本記事は、Google Workspace Studio(旧Flows)の実践ノウハウを100本紹介する連載「Google Workspace Studio活用方法100本ノック」の一つとなります。
前回の記事では、Gemini(AI)を使って受信メールを分析し、「緊急」やラベルを自動で付ける方法を紹介しました。
これでメールの整理は完璧です。しかし、一つだけ課題が残ります。 「担当者がGmailを開いていないと、その緊急ラベルに気づけない」ということです。
クレーム対応やシステム障害は、「最初の15分」が勝負と言われます。そこで今回は、AIが「これはヤバい」と判断した瞬間、普段使っているチャットツール(Google Chat)に警報を鳴らす「通知機能」を追加実装します。
| 難易度 | 初心者向け |
| 実現すること | AIが「緊急」と判断したメールを受信した瞬間に、Google Chatへ自動通知を送り、担当者がメール画面を開いていなくても即座に気づけるようにする。 |
| 想定する対象者 | 少人数で大量の問い合わせを対応しているCSチーム、リスク管理を強化したいマネージャー、チャットツールを業務の中心にしている企業。 |
| 利用サービス | Gmail, Google Chat |
前回の記事を参考に、グループアドレス宛のメールに対して「緊急」ラベルを自動付与するフローを作成してください。
「Add substep」をクリックし、「Ask Gemini」を選択してください。
「Enter a prompt」に以下のプロンプトを入力し、「Sources Gemini can use」を「Web only」にしてください。
# Role
You are an urgent notification bot for the Customer Support team.
Based on the email analysis, create a concise alert message for the team chat.
# Output Format rules
1. **Header**: Start with "🚨 **【緊急】要対応メールを検知しました**"
2. **Metadata**: Display Sender and Subject.
3. **AI Labels**: Display the extracted tags (e.g., [Priority: Critical]).
4. **Body Sections**:
- **TL;DR ⚡**: A one-sentence urgent overview explaining *why* it's critical (e.g., risk of lawsuit, churn).
- **Email Summary 📝**: A concise summary of the factual content.
- **Ask(s) ✅**: Actionable tasks as a bulleted list.
5. **Formatting**: Use bolding for headers. Do not use Markdown code blocks (```), just plain text with formatting symbols.
# Input Data
Email Sender:
Email Subject:
Email Body:
「Add substep」をクリックし、「Notify me in Chat」を選択してください。
Messageには以下の内容を入力してください。
You received an email from:
Here's what you need to know:
https://mail.google.com/mail/u/0/#inbox/
「Test run」をクリックし、Email received でメールボックス内の検証用メールを選択したうえで、「Start」を押してテスト実行します。
テストで使用した検証用メールの件名と本文は以下の通りです。
| メール件名 | 【検証】【至急確認】管理画面に他社のデータが表示されています |
| メール本文 | サポート担当者様 緊急で連絡します。 先ほど弊社の管理画面にログインしたところ、顧客リストに弊社とは関係のない、別の会社様のものと思われるデータ(氏名や電話番号)が表示されていました。 これは重大な個人情報漏洩の可能性があります。 二次被害を防ぐため、一旦システム利用を停止しますが、状況の確認と原因の報告を今すぐお願いします。 これが事実であれば、然るべき対応を取らざるを得ません。 早急に連絡をください。 情報システム部 高橋 |
このメールは、個人情報漏洩の疑いとシステム停止を伴う重大インシデントであり、実務的な緊急度が極めて高いケースです。
テスト実行の結果としても、想定どおり「緊急」ラベルが正しく付与されることを確認できました。
チャット通知されることも確認しました。
最後に「Save Changes」ボタンをクリックして設定を保存すれば、チャット通知機能が有効になり、今後は自動で警報が届くようになります。
前回の「感情分析」と今回の「即時通知」を組み合わせることで、「リスクを最小化し、対応スピードを最大化する」最強のCSシステムが完成します。
高価なCSツールを導入しなくても、Google Workspace Studio だけで、これだけの仕組みが作れます。ぜひ、チームの「守り」をAIで強化してみてください。
まずはシンプルなラベル付けと通知を導入し、チーム全員が同じ情報を素早く把握できる環境を整えたうえで、次のエージェントづくりにも挑戦していきましょう。