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【2025年9月版】今さら聞けない!Google Cloud エンハンストサポートの料金体系と契約ポリシー変更を再点検

作成者: XIMIX Katayama|2025.09.30

 

はじめに:遅ればせながら、去年の改定を振り返る

「あれ、この話、もう去年のことじゃなかった?」
そう思われた方も多いでしょう。Google Cloudのエンハンストサポートの料金体系が大きく変更されてから、早や1年近くが経過しようとしています。正式な移行日は2024年11月1日でした。
改定直後に整理しておくべきでしたが、遅ればせながら、今改めてこの重要な変更点と、それが組織に与える影響をまとめてみました。特に大規模な利用をされている企業様にとっては、コスト構造に大きく関わる話です。

1. 劇的な料金体系の変更:固定費500ドルは廃止に

2024年11月の改定で最も大きな変化は、以前の月額500ドルの固定最低料金が完全に廃止されたことです。
これにより、小規模な組織にとってはエンハンストサポートの導入敷居が大幅に下がりました。

現在(2025年9月時点)、サポート費用は以下のうち高い方が適用されます。

  1. 最低料金:月額 $100
  2. 変動料金:月間利用額に応じて計算される段階的な合計金額

要素

旧料金(2024年11月以前)

新料金(2024年11月1日以降)

最低料金

月額 $500(固定)

月額 $100

従量課金

月額利用額の3%など

段階的変動料金(Tiered Rates)

段階的変動料金の仕組みを改めて理解する

サポート費用が「段階的変動料金」で計算される仕組みは、組織全体の月間総利用額が増えるほど、適用される料率(パーセンテージ)が下がるという、所得税の累進課税と似た構造です。

利用額をいくつかの「段階(ティア)」に分け、それぞれの段階に定められた料率を累積して計算します。

段階的変動料金の構造(2025年9月時点の料率)

段階(ティア)

月間利用額の範囲

適用される料率

算出方法

Tier 1

最初の $0 ~ $10,000 まで

10%

$10,000までの利用額に10%を適用

Tier 2

$10,000 を超え $80,000 まで

7%

この範囲内($70,000分)の利用額に7%を適用

Tier 3

$80,000 を超え $250,000 まで

5%

この範囲内($170,000分)の利用額に5%を適用

Tier 4

$250,000 を超える部分

3%

$250,000を超過した利用額に3%を適用

計算例(月間利用額が $30,000 の場合)

  1. Tier 1(最初の $10,000まで):$10,000 × 10% = $1,000

  2. Tier 2(残りの $20,000分):($30,000 - $10,000) × 7% = $1,400

合計サポート費用:$1,000 + $1,400 = $2,400

2. 契約ポリシーの重要変更点:プロジェクト単位ではなく組織全体への適用、料金算出のベースは「割引適用前の総額(リスト価格)」へ

料金体系だけでなく、サポートの適用範囲料金算出のベースとなる金額についても、重要な変更点があります。

プロジェクト単位ではなく、「組織全体」への適用

エンハンストサポートは、特定のプロジェクト単位ではなく、組織全体(Google Cloud Organization)に適用されるコミットメントです。サポートの意思決定は一元化され、組織全体のクラウドガバナンスを強化する上で重要です。また、サポート費用は組織全体で一括計上されるため、企業は部署間のコスト配分(内部チャージバック)モデルを再構築する必要がありました。

料金算出のベースは「割引適用前の総額(リスト価格)」

サポート料金の算出ベースとなる月間総利用額は、いかなる割引、クレジット、またはその他の調整が適用される前の総額(リスト価格)に基づいて行われます。

大規模な企業で割引契約を結んでいる場合、実際に支払うクラウド利用料よりも、サポート費用の計算に使うベース金額の方が高くなる可能性があるため、コスト構造を再評価する必要があります

3. 規模別インパクト:あなたの組織のコストはどうなったか?

この新料金モデルへの移行は、すべての組織に一律の影響を与えるわけではありません。

 

低利用額の組織(月額 $10,000未満)

大規模な組織(月額 $100,000以上)

影響

コスト削減導入の敷居が大幅に低下)

コスト増加

利用額 $4,000 の場合、
旧 $500 → 新 $400($100削減)

利用額 $100,000 の場合、
旧 $3,500 → 新 $6,900 (+$3,400増加)

最後に:まとめと、今から取るべき行動

2024年11月の改定は、単なる料金率の変更ではなく、サポート契約のあり方をクラウド利用の価値に即した形へと変えた、料金体系への移行と、クラウドガバナンスの中央集権化を促すものです。

2025年9月現在、この新体系が定着した今、コストを安定的に管理するためには、以下の対策を改めて徹底することが推奨されます。

  1. サポート費用の集中管理: 組織全体でサポート費用を一元的に把握し、費用対効果を定期的に評価する。
  2. チャージバックモデルの徹底運用: 組織全体の利用額を基にしたサポート費用を、各部署の利用状況に応じた公正なルールで配分(チャージバック)し、全社的なコスト意識を高める。
  3. サポートティアの全社的な再検討: スタンダード、エンハンスト、プレミアムの各ティアを、個々のプロジェクトではなく、全社的なリスクとコンプライアンスの要件に基づいて判断する。

この機会に、クラウド戦略全体を再評価し、コストを最適化しながら、エンハンストサポートの価値を最大限に活用してください。

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