本記事は、Google Workspace Studio(旧Flows)の実践ノウハウを100本紹介する連載「Google Workspace Studio活用方法100本ノック」の一つとなります。
こんにちは!現在チームリーダーをしていますが、メンバー一人ひとりと向き合う「1on1」の時間、実は「やっただけ」やっただけ」で終わってしまっていないか、ずっと気になっていました。
「話は盛り上がったけれど、結局次までに何をすればいいんだっけ?」 「記録が面倒で後回しにしているうちに、大事なニュアンスを忘れてしまった……」 「1on1をしたものの、その後の上司へのエスカレーションが疎かになっている……」
こうした「やりっぱなし」の課題を解決するために、GoogleMeetでの1on1の「会議メモ」から解析・数値化、上司への報告メール作成までを一貫して自動化し、マネジメントを圧倒的に効率化する仕組みを構築しました。
| 難易度 | 初心者向け |
| 実現すること | 1on1の「会議メモ」「文字起こし」をAIで自動解析し、記録の蓄積から上司への報告メール作成までを一貫して自動化。 |
| 想定する対象者 | 1on1がやりっぱなしになっていると感じているリーダー、チームメンバーの変化を可視化したい方 |
| 利用サービス | Google Drive, Google SpreadSheets, Gmail |
このエージェントを導入すると、単なる知識習得以上の効果が期待できます。
今回の自動化エージェントが分析を行うための「情報源となるのが、Google Meetの「会議メモ」「文字起こし」機能です。
会議メモは、AIが対話の内容をリアルタイムで要約し、重要なポイントをまとめてくれる機能です。一方、文字起こしは、発言を一言一句テキストとして記録してくれます。1on1を開始する際にこれらを有効にすると、会議終了後に「会議メモ(文字起こし付き)」のファイルがドライブ内の「マイドライブ」-「Meet Recordings」フォルダへ自動的に保存されます。
今回のフローでは、このフォルダに新しいファイルが置かれたことをきっかけとして、Geminiが自動でその中身の解析をスタートさせる仕組みになっています。
前述のとおり、会議メモのファイルは主催者のGoogleドライブに配置され。これをトリガーに、Geminiが内容をリーダー視点で解析し、スプレッドシートへの記録と上司への報告メール作成までを自動で行います。
エージェントを構築する前に、まずは解析結果を記録するGoogle スプレッドシートを作成しておきましょう。あらかじめヘッダーを準備します。
作成するシートの項目例:
Google Workspace Studio にアクセスし、エージェントを作成していきます。エージェントの作成はWorkspace Studioのトップページから、左上の「+」ボタンより「New agent」をクリックします。
Step1:ファイルの追加をトリガーにする
Starterとして「When an item is added to a folder」を設定します。Folderに会議メモの保存先である「マイドライブ」-「Meet Recordings」フォルダを指定します。このフォルダにファイルが追加されたことがエージェントの起動スイッチになります。
Step2:Geminiで1on1のファイルか判断する
フォルダ内のすべてのファイルに反応しないよう、「Decide」を追加し、Step1のファイルに対してGeminiに「このファイルはこのファイルは1on1の「会議メモ」や「文字起こし」ですか?」と問いかけます。というのも、1on1以外の会議メモも追加されることがあるため、このフローの対象のファイルであるかを判断させます。
Step3:Check ifで実行可否を判定する
ここで「Check if」を追加して、Step2の問いが TRUE の場合のみ、次の解析ステップに進むように制御します。「Check if」を使って条件分岐を作ることで、関係ないファイルによる誤作動を防ぎます。
Step4:Geminiで内容を解析する
メインタスクです。「Ask Gemini」を追加してプロンプトを入力し、リーダー視点での深い解析をGeminiに依頼します。
これは、チームリーダーである私とメンバーとの1on1の「会議メモ」および「文字起こし」です。
リーダーとして、メンバーが自律的に動けるようサポートし、現場の小さな変化に気づくための解析をお願いします。
### 解析のポイント
1. 【開催日時】
2. 【メンバー名】
3. 【モチベーション】: 1(元気がない)〜5(意欲的)の数値(例:5 (意欲的))
4. 【業務負荷】: 1(余裕あり)〜5(パンパン)の数値(例:3(ぼちぼち))
5. 【要約】: 今日どんな悩みや進捗を共有し合ったか、リーダー視点で100文字程度でまとめて。
6. 【ネクストアクション】: 次回までに「メンバーがやること」と「リーダーの私が助けること」を明確に。
7. 【次回確認すべきこと】: 今回の未解決事項や、次回フォローすべき点を何点かピックアップして。
8. 【上司への報告メッセージ】: 1on1の状況が伝わる報告文を箇条書きで作成して。あいさつ文は不要。
### 1on1 文字起こしテキスト
[Step1の会議メモリンク]
Step5:解析結果から情報を抽出する
「Extract」を使って、Step4で得られた回答から必要なデータ(モチベーション、業務負荷、要約、上司への報告文など)を個別の変数として抜き出します。
たとえば「モチベーション」のスコアを抽出する場合は「Description for Gemini」に「【モチベーション】の数値」と記載します。
Step6:スプレッドシートに記録を追加する
「Add a row」を追加して、抽出したデータを管理シートの最終行に書き込みます。
「Add row」で「After last data row」を選択することで最終行に書き込まれ、「Add date by column」で書き込む列名(ヘッダー)とその書き込む内容(Step5の個別の変数)を定義します。
Step7:上司への報告メールを下書きする
最後に「Draft an email」を使って、上司(マネージャー)への報告メールのドラフトを自動作成します。
本文にはStep5で抽出した「上司への報告メッセージ(report_for_boss)」を記載します。また、件名などにはStep5で抽出した個別変数(メンバー名、開催日時など)を使い、上司が状況を一目で把握できるように工夫しましょう。
作成したエージェントが想定どおり動作するかテスト実行します。その前に事前に1on1の会議メモをフォルダに用意しておきます。今回はサンプルで佐藤さんとの1on1をイメージした会議メモファイルを用意しました。
次に「Test run」と「Start」をクリックし、エージェントを動かします。今回はファイル追加がトリガーであるため、テスト実行では「File」に既存のファイルを選択します。
テストの結果、エージェントが想定どおり正常に完了したことを確認できました。
スプレッドシートの確認: 事前準備したシートを開き、新しい行に「モチベーション」や「業務負荷」の数値、「要約」などが正しく書き込まれているか確認します。
メール下書きの確認: Gmailの「下書き」フォルダを開きます。上司宛の報告メールが、適切なトーンで作成されていれば全ての工程が完了です!
この仕組みを取り入れることで、リーダーは単なる「記録」や「報告」という事務作業から解放され、メンバーとの「対話」や「フォロー」という本来の役割に集中できるようになります。何より、数値化されたデータが蓄積されていくことで、「なんとなく」ではなく「データに基づいた兆し」を捉えられるのが最大の強みです。「最近、スコアが下がっているから早めに声をかけよう」といった先回りのアクションが、チームの信頼関係をより強固にします。
皆さんもぜひ、1on1の「やっただけ」を卒業し、一歩進んだスマートなチームビルディングを始めてみませんか?