Google Cloud Next '24は、2024年4月9日から4月11日の3日間、アメリカ・ラスベガスのMandalay Bayにおいて開催されるGoogleのクラウドサービスに関する世界最大級のイベントです。開発者、エンジニア、IT専門家、業界リーダーが集結し、3日間にわたり技術の最前線を駆け巡ります。特に今年のイベントは、AI/ML(人工知能・機械学習)にフォーカスが当てられ、セッションの約4割がAI/ML関連となり、その最新情報が発表されることが強く期待されています。
私たち日本情報通信株式会社も、Google Cloudに精通した専門家として、技術イノベーションの最新動向を取り入れ、顧客に対するソリューション提供に活かしていくことを目指して参加しています。
このような貴重な機会ですので、現地からいち早くブログで最新情報や熱量を発信してまいります。
本記事ではopening keynoteの前半Vertex AIに関する発表まで解説します。
Google Cloud Next'24での発表される内容の全体像を把握できます。
また、今後のGoogle Cloudの方向性についても把握できます。
最初にGoogle Cloud CEOのトーマス・クリアン氏による挨拶が行われた後、サンダー・ピチャイ氏によるビデオメッセージがありました。メッセージとしては、昨年の夏サンフランシスコで行われたNextでは生成AIがどのようにビジネスを変革できるかを想像し始めたばかりでした。また、クラウドの年間売上高は360億ドルに達しており、これは5年間の稼働率の5倍に相当します。これらの要因として1つはAIへの投資が要因と話していました。
また、現在スタートアップ100社のうち60%以上がGoogle Cloudの顧客であるそうです。
プライベートプレビューのGemini 1.5 Proについても触れられており長いコンテキストの理解における画期的な機能を携えていると話していました。
それでは、具体的に発表された内容を記述していきます。
最初の発表は「 AI Hypercomputer」としてAIの学習などに最適化したアーキテクチャを保持しています。
その中で自社のTPUとNVIDIAのGPUをサポートし、TPUでは「TPU v5p」が一般提供になりました。各TPU v5pは8960個のチップで構成され、メモリとメモリ帯域などを強化したそうです。これらによって従来よりLLMのトレーニングが3倍高速になるそうです。
また、汎用コンピュータでは「Google Axion」を発表しました。こちらは同社初のArmベースのCPUになります。
このCPUは既にBigQueryやSpannerなどにも使われており、現行のx86インスタンスと比較して最大50%性能改善が見込めるそうです。さらに、消費電力も60%改善するそうです。
続いての発表はVertex AIに関する発表がいくつかありました。
①Vertex AI Model Garden
vertex AI ModelGardenでは130以上のモデルが選択できます。ユースケースの予算とパフォーマンスのニーズに最適なモデルを選択し、必要に応じてモデルを切り替えることが可能です。
②Gemini 1.5 Pro
Gemini 1.5Proがプレビュー版として利用できるようになりました。最大の特徴は何といってもトークン数かと思います。Gemini 1.5 Proだとトークン数は100万トークンまで利用できるようになり、1時間のビデオ、11時間の音声、30Kのコードを1回のプロンプトで扱えるようになりました。
この大きなトークンの使い道として大学の3000ページに及ぶ文章からデータの抽出に利用している、金融サービスを提供している企業が検索・分析・質問に利用しているなどの例がご紹介されていました。
③Claude 3
Claude 3がAnthropicとのパートナーシップ契約によりModel Gardenから利用可能になりました。現在利用できるのは「Claude 3 Sonnet」と「Claude 3 Haiku」でありこちらは一般提供可能となっています。
④CodeGemma
Gemini の作成に使用されたものと同じテクノロジーからコーディングするためにファインチューニングされた軽量なモデルとなっています。こちらもVertex AIで利用可能となりました。
⑤Grounding with Google Search
今までGroundingにはドキュメントやCSVなどのデータしか扱えませんでしたが新しくGoogle検索もGrounding対象として選択できるようになりました。
⑥Prompt Management
プロンプトを共同で管理できるツールをpreview版として提供します。こちらはプロンプトの変更の追跡やメモ、ステータスによりさまざまなプロンプトからの応答品質を比較できます。
⑦Rapid Evaluation
モデルと小規模なデータセットを評価します。ある応答が別の応答よりも優れている理由の説明を提供し、モデル精度の確実性スコアを迅速に評価できる機能を使用して、応答品質を評価および改善できます。あるイタリア最大の保険会社は、Vertex AI を使用してモデル評価パイプラインを構築しています。これにより、自社の ML チームがパフォーマンスを迅速に評価し、モデルをデプロイできるようになり、開発者全員が簡単にパフォーマンスを評価できるようになります。
⑧Vertex AI Agent Builder
今まであったVertex AI Search and Conversationが「Vertex AI Agent Builder」として拡張および名称変更されました。
また、新しい新機能として「Agent」というものが追加されています。LLMを使用して仮想エージェントを作成するための新しい方法になります。Dialogflow CX のフロー、ページ、インテント、遷移を定義する必要はなく、自然言語の説明と構造化データを用いてエージェントの作成を行います。
顧客のニーズを注意深く把握し類似したサービスや商品を提案します。
これらの機能の提供方法としてはWeb、モバイル、アプリ、コールセンターからのアクセスを可能にします。
また、機能の実装としてはVertex AI Agent Builderを利用した、デモ動画が披露されました。
デモでは、デモ用のECサイトに対して洋服の問い合わせを行い、提案してもらうというデモが披露されていました。また、Webサイトだけでなく電話での問い合わせで検索から商品購入までの流れが説明されていました。
オープニングはど派手な演出から始まりました!
まるでアーティストのライブ会場にいる雰囲気でこちらもテンションが上がりました!
やっぱりスケールが日本と違うなと感じました。
オープニングからVertex AI関連までの発表内容まとめでした。今回は特にVertex AIなどの生成AIに関する発表が多かったかと思います。
前半ピチャイ氏の発表にもあった通り、生成AIを活用したビジネスがだいぶ浸透してきているのかなと感じています。少なくともここ2~3年ぐらいは生成AIを中心としたビジネスが中心になってくるのではと発表を見て感じました。
この流れに遅れを取らないように自分たちも生成AIファーストでのビジネス展開をしていかないといけないなと改めて感じました。
また、今回の発表を通じて様々なソリューションにおいて生成AIが使われてくると感じています。これを機会に「生成AIでどんなことができるのか知りたい!」などありましたらご気軽にご相談ください!
Google Cloud、Google Workspaceに関する お問い合わせはこちら
XIMIX®は日本情報通信株式会社が所有する登録商標です。(商標登録第6755234号)