「あれ、この話、もう去年のことじゃなかった?」
そう思われた方も多いでしょう。Google Cloudのエンハンストサポートの料金体系が大きく変更されてから、早や1年近くが経過しようとしています。正式な移行日は2024年11月1日でした。
改定直後に整理しておくべきでしたが、遅ればせながら、今改めてこの重要な変更点と、それが組織に与える影響をまとめてみました。特に大規模な利用をされている企業様にとっては、コスト構造に大きく関わる話です。
2024年11月の改定で最も大きな変化は、以前の月額500ドルの固定最低料金が完全に廃止されたことです。
これにより、小規模な組織にとってはエンハンストサポートの導入敷居が大幅に下がりました。
現在(2025年9月時点)、サポート費用は以下のうち高い方が適用されます。
要素 |
旧料金(2024年11月以前) |
新料金(2024年11月1日以降) |
最低料金 |
月額 $500(固定) |
月額 $100 |
従量課金 |
月額利用額の3%など |
段階的変動料金(Tiered Rates) |
サポート費用が「段階的変動料金」で計算される仕組みは、組織全体の月間総利用額が増えるほど、適用される料率(パーセンテージ)が下がるという、所得税の累進課税と似た構造です。
利用額をいくつかの「段階(ティア)」に分け、それぞれの段階に定められた料率を累積して計算します。
段階(ティア) |
月間利用額の範囲 |
適用される料率 |
算出方法 |
Tier 1 |
最初の $0 ~ $10,000 まで |
10% |
$10,000までの利用額に10%を適用 |
Tier 2 |
$10,000 を超え $80,000 まで |
7% |
この範囲内($70,000分)の利用額に7%を適用 |
Tier 3 |
$80,000 を超え $250,000 まで |
5% |
この範囲内($170,000分)の利用額に5%を適用 |
Tier 4 |
$250,000 を超える部分 |
3% |
$250,000を超過した利用額に3%を適用 |
合計サポート費用:$1,000 + $1,400 = $2,400
料金体系だけでなく、サポートの適用範囲と料金算出のベースとなる金額についても、重要な変更点があります。
エンハンストサポートは、特定のプロジェクト単位ではなく、組織全体(Google Cloud Organization)に適用されるコミットメントです。サポートの意思決定は一元化され、組織全体のクラウドガバナンスを強化する上で重要です。また、サポート費用は組織全体で一括計上されるため、企業は部署間のコスト配分(内部チャージバック)モデルを再構築する必要がありました。
サポート料金の算出ベースとなる月間総利用額は、いかなる割引、クレジット、またはその他の調整が適用される前の総額(リスト価格)に基づいて行われます。
大規模な企業で割引契約を結んでいる場合、実際に支払うクラウド利用料よりも、サポート費用の計算に使うベース金額の方が高くなる可能性があるため、コスト構造を再評価する必要があります
この新料金モデルへの移行は、すべての組織に一律の影響を与えるわけではありません。
低利用額の組織(月額 $10,000未満) |
大規模な組織(月額 $100,000以上) |
|
影響 |
コスト削減(導入の敷居が大幅に低下) |
コスト増加 |
例 |
利用額 $4,000 の場合、 |
利用額 $100,000 の場合、 |
2024年11月の改定は、単なる料金率の変更ではなく、サポート契約のあり方をクラウド利用の価値に即した形へと変えた、料金体系への移行と、クラウドガバナンスの中央集権化を促すものです。
2025年9月現在、この新体系が定着した今、コストを安定的に管理するためには、以下の対策を改めて徹底することが推奨されます。
この機会に、クラウド戦略全体を再評価し、コストを最適化しながら、エンハンストサポートの価値を最大限に活用してください。
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