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[Flows100本ノック] 未読のメールを確認して「今日の要対応メール」サマリーとして連携するフローを作成してみた

作成者: Yudai Imai|2025.12.03

はじめに

本記事は、Google Workspace Flowsの実践ノウハウを100本紹介する連載「Google Workspace Flows活用方法100本ノック」の一つとなります。  

今回は、日々増えていく未読メールの中から重要なものだけを拾い上げ、「今日対応すべきメール」のサマリーを自動で受け取れる仕組みを作ります。重要度判定をGeminiに任せ、必要なメールだけをGoogle Chatへ通知することで、朝一番の確認作業や外出時のキャッチアップを効率化しましょう。

難易度 初心者向け
実現すること 未読メールの重要度をAIで判定し、要対応メールだけをまとめたサマリーを自分向けに通知してくれるため、毎朝のメール確認が楽になります
想定する対象者 受信トレイにメールが溜まりがちな人
利用サービス Gmail, Google Chat

ユースケース

今回作成するフローの代表的なユースケースとしては以下のようなことが考えられると思います。

  • 営業チームの朝礼前キャッチアップ
    • 夜間や外出中に溜まった未読メールから重要度が高いものを抽出し、商談やフォローが必要な案件だけを朝のうちに把握することができます。
  • サポート担当の優先順位付け
    • 未読チケットのうち緊急度が高い問い合わせをリスト化し、対応順序を可視化。チーム内で共有しやすくなります。
  • マネージャーの状況把握
    • チーム宛てに届く未読メールを要約して通知することができます。そのため、承認依頼や重要報告に対して素早くアクションを取れます。

前提条件

今回のフローを作成するための前提条件は以下となります。Google Workspace Flowsは2025年12月時点ではGemini Alphaプログラムのユーザーのみが利用できるサービスかつまだ提供されて間もないため、このブログの内容が最新ではなくなる可能性があることをご了承ください。
  • 利用環境:Google Workspace Flows(Gemini Alphaプログラム対象テナントで提供)にアクセスできるユーザーであること。
  • 利用アプリ:Gmailで対象メールが受信でき、通知先のGoogle Chatスペース(またはDM)が事前に用意されていること。
  • 社内ルール:メール内容をAIに渡す際の社内ポリシーや情報管理ルールを確認済みであること。

フローの全体図

今回作成したフローは3ステップのシンプルな構成となっています。

スターターとして「On a schedule」を設定し、毎日決まった時間にフローが実行されるようにしています。

続くアクションでは、まずGeminiの「Recap unread emails」ステップで未読メールを調査して要約してもらい、その結果を「Notify me in Chat」でGoogle Chatへ通知を送るような作りとしています。

ちなみに、今回作成したフローはGoogleがサンプルで提供している「Get a daily summary of unread emails」を私が使いやすくなるように日本語訳のプロンプトに変更して作成しています。

構築手順

今回作成したフローの構築手順は以下のようになっています。

サンプルから新規フローの作成

Flowsの画面へアクセスしたときに最初に出てくるDiscoverの画面ではGoogleが用意している複数のサンプルのフローが存在しています。その中のEmail boostersに「Get a daily summary of unread emails」があると思いますので、それを選択します。

サンプルのフローを選択するとテンプレートが作成されると思います。フローの名前について必要があれば編集されるようにしてください。

Starter

Starterには「On a schedule」が自動で設定されています。サンプルではこのスケジュールの設定が毎週実行となっているので、Dateには今日の日付、Timeには「9:00pm」を選択し、毎日実行するようにしたいのでRepeatには「Daily」に変更しました。Time zoneも設定できるので日本時間となるようにしています。

Actions

最初のActionsでは「Recap unread emails」が設定されていると思います。このStepを選択するとサンプルでは「Time range for summary」ではYesterdayとなっていると思いますので、このプルダウンからLast 7 daysに変更します。

そして、Enter a promptの欄を確認してみてください。この欄には英語のサンプルのプロンプトが入力されていると思いますので、日本語のプロンプトに調整したものを入れるようにします。

# Goal
未読メールをトリアージ(選別)し、処理速度を最大化し、重大な見落としを防ぐための要約を作成する。

# Instructions

1. 範囲とフィルタリング:
   - 入力データ内のすべての未読メールを分析せよ(「昨日」に限定しない)。
   - 広告、プロモーション、SNS通知、ニュースレター、スパム、自動確認/承諾メール、およびエラー警告を含まないシステム通知は、積極的に無視すること。

2. 🚨 優先度1:緊急アクション(要対応)
   - 返信、決定、または成果物を明示的に求めているメールを特定せよ。
   - 緊急性のヒューリスティック: 「至急」「ASAP」「期限」「要確認」といったキーワードや、私への直接的な質問を探すこと。
   - *セーフティネット:* 重要そうだが判断がつかない場合は、安全側に倒してこのカテゴリに含めること。

3. 📂 優先度2:テーマ別グループ化(大量メール)
   - 反復的なスレッド(例:「プロジェクトX更新」「コードレビュー」「Jira通知」)を1つのブロックにまとめよ。
   - 出力: 個々のメールをリストアップせず、最終的なステータス(例:「バグ報告3件あり」「[名前]によりデザイン承認済み」)を1文で要約すること。

4. 📅 優先度3:スケジュールとロジスティクス
   - すべての招待、日程変更、キャンセルをまとめよ。
   - カレンダーへの変更点のみを簡潔にリストアップせよ(例:「[名前]との会議が[時間]に変更」)。

5. ℹ️ 優先度4:FYI(参考情報・後で読む)
   - 関連性はあるが、即時のアクションを必要としないその他すべてのもの。

6. フォーマットルール
   - スタイル: エグゼクティブ・ブリーフィング形式。密度を高く、箇条書きで。
   - ソースの追跡(重要): すべてのアクションアイテムやスケジュール変更について、情報源を明記すること。
     - 書式: `[送信者名] | [件名] - 要約`
   - ハイパーリンク: 入力データにメールへの直接URLが含まれている場合は、件名をMarkdownリンクとして整形せよ: `[件名](URL)`。
   - 前置き: `受信トレイ エグゼクティブサマリー` で開始し、日付範囲を記載。
   - 視覚効果: 指定の絵文字を使用。送信者名と期限は太字にする。
   - ゼロ状態: カテゴリが空の場合は省略する。

次にStep2の内容を更新します。サンプルの「Notify me in Chat」を選択してみると、すでにMessageの欄にはStep2の要約された内容が送信される設定となっています。このメッセージの内容では味気ないため以下のプロンプトに変更しました。

【要対応】未読メールのデイリーサマリー

Geminiによる重要度判定の結果、対応が必要と判断されたメールは以下の通りです。
[Step2: Summary od unread email]

実行テスト

作成したフローを有効化します。フローの下部に存在している「Turn on」のボタンを押してエージェントを有効化します。

今回作成したフローはスケジュール実行となっているため、Turn onのボタンの横にあるTest runボタンからテスト実行させてみたいと思います。ボタンを押すとTest runの画面が出てくるので、Startのボタンを押してみます。

現時点では私のメールボックス内には未読メールは1通あり、その内容はMTG実施の打診の内容のため、優先度3の内容だけが生成されてChatに連携されたので正常な動きになっています。

実際にChatの内容を見ると要約された内容がChatに連携されています。そして、そのメールに対するアクセスできるリンクもついているので、このリンクからも未読メールにアクセスすることができます。

実際にメールにアクセスしてみると以下のような画面が立ち上がってくるので、この画面から実際の業務では返信するような形で進めていけるようなイメージになります。

まとめ

未読メールの山から重要な連絡だけを探し出す作業は時間がかかり、見逃しも生じがちだと思います。Google Workspace Flowsで未読メールを自動チェックし、Geminiに重要度判定と要約を任せることで、「今日対応すべきメール」をシンプルに通知できるようにすることができます。

毎日の確認ルーティンにこのフローを組み込むことで、優先順位付けが容易になり対応漏れや遅延を減らせると思います。慣れてきたら、通知先のスペースを変えたり、リスト化した内容をDocsやSheetsに保存するなど、さらに運用を広げてみてください!