本記事は、Google Workspace Studioの実践ノウハウを100本紹介する連載「Google Workspace Studio活用方法100本ノック」の一つとなります。
今回は、Google Workspace Studioから複数のNotebookLMに質問を送り、それぞれ異なる視点からの回答を集めたうえで、最終的な判断材料をGoogle Chatに返すエージェントを作成します。
財務、感情、批判といった異なる観点を持つNotebookLMを用意し、1つの相談に対して多角的な回答を得るマギシステムのような「合議制」の仕組みを実装します。
| 難易度 | 初心者向け |
| 実現すること | 3つのNotebookLMに同じ質問を投げ、それぞれの回答を統合した結果を得ることができます |
| 想定する対象者 | Google Workspace StudioとNotebookLMを組み合わせた活用を検討中の人 |
| 利用サービス | Gemini, Google Chat, NotebookLM |
今回作成するエージェントの代表的なユースケースとしては以下のようなことが考えられると思います。
今回作成したエージェントは6ステップとなっておりますが、構成としてはシンプルになっています。
開始条件として「チャットでメッセージを受信したとき」を設定し、ワークフロー用の個別チャットスペースに特定の文言がメッセージに含まれているときだけエージェントが実行されるようにしています。
続くアクションでは、3回連続で「NotebookLMに質問」を実行します。そして、「Geminiに相談」ステップでNotebookLMから来た返答内容をもとに合議して統合判断を生成させます。最終的に「Chatで通知する」ステップで最終回答をGoogle Chatへ通知するような作りとしています。
まず、NotebookLMで以下の3つのNotebookを作成します。
| 役割 | 視点 |
| ファイナンス担当 | 現実・数字・キャッシュフロー |
| メンタル・ライフコーチ担当 | 幸福・感情・価値観 |
| 悪魔の代弁者 | 批判・リスク・反論 |
ポイントは、1つのNotebookに複数の人格を詰め込むのではなく、1人格につき1Notebookとして分けることです。これにより、各Notebookの役割が明確になり、回答の観点も分離しやすくなります。
1つ目は、財務・数字・リスク管理を重視するNotebookです。
NotebookLMのFast Researchに以下の内容を検索して3つの視点をもとにしたソースを収集します。
そして、ソースを追加の「コピーしたテキスト」を利用して以下の内容を追加します。
あなたはファイナンス担当です。
専門領域は、個人の財務戦略、キャッシュフロー管理、リスク管理です。
回答では、希望的観測を避け、数字・費用・収入・リスクを重視してください。
相談者の価値観や目標は、登録済みソースを参照してください。
必ず以下の観点を含めてください。
- 金銭的なメリット
- 金銭的なデメリット
- 中長期のキャッシュフローへの影響
- 最悪の場合に起こり得る金銭的リスク
- 判断前に確認すべき数字
上記の作業を実施することで以下のようなNotebookが作成できたと思います。ここから残りの2つも作成していきます。
2つ目は、幸福度・精神的負荷・価値観との整合性を重視するNotebookです。
NotebookLMのFast Researchに以下の内容を検索して3つの視点をもとにしたソースを収集します。
そして、ソースを追加の「コピーしたテキスト」を利用して以下の内容を追加します。
あなたはメンタル・ライフコーチ担当です。
専門領域は、精神的幸福度、ワークライフバランス、価値観整理です。
回答では、経済的な損得だけでなく、相談者の心身の負荷、生活の充実度、長期的な幸福度を重視してください。
相談者の価値観や目標は、登録済みソースを参照してください。
必ず以下の観点を含めてください。
- 精神的な負荷
- 生活リズムへの影響
- 相談者の価値観との整合性
- 後悔しにくい選択かどうか
- 前向きに決断するための補足
3つ目は、批判・反論・見落としリスクを担当するNotebookです。
NotebookLMのFast Researchに以下の内容を検索して3つの視点をもとにしたソースを収集します。
そして、ソースを追加の「コピーしたテキスト」を利用して以下の内容を追加します。
あなたは悪魔の代弁者です。
専門領域は、批判的思考、リスク分析、失敗シナリオの洗い出しです。
回答では、相談者の案に対して意図的に反論し、見落としているリスクや都合よく解釈している点を指摘してください。
安易な賛同は不要です。
必ず以下の観点を含めてください。
- この判断が失敗する可能性
- 見落としている前提
- 都合よく解釈している情報
- 最悪のシナリオ
- 判断を保留すべき条件
これで3つのNotebookの用意が完了したので、Workspace Studioの画面でエージェントを作成していきたいと思います。
開始条件で「チャットメッセージを受信したとき」を選択して、特定のユーザーからを選択します。今回は送信者には私(Yudai Imai)、会話の種類は「スペースと名前付きグループDM」、スペースは今回作成したエージェントワークフロー用の個別チャットスペースである「人生相談フロー(マギシステム)」を選択します。そして、特定の文言にのみ反応するようにしたいのでメッセージに次を含むには「!相談」を入れるようにしました。
最初のアクションでは「NotebookLMに質問」を選択して、ノートブックには「ファイナンス担当」を選択します。そして、プロンプトを入力の欄に以下の内容を入力します。[]で囲まれた項目は変数から追加するようにしてください。
以下の私の悩み・決断事項について、あなたの専門的視点から意見を述べてください。 決断事項:
[ステップ 1: メッセージテキスト]
次のアクションも「NotebookLMに質問」を選択して、ノートブックには「メンタル・ライフコーチ担当」を選択します。そして、プロンプトを入力の欄に以下の内容を入力します。[]で囲まれた項目は変数から追加するようにしてください。
以下の私の悩み・決断事項について、あなたの専門的視点から意見を述べてください。 決断事項:
[ステップ 1: メッセージテキスト]
続いてのアクションも「NotebookLMに質問」を選択して、ノートブックには「メンタル・ライフコーチ担当」を選択します。そして、プロンプトを入力の欄に以下の内容を入力します。[]で囲まれた項目は変数から追加するようにしてください。
以下の私の悩み・決断事項について、あなたの専門的視点から意見を述べてください。 決断事項:
[ステップ 1: メッセージテキスト]
ここまでのNotebookLMに質問した結果を統合して合議した結果を生成するステップを作成します。「Geminiに相談」ステップを作成し、プロンプトを入力の欄に以下の内容を入力します。[]で囲まれた項目は変数から追加するようにしてください。Geminiが使用できるソースのチェックは外して、回答の形式はテキストを選択しておきます。
あなたは私の意思決定を統合し、最終的な道筋を示す議長です。以下の3名の専門家の意見を分析し、最終的な結論(GOか、NO-GOか、あるいは第3の選択肢か)と、その理由を提示してください。
【財務の視点】
[ステップ 2: NotebookLMによって作成されたコンテンツ]
【幸福の視点】
[ステップ 3: NotebookLMによって作成されたコンテンツ]
【最悪の想定】
[ステップ 4: NotebookLMによって作成されたコンテンツ]
出力形式:
1. 総合判定(承認 / 却下 / 条件付き承認)
2. 3者の意見の対立点と共通点の整理
3. 最終判定の決定的な理由
4. 私が今週中に取るべき具体的な最初のアクション
最後にChatに合議した結果を連携する「Chat で通知する」ステップを作成して、メッセージの欄に変数から「ステップ 5: Geminiで生成されたコンテンツ」を選択しておきます。
作成したエージェントを有効化します。エージェントの下部に存在している「オンにする」のボタンを押してエージェントを有効化します。
個別チャットで「!相談 週末に資格試験の勉強をするか、家族との予定を優先するかで悩んでいます。」と入力して、どのような返答が返ってくるかを確認してみます
2分ほど待ったら以下のような回答がエージェントから返信が来ました。0か100かではなく両立を目指しなさいというアドバイスをくれましたね。
現状の生成AIの動きの癖やプロンプトでそこまで強く縛っていないこともあるので折衷案のような内容が回答として得られやすいという傾向があるものの、ユースケースによってはそれなりに有用な回答が得られるのはないかと思います。
今回は、Google Workspace Studio、NotebookLM、Gemini、Google Chatを組み合わせて、3つの異なる視点から相談内容を分析する合議制エージェントを作成しました。
NotebookLMごとにソースと役割を分けることで、単一の回答では見落としがちな財務面、感情面、リスク面をバランスよく確認できます。最終的な判断を自動化するというよりも、意思決定の前に複数の観点を整理する支援役として活用するのがポイントです。
まずは身近なテーマを1つ選び、3つのNotebookLMに異なる役割を持たせるところから試してみてください。