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一年のまとめにGoogle Cloudのリリースノートを読み返す

作成者: XIMIX 三浦|2025.12.15

はじめに

本記事は、XIMIX Advent Calendar 2025 16日目です。
Google Cloudのリリースノートをまとめて読むために、簡単な方法を紹介します。

一年のまとめにGoogle Cloudのリリースノートを読み返す

本記事執筆時は、2025年12月12日。2025年もそろそろ終わりですね。みなさまの1年はどんな年だったでしょうか。

Google Cloudでは日々アップデートがされており、内容は公式のリリースノートのページに記載されています。その中でも大きな変更、新機能についてはGoogle社がブログ記事やニュースリリースとしてまとめてくれています。どんどん進化していくGoogle Cloudに感心する毎日です。

実際にGoogle Cloudでのシステム構築に携わる当事者としては、「以前と画面の見た目が変わっている」とか「某システムにこの機能を導入できれば効果があるのでは」、「開発時にこの機能がリリースされていれば使っていたのに」なんてこともしょっちゅうです。むしろ記事にならない細かい変更の方が実務への影響が大きいと感じています。

とはいえ、毎日大量のリリースノートを読むのも、記憶しておくのも大変です。
本記事では2025年末アドベントカレンダー記事としてGoogle Cloudで一番お世話になっているBigQueryを中心に、今年のアップデートを簡単に振り返ってみたいと思います。

リリースノートをBigQueryの公開データセットから取得する

リリースノートを1年分まとめて読むために、今回はBigQuery上の公開データセットにある bigquery-public-data.google_cloud_release_notes.release_notes テーブルを参照しました。

公開データセットはBigQuery上にあるため検索性が高いのですが、公開リリースノートページに比べて情報公開が遅いことには注意です。厳密なタイムラグは不明ですが、記事執筆時に試したときには1日前程度の情報までは閲覧が可能なようでした。

release_notesテーブルは画像の通りのスキーマとなっております。


description: リリースの内容
release_note_type: FIX, FEATURE, BREAKING_CHANGEなど分類
published_at: リリース日時
product_id: BigQueryなど対象プロダクトのID
product_name: BigQueryなど対象プロダクトの名前

今回は機能追加と機能変更に注目し、障害やその修正を除外したいため、releace_note_typeが 'FEATURE', 'SERVICE_ANNOUNCEMENT', 'BREAKING_CHANGE', 'NON_BREAKING_CHANGE'であるものを調査します。

利用するクエリは以下の通りです。
SELECT
description,
release_note_type,
published_at,
product_name,
product_version_name,
EXTRACT(MONTH FROM published_at) AS published_month
FROM
`bigquery-public-data.google_cloud_release_notes.release_notes`
WHERE
EXTRACT(YEAR FROM published_at) = 2025
AND release_note_type IN ('FEATURE', 'SERVICE_ANNOUNCEMENT', 'BREAKING_CHANGE', 'NON_BREAKING_CHANGE')
ORDER BY release_note_type, published_at
これを再利用する場合は、CREATE VIEWステートメントでご自身のデータセットに保持してもよいかと思います。

Looker Studioで可視化する

さて、BigQuery上に見たいデータが確保できたら、どうビジュアライズするか。ここは手軽で高機能なLooker Studioの出番ですね。

Looker Studioとの接続は次のページを参照してください。
https://docs.cloud.google.com/bigquery/docs/visualize-looker-studio


まずはプロダクト(サービス)毎の機能追加、変更のリリース回数と、機能追加・変更などのタイプの二つを見ていきましょう。



グラフではプロダクトの数が多いこともあり上位10位に絞りましたが、トータルでは6,694件の更新でした。今回除いた障害関連も考慮すると相当な回数ですね。

リリース回数1位、2位は Container Optimized OS と Google Kubernetes Engine。ここはKernel、OS関連ライブラリ周りの定期的な最新化も含んでいるため回数が多いようでした。コンテナ、k8sに強いGoogle Cloudですからこの数も納得ですね。

BigQueryは堂々の4位。3位、5位のGoogle Security Operations 関連に挟まれる形でした。

Geminiが9位というのも2025年ならではかもしれません。個人的には来年2026年にはGeminiの順位がさらに上がると予想しておきます。

リリースノートをBigQuery関連のみに絞って分析する

全体では数も多いので、日々最も利用するBigQueryのリリースノートを抽出しなおしましょう。

利用するクエリは以下の通りです。
SELECT
description,
release_note_type,
published_at,
product_name,
product_version_name,
EXTRACT(MONTH FROM published_at) AS published_month
FROM
`bigquery-public-data.google_cloud_release_notes.release_notes`
WHERE
EXTRACT(YEAR FROM published_at) = 2025
AND release_note_type IN ('FEATURE', 'SERVICE_ANNOUNCEMENT', 'BREAKING_CHANGE', 'NON_BREAKING_CHANGE')
AND product_name = 'BigQuery'
ORDER BY release_note_type, published_at

同様にLooker Studioで可視化してみます。

1,2月が比較的少ないものの、毎月精力的にリリースがされていますね。12月は12月11日までのデータですので、参考までにご覧ください。

10月に破壊的変更あり

おっと、10月に一度破壊的変更(Breaking Change)があります。グラフでは緑色で表示されていますが、中身を見てみましょう。

https://docs.cloud.google.com/bigquery/docs/release-notes#October_08_2025

The default limit of QueryUsagePerDay for on-demand pricing has changed. The default limit of all new projects is now 200 TiB. For existing projects, the default limit has been set based on your project's usage over the last 30 days. Projects that have custom cost controls configured or that use reservations aren't affected. If the new limit might affect your workload, create a custom cost control based on your workload needs.

これは、オンデマンド料金を選択している場合に1日あたりのクエリ使用量の制限がなかったところ、デフォルトの上限が設定200TiBに制限されたということですね。現状で1日あたり200TiB超のクエリがあり得るプロジェクト以外にはあまり影響はなさそうです。

破壊的な変更ということでドキドキしましたが、Googleが安全策を講じてくれたよい変更と考えられますね。

Connected Sheetsで接続してスプレッドシートでリリースノートを読む

ほかにも気になるリリースノートを探していきます。

こういうときはBigQueryからConnected Sheetsで接続して、 使い慣れたスプレッドシートでリリースノートを読むのも手ですね。
Connected Sheetの操作は次のページを参照してください。https://docs.cloud.google.com/bigquery/docs/connected-sheets

Pipe Syntax関連のリリースノートを読む

個人的に応援したいPipe Syntax (https://docs.cloud.google.com/bigquery/docs/reference/standard-sql/pipe-syntax) に関するリリースを探してみます。

利用するクエリは以下の通りです。
SELECT
description,
release_note_type,
published_at,
product_name,
product_version_name,
EXTRACT(MONTH FROM published_at) AS published_month
FROM
`bigquery-public-data.google_cloud_release_notes.release_notes`
WHERE
EXTRACT(YEAR FROM published_at) = 2025
AND release_note_type IN ('FEATURE', 'SERVICE_ANNOUNCEMENT', 'BREAKING_CHANGE', 'NON_BREAKING_CHANGE')
AND product_name = 'BigQuery'
AND LOWER(description) LIKE "%pipe syntax%"
ORDER BY release_note_type, published_at

結果は以下の4件、あまり多くはなかったようです。個人的にはWITHが使えるようになったのがうれしいですね。今後も機能拡張を頑張ってもらいたいものです。

アップデートで非推奨となった機能を確認する

これまでのクエリでは除外していましたが、非推奨(Deprecation)となった機能は今後廃止される可能性があります。新たなクエリで確認してみましょう。

クエリは以下の通りです。
SELECT
  description,
  release_note_type,
  published_at,
  product_name,
  product_version_name
FROM
  `bigquery-public-data.google_cloud_release_notes.release_notes`
WHERE
  EXTRACT(YEAR FROM published_at) = 2025
  AND release_note_type = 'DEPRECATION'
ORDER BY product_name, published_at

記事執筆時点でGoogle Cloud全体では127件。BigQueryについては非推奨になったものはないようでした。それ以外のプロダクトの非推奨となったものについてはここでは触れませんが、ここまで読んでくれた方はご自身でクエリを実行して、ぜひ内容を読んでみてください。

個人的にうれしいアップデート

今回2025年のリリースノートを眺める中で個人的に良いと思ったアップデートを挙げておきます。

  1. 7/17 Pipe SyntaxでWITH演算子のGA https://docs.cloud.google.com/bigquery/docs/release-notes#July_17_2025
  2. 5/29 Cloud StorageからBigQueryへのイベントドリブン転送のGA https://docs.cloud.google.com/bigquery/docs/release-notes#June_26_2025
  3. 10/31 Connected Sheets の行数が 100,000 から 200,000 に増加。 https://docs.cloud.google.com/bigquery/docs/release-notes#October_31_2025

おわりに

一年のふりかえりとして、Google Cloudのリリースノートを読んでみました。日々に追われ、なかなかリリースノートを読むこともできませんが、今後とも今回の方法で折に触れて振り返りをやっていこうと思います。