相談ください。

XIMIXのGoogle Cloud 導入支援についてはこちらをご覧ください。

※Google Cloud については、こちらのコラム記事もご参照ください。 
【基本編】Google Cloudとは? DX推進の基盤となる基本をわかりやすく解説
【基本編】Google Cloud導入のメリット・注意点とは? 初心者向けにわかりやすく解説

まとめ

本記事では、Google Cloud Marketplaceについて、その概要、メリット、提供ソリューションの種類、基本的な使い方、そして注意点を解説しました。

Google Cloud Marketplaceは、Google Cloud上で動作するソフトウェアやSaaS、API、データセットなどを簡単に見つけ、迅速に導入・利用開始できる便利なプラットフォームです。ソフトウェア導入の手間と時間を大幅に削減し、請求の一元化も実現できるため、企業のDX推進や開発効率の向上に大きく貢献します。

データベースの構築、セキュリティ対策の強化、データ分析基盤の整備、新しいSaaSアプリケーションの試用など、様々なシーンでMarketplaceを活用できます。ぜひ一度、どのようなソリューションが提供されているか、Google Cloud Consoleから覗いてみてはいかがでしょうか。

Marketplaceのソリューション選定や導入、請求管理などでお困りの際は、お気軽にXIMIXまでお問い合わせください。お客様のニーズに合わせた最適な活用方法をご提案いたします。