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[GWSStudio100本ノック] 「やっただけ」の1on1を卒業!Google Meetの自動解析・数値化で「変化」を逃さないマネジメント術

作成者: XIMIX 秦|2026.01.26

はじめに

本記事は、Google Workspace Studio(旧Flows)の実践ノウハウを100本紹介する連載「Google Workspace Studio活用方法100本ノック」の一つとなります。  

こんにちは!現在チームリーダーをしていますが、メンバー一人ひとりと向き合う「1on1」の時間、実は「やっただけ」やっただけ」で終わってしまっていないか、ずっと気になっていました。

「話は盛り上がったけれど、結局次までに何をすればいいんだっけ?」 「記録が面倒で後回しにしているうちに、大事なニュアンスを忘れてしまった……」 「1on1をしたものの、その後の上司へのエスカレーションが疎かになっている……」

こうした「やりっぱなし」の課題を解決するために、GoogleMeetでの1on1の「会議メモ」から解析・数値化、上司への報告メール作成までを一貫して自動化し、マネジメントを圧倒的に効率化する仕組みを構築しました。

難易度 初心者向け
実現すること 1on1の「会議メモ」「文字起こし」をAIで自動解析し、記録の蓄積から上司への報告メール作成までを一貫して自動化。
想定する対象者 1on1がやりっぱなしになっていると感じているリーダー、チームメンバーの変化を可視化したい方
利用サービス Google Drive, Google SpreadSheets, Gmail

ユースケース

このエージェントを導入すると、単なる知識習得以上の効果が期待できます。

  • プロジェクトの振り返り(KPT)の自動整理
    • チームでの振り返りMTGの文字起こしを読み込ませることで、Keep(継続)/Problem(課題)/Try(次への挑戦)を自動で抽出します。議事録作成の時間を短縮し、チームの改善サイクルを加速させます。
  • OJT・メンター制度の状況可視化
    • 新入社員とメンターの定期面談を解析し、不安要素や教育の進捗を数値化します。現場リーダーが早期に状況を把握できるため、新人の離職防止や育成の質の向上に繋がります。
  • カスタマーサクセスのヒアリング分析
    • 顧客との商談やヒアリング内容を解析し、顧客の満足度や潜在的なニーズをスコアリングします。営業チーム内での情報共有がスムーズになり、提案の精度を高めることができます。

前提条件

今回のエージェントを作成するための前提条件は以下となります。Google Workspace Studioは2025年12月時点ではそれまではFlowsという名前で提供されていたサービスからリネームされたサービスかつまだ提供されて間もないため、このブログの内容が最新ではなくなる可能性があることをご了承ください
  • 利用環境:Google Workspace Studioにアクセスできるユーザーであること。
  • 利用アプリ:問題を管理する「Google スプレッドシート」と、通知先の「Google Chat」が使えること。
  • 社内ルール:1on1の会議内容をAIに渡す際の社内ポリシーや情報管理ルールを確認済みであること。

はじめに:Google Meetの「会議メモ」「文字起こし」とは

今回の自動化エージェントが分析を行うための「情報源となるのが、Google Meetの「会議メモ」「文字起こし」機能です。

会議メモは、AIが対話の内容をリアルタイムで要約し、重要なポイントをまとめてくれる機能です。一方、文字起こしは、発言を一言一句テキストとして記録してくれます。1on1を開始する際にこれらを有効にすると、会議終了後に「会議メモ(文字起こし付き)」のファイルがドライブ内の「マイドライブ」-「Meet Recordings」フォルダへ自動的に保存されます。

今回のフローでは、このフォルダに新しいファイルが置かれたことをきっかけとして、Geminiが自動でその中身の解析をスタートさせる仕組みになっています。

エージェントの全体図

前述のとおり、会議メモのファイルは主催者のGoogleドライブに配置され。これをトリガーに、Geminiが内容をリーダー視点で解析し、スプレッドシートへの記録と上司への報告メール作成までを自動で行います。

事前準備

エージェントを構築する前に、まずは解析結果を記録するGoogle スプレッドシートを作成しておきましょう。あらかじめヘッダーを準備します。

作成するシートの項目例:

  • 開催日時
  • メンバー名
  • モチベーション
  • 業務負荷
  • 要約
  • ネクストアクション
  • 次回確認事項
  • 上司への報告文

Google Workspace Studioへのアクセス

Google Workspace Studio にアクセスし、エージェントを作成していきます。エージェントの作成はWorkspace Studioのトップページから、左上の「+」ボタンより「New agent」をクリックします。

フローの作成

Step1:ファイルの追加をトリガーにする

Starterとして「When an item is added to a folder」を設定します。Folderに会議メモの保存先であ「マイドライブ」-「Meet Recordings」フォルダを指定します。このフォルダにファイルが追加されたことがエージェントの起動スイッチになります。

Step2:Geminiで1on1のファイルか判断する

フォルダ内のすべてのファイルに反応しないよう、「Decide」を追加し、Step1のファイルに対してGeminiに「このファイルはこのファイルは1on1の「会議メモ」や「文字起こし」ですか?」と問いかけます。というのも、1on1以外の会議メモも追加されることがあるため、このフローの対象のファイルであるかを判断させます。

Step3:Check ifで実行可否を判定する

ここで「Check if」を追加して、Step2の問いが TRUE の場合のみ、次の解析ステップに進むように制御します。「Check if」を使って条件分岐を作ることで、関係ないファイルによる誤作動を防ぎます。

Step4:Geminiで内容を解析する

メインタスクです。「Ask Gemini」を追加してプロンプトを入力し、リーダー視点での深い解析をGeminiに依頼します。

​​これは、チームリーダーである私とメンバーとの1on1の「会議メモ」および「文字起こし」です。
リーダーとして、メンバーが自律的に動けるようサポートし、現場の小さな変化に気づくための解析をお願いします。

### 解析のポイント
1. 【開催日時】
2. 【メンバー名】
3. 【モチベーション】: 1(元気がない)〜5(意欲的)の数値(例:5 (意欲的))
4. 【業務負荷】: 1(余裕あり)〜5(パンパン)の数値(例:3(ぼちぼち))
5. 【要約】: 今日どんな悩みや進捗を共有し合ったか、リーダー視点で100文字程度でまとめて。
6. 【ネクストアクション】: 次回までに「メンバーがやること」と「リーダーの私が助けること」を明確に。
7. 【次回確認すべきこと】: 今回の未解決事項や、次回フォローすべき点を何点かピックアップして。
8. 【上司への報告メッセージ】: 1on1の状況が伝わる報告文を箇条書きで作成して。あいさつ文は不要。

### 1on1 文字起こしテキスト
[Step1の会議メモリンク]

Step5:解析結果から情報を抽出する

「Extract」を使って、Step4で得られた回答から必要なデータ(モチベーション、業務負荷、要約、上司への報告文など)を個別の変数として抜き出します。

  • 「Content」:Step4でGeminiに問い合わせた回答を設定
  • 「What to extract」:Geminiが検索するコンテンツとそのコンテンツ(変数)名を設定

たとえば「モチベーション」のスコアを抽出する場合は「Description for Gemini」に「【モチベーション】の数値」と記載します。

Step6:スプレッドシートに記録を追加する

「Add a row」を追加して、抽出したデータを管理シートの最終行に書き込みます。

「Add row」で「After last data row」を選択することで最終行に書き込まれ、「Add date by column」で書き込む列名(ヘッダー)とその書き込む内容(Step5の個別の変数)を定義します。

Step7:上司への報告メールを下書きする

最後に「Draft an email」を使って、上司(マネージャー)への報告メールのドラフトを自動作成します。

本文にはStep5で抽出した「上司への報告メッセージ(report_for_boss)」を記載します。また、名などStep5で抽出した個別変数(メンバー名、開催日時など)を使い、上司が状況を一目で把握できるように工夫ましょう。

実行テスト

作成したエージェントが想定どおり動作するかテスト実行します。その前に事前に1on1の会議メモをフォルダに用意しておきます。今回はサンプルで佐藤さんとの1on1をイメージした会議メモファイルを用意しました。

次に「Test run」と「Start」をクリックし、エージェントを動かします。今回はファイル追加がトリガーであるため、テスト実行では「File」に既存のファイルを選択します。

テストの結果、エージェントが想定どおり正常に完了したことを確認できました。

スプレッドシートの確認: 事前準備したシートを開き、新しい行に「モチベーション」や「業務負荷」の数値、「要約」などが正しく書き込まれているか確認します。

メール下書きの確認: Gmailの「下書き」フォルダを開きます。上司宛の報告メールが、適切なトーンで作成されていれば全ての工程が完了です!

まとめ

この仕組みを取り入れることで、リーダーは単なる「記録」や「報告」という事務作業から解放され、メンバーとの「対話」や「フォロー」という本来の役割に集中できるようになります。何より、数値化されたデータが蓄積されていくことで、「なんとなく」ではなく「データに基づいた兆し」を捉えられるのが最大の強みです。「最近、スコアが下がっているから早めに声をかけよう」といった先回りのアクションが、チームの信頼関係をより強固にします。

皆さんもぜひ、1on1の「やっただけ」を卒業し、一歩進んだスマートなチームビルディングを始めてみませんか?