本記事は、Google Workspace Studio(旧Flows)の実践ノウハウを100本紹介する連載「Google Workspace Studio活用方法100本ノック」の一つとなります。
今回は、チームリーダーやプロジェクトマネージャーがWBS(進捗管理表)をいちいち確認しに行く手間や、メンバーによるタスクの着手漏れを減らし、全員がより本質的な業務に集中出来るようにすることが目的です。
WBSの「ステータス」が「完了」になっていないかつ「完了予定」が昨日以前のものを洗い出し、その作業内容を自動でGoogle Chatへ通知するシンプルな仕組みを整え、チームの状況把握の手間を解消していきます。
| 難易度 | 初心者向け |
| 実現すること | WBSをわざわざ見に行って遅れを洗いださなくとも、毎日設定した時間に遅れているタスク内容が通知され、チーム全体の進捗を簡単に把握できるようになります |
| 想定する対象者 | プロジェクトの進捗遅延やタスクの漏れを早期に検知したいチームリーダーやPM |
| 利用サービス | Googleスプレッドシート, Google Chat |
今回作成するエージェントの代表的なユースケースとしては以下のようなことが考えられると思います。
今回作成したエージェントは計4ステップで構成されています。
スターターとしてスケジューラーを設定し、ステップ2で「完了」になっていない行を取得、ステップ3でそれらを加工しステップ4でChatに送信する、という流れです。
エージェント作成前に、あらかじめ下記のようにスプレッドシート内に表を用意しておきます。下記を満たすように記載してください。
スプレッドシートの準備が終わったら、エージェントを作成していきます。まず、Workspace Studioのトップページから、左上の「+」ボタンより「New agent」をクリックします。
今回作成するエージェントは定期的に実行されるようにしたいので、エージェントの編集画面の「Starter」から「On a schedule」を選択し、Start date and timeに開始する日付と時間・Repeatに繰り返し間隔・Endsにどの程度の期間まで有効にするかを設定します。今回は毎朝10時に起動、1年間有効にしました。
Step2では「Get sheet contents」を選択し、先ほど用意したスプレッドシートを選択します。
「Find rows to get values from」には、データ取得する行の条件を設定します。今回の場合、「ステータス」列が「完了」でないもの、つまり「未実施」もしくは「対応中」のものを取得するようにしたいので、下画像のように設定しました。
次に、「Actions」から「Ask Gemini」を選択します。
ここでは、Step2で取得した「ステータス」が「完了」ではない行から、さらに「完了予定」が昨日以前のものを抽出し、その結果を「タスク内容」列の値でリストアップします。+Variablesボタンを押すことで、以前のStepで取得した値を扱うことが出来るので、それを利用しGeminiに画像の通り簡単な指示を与えます。
最後にStep4でChatで通知を行います。期限超過している旨を示す簡単なメッセージと、Step3同様+Variablesを使用しStep3でGeminiが生成した超過タスク一覧をそのままメッセージに渡します。
以上が構築手順です。
作成したエージェントは画面下部の「Test run」をクリックし、「Start」を押してテスト実行します。
今回はこの状態のシートで実行します。実行日付は12/25なので、計6行が結果として通知される想定です。
結果がこちらです。想定通り、「完了」ではないかつ「完了予定」が昨日以前のタスク内容が一覧でChatで送られてきました。
WBSの中で「期限が過ぎているのに未完了」のタスクを毎日自動で洗い出し、Google Chatへ通知する仕組みを組むことで、プロジェクトの停滞やリマインド漏れを一気に減らせます。
Google Workspace Studioなら、スターターにスケジュール(時間指定)、アクションにスプレッドシートの行抽出とChat通知を組み合わせるだけで、毎朝のチェック業務を数分で自動化することが可能です。
まずはこのデイリー通知を導入し、チーム全員が「今日優先すべきこと」を迷わず把握できる環境を整えたうえで、さらに一歩進んだ進捗管理の自動化にも挑戦していきましょう。