はじめに
「最近、アカウント乗っ取りのニュースをよく聞くけど、自社の Google Workspace は大丈夫だろうか?」 「パスワードだけだと不安…もっと セキュリティ強化 したい」 「二段階認証 ってよく聞くけど、具体的にどういう仕組みで、どうやって設定すればいいの?」
クラウドサービスの利用が当たり前になった現代において、アカウントの セキュリティ強化 は企業にとって喫緊の課題です。特に Google Workspace のように、メール、ファイル、スケジュールなど、企業の重要な情報が集約されているサービスでは、万が一アカウントが 不正ログイン されると、その被害は計り知れません。
パスワードによる認証は基本ですが、残念ながらパスワードだけでは十分とは言えない状況になっています。そこで、不正ログイン対策 の強力な切り札となるのが「Google Workspace 二段階認証プロセス(2段階認証プロセス、2要素認証とも呼ばれます)」です。
この記事では、Google Workspace の管理者やセキュリティ担当者、そして セキュリティ 意識の高いユーザーの方向けに、二段階認証 とは何か、なぜそれほど重要なのか、利用できる認証方法の種類、そして基本的な設定方法について、入門レベル で分かりやすく解説します。
二段階認証プロセス(2要素認証)とは何か?
まず、「二段階認証プロセス」の基本的な仕組みを理解しましょう。これは、アカウントにログインする際に、パスワードに加えて、もう一つ別の要素 を使って本人確認を行う セキュリティ の仕組みです。
認証に使われる要素は、大きく以下の3種類に分類されます。
- 知識情報: 本人だけが知っている情報(例:パスワード、PINコード、秘密の質問)
- 所持情報: 本人だけが持っているモノ(例:スマートフォン、セキュリティキー、ICカード)
- 生体情報: 本人固有の身体的特徴(例:指紋認証、顔認証、虹彩認証)
二段階認証プロセス(より厳密には2要素認証)は、これらの異なる種類の要素を2つ組み合わせて認証を行います。例えば、「パスワード(知識情報)」に加えて、「スマートフォンに送られてくる確認コード(所持情報)」を入力する、といった具合です。
なぜパスワードだけより安全なのか?
もし悪意のある第三者にパスワードが知られてしまっても、二段階認証プロセス を設定していれば、もう一つの要素(例えば、あなたのスマートフォン)がなければログインできません。これにより、不正ログイン の成功率を劇的に下げることができるのです。
多要素認証(MFA)との関係
二段階認証プロセス は、2つの要素を使う認証方式ですが、2つ以上の要素で認証することを「多要素認証(MFA: Multi-Factor Authentication)」と呼びます。二段階認証プロセス は、多要素認証の一種と考えることができます。
なぜ Google Workspace で二段階認証プロセスが不可欠なのか?
Google Workspace 環境において、二段階認証プロセス の導入は、「推奨」ではなく「必須」です。その理由は以下の通りです。
- クラウドにおけるアカウント乗っ取りリスク: クラウドサービスはインターネット経由でアクセスできる利便性がある反面、常に 不正ログイン の脅威に晒されています。二段階認証 は、そのリスクに対する非常に効果的な防御策です。
- 機密情報へのアクセス保護: Google Workspace には、企業の経営に関わるメール、顧客情報、開発資料など、極めて機密性の高い情報が保管されています。これらの情報を確実に保護するために、セキュリティ強化 が不可欠です。
- フィッシング詐欺などへの対策: 巧妙なフィッシング詐欺によってパスワードが盗まれるケースが増加しています。二段階認証 は、たとえパスワードが漏洩したとしても、アカウントへのアクセスを防ぐ最後の砦となります。
- 企業の信頼性と事業継続性: セキュリティインシデントは、顧客や取引先からの信頼を失墜させ、最悪の場合、事業継続にも影響を及ぼします。二段階認証 の導入は、企業の信頼性を守る上でも重要です。
Google Workspace で利用できる主な二段階認証の方法【入門】
Google Workspace では、ユーザーの利便性や セキュリティ 要件に合わせて、複数の 二段階認証 方法が用意されています。入門 として、主な方法とその特徴を理解しておきましょう。
- Google からのメッセージ(Google Prompt):
- 仕組み: ログイン試行時に、登録済みのスマートフォンに「ログインしようとしていますか?」という通知が表示され、「はい」をタップすることで認証します。
- 特徴: Google 推奨の方法の一つ。コード入力の手間がなく、比較的簡単で安全です。スマートフォンがインターネットに接続されている必要があります。
- テキストメッセージ(SMS)または音声通話:
- 仕組み: 登録した携帯電話番号に、SMSまたは自動音声通話で6桁の確認コードが送られてきます。そのコードを入力して認証します。
- 特徴: スマートフォンがなくても、携帯電話が使える環境であれば利用可能。ただし、SMSの盗聴やSIMスワップ詐欺のリスクも指摘されており、他の方法に比べると セキュリティ 強度はやや劣るとされます。
- Google 認証システム(Authenticator App):
- 仕組み: スマートフォンに Google 認証システム などの認証アプリをインストールし、アカウントと連携させます。アプリが数十秒ごとに生成する6桁のワンタイムパスワード(TOTP)を入力して認証します。
- 特徴: オフラインでもコードを生成できるため、電波の届かない場所でも利用可能。SMSより安全性が高いとされています。
- セキュリティ キー:
- 仕組み: USBポートに挿したり、NFCやBluetoothで接続したりする物理的なキーデバイスです。ログイン時にこのキーを接続・タッチすることで認証します。
- 特徴: 最も安全性が高い方法の一つ。フィッシング詐欺に非常に強く、物理的なキーがなければ認証できないため、オンラインでのコード漏洩リスクがありません。デバイスの購入と管理が必要です。
- バックアップ コード:
- 仕組み: 上記の認証方法が利用できない(スマートフォン紛失など)場合に備えて、事前に発行・印刷しておく1回使い切りの予備コードです。
- 特徴: 緊急時のための重要な手段。安全な場所に保管しておく必要があります。
管理者 は、組織としてどの認証方法を許可するかを 管理コンソール で設定できます。ユーザーは、許可された方法の中から自分で利用するものを選択・設定します。
管理者向け:二段階認証プロセスを有効化・強制する方法(管理コンソールの基本)
Google Workspace の管理者は、管理コンソール を通じて組織全体の 二段階認証プロセス の設定を管理・強制することができます。入門 として基本的な設定の流れを把握しましょう。
- Google Workspace の特権管理者アカウントで 管理コンソール (admin.google.com) にログインします。
- 左側のメニューから [セキュリティ] > [認証] > [2段階認証プロセス] を選択します。
- [ユーザーが 2 段階認証プロセスを有効にできるようにする] チェックボックスをオンにします。(これが基本です)
- 強制設定: 組織全体または特定の組織部門(OU)に対して 二段階認証プロセス の利用を強制する場合、以下の設定を行います。
- 適用の開始: いつから強制するか([今すぐ適用を開始] または [指定した日付以降に適用を開始])を選択します。新規導入時は、猶予期間を設けるのが一般的です。
- 新しいユーザーの登録期間: 2 段階認証プロセスが適用される前に新しいユーザーが登録を行うための期間を設けることができます。
- 頻度: 信頼できるデバイスでログイン時の 2 回目以降の 2 段階認証プロセスを省略可にできます。
- 許可される方法: 組織として利用を認める認証方法を選択します。セキュリティ 要件に応じて、例えば「セキュリティ キーのみ」といった厳しい制限も可能です。
これらの設定は、組織部門(OU)ごとに柔軟に適用できるため、例えば特定の部署や役職のユーザーにのみ強制するといった運用も可能です。
ユーザー向け:二段階認証プロセスの設定手順(概要)
管理者によって 二段階認証プロセス が許可または強制されると、各ユーザーは自身で設定を行う必要があります。
- 自分の Google アカウント設定画面 (https://myaccount.google.com/security) にアクセスします。
- 「Google へのログイン」セクションにある「2段階認証プロセス」をクリックします。
- 画面の指示に従って、パスワードで再認証した後、「利用を開始する」をクリックします。
- 利用したい 二段階認証 の方法(電話番号、認証アプリ、セキュリティキーなど)を選択し、画面の指示に従って設定を完了させます。複数の方法を登録することも可能です。
- 重要: 設定完了後、必ず「バックアップ コード」を表示・ダウンロードし、印刷するなどして安全な場所に保管してください。
二段階認証プロセス導入・運用上の注意点
二段階認証プロセス は強力な セキュリティ強化 策ですが、導入・運用にあたっては以下の点に注意が必要です。
- 従業員への十分な事前説明とサポート: なぜ 二段階認証 が必要なのか、具体的な設定方法、利用時の注意点などを、事前に丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。特にITリテラシーに不安のある従業員には、個別のサポートや説明会が必要です。
- 認証方法の選択肢: 可能であれば、複数の認証方法(例:Google Prompt と 認証アプリ)を許可し、ユーザーが自身の状況に合わせて選択できるようにすると、利便性が向上します。
- バックアップコードの管理徹底: バックアップコードの重要性と、紛失しないよう安全に保管する必要性を繰り返し周知します。
- デバイス紛失・機種変更時の対応: スマートフォンを紛失したり機種変更したりした場合の、二段階認証 の再設定手順や管理者への連絡フローを事前に整備しておく必要があります。
- 定期的な設定状況の確認: 管理者は、定期的に組織内の 二段階認証プロセス の設定状況を確認し、未設定のユーザーへの督促やサポートを行います。
XIMIX によるセキュリティ強化と導入支援
Google Workspace 二段階認証プロセス の導入は、計画的に進める必要があります。特に、全社的な強制適用を行う場合、従業員への周知徹底や設定サポート、問い合わせ対応など、管理者には相応の負荷がかかります。
私たち XIMIX (NI+C) は、Google Cloud および Google Workspace のプレミアパートナーとして、二段階認証プロセス をはじめとする各種 セキュリティ強化策の導入プロジェクトを数多く支援してまいりました。
- 導入計画の策定支援
- 従業員向け説明会・トレーニング・マニュアル作成
- 管理コンソールの最適な設定代行
- セキュリティキーの選定・導入支援
- パスワードポリシー設定や他のセキュリティ機能との連携提案
- 導入後の運用サポート・ヘルプデスク
など、お客様の状況や セキュリティ ポリシーに合わせた最適な導入プランをご提案し、スムーズな展開と定着化をサポートします。NI+Cとしての豊富な実績と セキュリティ に関する深い知見に基づき、貴社の セキュリティ強化 を力強くバックアップします。
Google Workspace の二段階認証プロセス導入や、その他セキュリティ対策についてお困りのことがあれば、ぜひ XIMIX にご相談ください。
XIMIXのGoogle Workspace 導入支援についてはこちらをご覧ください。
※Google Workspace については、こちらのコラム記事もご参照ください。
改めて知りたい「Google Workspace とは」- 機能・メリット・活用法をDX視点で解説
グループウェアの進化がDXを加速する - Google Workspaceに見る次世代の働き方
Google Workspace導入コストを徹底解剖!ライセンスから運用まで費用全体を把握
まとめ
Google Workspace 二段階認証プロセス は、パスワード漏洩による 不正ログイン リスクを大幅に低減し、企業の重要な情報を守るための必須の セキュリティ強化 策です。
この記事では、二段階認証 の基本的な仕組み、その重要性、Google Workspace で利用できる主な認証方法、そして管理者・ユーザー双方の基本的な設定方法について解説しました。
パスワードと、スマートフォンやセキュリティキーといった「自分だけが持っているもの」を組み合わせることで、アカウントの セキュリティ は飛躍的に向上します。管理者による適切なポリシー設定と強制、そしてユーザー一人ひとりの正しい理解と設定・管理が、組織全体の セキュリティ を守る鍵となります。
まだ 二段階認証プロセス を導入されていない場合は、不正ログイン対策 の最重要項目として、ぜひ導入をご検討ください。設定や運用に不安がある場合は、Google のヘルプ情報を確認したり、私たち XIMIX のような専門家のサポートを活用することも有効です。