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[Google Cloud Next '26 Las Vegas] セッション参加レポート - データ分析の新たな時代:Lookerの対話型BIエージェントの実力

作成者: NTTインテグレーション|2026.04.28

Google Cloud Next '26 Las Vegasとは

Google Cloud Next '26は、2026年4月22日から4月24日の3日間、アメリカ・ラスベガスのMandalay Bayにおいて開催されるGoogleのクラウドサービスに関する世界最大級のイベントです。「ディープ ラーニング、刺激的なセッション、共同での問題解決など、充実した 1 週間になることでしょう。業界の専門家や、あなたと同じ課題や機会に直面している同業者から直接学ぶチャンスです。Next 26 を終える頃には、他では得られない斬新なアイデア、最先端のスキル、行動につながる知見を身につけていることでしょう。」と銘打っており、AIコンテンツで大いに盛り上がった昨年や一昨年にも勝るとも劣らないイベントとなることが期待されます。

私たちNTTインテグレーションも、Google Cloudに精通した専門家として、技術イノベーションの最新動向を取り入れ、顧客に対するソリューション提供に活かしていくことを目指して参加しています。

このような貴重な機会ですので、現地からいち早くブログで最新情報や熱量を発信してまいります。

本記事で紹介するセッション概要

  • セッションタイトル: The agentic era of data: Conversational BI agents in action 

  • 講演日時: 2026年4月23日 10:30 AM - 11:15 AM 

  • 内容サマリ: Lookerの対話型ビジネスインテリジェンス(BI)エージェントが、データをどのように信頼できるパートナーに変革するかを探るセッションです 。インテリジェントなアーキテクチャがセマンティックモデルを使用して、監査可能で正確なインサイトをいかに提供するかを紹介し、マルチターン推論やPythonインタープリタを活用した高度な分析のライブデモも交えて解説されました 。

このセッションで期待できること

 データ分析において、「自然言語で質問し、正確なビジネスインサイトを即座に導き出す」ことは長年の課題でした。本セッションでは、Lookerを単なるダッシュボードツールとしてではなく、AIエージェントと統合された「Agentic BI(エージェント主導のBI)」の基盤として活用する具体的な仕組みを学ぶことができます。LookMLという強固な「データ辞書」を背後に持つことで、誰もが安全に、かつ正確なデータ探索を行えるようになる実践的なビジョンが示されています。 

セッション内容

Agentic BIがもたらす「信頼できるデータ」の民主化

セッションの冒頭では、GoogleのデータクラウドのあらゆるレベルにAIが組み込まれている(Trusted AI natively infused)ことが強調されました。これまでの「ダッシュボードを作る・見る」という受動的な体験から、ビジネスユーザーがデータと直接「対話」して答えを得る体験へと進化しています。

Lookerの対話型分析が優れている理由は以下の通りです。

  • The Single Source of Truth(信頼できる唯一の情報源): ビジネスロジックをLookMLで一度定義すれば、売上やチャーンレートなどの定義が企業全体で一貫して正確に保たれます。

  • プラットフォーム非依存: BigQueryだけでなく、SnowflakeやDatabricksなど、プラットフォームをまたいだデータとも対話可能です。

  • 複雑さの抽象化: ユーザーは使い慣れた高い信頼性のあるBI環境内で、安全にデータ探索を行えます。

Gemini in Looker アーキテクチャの仕組み

自然言語での質問に対し、AIが間違った指標を作らないよう、以下のプロセスでReasoning Engine(推論エンジン)が働きます。

  1. Get Schema: LookMLから、使用すべきフィールド(ラベルや説明文、同義語)を特定する。

  2. Sample & Search Data: フィールドやフィルタ値の精度を高めるためにデータをサンプリングする。

  3. Run Looker Queries: ユーザーの質問に対して正確なクエリを実行し、回答を得る。

さらに、ただデータを視覚化するだけでなく、「なぜデータが変化したのか?」を解明するために、裏側でPythonコードを実行して高度な分析(Advanced Analytics)を行う機能も備えています。

Yahooの成功事例:インサイト獲得のボトルネックを解消

後半では、長年Lookerを利用しているYahooのAlex Haviland氏より、エージェント活用による劇的な業務改善の事例が紹介されました。

  • ボトルネックの解消: 従来のBIプラットフォームでは、些細な要件変更でも「JIRAチケット起票 → スプリント計画 → 開発 → 回答」というプロセスが必要で、数日から数週間かかっていました。しかし、Looker Agentによるセルフサービス化によって、これが数秒から数分へと劇的に短縮されました。

  • 複雑な分析の自動化: ITサービスデスクのチケット分析を例に、従来ならPython分析やデータサイエンスチームのサポートが必要だった「チケット増加の要因特定」や「パレート分析」が、エージェントへの質問ひとつで即座にナラティブな文章とチャートとして出力される様子が示されました。

  • 既存のガバナンスを継承: 「本番環境で使える対話型エージェントは、AIから始まるのではなく、強固なデータとセマンティックレイヤーから始まる」と語られました。LookMLで構築したモデル、アクセス制御(行レベル・属性レベルの制御)、ID管理をそのままAIが継承するため、新たなセキュリティの仕組みを作り直す必要がありませんでした。

 

今後の展望(Roadmap)

LookerのAIの未来として、以下のようなロードマップが示されました。

  • 多様なアクセスポイントへの展開: Lookerの画面内に留まらず、Gemini Enterpriseを通じた複雑なワークフローのオーケストレーションや、Slack・Teamsといったサードパーティツールとの統合が進みます。

  • 継続的学習(Continuous Learning): エージェント自身がユーザーの利用状況から学習し、「この同義語をLookMLに追加したほうがよい」とセマンティックレイヤーの改善を提案するような、自己修復的なモデリング機能が構想されています。

まとめ・感想

「ダッシュボードを量産してもインサイトは増えない」というスライドの言葉が非常に刺さりました。AIがデータ分析の現場に導入される際、最も懸念されるのは「AIが勝手に間違った数字を算出してしまうこと」です。しかし、本セッションで示されたように、長年培ってきたLookMLという「正確なビジネスの辞書(レール)」の上でAIを走らせることで、その懸念は見事に払拭されていました。

データモデリングやアクセス権限といった地道な基礎固め(セマンティックレイヤーの構築)こそが、今後のAgentic AI(自律型AI)時代において最大の資産になるのだと強く再認識できる、非常に興味深いセッションでした。

参考

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